2008.04.29

Reprise~下川みくにアニソンベスト~

 今回もアニソン関係のアルバムです。
 下川みくにというと『幻想魔伝 最遊記』の「Alone」で名前を知って、その後『フルメタル・パニック!』あたりからよく名前を聞くようになり、以前は『アニぱら音楽館』のレギュラー時代にアニソンのカバーをいろいろ歌ってたりしてたのを見てたので、てっきりアニソン専門の歌手の人かと思ったりしてました。
 で、以前にそうと意識せずふとアルバムを買ったらそれがCCCDだったりして、ポニーキャニオンもアニメ関係じゃCCCDでは出して無いはずなのにと何かけち臭い感じがしたりしたのですが……一般歌手扱いだからCCCDだったのですね。(ショックで絶望してそのCCCDはたぶん一度も聴かないままどこかに埋もれてると思います)
 もっとも今では活動の主力はアニソン関係であるのは否めませんが。

 そんな下川みくにのアニソンのベストアルバムが今回のアルバムです。今ではCCCDの心配をしなくて済むので安心してアルバムが聴けるようになりました。
 2枚組みの1枚目がカバーソング。以前からアニソンのカバーアルバムを出してるみたいで、その中のベストという感じかな。

DISC-1
 01. 水の星へ愛をこめて(機動戦士Zガンダム)
 02. 魂のルフラン(新世紀エヴァンゲリオン)
 03. 悲しみよこんにちは(めぞん一刻)
 04. 願い事ひとつだけ(名探偵コナン)
 05. 想い出がいっぱい(みゆき)
 06. 残酷な天使のテーゼ(新世紀エヴァンゲリオン)
 07. 輪舞-revolution-(少女革命ウテナ)
 08. ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~(機動戦士ガンダムF91)
 09. 愛・おぼえていますか(超時空要塞マクロス)
 10. KUJIKENAIKARA!(スレイヤーズ)
 11. そばかす(るろうに剣心)

 「水の星へ愛をこめて」はオリジナルが森口博子のデビュー曲。『Zガンダム』の後期OP曲ですが、個人的にはB面の「銀色ドレス」の方が好きだったですね。
 森口博子のたどたどしくも初々しい歌と比べると、下川みくにの歌はずっと安定していて聴き心地は良いです。しかし、アイドルソングというものは歌の上手い下手よりもアイドルとしての瑞々しさがいかに表現されているかという魅力が大事なのも確かで、すっかり歌手として安定してしまってる下川みくにの歌は分が悪く感じられます。

 「魂のルフラン」は以前の『劇場版 新世紀エヴァンゲリオン シト新生』のREBIRTH編で、ネルフ本部を攻撃する戦自をやっつけたアスカの弐号機の前に量産型のエヴァンゲリオンが降下してくるところでいきなりエンディングになって流れてきた曲です。当時は作品が盛り上がってくるところでいきなり終わるのを「魂のルフラン」だとか、この劇場版のメインプログラムは『魔法学園ルナ』だったとか散々な言われようでしたが、今となっては懐かしい思い出です。
 オリジナルは「残酷な天使のテーゼ」と同じ高橋洋子。少しミステリアスな感じのメロディーにパワーのあるボーカルが魅力の曲です。下川みくにの歌は確かにメロディーをなぞってるという点では上手いんだけど、高橋洋子と比べると声量の差が大きいのか、パワーに不足を感じてしまいます。

 「悲しみよこんにちは」は『めぞん一刻』の初代OP。この作品は3クール目からスタッフが変更になり、少しして安全地帯の『好きさ』に変わってるから、初期の土器手キャラ時代のイメージの曲ですね。(OPアニメ自体は確か本編とは無関係に南家こうじの作品だったと思うけど)
 オリジナルは当時『スケバン刑事』でブレイクした斎藤由貴。彼女の歌は「卒業」から聴いてたから、人気のタレントの歌を使っての話題作りではあっても違和感はありませんでしたが、「卒業」にしてもこの曲にしてもどこかたどたどしさを感じる歌い方です。今から思えば、たどたどしく感じたのは切実に一生懸命歌ってたからですね。
 それに比べると下川みくには実にスムーズに歌っています。斎藤由貴に感じる自信の無さのようなものは欠片も感じないくらい安定してます。でも、それが逆に斎藤由貴の歌の魅力でもあった切実さというものを失くしてしまってます。

 「願い事ひとつだけ」は……聴き覚えあるけど、何の曲だっけ? と頭を抱えてしまうのがこの『名探偵コナン』のビーイング系列の曲とか、土6のSME系列の曲のようなタイアップによる宣伝目的のためだけの定期的に主題歌を変えてる作品の主題歌ですね。
 オリジナルは小松未歩だけど、『コナン』の主題歌というイメージでは「謎」の方が好きですね。とっさに作品名が出て来なかったくらいなので、小松未歩のオリジナルの印象も薄いです。だから、下川みくにの歌を聴いてもそんなものかと感じるだけです。

 「想い出がいっぱい」は以前に取り上げた緒方恵美の『アニメグ。』にも入っていましたが、『みゆき』の初代EDです。あだち充作品のアニメ化は個人的にはあんまりハズレは無いんだけど、『みゆき』だけはおもっきりハズレでしたね。せめて『タッチ』と同じスタッフで作って欲しかったなぁ。ですが、H2Oの主題歌だけはアタリでした。この「想い出がいっぱい」も名曲ですが、「Good-byeシーズン」もなかなか良い曲でしたね。
 緒方恵美のカバーがその「男声」を活かしてH2Oのイメージをそのまま再現しようとしてるのと比べると、下川みくにのカバーは素直に女声での歌い方ですね。だからオリジナルとは全然印象が違っています。でも、この歌からはこの曲の持つノスタルジーが感じられないのも確かです。

 「残酷な天使のテーゼ」も緒方恵美の『アニメグ。』に入ってましたが、言うまでも無く『新世紀エヴァンゲリオン』のOPで、オリジナルは高橋洋子。
 さすがに中途半端な感じがした緒方恵美に比べるとそつなく歌い上げていますが、「魂のルフラン」同様、オリジナルと比べるとパワーが足りません。

 「輪舞-revolution-」は『少女革命ウテナ』のOPで、オリジナルは奥井雅美。『アニぱら音楽館』のゲスト出演者では頻度の高い方だし、番組内でも何度か歌われてた曲だと思います。
 そのためか、他の曲には無いくらい非常に奥井雅美を真似た歌い方をしてるような感じです。他のカバー曲が優等生志向だとすれば、これはちょっとそこから外れてる感じですが、上手くオリジナルの雰囲気は似せています。ただ、いかんせん奥井雅美に比べるとドスが効いてないというか、上品過ぎるんですね。

 「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」は『機動戦士ガンダムF91』の主題歌ってことですが、残念ながら作品は見たことがありません。オリジナルの森口博子の歌なら何度か聴いたことがありますが……
 これは「水の星へ愛をこめて」と違って森口博子も歌手としてある程度キャリアを積んでからの曲だから、アイドルソングって感じは無くなっていて、落ち着きのある安定感のある歌になっています。
 そのためか、下川みくにの歌が非常にオリジナルのイメージと似た印象を受けます。ま、作品自体を見てないからアニソンとしての作品との結び付きとか思い入れといったものは無いわけですが……

 「愛・おぼえていますか」は巨人族の襲来による絶滅の危機から人類と文化を救った伝説の歌です。オリジナルはリン・ミンメイ……じゃなくて、飯島真理ですね。日本のアニメを代表する名曲の一つなのでカバーも少なくはありませんが、最近では『マクロスF』の特番のエンディングで使われていた中島愛バージョンが記憶に新しいところです。
 その中島愛バージョンや、『マクロス7』の時にミレーヌがミンメイの歌を歌ったというコンセプトで出されたアルバムに入っていた櫻井智バージョンのように、ともすればバラード気味のアレンジでカバーされることが目立つ曲なのですが、この下川みくにのカバーはほぼ原曲通りですね。
 原曲の魅力はというと、やはりミンメイのアイドルらしい初々しさ瑞々しさを引き出していたというところにあります。当時からアーチスト志向だった飯島真理本人には不本意かも知れませんが、アーチストというよりアイドルとしてのイメージが強かったのは確かです。
 下川みくにの方はというと、無難には歌ってはいますが、やはりすっかり枯れたイメージというのは否めません。
 ちなみに原曲の方はシングルバージョンと劇場用ロングバージョンの2つがあって、アナログ盤時代は収録時間の関係かロングバージョンは一部のアルバムに収録されただけでしたが、その後CD時代になったら出るアルバム出るアルバムどれもロングバージョンになってしまってシングルバージョンを見付ける方が難しかった時期がありましたが、今はどうなんでしょうか?

