2008.11.17

松来未祐|Memories ~Miyu Matsuki Best Songs~

 松来未祐という声優さんは、昔、みやむー目当てで『Missing Blue』とかいうゲームの握手会に行った時に、一緒に来てた人ってのが最初の記憶です。いつもながら眠そうで仏頂面に思えるような表情のみやむーの隣で、華奢でかわいい女の子がいたって印象でした。声優さんとして声を聞くより先に本人に会ったというのはこの人ぐらいかなぁ。
 その後、次第にアニメで声を聴く機会が増えてきましたが、やはり華奢でかわいい感じのキャラの声ってイメージが多いですね。(というか、最初の印象が頭に残ってるから、そうじゃないのは記憶から弾かれてるのかも知れません)
 あまり主役級をやってるって感じは無く、印象に残ってるキャラといえば『ダイバージェンス・イヴ』のコトコとか、『D.C.~ダ・カーポ~』の鷺澤頼子、鷺澤美咲、後は『ハヤテのごとく!』の伊澄ぐらいかな。

 そんな感じで、主役キャラを連発してるような売れっ子の声優さんと比べると少しマイナーな声優さんって印象があるので、キャラソンとかも限られてるように思えるのですが、意外にもベスト盤を出せるだけは揃ってるみたいです。(『D.C.~ダ・カーポ~』関連がゾロゾロって気がしないでもないですが)
 今回はその松来未祐のベストアルバム『Memories ~Miyu Matsuki Best Songs~』を取り上げてみます。とりあえずは収録曲の一覧を。


 01. ムスメゴコロ☆オトメゴコロ New Arrange Ver.
 02. ここだよ。 COCO version
 03. サニサニデイ♪
 04. おみくじ 第八千八百拾番
 05. アイ・ウィル!
 06. GOOD DAY
 07. 煌めきの彼方へ
 08. 心のそばに
 09. ほんとのきもち
 10. オレンジワルツ
 11. ちいさな翼
 12. 妄想クロッキー
 13. カメラ=万年筆
 14. ハンドメイドでNe!
 15. ハートにはきゅん!どきゅん!


 では、いつものように順番に聴いていきましょう。

 「ムスメゴコロ☆オトメゴコロ New Arrange Ver.」は『流星戦隊ムスメット』のED曲のソロバージョン。オリジナルは金田朋子とのユニットだったかな。
 弾むような感じの歌い出しで、全体的にはリズムに乗せて歌いっぱなしって感じの曲かな。掛け合いの部分とかはそれっぽくて、歌声もかわいい感じ。ただ、ソロバージョンだとコーラスのハモリとかも無いのでサビが少し寂しく感じます。
 間奏のギターのパフォーマンスなんかに比べるとボーカルは弱いんだけど、ミキシングとかでそれなりには補ってるようです。サビの末尾が体言止でシャウトな感じで終わってるんだけど、ボーカルのパワーからすると中途半端な感じですね。

 「ここだよ。 COCO version」は、コミックとらのあなのイメージソング。TVのCMで流れてるのは確かモモーイの歌だったような……と調べてみたら、オリジナルは今は無きUNDER17ですか。そういえば、貯まる一方で使い道の無いポイントカードで辛うじて交換したCDがどこかに転がってたかな。(UNDER17のアルバムにも入ってますね)
 途中に入る「萌え萌え萌え萌え……」とかいう露骨なフレーズが妙に頭の中に響きます。やたら「アアアアン」とかいう掛け合いが入るのも印象的です。ま、CMで流れてるサビと後奏部分だけやたら耳に馴染んでますが。
 割と軽めのノリの良い曲だけど、伴奏はちょっと単調で安っぽい感じがします。間奏部のディストーションギターのフレーズもパターン的に付けただけって感じですし。ボーカルとは関係の無い部分ですが。

 「サニサニデイ♪」はコレクションフィギュアで展開されてる『鉄道むすめ』から広島電鉄・鷹野みゆきのイメージソング。車掌さんらしいです。
 華奢な感じでかわいい歌声、忙しくはたき掛ける感じの、いわば掛けっこソング的な曲ですね。元気でかわいい妹キャラってイメージがしますが、松来未祐の持つ華奢なイメージを活かした曲かな。
 「えいっ」って掛け声がかわいくて良いです。

 「おみくじ 第八千八百拾番」は『ハヤテのごとく!』の鷺ノ宮伊澄のキャラソン。『ハヤテのごとく!』のキャラソンは全巻購入特典目当てで全部買っちゃいましたが、買っただけで聴いてないですね。アニメイトの購入特典でがっちりしたケースが付いてきたのに収まってどこかに転がってるはずですが。
 軽いテクノ系のポップに少し和風の旋律を絡めた不思議な雰囲気の曲です。80年代の矢野顕子辺りの作風に似た感じなのかな。ささやくようなコーラスを前面に出してきてるので、テクノっぽいくせしてアコースティックな感じが印象的です。
 おっとりした伊澄のキャラに松来未祐の声は絶妙にはまってる感じで、もう何も言うことはありません。

 「アイ・ウィル!」はTVアニメ『D.C.~ダ・カーポ~』から鷺澤頼子のキャラソン。頼子は猫耳キャラとしては長身なイメージがあるから声ももうちょっと大人びたイメージを予想してたのですが、実際には声だけ聴いたらチビ猫みたいな印象ですね。正体が正体で外見は借り物ですからそんなものかも知れません。
 なんか脆く、頼りなさげではかない感じの、朝倉家に来たばかりの頼子のイメージって印象ですね。家事のお仕事で一生懸命尽くしたいといういたいけな気持ちが全面的に押し出されていて、初々しさが瑞々しい歌です。
 音楽的にはゆっくりとした4拍子系の古典的なダンス曲のイメージで、バイオリンやアコーディオンによる優雅な伴奏が心地良い曲です。

 「GOOD DAY」は同じく『D.C.~ダ・カーポ~』から頼子のキャラソン。
 こちらは2拍子系の曲でおとなしめのボーカルだけど、強い思いが込められてるという感じがします。物語も進んできて朝倉家での生活に慣れた頼子が、はっきりと恋愛感情的なものを意識しているような感じの歌ですね。