 「KUJIKENAIKARA!」は『スレイヤーズ』のED。オリジナルは林原めぐみ・奥井雅美の2人……ということで、コーラスの方はどうするのかなと思ってたら、コーラスも自分ですか。
 これも「輪舞-revolution-」と同様、奥井雅美(及び林原めぐみ)の歌い方を真似てるから原曲とのイメージの違いというものはありませんが、この2人と比べるとやはり声量の面で差がありすぎ。良く言えば上品に収まってるってところなのですが……

 「そばかす」は『るろうに剣心』のOPで、オリジナルはJUDY AND MARYとかいうバンド。主題歌を依頼された時、アニメといえば『キャンディキャンディ』、『キャンディキャンディ』といえば「そばかす」という連想でこの曲が作られたという実しやかな噂が当時ありましたが、さて……
 この作品の製作のSPEは現在のアニプレックスの前身なので、OPは比較的長く使われてるけど、頻繁に変わるEDとかは土6アニメを彷彿させるものがあります。使われた期間が長いので作品と結び付かないということは無いのですが、作品内容そのものとも結び付きが無いので、カバーに対しても何もコメントがありませんね。

 2枚目は下川みくにの持ち歌のアニソンです。

DISC-2
 01. Alone(幻想魔伝 最遊記)
 02. tomorrow(フルメタル・パニック!)
 03. 枯れない花(フルメタル・パニック!)
 04. all the way(キノの旅)
 05. それが、愛でしょう(フルメタル・パニック?ふもっふ)
 06. 君に吹く風(フルメタル・パニック?ふもっふ)
 07. 南風(フルメタル・パニック!TSR)
 08. もう一度君に会いたい(フルメタル・パニック!TSR)
 09. Bird(劇場版キノの旅 病気の国)
 10. 藍色の空の下で(はぴはぴクローバー)
 11. Life

 なんか『フルメタ』が中心って感じの印象ですね。『グレネーダー』辺りが入っていれば少し印象が違ったかも知れませんが、なぜか入っていません。
 「Alone」が少し湿っぽい印象を受けるのと対照的に、「tomorrow」「南風」はからっとした爽やかな感じで、作品が持つ軍事的な殺伐さを覆い隠してる印象ですね。ま、短編みたいに陣代高校を舞台とした学園ものならあってはいそうですが……
 「それが、愛でしょう」は『らき☆すた』のEDでこなたが歌ってた曲ですが、こうして聴いてみると平野綾の方が明らかに声量があって余裕が感じられますね。下川みくにの歌としてならこんなものなのでしょうけど、一度あれを聴いてしまったら平野綾にちゃんとカバーさせたバージョンも聴きたくなってしまいます。
 ところで『ふもっふ』とかいう作品はOVAか何かよく知らないけど、この曲がOPって他の2作品とは全然イメージが違うんですが、どんな映像が付いてたんでしょうか。
 『キノの旅』はちゃんと見てたけど、主題歌なんかすっかり忘れてしまっててイメージが結び付きません。どちらかというと前田愛のEDの方が印象強かったのかなぁ。

     ☆ ☆ ☆

 2枚目は普通のベスト盤なんだから普通に聴けばそれだけのものなんですが、1枚目のカバー盤を先に聴いてしまうとそのイメージに引き摺られてしまうという、何だか厄介な商品ですね。ま、別物のアルバムとして完全に別けて聴くのが正解なんでしょうが。
 同じカバーでもこの前の緒方恵美の『アニメグ。』は技量はともかくとして歌ってる本人の思い入れというものがひしひしと伝わってくるタイプだったのですが、単に上手く歌ってみましたといういうよりはそっちの方が聴いてる方にも共感が湧いてきます。これはそこらのトランスアレンジとかもそうなんですが、単に人気曲を集めましたという商品に原曲に対する愛着の追体験を期待するのは難しいのですね。もとより、そんなところまで目指してる商品化などではないのでしょうが。

(発売元:ポニーキャニオン PCCA-2595 2007.12.19)


Reprise~下川みくにアニソンベスト
Reprise~下川みくにアニソンベスト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.13

饗宴ラフレシア/東京ブラス・スタイル

 東京ブラス・スタイルは女性だけで構成されたブラスバンドユニットとのことですが、アニジャズと称したアニメソングのジャズアレンジの演奏を中心に活動してるみたいですね。
 アニメソングのジャズアレンジはこれまでも思い出した頃にポツリポツリと出てたように思いますが、たいていは単発の企画もので、プレイヤーもその場限りの寄せ集めだったりして、ジャンルとして定着するものではありませんでした。(唯一の例外はまだアナログ時代にコロンビアからジャムトリップと称したシリーズが何枚か出てたみたいですが、CD時代まで定着はしませんでしたね)
 そんな中、颯爽と登場してきたのがこの東京ブラス・スタイルです。ジャズなのに何でブラスバンド?って疑問があったりしますが、以前に取り上げてる『黒船以来』とか大阪市音楽団の演奏曲を見てもわかるように、吹奏楽とジャズとは深い関係があるみたいですね。

 今回取り上げた『饗宴ラフレシア』は東京ブラス・スタイルの2枚目のアルバム。曲目に「宇宙戦艦ヤマト」が入っていたのと、たまたまCD屋の店頭で流れていた「はじめてのチュウ」が印象に残ったからです。
 収録曲は以下の通りです。

 01. 宇宙戦艦ヤマト (宇宙戦艦ヤマト)
 02. アンパンマンのマーチ (それいけ!アンパンマン)
 03. ムーンライト伝説 (美少女戦士セーラームーン)
 04. 愛・おぼえていますか (超時空要塞マクロス)
 05. 燃えてヒーロー (キャプテン翼)
 06. POKEMON THEME (POKEMON USA)
 07. FLY ME TO THE MOON (新世紀エヴァンゲリオン)
 08. はじめてのチュウ (キテレツ大百科)
 09. ガッチャマンの歌 (科学忍者隊ガッチャマン)
 ST. CHA-LA HEAD-CHA-LA (ドラゴンボールZ)

 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は隠しトラックなのでジャケットやライナーには記載されていません。
 では、順番に聴いていきましょう。

 「宇宙戦艦ヤマト」

 原曲はシンフォニックな編成なので、小編成のブラスバンドでそのままイントロを奏でられても少し貧相なイメージは否めません。その後、スイング風のフレーズが入った後、メインの旋律が奏でられますが、元が軍歌風のマイナーがかった曲をリズムなり伴奏で補強してる曲なので、素朴にアレンジされると曲調のイメージが違ってきますね。
 このアルバムでは1コーラス目と3コーラス目をほぼ原曲どおり、中間の2コーラス目をコード進行や伴奏をそのままにメインの旋律をアドリブ風のオリジナルに変えて演奏してる曲が多いのですが、この曲もその一つです。当然ながら原曲の歌詞内容などとはまったく関係ないフレーズが展開されていくわけですが、それでいてどことなくヤマトの雰囲気が伝わってくるのが面白いです。

 「アンパンマンのマーチ」

 ジャズを知らない人でも一度は耳にしたことはあると思うグレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」を露骨に想起させるアレンジですね。元々、似た曲調の曲同士なのかも知れませんが、なんか見事にマッチしてる感じですね。
 以前にあるアニメソングをクラシック風にアレンジしたというアルバムを聴いてみたことがあるのですが、そのライナーに、既存のクラシック曲をベースにアニメソングのメロティを乗せて作ってるというようなことが書いてあって、ずいぶん手抜きだなぁと感じて失望したことがあるのですが、このアルバムも自分が原曲を知らないだけで、そんな感じに作ってあるのでしょうか?

 「ムーンライト伝説」

 サックスをメインにフィーチャーしてあるせいか、少し大人っぽいイメージのアレンジです。
 原曲自体がとても90年代の曲とは思えない古い歌謡曲風のメロディーだから、どこか昭和30年代ごろの映画のクラブやラウンジでのバンド演奏とかで流れてそうな雰囲気がします。

 「愛・おぼえていますか」

 ジャンルによらず、どうもバラード風にアレンジされることが多い曲ですね。ただ、この曲も「宇宙戦艦ヤマト」と同じで、原曲のリズムとかテンポが曲のイメージを支えているので、それを取っ払ってバラードにしてしまうとどうしてもダウナーな感じになる印象を拭えません。ミンメイの歌とはまったく別物の曲ですね。(案外、元のプロトカルチャーの音楽はこんなアレンジだったのかもしれませんが)
 アドリブパートが終わってメロディーが復帰した後もサックスのパフォーマンスが延々と続いてるのが聴き物です。

 「燃えてヒーロー」

 スピーディーなテンポに、軽快でカッコイイアレンジに仕上がっていて、まさにブラスバンド向けの曲って感じですね。
 イントロのラストでホイッスルが入ってますが、確かに原曲でもホイッスルは使われていて、サッカーをイメージさせる大きな要素なのですが、この手のアレンジ曲で入っていても何かイメージが違うような気がします。
 アドリブパートのピアノが印象的です。

 「POKEMON THEME」

 ポケモンって書いてある割にはどうも聴き覚えのない曲だなと思っていたら、海外版のテーマ曲だってことです。
 まったく馴染みのない曲だからとくにコメントはしませんが、アドリブで入ってる「ぴ~ひゃら……」って「おどるポンポコリン」のフレーズが妙に印象に残っています。

 「FLY ME TO THE MOON」

 元がジャズのスタンダードナンバーであるこの曲を、なんで今さらって感じですが、『エヴァンゲリオン』版のイメージをそのままにアレンジしてあるので、大元の原曲を聴くよりは馴染みやすいのは確かです。
 アドリブパートでトランペットのソロが延々とパフォーマンスを続けてるのが聴き応えありかな。途中で「魂のルフラン」が入ってるのはご愛嬌でしょうか。

 「はじめてのチュウ」

 ものすごく洒落たアレンジに仕上がっていて、何も言うことがないぐらい見事です。この曲だけのためにこのアルバムを買っても損はしないでしょう。後半のサックスのパフォーマンスなんか痺れてきます。
 何も知らない人にこの曲だけ聴かせたら、まずアニメソングが原曲だとは思わないでしょうね。『キテレツ大百科』なんて作品のことは忘れられてしまっても、この曲だけはずっと残されていきそうな気がします。

 「ガッチャマンの歌」

 非常にハイテンポなアレンジで、曲全体がアグレッシブに仕上がってる曲です。アレンジの見事さという点では方向性は違うけど「はじめてのチュウ」に引けを取っていない気がします。原曲はまさに昔の王道中の王道アニメソングなんですが、それがまるで別曲のような現代風に仕上げられてる感じです。
 とにかくアグレッシブな曲で、ジャズのピアノというと普通は軽快に洒落たメロディーを奏でてるイメージがあるんですが、ここでは非常に力強い演奏を印象付けてくれています。