 「煌めきの彼方へ」はPS2版『D.C.P.S.~ダ・カーポ プラス・シチュエーション~』から頼子のキャラソン。ゲームはベスト版が出た時に買ってみましたが、まだ積みゲー状態ですね。
 先のTVアニメ版のキャラソン2曲が現実的な日常をベースに歌ってるのと比べると、こちらのキャラソンはファンタジックで抽象的な歌という印象を受けます。サウンドもエレキ系がメインになって少し激しく力強い感じです。その分、頼子の気持ちは一層はっきりと表に出してるような歌になっています。

 「心のそばに」も『D.C.P.S.』から頼子のキャラソン。
 前曲に比べるとほんわりした感じの曲。アコースティックギターをバックに、少しフォーク系の香りがします。サビでバックが急に分厚くなってくる辺りはいかにも歌謡曲っぽい作りですが。
 この曲も歌詞はファンタジックで抽象的な恋の歌って感じかな。間奏部分はギターじゃなくてベースがメインになってるみたいなのが印象的です。

 「ほんとのきもち」も『D.C.~ダ・カーポ~』関連で頼子のキャラソン。これは確かヴォーカルセレクションとかのミニアルバムに入ってたカバー曲。オリジナルはyozuca*で、アニメ本編の挿入歌として使われています。さくらが魔法の桜の木を枯らしたために頼子が消える回かな。
 さっぱりとしたギターの伴奏でアコースティックな感じのする曲です。それでいてサビはボーカルをメインに力強く歌い上げられます。2コーラス目で一瞬だけどアカペラっぽく聴こえる部分が印象的。
 頼子のキャラクターイメージを総まとめにしたって感じで、ちょっと切ない感じのボーカルが特徴的ですね。

 「オレンジワルツ」はTVアニメ『D.C.S.S~ダ・カーポ セカンド・シーズン~』から鷺澤美咲のキャラソン。ま、猫耳じゃない頼子というか、こっちがオリジナルの存在ですけど。この作品の美咲の扱いは甚だ不親切で、かなり不満の残るところでした。ファンサービスとしてゲスト出演させてるだけだといえばそうかも知れませんが。
 ピアノの伴奏によるワルツ風の3拍子の曲。穏やかでファンタジックな感じの歌ですが、単調なメロディーにささやきを重ねてるってイメージですね。頼子より引っ込み思案の美咲らしいというか、物陰でこっそり想ってるだけの恋心って感じが良く出ています。

 「ちいさな翼」は松来未祐自身による作詞のオリジナル曲かな。
 エレギやドラムが激しいロック系のやや激しい曲。それに比べてボーカルは甘くかわいい感じで、それでいて一生懸命歌ってる感じがひしひしと伝わってきます。その辺りの精一杯さが初々しくて良いですね。
 歌詞の内容は、彼氏のことを信じる強さを手に入れた女の子って感じですか。


 「妄想クロッキー」は『ひだまりスケッチ』の吉野屋先生のキャラソンです。
 設定年齢に比べてやたらと乙女っぽい歌で、これもある意味、電波系のイメージですね。バックはスローだけどド派手。色で言い表すと、ショッキングピンク大爆発って感じの印象です。

 「カメラ=万年筆」は『HAND MAID マイ』とかいう作品のOP曲。よく知らないけど、『HAND MAID メイ』の関連作品でしょうか。
 ボーカルは小林沙苗、浅井清己、松来未祐の3人。各人のソロパートから始まって後半が3人のコーラスという形式ですが、松来未祐は先の2人がAメロを歌った後でテンポが変わってドラムが少し引っ込んだBメロ部分のソロを歌ってるため、ソロとしては一番印象に残ります。
 Bメロ後半からコーラスになりますが、サビの直前の「ハンドメイドが~~」って辺りがなぜか耳に残ってクセになる曲です。
 曲自体は間奏でディストーションギターが鳴り捲ってるハードロック系の典型的なアニメソングって感じですが、サビのラストの「万年筆」が体言止になってて、「筆」の部分が1音しかないので「まんねんひっ」になってしまってるのは作りとしてどうかって気がしますね。作詞の問題でしょうけど。

 「ハンドメイドでNe!」は同じく『HAND MAID マイ』のED曲。ボーカルも同じく小林沙苗、浅井清己、松来未祐の3人です。
 こちらは掛け合いとかのセリフ部分以外はソロ無しのコーラス曲です。曲はよくあるアニメのED曲というか、単調でゆるやかにステップするようなテンポで、その割りにバックはメタル系のハードな感じってタイプ。

 「ハートにはきゅん!どきゅん!」はドラマCD『16-sixteen-2nd』のパイとかいうキャラクターのデビュー曲だかなんだかそういう設定の歌らしいですが、よく知りません。
 何とも言えない弾けまくった物凄い曲ですね。ファンコールみたいなバックコーラスが入ってるのはライブステージでも想定してるのかな。やたらアイドル気取りの女の子がぶりっ子(死語)しまくってるて感じです。ま、松来未祐の歌声だから独特の雰囲気が出てるって感じがしますが。
 これ聴いてると吉野屋先生のイメージが浮かんで来るのは気のせいかな。

     ☆ ☆ ☆

 音楽的にどうこうというアルバムじゃなく、声優さんらしいキャラクターソングを集めただけのベストアルバムで、それ以上でも以下でもありません。ただ、それだけに歌い手がどれだけキャラクターを自分のものにしてるかってところが問われてくるジャンルでもありますが、最近は声優さんに演技させるというよりも声優さん自身の個性に合わせたキャスティングというのが多いからか、ここに集められた曲なんかはあまり意外性のある歌とかいう発見はありませんね。逆に言えば、松来未祐という声優さんのイメージ通りに安心して聴けるアルバムって感じですか。
 一発ネタのようなキャラソンも多い中で数を占めてるのが『D.C.~ダ・カーポ~』関連ですが、キャラクターに正面から向き合った真面目な作りの曲で揃っていて、それがこのアルバムの押さえになってる感じです。結果的にバラエティのあるアルバムに仕上がってるといえるでしょうか。

(発売元:ランティス LACA5815 2008.09.26)


MEMORIES~Miyu Matsuki Best Songs~
MEMORIES~Miyu Matsuki Best Songs~

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2008.02.29

アニメグ。|緒方恵美

 昨年発売された緒方恵美の声優生活15周年記念のアニソンカバーアルバムです。アニソンカバーもあまり馴染みのない人が歌ってるのはどうしても興味の対象とはなりませんが、逆にこれはという人が歌ってるとカバーに過ぎないとわかってても興味を覚えてしまいます。
 しかし、最近はアニソン歌手の人のカバーとかは偶に見掛けても、声優さんは歌う人はとことんアーチスト指向に走っちゃってアニソンカバーなんて見向きもしませんし、そうじゃない人は単独でアルバムなんか作れなかったりしますからあんまり出てきません。この前、何人かの声優さんを揃えてアニソンをカバーしたってアルバムを見掛けたのですが、数だけ放り込むためにサビのメドレーって感じでじっくり聴けるようなものでもなくてがっかりしました。