 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」

 何で隠しトラックになってるのか良くわかりませんが、コンサートでのアンコール曲のような位置付けなのかもしれません。このアルバムの中では最も原曲に近いストレートなアレンジですね。
 Aメロの1回目を軽快なピアノが奏でた後、2回目をトランペットが続けるという形がなんかツボにはまっていて絶妙です。アレンジパートは他の曲がだいたい1コーラス分のところをこの曲は2コーラス分とっていて、1回目がサックス、2回目がピアノをメインに演奏されています。で、このピアノの軽やかさが、たまりません。

     ☆ ☆ ☆

 ジャズについては完全に専門外なので元ネタがあったとしても分かりませんが、さすがにグレン・ミラーのあの曲だけはあちこちで使われてて聴き覚えがありますからあからさまな感じがしてなりませんね。
 ニコニコ動画に作曲の仕方についての動画とかあったから見てみたら、コード進行から先に作ってメロディーは後から乗せていく作り方(もちろん歌詞は出来た曲に合わせて考える)が主流みたいにあったのですが、最初に歌詞があってメロディーを付けて……という方法が(ポピュラー音楽では)基本かと思っていたのでびっくりしました。確かにそういう作り方ならメロディーも似通った無難なところに落ち着くから、別の似た曲をベースにアレンジしても違和感が無いんだろうなとも思ったりしましたが、どうなんでしょうか?
 このアルバムに入ってる曲だと「宇宙戦艦ヤマト」「愛・おぼえていますか」なんかは完全に歌詞やメロディー先行型の曲だと思うから、逆にコード進行の似通った曲を探してきて当てはめるのが難しそうに思えますし、逆に「アンパンマンのマーチ」なんかは例えそうでないにしても結果としてコード先行型と同じパターン進行の曲になってしまってるから他の曲と絡め易いように感じます。
 ま、作り方はどうであれ、満足できる音楽が聴けたらそれで構わないわけですが。

(発売元:ハピネット HMCH-1008 2006.08.23)

饗宴ラフレシア~アニジャズ 2nd note~
饗宴ラフレシア~アニジャズ 2nd note~

     ☆ ☆ ☆

 今週末は《第2回 伊福部昭音楽祭》ですが……『完本 管絃楽法』で全財産が消えました。誰か交通費恵んでください。(;_;)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.09.01

I've/SHORT CIRCUIT II

【要注意】  この記事には良い子はしてはいけないゲームの音楽について触れてる部分があります。けっして良い子が読んではいけない表現があるわけではありませんが、ゲームのタイトルその他に不快を感じる場合、あるいは過度に劣情を催す場合があるかもしれませんので、良い子の皆さんはお父さんお母さんと相談の上で読んでください。

 あすかはそんなにゲームの世界に詳しい人じゃないので、「I've」という名前を初めて知ったのはアニメ『おねがい☆ティーチャー』でI'veの音楽が使われた時でした。その後、東映版『Kanon』の最終回で使われた「Last regrets」と「風の辿り着く場所」が収録されてるCDが無いかと探し出したのが『regrets』で、このアルバムを聴いて以来、I'veというアーチスト集団を意識するようになりました。
 主にアダルト系のPCゲーム音楽への楽曲提供で知られていたI'veですが、それらの曲から主にボーカル曲をセレクトして出されてきたのが『regrets』を始めとするGIRLS COMPILATIONシリーズのアルバムです。こちらはI'veの表の顔とでも言うべき代表曲を並べて来ている感じですが、その一方でI'veにはもう1つの顔があって、そっちの曲を集めたのがコンセプトアルバムと名付けられた『SHORT CIRCUIT』のシリーズです。

 そのもう1つの顔というのは、いわゆる電波ソングの系統です。一口に電波ソングと言っても様々な種類があります。例えば話題になった『涼宮ハルヒの憂鬱』で使われた「恋のミクル伝説」なんかでは曲の作りが変だとかボーカルがおもいっきし外してるとか、わざと下手糞に作ったところを売りにしてあります。しかし、I'veの電波ソングはそんな変な曲や外したボーカルというわけではなく、技術的には他の曲と同じくきちんと作ってあるにも関わらず、歌詞の内容が(変ではないけど)突飛だとか、ハードな曲と歌詞の内容がミスマッチだとか、曲の合間に入るセリフとか合いの手だか掛け声だかが妙に頻繁な上にあっちの方に逝っちゃってるところに味があるものになっています。

 今回の『SHORT CIRCUIT II』はその2枚目ということになります。アルバムの発売記念イベントでKOTOKOが電波ソングとは何かと訊かれて、その要素の3つ目に「キュンキュン」を挙げていましたが、それがI'veの電波ソングの特徴を一番に言い表してるような気がします。
 では、収録曲です。


 01. ねぇ、…しようよっ!
 02. ↑青春ロケット↑
 03. Princess Bride!
 04. ナイショ☆Naiしょ
 05. 新しい恋のかたち~SHORT CIRCUIT II EDIT~
 06. Mighty Heart~ある日のケンカ、いつもの恋心~
 07. はじめまして、恋。
 08. 乙女心+√ネコミミ=∞
 09. きゅるるんKissでジャンボ♪♪
 10. アナタだけのAngel☆
 11. Princess Brave!
 12. I'm home
 13. めぃぷるシロップ
 14. Double HarmoniZe Shock!!


 数曲は明らかに傾向の違う曲が入ってますが、後は電波ソングのオンパレードです。
 では、順番に聴いていきましょう。


 「ねぇ、…しようよっ!」はPCゲーム『姉、ちゃんとしようよっ!2』の主題歌。どんなゲームかはタイトルが全てを語ってますが、良い子は知らなくてかまいません。ボーカルはKOTOKO。日曜の朝(というか土曜の深夜34時)にやってる『ハヤテのごとく!』のOP曲を歌ってる人ですが、全然雰囲気が違いますね。
 いきなり超弩級の電波ソングって感じです。歌詞の内容はともかく、KOTOKOの軽快なボーカルが魅力的で、妙に日本語が自然なラップ部分が印象的な曲です。I'veの電波ソングの見本みたいに合いの手のセリフがふんだんで、まさにキュンキュンって感じに仕上がっています。
 歌詞はブラコンのお姉ちゃんが弟にモーション掛けてるって内容ですが、曲間に入るKOTOKOのセリフが絶妙で、こんなお姉ちゃんほしいななんて思ってしまいます。ま、イメージ的な曲だからゲームそのものの内容とは関係無いでしょうし、露骨な表現とかあるわけではないですから、ネタ的な電波ソングとしてはセンスも良く完成されたものだと思います。ま、お薦めの1曲ですね。

 「↑青春ロケット↑」はPCゲーム『すぺーす☆とらぶる』の主題歌。タイトルからは宇宙関係の物語かと思われますが、よくわかりません。
 ノリノリのハイテンションソングという感じの曲ですね。基本的にはすっきり突き抜ける感じの爽快な曲なんですが、やたら甘い印象を受ける歌詞や、曲全体があっちの方向に飛んでいっちゃってる感じが十分に電波っぽさを発揮してる感じです。
 ボーカルはKOTOKOらしさが出てる良い曲ですね。

 「Princess Bride!」はPCゲーム『Princess Bride』の主題歌。お姫様が花嫁なのか、お姫様みたいな花嫁なのかで意味が全然違いますが、どっちなんでしょう?
 曲は思いっきり電波っぽいテクノトランス。過度にスタッカートを掛けてるKOTOKOのボーカルが印象的ですね。まみビブラートほどではないにしても、曲の後半でふんだんにビブラートが掛かってるのも特徴です。

 「ナイショ☆Naiしょ」PCゲーム『ないしょのティンティンたいむ』の主題歌。なんか『金色のガッシュ!!』でファウードの中にいた魔物の名前みたいなタイトルのゲームですが、さて。
 ボーカルは詩月カオリ。曲そのものや歌詞は普通のアイドルソングっぽいノリなんだけど、「ドキドキ」「ビンビン」などの合いの手が、思いっきりデコレーションされてるところが電波ソングたる所以ですね。ここまでくれば一種の芸術って感じです。
 曲中でテンポが変わってる部分の電波ソングっぽくない部分がかえって新鮮に感じられます。

 「新しい恋のかたち~SHORT CIRCUIT II EDIT~」はPCゲーム『Ribbon2』の主題歌。原曲のボーカルはAKIだったのを、KOTOKOがリメークした曲です。
 サビのバラードから始まる、いやに普通っぽい曲です。過度のリズムとエフェクト掛かったコーラスが電波っぽいといえばそうかもしれませんが。ある意味でKOTOKOらしいボーカルが聴ける曲です。

 「Mighty Heart~ある日のケンカ、いつもの恋心~」はPCゲーム『つよきす』の主題歌。『つよきす』は『つよきす Cool×Sweet』としてテレビアニメ化されていますが、主人公がPS2版の追加ヒロインだったりして、アニメ化というよりは『つよきす』のキャラを使った派生作品みたい(最終回でそれらしいオチ有り)でしたので、ゲームの内容はよくわかりません。
 歌詞の内容は、彼氏と喧嘩した女の子の歌。自分の勝ちを信じて疑わない彼氏に、最後に粘り勝ちするまでの一部始終を歌った曲です。80年台頃なら原由子なり谷川浩子辺りが歌っててそうなニューミュージック系のコミックソングって感じですが、合間のKOTOKOのセリフがやはり電波なノリですね。
 やはりゲームの内容とは関係ないんだろうけど、強気で喧嘩を楽しんでる感じが面白いかな。これもお薦めの1曲ですね。

 「はじめまして、恋。」はPCゲーム『淫妹BABY』の主題歌。なんかタイトルからして良い子禁止って感じですね。
 曲はハートフルで、キュンキュン度120%って感じです。歌詞がなかなか良いから、じっくり歌い上げる感じの曲に仕上げたらけっこう名曲になりそうなのですが、思いっきりパカパカしてるテクノトランスのアレンジが、曲そのものとのアンマッチング感を出してるのが電波っぽいところです。

 「乙女心+√ネコミミ=∞」はPCゲーム『王立ネコミミ学園~あなたのための発情期♪~』の主題歌。猫の発情期と違ってネコミミの発情期はやっぱり良い子は見てはいけない世界なんでしょうね。
 タイトル自体がすでに電波ソングを宣言しています。ボーカルはKOTOKOと、『ひぐらしのなく頃に』のOP曲を歌ってる島みやえい子。歌詞もタイトルを引き継いで電波っぽい感じですが、現在から見ればそんなに変ではありませんね。曲も意外と普通で、変な合いの手も入りません。
 ちょっとしっとりとしたイメージで、ネコミミ云々を除けば普通のラブソングとして通用しそうです。

 「きゅるるんKissでジャンボ♪♪」はPCゲーム『カラフルハート ~12コのきゅるるん♪~』の主題歌。これの前作がI'veの電波ソングを一躍世間に広めた「さくらんぼキッス」を主題歌とする『カラフルキッス ~12コの胸キュン!~』だというらしいです。
 これも思いっきりKOTOKOの合いの手が入りまくりの電波ソング。キュンキュンしまくりです。歌自体は穏やかで優しい曲です。間奏部のセリフが切なくてたまりません。これも基本的には普通のラブソングっぽいんですがねぇ……

 「アナタだけのAngel☆」はPCゲーム『あねいも2 ~Second Stage~』の主題歌。内容はやはりタイトルが物語ってる通りなんでしょうか。
 ややテンポの速い、切ない系のラブソング。歌詞が80年代のアイドルソング風でベタに甘過ぎるのがアレですが、今の世の中だとそんなものが電波っぽく感じてしまうんですねぇ。(電波ソングの定義の1つとして時代錯誤な歌詞とか曲の表現とかもありますし)
 詩月カオリのボーカルがなかなか良いです。

 「Princess Brave!」はPCゲーム『Princess Brave 雀卓の騎士』の主題歌。
『Princess Bride』の続編みたいですが、なぜいきなり麻雀ゲームになってるのかよくわかりません。
 RPGをテーマにした歌詞で、夢の中の冒険譚って感じですが、まぁゲームそのものとは関係無いんでしょうね。前作に引き続き電波っぽいテクノトランスで、ノリだけは極上です。力強く勇気を与えてくれる感じの曲ではありますが、変に具体的なところが電波ですね。
 ま、冒険=恋と置き換えると、いかにもラブコメ風の恋愛ソングって感じかな。

 「I'm home」はこのアルバムのオリジナル曲かな? 別アレンジ版が詩月カオリのメジャーデビュー曲であるアニメ『ななついろ★ドロップス』OPテーマ「Shining stars bless☆」のC/Wに収録されています。
 しっとりとしたボーカルに、切ない歌詞。やたら派手なパーカッションがアンバランスですが、全体的に普通の曲っぽい雰囲気です。
「あなたを待ってるよ、帰っておいで」って感じの曲ですね。

 「めぃぷるシロップ」もこのアルバムのオリジナル曲かな? オリジナル曲にしては電波度が高すぎます。
 調味料と恋のレシピを掛けたような作り。小気味良いテンポで優しく温かい歌ですが、むしろ主役は合いの手やバックコーラスの方って気がします。そんな感じだから曲そのものはサビでも盛り上がらずに、さらっと流してる感じですね。
 1回聴けば電波ソング中の電波ソングであるということに異論のある人はいないでしょう。ある意味、このアルバムで一番の目玉曲です。
 どうでもいいけど、歌詞中の「溶かして」が「とかちて」に聴こえるのは空耳なんでしょうか?

 「Double HarmoniZe Shock!!」もこのアルバムのオリジナル曲。KOTOKOと詩月カオリのデュエットです。
 アルバムの最後にサービス曲って感じですが、このアルバムには不似合いなハードな曲です。なんか普通のI'veの曲ですね。歌の内容は、「2人の歌が世界に響き渡れ」って感じでしょうか。
 ま、電波ソングの連続で変にハイになったぐちゃぐちゃな脳味噌を、余韻に浸りながら現実に醒まさせる効用はありそうです。

     ☆ ☆ ☆

 知らない人から見れば(良い子はしてはいけない)怪しげなタイトルのゲームのテーマ曲が並んでることが気になるかも知れませんが、実際に曲を聴けばそのイメージとのギャップに拍子抜けすることは請け合いです。
 確かに一昔前のこのジャンルのテーマ曲とか電波ソングと称されたものは、歌そのものが良い子は聴いてはいけない範疇に引っ掛かるものだったり、楽曲としてのクオリティもそれなりだったりしたものですが、I'veやUNDER 17の活躍によってその状況が変わってきたのがここ数年ぐらいの状況ですか。昨今は深夜アニメの中に良い子はしてはいけないゲームを原作とするものも増えてきたこともあって、このジャンルのゲームのテーマ曲とアニメソングの垣根も無くなった感があります。
 何かと肩肘の張る現代社会。励まされる一方でも疲れるだけですし、癒されてばかりでは先に進みません。たまにはこういう電波ソングを聴き込んで、腐った脳味噌をシェイクしてリフレッシュしてみるのも良いかと思います。

(発売元:ビジュアルアーツ ICD-66014 2007.06.22)


 今回の1枚。音楽CDじゃなくPCソフトの扱いなので注意。(中身は普通の音楽CDとして聴けます)
SHORT CIRCUIT II(DVD付)
SHORT CIRCUIT II(DVD付)

 参考までに前作。
SHORT CIRCUIT
SHORT CIRCUIT


| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007.06.10

THE MUSEUM 水樹奈々

 飯塚雅弓を成功させたパイオニアLDC(現ジェネオン)が、その次を狙って売り出していたのが確か水野愛日とこの水樹奈々だったように思いますが、飯塚雅弓がTVアニメ『新天地無用!』を半ばプロモーション用に使ってたのと違い、当時、アニメイト等でのイベント告知を見ても「水樹奈々、それ誰?」という感じで、名前は覚えてたけど実際に何らかの活動をしてるのに触れる機会はしばらくありませんでした。(この時期はパイオニアLDCがゲーム方面に力を入れていた時期なので、そっちの方面で売り出していこうという方針だったようです)
 結局、水樹奈々という名前を本格的に意識するようになったのはキングレコード移籍後に『RUN=DIM』を初めとするアニメソングを歌ったり、『七人のナナ』や『シスタープリンセス』など話題のTVアニメにレギュラー出演するようになってからですね。で、一番インパクトがあった出会いが『RUN=DIM』のED曲「Heaven Knows」であり、当時のイベントなどで本来は演歌歌手を目指していたとか聞いていたので、その後アニメの声優の仕事を数多くこなしているけど、個人的には歌手の方が本業のアーチストとしてのイメージを持っています。
 この辺りは以前に取り上げた桃井はるこもそうで、世間的には声優に分類される人かも知れませんが、自分の中では奥井雅美などと同じジャンルのアーチストってイメージですね。

 今回はそんな水樹奈々の歌手としてのこれまでの軌跡を綴ったベストアルバム『THE MUSEUM』を取り上げてみます。
 収録曲は以下の通り。

 01. 想い
 02. Heaven Knows
 03. The place of happiness
 04. LOVE&HISTORY
 05. POWER GATE
 06. suddenly~巡り合えて~
 07. New Sensation
 08. still in the groove
 09. パノラマ-Panorama-
 10. innocent starter
 11. WILD EYES
 12. ETERNAL BLAZE
 13. SUPER GENERATION
 14. Justice to Believe (MUSEUM STYLE)
 15. Crystal Letter
 16. TRANSMIGRATION 2007

 01~14がそれぞれシングルの表題曲、15が新曲、16が既製曲のリメイクという感じですね。それでは順番に聴いていきましょう。

 「想い」はバラード風のゆっくりとした始まりの曲。だけど、リズムは小刻みで速いテンポ。出だしはマイナー調の曲で、サビになってメジャーに変わるって感じ。やや短めの曲であっさりしてるけど、ボーカルがしっかりしていて聞き応えは十分。
 『少年進化論』とかいうドラマCDのイメージソングだそうですが、そっちの方は知りません。とりあえず水樹奈々のデビュー曲って、昨今の水樹奈々のイメージからは少し違うところもあるけど、演歌歌手を目指していたという影響は当時の方が強く、むしろ今よりも可能性を感じるところがありますね。

 「Heaven Knows」はコーラスの頭に早口のラップが付いてるのが特徴的な曲。そのためかコーラス本体が短く感じられ、すぐにサビが始まってしまう印象です。バックは相当に派手なヘビメタ系のサウンドだけど、それに負けないボーカルの力強さはさすが水樹奈々というところ。
 『RUN=DIM』とかいう土曜の朝にやっていた3DCGアニメのED曲なのですが、作品の舞台である地球温暖化による水面上昇で都市が水没したシュールな光景を映したEDの映像との組み合わせが印象的でしたね。
 水樹奈々を初めて見たのはこの曲の販促イベントの時だったかなぁ。やっぱし生で聴けるのは一番ですが、昨今のライブコンサートみたいにチケットを取り難いとか、人がいっぱいいすぎるところは息苦しいとかいうのはキツイですからね。