 緒方恵美というと『幽☆遊☆白書』の蔵馬役で名前を知ったのが最初でしたが、その後『美少女戦士セーラームーンS』でのセーラーウラヌスとか、一時は中性的な美少年役の声優さんという印象でした。それが裏切られたのが『魔法騎士レイアース』のエメロード姫役で、普通の美少女キャラも出来るんだなと見直しました。もっとも『レイアース』の第2部では従来の路線のイーグル役もやってるんですが……
 さすがに近年はアニメの主役とかで見掛けることもなくなってきたので、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のシンジの声で名前を思い出したくらいなのですが、それに合わせたかのようにこういうアルバムが出て来たことも何かの縁なのでしょうか。

 彼女の音楽活動の方はキャラクターソングの類を除けば、初期のアルバムを少し聴いたくらいなので期待というほどのものはありませんでしたが、15周年というキャリアがどれだけ反映されているのかというところに関心を抱いて選んだアルバムです。
 収録曲は以下の通り。

 01. THE GALAXY EXPRESS 999
 02. Get Wild
 03. アンバランスなkissをして
 04. ヤマトより愛をこめて
 05. 残酷な天使のテーゼ
 06. 想い出がいっぱい
 07. 今日もどこかでデビルマン
 08. ムーンライト伝説
 09. ゆずれない願い
 10. 美夕八千夜
 11. 青のレクイエム
 12. Agape
 13. オカエリ!

 最後の曲が新録のオリジナルみたいですが、あとは昔聴き育ってきたとか、本人の出演作などで思い入れのある曲らしいです。
 それでは1曲ずつ聴いていきましょう。

 「THE GALAXY EXPRESS 999」はアニメ史上に残る青春映画の1つ『劇場版 銀河鉄道999』のテーマソングで、オリジナルはゴダイゴが歌っています。近年、ゴダイゴのボーカルだったタケカワユキヒデによるセルフカバーが出てますね。
 ゴダイゴのライブとか、タケカワユキヒデ版だと1コーラス目が日本語で2コーラス目が英語の歌詞で歌われたりしてますが、これはオリジナルと同じく両方とも日本語のバージョンです。
 かなりオリジナルを意識した歌い方のようです。昔から歌いなれてるってこともあるんだろうけど、無理はない感じで、声も自然に伸びてるような印象ですね。この曲なんか顕著なんだけど、本人が歌ってて楽しいんだろうなという感じが伝わってきます。

 昔から気になってたんだけど、サビのリフレインのループのままフェードアウトしていく終わり方はオリジナルそのままですが、この部分って実際、何回ぐらい分けてレコーディングしてるんでしょうね。カラオケなんかでは無理やり通しで歌ったりしますが、レコードなんかだと声が重なってるから一発で録ったりしたわけじゃないのは確か。明らかに思いっきり伸ばしてるのが1回ある分は別として、残りは同じ録音素材で繰り返せるのも確かですから。

 「Get Wild」は『シティーハンター』第1作目のED曲で、オリジナルはTM NETWORK。緒方恵美の年齢からすると聴き育ってきたというには新しすぎる作品だから、別の理由で思い入れがある曲ってことでしょうか。通信カラオケが普及する以前のLDカラオケ等でも歌えた数少ないアニメソングの1つなので、その関係かもしれません。単に学生時代にはまってた作品ってことかもしれませんが。(続編的な『Angel Heart』には出演してますが)
 これは男声を意識しすぎてちょっと苦しいところがあるかな。低音でアクセントを付けるような部分で声が出しきれてない感じです。

 「アンバランスなkissをして」は出世作の『幽☆遊☆白書』のED曲。オリジナルは高橋ひろ。『幽☆遊☆白書』のEDは全部で5曲あるのですが、何故か3代目のこの曲が一番人気があるみたいで、よくカバーされたりしてますね。
 これも男声ボーカルの曲だからちょっと不自然な印象が少しありますが、やはり思い入れが強い曲なのか、特徴は良く掴んでますね。

 「ヤマトより愛をこめて」はいわずと知れた『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のテーマソングで、オリジナルは沢田研二。やはり緒方恵美の世代だとこの作品は外せませんね。やっぱり彼女も映画館で涙を流してたのでしょうか。
 切なく情感があふれてくる歌です。かなり歌い手の気持ちがひしひしと伝わってくる曲ですね。オリジナルのボーカルだと割と声に力を入れて歌い上げてるって感じなのですが、緒方恵美の歌い方は歌うというよりも声を乗せたフレーズを置いていってる感じがします。これがこの人特有の歌い方なのか、単に男声だと声を張り上げられないからなのかはしれませんが、こういうしんみりしたバラード系の曲には似合ってる感じです。

 「残酷な天使のテーゼ」は出演作『新世紀エヴァンゲリオン』のOP曲で、オリジナルは高橋洋子。
 傍目には割と歌い易そうな曲だと思うのですが、なんか苦労してるように聴こえます。オリジナルのイメージだとこの曲は張りのあるボーカルで突き抜けるように歌っていくような感じなのですが、緒方恵美のボーカルはどこか緩く、甘い声を置いていってるという感じがして、どこか物足りなさが感じられます。

 「想い出がいっぱい」は『みゆき』のED曲で、オリジナルはH2O。作品自体は(同時期の『タッチ』とかと比べても)あだち充原作のアニメ化としては良かったと言えませんが、H2Oの主題歌だけは当たりでした。おかげで、この曲も通信カラオケ普及以前にカラオケで歌えた数少ないアニメソングの1つでした。
 ギターとピアノがメインのアコースティックな伴奏が印象的です。オリジナルのボーカルはもう少しメロディアスな感じなのに、淡々とフレーズを置いていってる感じですね。とくにフレーズの末尾をほとんど伸ばさずに止めてしまってるから曲の印象がかなり違います。どこか口先だけで歌ってるって感じがするんだけど、曲の持つ切なさは伝わってきます。
 ラストでスローダウンした静かなピアノ伴奏だけのリフレインが、(オリジナルには無いような)なかなか良い雰囲気が出てる感じで好きです。