 「The place of happiness」はサビから始まる曲。メインのコーラスは水樹奈々にしては軽やかでノリが良いポップな感じの曲なのですが、サビはけっこう重い感じです。なんかこの辺から歌い方が奥井雅美に似た感じになってきて、初期のまっすぐな柔らかさがなくなって来たみたいです。
 『GENERATION OF CHAOS』というゲームの曲みたいだけど、当時は盛んにCMで流れてたのか、とても耳に馴染んでいたような気がします。

 「LOVE&HISTORY」はパワーのあるボーカルとヘビメタ系の激しい曲。これもサビが主体って感じで全体的に短めのイメージが感じられます。サビは突き抜けるような感じで印象的なんですが、フレーズが断続的で一発芸って感じ。せっかくの水樹奈々のボーカルなのに歌い上げるようなものが何も無いってのが欠点かな。
 リフレイン前のフレーズがなかなか良い感じなので、これを中心にした曲を作った方が良かったんじゃないかなぁ……

 「POWER GATE」は軽やかでポップなノリの良い曲で、そのままサビに盛り上がっていくストレートな作りの曲。これも聞いた感じ、奥井雅美っぽいところがありますねぇ。サビのところの解放感が格別です。後奏のサックスがちょっとしつこい感じかな。
 テレビ大阪の深夜番組『M-VOICE』のテーマ曲ってことですが、確か月単位でテーマ曲が変わってる番組でしたね。割と声優だかアニソン系の歌手だかのゲストが多かった番組だったような気がします。

 「suddenly~巡り合えて~」は、ややゆっくりなテンポでかつ激しい感じの曲。ボーカルは最初から全開気味で、これもボーカルがメインって感じの前が短い印象の曲です。
 個人的にはちょっとヘビー過ぎるって感じがします。

 「New Sensation」は徐々に歌い上げていく感じのメロディーで、畳み掛けるような感じのサビの曲。やはり奥井雅美風の歌い方。
 全体的にじっくりと聴き込みたいような感じなんだけど、サビがちょっと拙速なのが曲全体にアンマッチ感を引き起こしてしまってます。
 そういえば学生服のCMソングだとかいう話だったんですが、どんなCMなのか見た記憶はありませんねぇ。(ま、アニメをやってる時間のCMしか触れる機会はありませんから)

 「still in the groove」はかなり激しくハイスピードな曲。曲のスピードに対して歌詞に呂律が回ってない感じがします。そのため、ボーカルはスピードに追いつくのがやっとって感じでパワーが足りません。
 曲としてのノリは良いんだけど、水樹奈々には似合ってませんね。どっちかというと奥井雅美なら歌いこなせそうな感じがします。イロメロミックスのCMってありますが、この頃はまだアニメロが独立してなかったのかな?

 「パノラマ-Panorama-」はややゆったりとしたテンポに、淡々と紡いでいくメロディーの曲。サビでちょっと起伏が現れるかなって感じの、全体的にフラットなイメージです。
 ボーカルは突き抜けるような感じだけど、あまり活き活きとした感じがありません。ちょっと華やかさが足りないって気がします。

 「innocent starter」は力を抜いて優しく語りかける感じの歌いだしの曲。やや哀愁や切なさを感じさせます。徐々に力強く盛り上がっていき、サビの歌い上げる感じがよく出ています。
 いわずと知れた『魔法少女リリカルなのは』のOP曲ですが、とてもいろんなものが歌いこまれてるって感じで、雰囲気もよく、水樹奈々の一番の名曲と言って過言では無いでしょう。

 「WILD EYES」は最初から激しくパワーのあるボーカルの曲。そのままサビまで一直線ですね。『バジリスク 甲賀忍法帖』の1クール目のED曲ですが、アニメソングというより、なぜかアニメロ系の曲って印象の方が強い感じがします。
 激しいだけでやや単調な物足りない感じで、曲としては退屈かな。テレビアニメのEDで1コーラス聴くだけなら良いんだけど、フルコーラス聴くのは疲れます。

 「ETERNAL BLAZE」はバラード風のゆっくりとした始まりから一転してスピードアップするイントロの曲。最初からハイペースで力強いボーカル。途中、少しペースを落とした感じから、サビは力強く、最後は張り叫ぶぐらいの感じにまでヒートアップします。
 これは『魔法少女リリカルなのはA's』のOP曲ですが、とにかく緊張感のあるハイテンションな曲で、『なのは激闘編』って感じの曲ですね。やや運命っぽい悲しく切ない感じから、それを力強く振り払って希望に向かって反撃していくって感じの、励まされる印象です。

 「SUPER GENERATION」は軽快でポップな曲だけど、ボーカルはパワフル。サビもスピーディーで突き抜ける感じ。
 ノリの良いダンス系の曲で、素直にカッコイイんだけど、こういう曲は珍しいなと思ったら、水樹奈々本人の作曲ですか。それもあってか、非常に活き活きしたボーカルが特徴ですね。

 「Justice to Believe (MUSEUM STYLE)」はゴシック風というか何というか、運命的な雰囲気を感じさせる作りの曲。ボーカルは切実かつ力強く歌い上げる感じ。雷鳴轟くようなSE、コーラス、それにピアノのリズムが曲の雰囲気を盛り上げています。間奏が異様に長いけど、曲を上手く盛り上げています。
 水樹奈々の曲というとどっちかというとパワフルなボーカルがメインで、バックは適当にハードロックやヘビメタ系でまとめてるって印象が強いんだけど、こういう凝ったバックの曲もなかなか良いですね。

 「Crystal Letter」は力強いイントロに続く、切ないというか痛々しいという感じで早口に歌い上げる始まり方の曲。マイナー系だけど、テンポが異様に速いイメージです。サビになってメジャーに転じ、力強く盛り上がります。切なさの残るしっとりとしたサビの終わり方が印象的です。リフレインの始まりの裏声の部分がちょっと不自然かな。
 切実な思いを込めた訴えかけるような歌というイメージの曲です。

 「TRANSMIGRATION 2007」はいきなりサビのフレーズから始まる出だしの曲。ボーカルはハードだけど、典型的な奥井雅美風の歌い方……って、この曲は作詞が奥井雅美ですか。以前にラジオ番組か何かの企画で作った曲をレコーディングしなおしたものみたいですね。
 サビの直前まではテンポが速いけど、どっちかというとハードなバラードって感じで歌い上げる曲というイメージです。

     ☆ ☆ ☆

 やたら奥井雅美に良く似た歌い方の曲が多いのですが、これは奥井雅美が仮歌を歌ってるとかいう影響からでしょうか? 奥井雅美はキング在籍中は自作曲以外にもけっこう多くの声優関係の曲の仮歌を歌ってたみたいですし、林原めぐみも一時期、奥井雅美の仮歌の曲が多くて歌い方がやたら似ていた時期がありましたからね。それとも以前に奥井雅美を担当していて、現在は水樹奈々を担当してる矢吹俊郎の指導なのかなぁ。
 キングと言えば米倉千尋もどことなく似たような歌い方だし、こういうのにも流行り廃りってのもあるんでしょうけど、ちょっと聞いただけで真っ先に他の歌手の名前が出てくるようなのはどうかという気がしますが……

 あと、アニメロ関係の曲ってイメージがけっこう多くの曲に付いているんですね。実際にタイアップが明確に謳われてるのは「still in the groove」だけのようですが、どうもそれだけって気がしません。アニメロサマーライブ等のCMで既製曲が使われたりしてることもあったり、シングルやアルバムのCMがしばしばアニメロのCMと続けて流れてるからごっちゃになったりしてるのかもしれませんが、アニメロ自体も水樹奈々とか奥井雅美が好きみたいですからねぇ。
 サビがメインのようなどっちかというと着メロ・着うた向きの曲が多いのもそんな感じを感じさせてるのかも知れませんが、しっかりとした歌唱力のある人なんだから、もっとじっくり歌い上げるような曲を増やしてもらった方が良いような気がします。
 そういう点でもバランスが取れて水樹奈々の歌が堪能できる点で「innocent starter」が一番名曲だと思います。サビの一発イメージでわかりやすい曲とか、激しい曲も良いんだけど、そんな曲ばかりだと聴いてて疲れますからね。実際、このベスト盤、曲を選んでだりザッピングして聴く分には構わないけど、通して聴くとけっこう疲れます。(シングルのC/Wとか、アルバムにはそうで無い曲もたくさんあるとは思いますが)


THE MUSEUM(DVD付)
THE MUSEUM(DVD付)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.12.20

美郷あき Sincerely

 美郷あきの名前を初めて目にしたのは『舞-HiME』のエンディング。栗林みな実のアップテンポで軽快なオープニングに比べると、ずっしりとしっかりしたバラードを歌う人を持ってきたなという印象でした。で、その印象から名前は知らないけどスタジオミュージシャンとかそっちの方で経験の豊富な人なのかと思ってたんだけど、どうやらこの曲がデビュー曲だったことを知ったのは最近イベントで本人が語ってるのを聞いたからです。

 これまでのアニメソングを聴いてきたイメージでのこの人の歌の特徴というのは、とにかく雰囲気が重いということです。いや、声が重いとかそういう意味ではなくて、歌詞の行間にある目に見えないけど何か大切なものを、そのまま大きな袋に詰め込んで引き摺り回してるって感じなんですね。他の歌手が歌ったならもっと軽快に歌ってるような曲でも、この人に掛かればずしりと響いてくるって感じです。
 恐らく感受性の物凄く優れた人で、それを歌にちゃんと盛り込んで歌える人なんですね。

 今回はそんな美郷あきのファースト・ベストアルバム『Sincerely』を聴いてみましょう。
 では、収録曲の一覧です。

 01. 明日をとめないで
 02. 夢にみた楽園
 03. Silent wing
 04. 少女迷路でつかまえて(berry's maturing ver.)
 05. モンタージュ
 06. 君が空だった
 07. UNLIMITED FIRE
 08. Goal to NEW WORLD
 09. before
 10. true love?
 11. ふたりが忘れない
 12. 君が空だった(accoustic ver.)