 「今日もどこかでデビルマン」は『デビルマン』のED曲で、オリジナルは十田敬三。本放送も無理ではないし、当時はアニメの再放送も多かったから見る機会はあったと思いますが……あんまり小さい女の子が喜んでみるような作品では無かったと思うんですが、どうなんでしょう。ま、この頃はテレビはお茶の間に1台とかいう家庭が多かったから、年上の男兄弟とかいたら一緒に見せられてしまってたって話も普通でしょうけどね。
 どこか昔のグループサウンズを思わせる雰囲気のアレンジ。軽くストレートに歌ってるという感じでリラックスしてますね。キーの低い曲は鼻に掛かってる感じがちょっと耳につきます。それをこの人の魅力として受け取る人には良いのかもしれませんが、そうじゃないとマイナスイメージを持ってしまいます。

 「ムーンライト伝説」は出演作『美少女戦士セーラームーンS』(というより、無印からSuperSまで)のOP曲。オリジナルは初代がDALIですが、『S』だとムーンリップスになりますね。昔、初めて聴いたとき、ザ・ピーナッツとかの曲でもリメイクしてきたのかと思ったくらい古い感じの曲調が特徴の曲です。
 オリジナルとは違う、どこかで聞き覚えのあるようなイントロですが、何の曲に似てるのかは忘れました。これもボーカルは少しあっさり気味で、鼻に掛かった歌声になってますね。天王はるか(セーラーウラヌス)になりきって歌ってるってわけでもないでしょうけど、変に格好つけてる歌い方って感じを受けなくもありません。女声ボーカルの曲だし、もう少しストレートに声がでないのかな?

 「ゆずれない願い」は出演作『魔法騎士レイアース』のOP曲で、オリジナルは田村直美。これはエメロード姫が出てた第1部のOPで、イーグルが出てくる第2部では別の曲に変わってます。
 一転してキーの高い曲です。低めの声が地ならけっこう無理して高音を出してるんでしょうけど、一般的にはこれが一番自然に感じますね。声質もオリジナルの田村直美と似てる感じです。これまでの曲と違って素直に声が伸びてるように感じるのは確かです。ファンの人はどうか知りませんが、いわゆる緒方恵美のイメージとは違っても、こういう歌い方の方が魅力を感じます。

 「美夕八千夜」は出演作であるTV版『吸血姫 美夕』のED曲で、オリジナルは鈴木佐江子。川井憲次の和風ファンタジックホラー音楽の代表ともいうべき、幻想的で儚い曲調が特徴です。(個人的にはOVA版のいかにも川井憲次っぽいED曲に歌詞を付けた渡辺菜生子のイメージソングも好きなのですが)
 囁き声のコーラスがオリジナルとほとんどそのまんまで入ってるのが嬉しいですね。これが無いとこの曲じゃありませんから。もともと声を張り上げて歌うような曲じゃないから、フレーズを置いていくような歌い方でも違和感はありません。キーの高さも無理が無く、全体的に雰囲気が良く仕上がっています。

 「青のレクイエム」は出演作『SAMURAI DEEPER KYO』のOP曲……ということですが、全然覚えてないですね。作品自体は見ていた記憶はありますが。オリジナルは坪倉唯子らしいです。
 バラード系で始まったかと思ったら、けっこうハードな曲ですね。こういうシャウト系のハードロックの曲はこの人には似合ってそうです。ただ、声質的に甘く感じる部分が残ってる感じはあります。

 「Agape」は出演作『円盤皇女ワるきゅーレ』の挿入歌で、オリジナルはメロキュア。やはりこの曲を聴くと岡崎律子さんのことが偲ばれますね。ちなみに言うまでもありませんが『円盤皇女ワるきゅーレ』はここのブログタイトルの元ネタです。
 ピアノに始まるイントロとかコーラスとか、オリジナルのカラオケそのまま使ってるんじゃないだろうなと思ってしまうくらいそっくりですが、どうなんでしょう。(ブックレットのコーラスの記載を見たら「meg rock」ってあるから、メロキュアの日向めぐみのコーラスみたいですね)
 オリジナルはメロキュアの2人のコーラスのせめぎ合いが印象的で魅力だった曲なんですが、それを上手く再現しています。ボーカルにパワーがあって、張りのある声がしっかりと伸びてるのは良いですね。オリジナルもそうだったけど、非常に充実した聴後感が得られる素晴らしい曲です。

 「オカエリ!」はこのアルバムのオリジナル新曲みたいです。当人の曲のベストアルバム見たいなものなら新曲追加もありでしょうけど、こういうカバーアルバムを謳ったものに新曲を入れるのはどうかという気もしますが……
 「オカエリ!」というのは思い出のアニメソングの世界へのルーツ探しの旅からの「オカエリ!」って感じですが、どうも「オカヤリ」って聴こえてしまいます。アルバムの最後の曲としては無難なつくりですが、せっかく「Agape」で充実感に浸った後に鼻に掛かったボーカルが聴こえてくるのはどうかという印象を受けます。むしろ透明感のあるコーラス曲あたりで締めくくってくれたらなぁ。

     ☆ ☆ ☆

 同じ世代ということでピンポイントにツボにはまった曲を歌ってくれているのは嬉しいですね。とくに「ヤマトより愛をこめて」なんて、あの夏に劇場でリアルタイムで見た世代の人しか歌ってくれそうにありませんから。
 昔のアニソンからは、この「ヤマトより愛をこめて」「想い出がいっぱい」が出色かな。この人はこういう切ない歌をうまく情感を込めて歌ってくれます。でも、これらの曲はボーカルを抑えて声を置いていく感じなんですね。
 反対にボーカルの魅力を感じさせてくれるのは「ゆずれない願い」とか「Agape」ですね。声を張り上げるところは張り上げる、伸ばすところは伸ばすというところで自然に声の素質の良さが引き出されています。あまりキャラクターイメージとしての「声優・緒方恵美」に引き摺られない方が良いんじゃないかなと思います。

(発売元:ランティス LHCA-5080 2007.10.03)

デビュー15周年記念カバーアルバム「アニメグ。」
デビュー15周年記念カバーアルバム「アニメグ。」

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2007.04.12

神田朱未・Bitter Sweet Friday

 神田朱未という名前を初めて目にしたのは、確かアニメイトの店頭で『ときメモ』関連のイベント告知があった時でした。ま、知らない声優さんのイベントなんか興味があるわけもなく、『ときメモ』の人かというくらいの印象を持っただけでした。この当時のアニメの出演も見てはいたけど、記憶には残って無いんですね。
 『D.C.~ダ・カーポ~』の美春も当時は3大ヒロイン(音夢・さくら・ことり)の声優さんは意識してたけど、美春まではという感じ。続編の『D.C.S.S.』で神田朱未だったのかと気付いたぐらいです。『ウルトラマニアック』は地元のCATVでアニマックスが映るようになってから再放送で見たのが最初ですから、仁菜のドジっ子な魔法少女ぶりを見たのもずっと後になります。
 そんな感じで、神田朱未という名前を強く印象付けたのはやはり『魔法先生ネギま!』の神楽坂明日菜役ですね。あの『ときメモ』の人って、こんなリリカルな演技が出来る人だったのかという感じです。

 そんなわけで、個人的には神楽坂明日菜の声優さんというイメージが非常に強い神田朱未ですが、『ネギま!』を初めとしてキャラソンの商品展開が盛んな作品にいくつかメインキャラで出てるだけあって、歌の数も多いようです。
 今回はその神田朱未のベストアルバム『BITTER SWEET FRIDAY』を聴いてみましょう。収録曲は以下の通りです。

 01. Bitter Sweet Friday
 02. 鏡の中 ~Bitter Ver.~
 03. ハッピー☆マテリアル
 04. ココロのネジ
 05. さくらの季節
 06. Believe ~Acoustic Ver.~
 07. WhiteSeason ~ReMix Ver.~
 08. 恋するバランス
 09. DRAMATIC☆GIRLY ~Bitter Ver.~
 10. バカップル♥
 11. 素顔でFly to you ~Bitter Ver.~
 12. いつだってLove & Dream ~Bitter Ver.~
 13. Oh My ダーリン ~Sweet Ver.~
 14. SUNRISE
 15. ありのままの世界

 それでは順番に1曲ずつ。

 「Bitter Sweet Friday」はこのアルバムの新曲で、ゆっくりとしたボサノバ風の曲。アルバムのCMで流れてる曲ですね。
 声質が甘い感じで声が伸びずにこもってる感じの歌い方なので、雰囲気は出てるんだけど曲を活かしきれてないような気がします。もうちょっと透き通った声のボーカルなら良かったかな。
 バックはギター、ベース、ドラムスだけで軽い感じ。そのぶんボーカルが目立ちます。オリジナル曲というよりどちらかというとキャラクターソングの歌い方って感じですが、その範囲で見ると悪くはありません。
 間奏部のささやきがゾクッとくる感じで、ファンにはたまらないでしょうね。

 「鏡の中 ~Bitter Ver.~」は『ウルトラマニアック』のOP曲のカバー。オリジナルはcan/gooが歌っていましたね。
 ゆっくりとしたテンポのバラード調のサビから始まり、テンポアップして1コーラス目が始まります。バックはオリジナルより派手そうだけど、逆にボーカルはパワーが足りない感じです。ま、can/gooと比較するのはあまりに酷という感じですが、それでもよく歌ってる感じはします。
 リフレインの出だしに掛かるピアノのアレンジが割りとお気に入りです。

 「ハッピー☆マテリアル」は『魔法先生ネギま!』のOP曲のソロバージョン。オリジナルは非常に話題になった曲なので説明は要りませんね。
 元々、明日菜は2月度のOP曲を歌ってたはずですが、これは何月バージョンでしょうか? さすがに歌いなれてるって感じでボーカルに卒がなく、活き活きとしています。しかし、ソロだと少し寂しくて『ハピ☆マテ』という感じがしませんね。
 アレンジはオーソドックスな感じ。個人的にはサビで「ゴーゴー」と入る2月バージョンが好きだったんですが……

 「ココロのネジ」はPS2版『D.C.P.S.』の天枷美春のキャラクターソングです。
 アップテンポでややハードなロック系の曲だけど、ボーカルは優しい感じの声です。割とボーカルにパワーがあって、派手なバックに力負けしてません。基本的には声に相当のパワーがある人みたいだけど、歌向きかどうかはちょっと疑問かな。
 ココロのネジを巻くというのは自分の世界を開かせて恋心を与えてくれたってあたりの意味合いでしょうか。背中のネジを巻くのはロボットの美春で、頭のネジを巻いたりしたら大変ですね。

 「さくらの季節」は『ときめきメモリアル3』の牧原優紀子のキャラクターソング。ボーカルやメロディーは少しおとなしめだけど、バックのリズムが派手という典型的な90年代アニソン系の作りの曲です。
 ボーカルはサビの出だしのところが少し気張り過ぎな感じ。この辺りを自然と滑らかに歌えるようになったら良いはずです。対照的にリフレインの出だしの力を抜いた甘える感じがなかなか良かったりします。
 全体的にはうまく曲に乗った歌い方をしていて、聴いて心地良いですね。

 「Believe ~Acoustic Ver.~」は『魔法先生ネギま!』初代ED「輝く君へ」のC/W曲で、かなかな組というユニットで歌ってた曲のソロバージョン。
 伴奏はギターと、途中から入ってくるストリングスがメインのアコースティックアレンジで、ボーカルは柔らかく流れるような感じです。サビで力を込めているのが逆に切なさを感じさせています。肩の力が抜けた感じの、リラックス向きの曲ですね。
 ギターが終始、淡々としていて変に主張したりしないのが良いです。逆にストリングスが目立ち過ぎですが……

 「WhiteSeason ~ReMix Ver.~」は『D.C.F.S.』の冬編のテーマソングのリミックスバージョン。(原曲は『D.C.W.S.』でrinoが歌ってる曲のカバー)
 バックの音がギターとおとなしめのドラムス以外の音が極端に削られてて少し物足りない感じがします。特にシンセ系の音とコーラスが無くなっていて雰囲気が全然違ってますね。そのぶんボーカルが強調されてる感じで、原曲でボーカルに掛かってたエフェクトも外されていてストレートに響いてきます。原曲では弱々しく感じられたボーカルがパワーアップしてるように聴こえ、これくらいパワーがあれば文句はありません。
 サビになってバックも原曲並みに音が増えてきますが、それでもしっとりとしたような原曲の雰囲気に比べると乾いた感じですね。