 「明日をとめないで」はアニメ『よみがえる空』のOP曲。何かをやり遂げるという力強い意思、目標に対する希望、揺るがない決意……そんなものをしっかりと歌い上げてる曲で、ストレートにポジティブな感じの曲です。
 バックはストリングスを中心に音が厚めで、ドラムもかなり強めの演奏であり、歌詞の持つ力強さを一層引き立ててる感じ。イベントで本人が2006年のオープニングソングだというようなことを語ってたのですが、時期的なものは別にしても、何かを始める時に気合入れに聴くのに良い感じの曲ですね。

 「夢にみた楽園」はPS2版の『ガンパレード・オーケストラ 白の章』のOP曲。白の章ってことは青森の部隊の話ですか。
 他の美郷あきのアニソン系の曲に比べたら少し軽めの感じですね。サビの部分で曲調が変わって、アニメ版の『ガンパレード・オーケストラ』に近い雰囲気を感じさせてくれる曲ですが、放映当時のCMでけっこう聴き慣れてたからそういう感じがするのかな? でも、アニメ版のOP映像にこの曲被せてもあまりイメージが変わらないような気がしますね。
 個々のフレーズは前向きなんだけど、全体的に未来に対する希望が見えない痛々しい決意。それを無理に強がって笑顔を見せてるって感じの曲なんですが、それが幻獣との絶望的な戦いの最中ってイメージを上手く描いてるように思います。

 「Silent wing」はPS2版『舞-HiME 運命の系統樹』のED曲。
 どちらかというと困難に挫折して諦め、すがってきたものを突き放したって感じの冷めたイメージの曲。それでいて、まだこだわりを引き摺り続けてるって痛々しい心情の歌なんだけど、どこか歌い方が軽めに感じるんですね。この人の場合、ふだんの曲からして割と重い印象を受けるから、こういう本来なら重さの目立つ曲も相対的に軽く感じてしまうとか、そんなところなのかなぁ。歌詞の割には淡々と聴こえる曲ですね。
 このPS2版、OP曲はALI PROJECTでアニメ版とがらりとイメージが違っててまったく別の作品って印象なんですが、EDの方は同じ美郷あきを使って何とか世界観をつなげてるってところですか。でも、微妙に狙いどころが違うのは曲を聴いただけでも明らかですが……

 「少女迷路でつかまえて(berry's maturing ver.)」はアニメ『ストロベリー・パニック』のOPテーマのアレンジ曲。ややスローテンポのダンスリズムの曲に仕上げられています。
 原曲は割とテンポ良くて軽めの曲なんだけど、歌詞とか作品イメージに含むところがありすぎるからか、美郷あきのボーカルも何かいろいろと引き摺ってるってイメージが感じられたのだけど、こちらは同じ曲でもこうも違ってくるのかというくらい軽いイメージに聴こえます。
 そうは言ってもサビの部分の歌い方は原曲のイメージをそのままの歌い方に感じられるんですが、もっとも、原曲に付加されてるアニメ作品の内容からくる後ろめたさみたいなものが払拭されてるぶん、純粋に曲だけのイメージですっきり聴けるってところでしょうか。

 「モンタージュ」はPCゲーム『最終試験くじら』のイメージソングということですが、あまりよく知りません。PCゲームといえばエロゲですが、最近はエロゲ原作のアニメ作品も普通になってきたこともあってか、ランティスは将来のメディアミックス展開を睨んでこのジャンルにも積極的に手を出してるみたいですね。
 曲はピアノのイントロで始まるスローテンポな、美郷あきらしく歌い上げてるバラード曲。モンタージュというのは記憶をたどって再現した顔って感じだけど、はっきりとした顔の記憶が無くて、どこかあやふやなそんな物に頼ってるってあたり、相手のことをずっと想ってるってようなことを言ってるけど、本当はいい加減って感じがするなぁ。
 リフレインの出だしのアカペラ部分の歌い方が美郷あきらしさが十分に引き出されてるって感じで、なかなか良いですね。

 「君が空だった」はアニメ『舞-HiME』のED曲。これが美郷あきの基本だっていう感じのバラード系の曲ですね。
 歌詞はそんなに重くもない普通の曲なんだけど、この人が歌うとどうも情感を込めすぎて重く感じられてしまうんですね。ま、基本的に歌い方が濃い人なんだろうけど、曲によってはほとほどにさっぱりと歌った方が曲本来の爽快感とか活かせるように思うんだけど、どうなんでしょうか。

 「UNLIMITED FIRE」はPS2版『サイバーフォーミュラ ROAD TO THE INFINITY 2』のOP曲。
 作品が作品だけにテンポの良いテクノトランス風の軽いノリの曲ですね。それだけに他の美郷あきの曲とはイメージが違うって感じですが。それでもサビで曲調が変わってるところあたりで美郷あきらしさが発揮されてるようです。
 歌詞がイメージ主体というか、どうも支離滅裂で何を言いたいのか全然わからないってのが難点ですね。さすがにこれじゃ、美郷あきも情感を込めるところが見付からないって気もしますし……

 「Goal to NEW WORLD」「Silent wing」のC/W曲。ただただアップテンポでノリの良い曲ですが、特に何かのタイアップ曲というわけではないようです。
 軽く、何かすべてのことが吹っ切れたように、ひたすら突き進んで行ってるってイメージの曲ですね。美郷あきにもこんな曲が歌えるのかって感じの驚きの曲です。内容はひたすらポジティブに希望を歌い上げてるって感じですが、何も引き摺るものが無いとこんなにストレートに歌えるのかってところです。ま、とにかく必聴の1曲かな。

 「before」「少女迷路でつかまえて」のC/W曲。バックはギターがメインの、ややゆっくりめの曲。やはりアニメとかのタイアップで作品内容に引き摺られたりするものが無いと素直に軽く歌ってるって感じですね。
 歌詞がどこか少女っぽい能天気な曲だと思ったら、作詞はmeg-rock(日向めぐみ)ですか。けっこうリズミカルで素直に楽しむには良い曲なんだけど、どこか美郷あきには似合ってないって感じで物足りない気がしますね。

 「true love?」「くちびる白昼夢」のC/W曲。これもバックがギターメインのスローテンポでアコースティックな曲。歌い上げるという曲ではなく、ちょっとおしゃれな感じにまとめてるって感じだけど、美郷あきのボーカルとしては少し弱々しい感じがするかな。
 雰囲気的に夢を見てるようなふやふやとした軽さがあるって印象。本人がダンスをやってるみたいなので、どこかステップを踏みたくなるような曲に対しての相性は強いようです。

 「ふたりが忘れない」はアニメ『ガンパレード・オーケストラ』のED曲。スローテンポでバラード気味です。
 何かもう失われてしまって取り戻せない大切なものを振り返ってる感じの曲で、後悔とか悲しみというものを微妙に引き摺ってて、そこが美郷あきらしさを引っ張り出してるって感じですね。
 ある意味、「君が空だった」と共に美郷あきという歌手のイメージを作り上げたような曲であり、その視点から見ればけっこう味のある曲と言えるかも知れません。

 「君が空だった(accoustic ver.)」は影山ヒロノブのアレンジとギターによるアコースティックバージョン。ま、原曲のメロディーが変えられたりしてるわけじゃないんですが、いかにも影山ヒロノブっぽいイメージに仕上がってますね。キッズステーションで放送してる『アニぱら音楽館』で美郷あきがゲストの回にこの曲が影山ヒロノブとのセッションで歌われたのですが、この時の影山ヒロノブによるサビの部分の歌い方がそのまんま出てるって感じで、原曲とはずいぶん印象が違います。
 全般的にボーカルは美郷あきにしてはおとなしめ。ま、これも「少女迷路でつかまえて(berry's maturing ver.)」同様、新たにアレンジしなおされることでタイアップ作品のイメージに引き摺られることがなくなったぶん、イメージが軽くなったって感じですか。

     ☆ ☆ ☆

 アレンジバージョンの2曲以外はすべてタイアップ曲やシングル盤からの再収録という、文字通りのベストアルバムですが、アニメやゲームとのタイアップ曲が大半とはいえ、個々の作品のイメージよりは本人のボーカルのイメージの方が先に立つ曲ばかりなので、単一のアルバムとしてもバランスは悪くはありません。
 ただ、C/W曲まで入ってるくらいなら「くちびる白昼夢」が入っていないというのは中途半端な気がします。そりゃ一般的なアーチストなら現行シングルの曲がベスト盤に入らないというのがセオリーなんですが、作品の放送時期に合わせた売り上げがメインのアニソン系シンガーなら、もう放送が終わって2ヶ月になる作品の曲を出し惜しみしたって意味無いんじゃないかと思います。
(ま、DVDはまだリリース中だから、TVで未放映の地方とかDVDで初めて見るという人にとっては現行の作品ってことかも知れませんが)

(発売元:ランティス LHCA-5060 2006.11.22)