 「恋するバランス」は『ウルトラマニアック』のキャラクターソングで、亜由役の堀江由衣とのデュエット曲のソロバージョン。
 アコーディオン風の音色の伴奏によるゆっくりとした出だしの曲で、パーカッションとシンセベルが入ってきて少しリズミカルなってきます。2コーラス目からはさらにサックスの音色が加わってくる感じで、曲全体を通して徐々に盛り上がってる雰囲気です。
 リフレインの出だしの高音の裏声が印象的。さらに普通の音程の声と重ねてコーラスにしてるのが興味深いところです。ラストのアカペラもなかなかです。

 「DRAMATIC☆GIRLY ~Bitter Ver.~」は『となグラ!』OP曲のソロバージョン。原曲はレギュラー女性声優5人で歌ってた曲です。どちらかというと大原さやかの演じた姉の初音の方が印象深かったりしますが、そういえばヒロインの香月役が神田朱未でしたか。
 このエレギのアルペジオによるイントロを聴くとどうしても香月のパンツが頭に浮かんでくる曲ですが、それはさておき、ソロバージョンでもあまり雰囲気の変わらない曲ですね。(確かに他の声優さんの歌ってるパートのボーカルはそれなりに違うんですけど、ソロの方が自然な感じなので違和感を感じないんですね)
 バックはエレギ、ベース、ドラムスといった標準的なロックバンドで、かなりハードな感じです。ボーカルは短いフレーズ単位でシャウトしてる感じで、どうも長めのフレーズだと呼吸が続かないような気がします。
 ボーカルも力強いのだけど、やや喉先で声を出してるって感じで、もうちょっと腹から歌ってるという感じが欲しいかと思いますが、けっこうノリのいい曲ですね。

 「バカップル♥」は國府田マリ子を中心とする声優ユニット・DROPSの曲のソロバージョン。なかなかインパクトのある曲です。
 バックはブラスが入った派手な曲で、ドラムスも叩きっぱなし。それに負けてないボーカルがある意味凄いです。勢いだけの曲って感じで、歌詞もお約束の夏の恋でイケイケって感じの刹那的な歌かな。何も考えずに頭を空っぽにして聴く曲ですね。

 「素顔でFly to you ~Bitter Ver.~」はアニメ版『D.C.~ダ・カーポ~』の天枷美春のキャラクターソングのアレンジバージョン。
 ハードなロック系のバックに、逆にボーカルはおとなしめのアンバランスな曲。最初から淡々とした一定のレベルの歌い方で、とくにサビで盛り上がったりとかはしません。
 恋に未経験な女の子が自分のイメージだけで恋を思い描いてるっていう感じの歌ですが、歌詞やボーカルがどこか事務的で感情が避け除かれてるようなのは、やはりロボットの美春の歌だからってところでしょうか。

 「いつだってLove & Dream ~Bitter Ver.~」は『魔法先生ネギま!』の神楽坂明日菜のキャラクターソング。アニメ化に先立って1年間リリースされたキャラソンCDの曲で、《STARCHILD DREAM in KOBE 2nd》ででも聴いたから、神田朱未の歌としては一番早く印象に残った曲ですね。
 メロディーはハイテンポでノリノリのポップな曲で、典型的なアイドル系のロックサウンドだけど、エレギはオーバードライブ掛けまくりでかなりヘヴィな感じ。原曲よりはハードなアレンジになってるみたいで、間奏部のエレギのパフォーマンスはこの手の曲ではお約束ってところでしょうか。
 イケイケのポジティブソングですが、これも理屈よりも体で聴く曲って感じですね。

 「Oh My ダーリン ~Sweet Ver.~」は『となグラ!』の有坂香月のキャラクターソング。
 アコースティック風に始まるしっとりとした曲で、囁くように……というよりは甘えてるような歌声が特徴です。声がどことなく幼い感じで、約束の彼を待ち焦がれてるような初々しい感じの恋愛ソングですね。
 バックはキーボード、ストリングス、ギター、ベース、ドラムスといったところで、ストリングスがけっこう厚め。間奏部に入る「チュ、チュ、チュ、チュ」というコーラスがなかなか耳に残ります。

 「SUNRISE」は『ときめきメモリアル』のイメージソングのソロバージョン。原曲は「もえぎの高校委員会」とあるからヒロイン声優のユニットなんでしょうね。
 ギター伴奏のゆっくりとしたバラード系の曲で、ボーカルは優しく囁くような感じ。歌詞は「あなたを想いながら過ごす日々を深く噛み締めてる」という感じで、いわば受身の恋愛ソングですね。
 曲の雰囲気からするとアコギでちょうど良いと思うのですが、エレギとドラムスが入ってて少しバックが重い感じがして、おまけに間奏でオーバードライブかけてるのは余計過ぎる感じがします。
 リフレインが盛り上がって力強いんだけど、ちょっと違和感ありですね。むしろ2コーラス目のサビを思いっきり力強く盛り上げて、逆にリフレインは抑えた方が良さそうな気がします。これなら間奏のオーバードライブも不自然には感じないし、ラストは1コーラス目の優しく囁くように終わってくれたらと思います。

 「ありのままの世界」はこのアルバムの新曲で、ゆっくりとしたバラード系の曲です。後半に盛り上がってきますが、全体を通して淡々と一定のリズムが続いてる感じですね。
 バックはキーボード、ギター、ベース、ドラムスというところで、サビ以降にストリングスか入ってくるという感じ。2コーラス目の適度のエコーが掛かった透き通った感じのボーカルが魅力的です。リフレインの始まりのギターのアルペジオも印象的です。
 難を言えば、自作の歌詞ですね。どっちが先か知りませんが(恐らく曲が先にあって歌詞を付けたのかと思いますが)、歌詞と曲が合ってないというか、歌詞の1コーラス目と2コーラス目の内容と、曲の1コーラス目と2コーラス目の盛り上がりが全然マッチングしてないんですね。
 本人は一生懸命気持ちを込めて書いたものだと思いますが、所詮は素人仕事というところかなぁ。もっとも、それをフォローしてないスタッフにも問題があると思いますけどね。

     ☆ ☆ ☆

 キャラソンを中心としたベストアルバムですから、アニメキャラのイメージから受ける神田朱未という声優の印象をそのまま集めてみたような感じですね。ユニット曲のソロやカバーも多いので従来のファンにも余計な買物にはならないでしょうし、キャラソンを1曲2曲を聴いて気になってたから改めてもっと多くの曲を聴いてみたいという人にも向いてるでしょう。
 いわゆるアーチスト指向のアルバムではないので敷居が高いというわけでもありませんし、期待以上のものは無いかもしれないけど、ハズレも無いのは確かでしょうね。