Sincerely
Sincerely

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.09.23

momo-i quality~ベスト・オブ・モモーイ~ 桃井はるこ

 桃井はるこ(モモーイ)の歌といえば小麦ちゃんやUNDER17のイメージが強くて、いざ本人名義の歌というと「うたまるえかき歌」ぐらいしか思い付かなかったりしますが、UNDER17の解散からすでに1年半が過ぎ、そろそろ本人のシンガーとしてのアピールがないと、どんどんマイナーな存在に成り下がってしまいそうな、そんなタイミングで出てきたのが今回の『momo-i quality』です。
 「ベスト・オブ・モモーイ」と題打ってるようにベスト盤というスタイルですが、収録されてるのはCDショップで売ってるようなメジャーな歌じゃなくて、《Dream Party》の会場でしか売ってなかったり、《とらのあな》でしか売ってなかったりするような、いわゆるインディーズで出した曲の数々です。
 こういうのを見ると、モモーイってまだまだマイナーの世界を彷徨ってる人なんだなぁという気がしますし、だからこそこういう路線での活動が続けられてるんだとか感心したりもしますが、その辺の受け取り方は様々でしょう。

 収録曲は以下の通り。

 01. Opening -dreaming more! more!-(instrumental)
 02. LOVE.EXE -momo-i quality version-
 03. mebius ring
 04. Adolescence -rainy Taipei version-
 05. Hide and seek
 06. 恋のレシピ
 07. フィギュアになりたい -re painted version-
 08. ゴー☆ホーム!-Master MIX version-
 09. 贖罪のラプソディー~Sin & Pain~
 10. Far and away ~party night~ -new mix-
 11. アキハバラブ -summery summer version-
 12. Friendship
 13. もっと、夢、見よう!! -Now I feel…version-

 それではいつものように1曲ずつ見ていきましょう。オリジナルの出典なんかはわからないので、あくまでこのアルバム内での印象です。

 「Opening」はゆっくりと幻想的な雰囲気から始まっていくインスト曲。ライブコンサートの最初、アーチストの登場の前に流れるオープニングのイメージですね。ラスト、スモークが噴き出していよいよアーチスト登場という最高の盛り上がりで、そのまま次の曲に繋がっていきます。

 「LOVE.EXE」はパワー全開のヘビメタ系サウンド。このトラックから頭出しで聴くといきなり最大音量から始まってしまいますから、ヘッドホンやスピーカーの音量調整をしないまま聴いてしまう人は要注意ですね。
 曲自体はもう果てしなく激しい曲って感じなんだけど、歌ってるのがモモーイだから舌足らずなボーカルが、どっちかというと小麦ちゃんがシャウトしてるような感じの曲になってしまってます。時も空間も越えた激しい恋を歌ってるって感じで、それはそれでロック魂を刺激されそうな曲なんですが……やっぱし、本職のハードロッカーのボーカルにでも歌ってもらうとぜんぜん雰囲気が違ってくる気がしますね。
 バックに入る「エクゼ」ってコーラスがお茶目な感じを引き立ててます。

 「mebius ring」は、これも割りとハードロック系の激しい曲。ま、最近はこれくらいのビートのガールズポップ系の曲も珍しくはないんですが、どっちかというとCDで聴くよりライブ向きって感じかな。
 歌詞は完全に脳内妄想の恋って感じですが、頻繁に「禁断の恋」なんてフレーズが出てくるからいったい何の歌かと思ってしまいますが、別にそのことについて詳しく触れてるような歌じゃないんですね。そんなキーワードだけで反応できる層に向けた電波系ソングの一種って感じかな。ま、エロゲの主題歌って匂いがぷんぷんしてきますが……
 中盤、「メ、メ、メ、メ」とスタッカートで盛り上がってくるところから一層電波的に充実してくる感じです。ま、何も疑わずに聴けば、それなりに心地良い曲です。

 「Adolescence」は前の2曲に比べると、ややテンポを落とした感じの曲。思春期の甘く切ない関係から一線を越えてしまったって感じの、ちょっとアブナゲな雰囲気のある歌ってイメージですね。
 中間部分の伴奏が弱まった部分のボーカルが、触れれば壊れてしまいそうな淡く儚げな雰囲気を醸し出していて、もう絶品です。

 「Hide and seek」はかくれんぼの歌。いや、別にかくれんぼしてる歌じゃないんですけどね。アップテンポでライトポップな、それでいて脳味噌が融けてしまいそうなぶっ飛んだ歌詞の典型的な萌えソングの作り。モモーイらしいといえばモモーイらしい曲です。
 かくれんぼにかこつけて告白の返事をじらしてるって感じの歌詞ですが、なんか裏にもっと卑猥な意味がありそうなのは気のせいでしょうか。
 何と言っても「もういいかい」「まあだだよ」のコーラスが絶品としか言いようがありませんね。

 「恋のレシピ」はライトでおしゃれな感じの曲。ま、セクシーな感じのバックコーラスの存在が前曲みたいな萌えソングとかとは完全に一線を画してるって感じですが、いわば「普通の曲」なんだけどモモーイにしては珍しいってあたりがなんだかなぁ。
 甘く軽い感じの恋の歌って感じで、ささやくように甘える感じの歌い方は他のモモーイの歌とは全然違ってますね。それでもモモーイの曲ってことで一緒くたに扱われそうだけど……
 曲の作りとしては途中で三連符を繰り返してるあたりが印象的です。

 「フィギュアになりたい」はピアノ伴奏によるバラード系の曲。なんかオタクの彼に気持ちを気付いてもらえないから、自分がフィギュアになってずっとそばにいたいって感じの切ない歌詞ですが……一般人には理解不能な電波系の歌に分類されるんでしょうねぇ。
 曲としては悪くはないんだけど、モモーイのボーカルに張りが無いというか……声が十分に出せてないって感じですね。それがかえって切ない感じを引き出してるみたいですけど。こういう曲はか細く弱々しい声で歌えば良いってわけじゃなくって、やっぱりそれなりに伸びのあるボーカルが無いと曲の魅力を十分に引き出せないんだけど、モモーイの声はその辺が苦手なようで残念です。
 ま、モモーイに限ったことじゃなく、最近の声優さんのアルバムとかじゃ普通のことですけどね。

 「ゴー☆ホーム!」はアップテンポのドタバタ・コメディ系の曲。典型的なキャラクターソングの作りって感じですけど、なんかバックコーラスの入れ方がメチャクチャですね。
 モモーイらしさが爆発してるといえばそんな感じですが、前曲とのギャップは無限大。続けて聴くとインパクトありすぎです。
 とにかく騒がしいくらい賑やかな曲です。

 「贖罪のラプソディー」はコーラスとオルガンによる教会風というかゴシック風の雰囲気に包まれたイントロで始まる曲。でも、そういう厳かな雰囲気の曲じゃなくて、たちまちギンギンのハードロックに一変。まぁ、プログレって感じですね。曲もボーカルもかなり激しい感じで、なんか一頃のロボットアニメの主題歌って感じがあります。『プリズム・アーク』とかいうゲームのテーマ曲みたいですが、どんなゲームかは知りませんが……
 神に逆らうほどの激しい恋だとか、放浪する戦士の宿命だとか、そんなシリアスでドラマチックな雰囲気にあふれた、その手の曲が好きな人にはたまらないようなアクション系の歌です。

 「Far and away」はちょっとおとなしめのイメージのビートを抑えたユーロっぽい曲。歌詞は切なく相手を思い続けるって感じで、なんかロボットアニメのEDにありがちな雰囲気の曲で、アニオタには心和む感じの曲です。
 これも前曲と同じ『プリズム・アーク』の曲みたいですが、キャラクターのイメージソングであって、別にED曲とかいうわけではないみたいですが……
 やはり気になるのはボーカルが弱々しいところ。やっぱりモモーイは元気系の曲じゃないと似合わないのかな。

 「アキハバラブ」はもうギンギンのクラブ系テクノトランスって感じ。どっちかというとイベントで盛り上がるための曲で、CDで聴いたりしてたらダメですね。
 歌詞の中身はアキバ系の恋の歌って感じですが、ひと夏の恋が有明じゃなくてなんで秋葉なのかよくわからないって感じ。秋葉でのイベント目的あたりで作った曲なんでしょうか?
 ま、恋の場所が秋葉じゃなければ普通の歌って感じですが、やっぱり電波ですねぇ。

 「Friendship」はゲームを介した男女の友情関係って感じで、やはり電波な感じの割とハードなロック。
 曲の作りとしてはハスキーボイスで声を張り上げたいところだけど、歌ってるのがモモーイだからそんなの無理って感じで適当に妥協してるあたりがヘタレな曲かな。
 歌詞は意外と真面目で、くじけた友人を励ましてるって内容なんだけど……状況説明だけに終わってしまって、歌として訴えてるところが不明確なのが致命的。ま、最近のオタクは中身が無くてもキーワードだけで条件反射的に感動できる(感動してると思ってる)みたいなので、こういう曲でも胸にジーンと来るんでしょうけど……

 「もっと、夢、見よう!!」は、よく声優さんのアルバムに最低1曲ぐらい入っていて、イベントやライブで繰り返し歌われるレパートリーにされる感じの曲。そう書けばなんか安直で俗っぽい感じがしますが、それなりにノリが良くてカッコイイ感じの曲です。
 曲としては2コーラス目のサビの手前でメロディーが変わってる部分が割と印象的なポイントかな。でも、その直後の間奏で入るセリフがちょっと臭くてどうかって感じがするのも確かですが。
 雰囲気としてはアニメの感動の最終回に特別に流れてくるEDって感じで、余韻を引き摺るには良い感じの曲です。もっとも、いきなり「LOVE.EXE」で始まるこのベストアルバムでは相対的に地味に感じるので、あまり効果的に収録されているようには思えません。ラストは「アキハバラブ」みたいなのを持ってくるか、逆に「フィギュアになりたい」あたりでしんみり終わった方がバランス良かったかも。

   ☆ ☆ ☆

 ベスト盤だから当然ですが、モモーイの魅力にあふれた実に楽しいアルバムです。もっとも、出典がインディーズ曲ばかりだからあまり知名度のある曲と言えないのがほとんどで、UNDER17時代のアルバムに比べてもマイナーっぽいのは致し方ありませんが。
 モモーイの曲はモモーイが歌ってこそ味があるというのも確かですが、曲によってはモモーイの声が追いついていないってのもいくつかあって、なんか非常に勿体無い気がするのも確かです。小麦ちゃんみたいなバーチャルな人じゃなくて、現実の歌手をモモーイがプロデュースして作ったアルバムなんか出来たら、聴いてみたいですね。
 声優としてのモモーイなら、『D.C.~ダ・カーポ~』のうたまる役のあの何ともいえない長閑な役が非常に好きなんですが、ああいうイメージを音楽で作ってみたら物凄く良い味を出してくれそうな気もします。

(発売元:avex AVCA-22786 2006.08.09)

momo-i quality~ベスト・オブ・モモーイ~
momo-i quality~ベスト・オブ・モモーイ~

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.15

石田燿子|all of me

 石田燿子と言えば『セーラームーンR』のED「乙女のポリシー」で一躍注目を浴びたけど、コロムビア時代には他にメジャーなヒット曲が出て来ず、半ば忘れ去られた歌手になってた感じだったのがパイオニアLDC(現ジェネオン)に移ってからは打って変わって積極的にアニソン歌手として台頭してきた存在です。
 コロムビア時代の傾向としてはやはり「乙女のポリシー」に代表される歌のお姉さん的な感じの歌手だったのですが、移籍後の最初のアニソンである『新白雪伝説プリーティア』のOP「White Destiny」で一気に世界を広げたという印象を受けました。

 移籍後の初期の歌はすでに1枚目のアルバムに収録されていますが、今回は2枚目のアルバムです。

 01. OPEN YOUR MIND~小さな羽根ひろげて~
 02. 情熱の女神
 03. 君らしいスピードで
 04. たからもの
 05. Love Repair
 06. Platinum
 07. power of love
 08. 真実の扉
 09. sharing sweet time
 10. FOOLISH DREAM
 11. 夏色のカケラ
 12. Walking through the empty age

 「OPEN YOUR MIND~小さな羽根ひろげて~」はTVアニメ『ああっ女神さまっ』のOP曲で、透明感のあるピュアな感じの曲。光に包まれたような穏やかで優しい歌声が広がりを持って聴こえます。
 イントロ等に使われてるヨーロッパの民族音楽風の笛のフレーズが印象的ですが、『ああっ女神さまっ』といえばOVA時代のGFCの歌が密接に結び付いていたイメージを一新した曲ですね。
 「White Destiny」で新境地を築き、「たからもの」でバラード系をものにした石田燿子が更なる次の段階に踏み出したような曲に感じられます。

 「君らしいスピードで」はアップテンポで激しい曲調のバックですが、ボーカルは相反してやわらかくおとなしめです。どこか低音が出しきれずに抑えてるって感じがしますが。サビは突き抜ける感じだけどボーカルは甘め。どちらかというと90年代のイケイケ風のアニメソングに近いかな。その辺がかえって心地よく感じられる曲です。

 「たからもの」は『藍より青し~縁~』のOP曲。石田燿子としては初めての本格的なバラード曲かな。こういう声を張り上げて歌う曲になると、ボーカルがハスキーっぽくなってきますが、まだまだそれが声量の限界じゃないってところをサビに掛かる辺りで思いっきり聞かせてくれるのが魅力的です。
 どこか甘酸っぱくノスタルジックな感じのする青春の1ページを振り返ってるという感じの曲ですね。

 「power of love」はとにかく力強くアップテンポの曲。元気の回復ソングというか、落ち込んでる時に景気付けに聴きたいという感じの曲です。作曲が奥井雅美なのですが、どうもサンプルを意識しすぎてか歌い方が奥井雅美っぽいのが気になるところ。コーラスに奥井雅美本人が入ってるのも、そう聞こえることに拍車をかけてるんでしょうが……
 ただ、ずっと鳴り続けてるドラムのリズムが単調で緩急の付いてないあたりがリピートしたりするとちょっと聞くのに疲れて来そうです。

 「真実の扉」は『ガンパレード・マーチ~新たなる行軍歌~』のOP曲。とにかく思いっきり突き抜ける感じのカッコイイ曲で、石田燿子の甘い声のボーカルがアニメソングとしての魅力をさらに引き立ててるという感じです。サビの部分に少しパワーが足りないという感じもしますが、無限リピートで流し続けたくなる名曲ですね。
 このアルバムに入ってるということ自体、そんなに古い曲じゃないのですが、最近はTVアニメのローテーションが早いので何かずいぶんと昔の作品のように思えて懐かしく感じられます。(続編らしき作品があんなのだから余計に……)

 「夏色のカケラ」は『この醜くも美しい世界』のED曲。駆け出したくなるようなイントロに、突き抜けるようなアップテンポ、サビの部分のスタッカートといった辺りが印象的な曲です。作りとしてどことなく「乙女のポリシー」をリメイクしてみましたって感じで、石田燿子らしさをイメージした曲なのかなぁ。

 アルバムオリジナル曲よりも既成のアニメソングがメインになってしまいましたが、他にはサビがマイナーに転じてるところをうまく歌ってる「情熱の女神」とか、一音がすごく長いスローバラードの「FOOLISH DREAM」とか、アコースティックな英語の曲「Walking through the empty age」なども印象的です。

 作りとしてはシングル曲の収録に重点を置いた感じでタイアップ曲が多く、オリジナルアルバムというよりもベスト盤に近い印象がありますが、前回のアルバムと似た作りと言えばそういう感じです。
 多くの人気声優がオリジナル曲を主体にしたアルバムを出してるのだから、歌がメインの人なら当然……って気もしますが、その辺はどうなのでしょうね。ま、当人はアニメソングを中心にやってきた人なのであまりこだわりは無いかも知れませんが。
 名実ともにいまやジェネオンの中心的なアニメシンガーである彼女には、これからも魅力あるアニメソングを歌い続けて行ってほしいと思います。

(発売元:ジェネオン GNCA-1043 2005/03/09)

all of me(初回)(DVD付)
all of me(初回)(DVD付)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.04.17

川田まみ SEED

 KOTOKOと並ぶI'veの歌姫、川田まみのメジャーデビューアルバムです。
 I'veというと、その独特のドンシャリ系サウンドで一躍ゲーム音楽の世界を席巻し、アニメにまで進出してきた音楽集団ですが、KOTOKOにしろ、この川田まみにしろ、I'veの曲を歌ってる人というイメージが先行し、個々のシンガーのボーカルとしての印象があまり無かったりするのが正直なところです。
 印象が無いと言っても、それはI'veのサウンドと切って離せないということであり、そのボーカルあってこそのI'veサウンドのボーカル曲であることは確かで、ドンシャリと並ぶI'veの特徴そのものを現してると言って過言ではないでしょう。

 曲目は以下の通り。

 1.roots
 2.緋色の空
 3.radiance
 4.seed
 5.precious
 6.悲しみの森
 7.昼下がりの午後
 8.Not Fill
 9.undelete
 10.you give…
 11.another planet~twilight~

 1曲目はプロローグ的なスキャットとインストゥルメンタルの曲。スキャットは本人によるものと思いますが、I'veっぽい始まりです。
 2曲目の「緋色の空」は『灼眼のシャナ』、3曲目の「radiance」は『スターシップ・オペレーターズ』のOP曲で、派手派手で馴染みの深い曲が初っ端に固められていてどうかって感じがしますが、最初に代表曲を聴かせることで川田まみの世界というものをリスナーに提示しようということでしょうか。

 この後からアルバムのオリジナル曲が入ってきます。しかし、初っ端の2曲がそうであるようにバリバリのI'veサウンドが幅を利かせていて、川田まみというよりもI'veのアルバムってイメージが強いのは、シンガーメインのアルバムとしては賛否の別れどころかもしれません。

 ま、I'veの曲だからってバリバリのアップテンポな曲ばかりと言うわけではありませんが、そんな中で「悲しみの森」のようなちょっとスローだけど力強く歩んでいくような感じの曲、「undelete」のようなちょっと切ない感じのする曲、「you give…」のような温かく元気付けてくれる感じの曲なんかは好みですね。
 最後の「another planet~twilight~」。「緋色の空」のシングルのC/W曲の別アレンジですが、ここではしんみりとした感じにアレンジされてるのが効果的です。
 I'veのアップテンポな曲って、どうしてもボーカルは口先だけリズムを追っかけるような発声に聴こえがちなんですが、これだけゆったりとした曲になると本当のボーカルの声が聞こえてきて、シンガー自身の存在を再確認させられます。

 どうしてもI'veサウンドが目立ってしまうアルバムですが、そのI'veのサウンド自体も歌姫たちのボーカルによって色付けされたイメージであるのは確かなので、どっちだけ片方を切り取って語るべきものではないような気がします。
 今回は典型的なI'veサウンドを集めたようなアルバムの観がありますが、I'veだってこういう曲ばかり作ってるわけでもないし、次は違った味付けのアルバムで一層ボーカルの魅力を引き立てたアルバムが出てくることを期待したいです。

(発売元:ジェネオン GNCA-1080 2006.03.29)

SEED(初回限定盤)(DVD付)
SEED(初回限定盤)(DVD付)

| | コメント (0) | トラックバック (0)