(発売元:キングレコード KIZC-7/8 2007.02.28)


Bitter Sweet Friday(DVD付)
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2007.02.27

天球の音楽 牧野由依

 牧野由依という名前を初めて意識したのは『ツバサ・クロニクル』のサクラ役として。丹下桜はないだろうから誰がやるのかって興味を持ってたから、とりあえず新人の声優さんとしては声を聴く前に名前を知ったって感じでしょうか。結局のところ『ツバサ・クロニクル』のキャスティングはその他のキャラも含めて以前のCLAMP作品のキャスティングとは一新されてしまったから、サクラだけがどうこうという注目のされ方はされず、素直に声を受け入れた感じでしたね。
 一方、歌の方は同時期に始まった『創世のアクエリオン』のEDの歌手に抜擢されていましたが、当初は菅野よう子がどこかの子役の女の子でも探してきて歌わせてるのかと思ったくらいで、歌手の名前すら意識してませんでした。それが牧野由依だと知ったのはサントラ盤で歌手の名前を確認した時でした。
 歌手としての牧野由依を強く印象付けてくれたのは、やはり『ARIA The ANIMATION』と『ARIA The NATURAL』のOP曲を2作続けて担当したことでしょうか。この2作品で発揮された癒し系の歌声には牧野由依という存在を改めて深く意識させられました。

 そんな牧野由依のファーストアルバムが、この『天球の音楽』です。ビクターの声優アルバムの傾向からすると、テーマ性を持ったオリジナルアルバムを出してくるのかと思ったのだけど、若干の新曲以外は既製曲を集めたベスト盤だったのが意外でしたが、本人はまだ学生さんなんでアルバム作りだけでスケジュールを詰め込めないとかいうところでしょうか。
 収録曲は以下の通り。

 01. オムナ マグニ
 02. ウンディーネ
 03. 幸せのため息
 04. もどかしい世界の上で
 05. シンフォニー
 06. ユーフォリア
 07. ジャスミン
 08. 夏休みの宿題
 09. 髪とヘアピンと私
 10. ユメノツバサ
 11. 永遠の想い
 12. CESTREE
 13. 雨降花-Album Version-
 14. アムリタ

 ベストアルバムと考えたら普通かも知れないけど、14曲も入ってるのは割りとC/Pが高いアルバムかと思います。
 では、個々の曲について。

 「オムナ マグニ」は『創世のアクエリオン』のED曲。オルゴールチックな音楽で、どこか西洋風の美少女が花園で鼻歌を歌ってるようなイメージに少し宗教がかったようなミステリアスなイメージがあります。
 どこかよく知らない外国風の歌詞で、初めて聴いた時は菅野よう子がまた変な歌をって印象でした。前述のように牧野由依の歌を初めて聴いた曲なのですが、サントラを買うまではあまり歌手自身が誰なのか意識していませんでした。
 曲自身の神秘的というか奇妙な印象はさておき、コーラスがけっこうきれいな曲ですね。

 「ウンディーネ」は『ARIA The ANIMATION』のOP曲。透明で流れるようなボーカルで、まるでネオ・ヴェネツィアの空気に溶け込むようなイメージです。牧野由依をはっきり歌手として意識させてくれた忘れられない曲と言えます。
 『ARIA』の主題歌らしく、バックはギターやピアノがメインだけど、その一方でストリングスがけっこう曲の印象に対するウェイトを占めてるような気がします。ボーカルがメインの曲というよりも、ボーカルとバックが互いになくてはならないくらいに強く結び付いていて、それが作品の雰囲気作りに重要な働きをしているように思います。

 「幸せのため息」はこのアルバムのオリジナル曲かな。拍手のようなリズミカルなパーカッションが特徴のポップス風の曲。バックはアコースティックギター、サックス、エレキベースって辺りが中心でしょうか。
 こういう派手目の曲でも透明な歌声は健在で、弾むような軽やかなノリの曲ですね。リフレインのアカペラ風のところがややスローダウンしたペースでボーカルが強調されてるのが絶品で、強く印象に残ります。

 「もどかしい世界の上で」は『N・H・Kにようこそ!』の2代目ED曲。ピアノの静かなイントロから一転してロックバンド風のバックミュージック。牧野由依の曲にしてはかなりハードな音楽って印象ですが、ここでも透明感のあるボーカルはけっしてバックに負けていません。
 理不尽な世界に小さな胸を精一杯に張り上げて抗議してるって感じが非常に良く現れていて、思わず共感に誘われてしまいそうです。牧野由依の声にこんなにパワーがあったのかと非常に実感させてくれる曲ですね。

 「シンフォニー」は「ウンディーネ」のC/W曲。ギターをバックにゆっくりとしたバラード風に始まる曲です。途中からドラムスとか入ってきてバックが厚くなりテンポアップしてくるけど、ボーカルも負けじと頑張ってます。2コーラス目の直後、間奏の前に新しいメロディーのフレーズが入ってくるのが斬新で印象的。
 去り行く季節を切なく感じつつも、それを糧にしていくしたたかさ。恋をして強くなっていく女の子って感じの曲でしょうか。

 「ユーフォリア」は『ARIA The NATURAL』のOP曲。ネオ・ヴェネツィアの風に乗って季節を移ろっていく感じの曲。相変わらず歌の妖精としか言えないような見事な歌声が魅力的な曲です。
 シンセパーカッションの水面を叩くような音で始まってるのが印象的。「ウンディーネ」に比べるとボーカルが主張し気味な感じがします。とくにサビの辺りのボーカルの力強さは全然違う印象を与えますが、どちらの特徴も合わせ込んで歌い上げてる辺りが素晴らしいです。

 「ジャスミン」は「アムリタ」のC/W曲。ややマイナーなメロディーで語られるような曲で、しっとりとしたボーカルが特徴です。サビの部分でチャイニーズ風というか、エスニックな旋律がポイント。
 リフレインの手前の暖かな感じの歌い方がとても印象に残ります。全体的にボーカルはくっきりとしてしとやかな感じですね。

 「夏休みの宿題」もこのアルバムのオリジナル曲かな。ギターのフレーズの後、ブラスを交えた派手なイントロで始まるアップテンポの曲。このアルバムでは一番景気のいい感じの派手な曲ですね。
 囁くような感じから次第に力強く歌い上げていくボーカル。ギラギラした日差しの中にくっきりと刻まれる夏休みの出来事って感じです。まだ未練の残るひと夏の恋を、やり残した宿題に重ねてるって感じの、レモン色の甘酸っぱい青春の1ページってところでしょうか。

 「髪とヘアピンと私」は『ARIA The NATURAL』の挿入歌。『ARIA』のボーカルアルバムでは藍華役の斎藤千和が歌ってますが、本編では斉藤千和バージョンだけじゃなく、牧野由依バージョンも使われていたようです。
 曲はピアノ伴奏によるしっとりとした感じで、囁くような語り口のボーカル。ややかすれがかった声が珍しいかな。「ウンディーネ」や「ユーフォリア」と違って、感情的で弱々しい印象です。
 アニメでは藍華が伸ばした髪の毛を燃やしてしまって泣く泣くショートカットに変えた話で使われていた曲ですね。今日から自分は変わろうとイメチェンしたけど、どこか不安げで自信が無いって感じがよく現れてる感じです。

 「ユメノツバサ」は『ツバサ・クロニクル』の挿入歌。ややスローテンポのロック調の曲で、淡々と歌い上げてる印象。立ち去っていく世界への哀愁と次の世界への希望を織り成した、時空の放浪者としての切なさを表した曲かな。
 アニメでは1つの世界でのエピソードが終わり、サクラたち一行が次の世界に旅立っていくというシーンに使われていて、非常に印象に残る曲で、思わずつられて口ずさんでしまいそうです。この終わりの無いような旅の行き着く先に、いったい何が待っているのだろうか……

 「永遠の想い」は『ツバサ・クロニクル』のドラマCDの収録曲。アニメで使われたかどうかはわかりません。
 ゆったりとしたテンポの曲で、ややハスキーがかったおとなしめでたどたどしいボーカルが、記憶を失って心細いサクラの心情を歌ってる感じですか。夢のようにはかなく遠いけれど、ずっと想い続けてきた恋。どこか幻のようなファンタジックなイメージの曲ですね。

 「CESTREE」は『ZEGAPAIN』の挿入歌。そういえば牧野由依もメイウー役で出てましたか。
 微かに囁くような声を重ねていくような歌で、フレーズはどこか断続的。全体的に神秘的かつセクシーな感じがして、特にラストの「チュッ、チュッ、チュッ」って辺りが艶かしい感じがします。神話の世界を跳ね回るニンフのようなイメージです。

 「雨降花-Album Version-」は「ユーフォリア」のC/W曲のアレンジ版。ゆったりとして柔らかく温かなフレーズの曲。雨続きで外に出かけられずに家で恋人を思うような、切なさを感じるバラードです。
 雨音に託してしんみりと染み渡る恋心。その感情を張り上げた状態でもちゃんと声が伸びてるボーカルは見事としか言えません。リフレイン後の終わり方が切なさをより強調してる感じで、心に沁み込みます。

 「アムリタ」は『劇場版ツバサ・クロニクル 鳥カゴの国の姫君』のED曲。劇場版はまだ見てないので曲のイメージしかわかりませんが、ピアノ伴奏でしみじみと語り込む感じで始まるバラードです。
 サビになって急激に盛り上がって歌い上げる感じになるのが、かなりコントラストが強すぎる感じで、さらに最後の「アムリタ」だけ、ポツンと置き残された感じになってるのがやけに印象的です。ボーカルはとことんピュアな感じで、サクラの心情を表した曲ってところなんでしょうか。

     ☆ ☆ ☆

 元々から音楽をやってる人なので、歌に関して文句の付けようはありません。歌声に恋したと言っても過言では無いくらい魅了させてくれました。まさに「歌姫降臨」と言ったところです。
 最近は「声優界の歌姫」といってもずいぶん安売りされて、あちこちでたくさんの人がそう呼ばれたりしてるみたいですが、私の感覚でそれに値するのは笠原弘子、岩男潤子、坂本真綾、それにこの牧野由依の4人ぐらいでしょうね。
 牧野由依は歌声にそれだけの魅力を持った人なので、これからの活躍に期待は大きいです。けっして一過性で使い捨てにされたりすることなく、大事に育てていってもらいたいですね。

(発売元:ビクター VICL-62167 2006.12.06)

天球の音楽
天球の音楽

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2006.11.02

田村ゆかり 天使は瞳の中に

 田村ゆかりといえば、昔、「桜井智がまたミンメイを歌ってら」(註1)と買った『マクロス・ジェネレーション』のCDでテーマソングらしき曲を歌ってたのが名前の覚え初めで、その後『デビルマンレディー』や『青山剛昌短編集』のテーマ曲を歌ってたのを聴き、その頃はもっぱら歌の人かとイメージしていた覚えがあります。
 その印象が変わったのは『ぴたテン』の美紗役で今に繋がるロリ系の声を耳にしたときで、それ以来、森野苺、芳乃さくら、高町なのは……とカウンターパンチを連続で食らわせられっぱなしで忘れられない声優さんになってしまいましたが、以前とはすっかり変わってしまったなぁという印象が強いですね。

 再び歌で田村ゆかりに関心を持ったのは『魔法少女リリカルなのは』辺りですが、アルバムを聴いてみようと思ったのはつい最近になってからです。
 初期のポリドール時代はアニソン関連のシングルをけっこう出していたものの、アルバムとしてはミニアルバム1枚。このミニアルバムは現在入手困難という感じでamazonのユーズド価格でもとんでもない値段が付いていますが、さすがにそんなとこまで手が出せないので、普通に入手できるコナミ移籍以降のアルバムをぼちぼちと聴いていこうかと思います。

 そんなわけで、今回は少し古いけどコナミから出た田村ゆかりのファースト・フルアルバム『天使は瞳の中に』です。古いと言っても2001年のアルバムですから、自分の中ではごく最近のアルバムって感覚ですが……
 それでは曲目一覧。

 01. プロローグ~lalala…~
 02. summer melody (album version)
 03. まっすぐな心
 04. 春色の風,今も…。
 05. in the Oak wood
 06. スマイル スマイル
 07. 天使じゃなくても
 08. あの夏を忘れない
 09. A Day Of Little Girl~姫とウサギとおしゃべりこねこ~(album veresion)
 10. 青空にあいたい(album version)
 11. エピローグ

 「プロローグ~lalala…~」は文字通りアルバムのプロローグとして置かれているゆっくりとしたテンポの短い曲。どうもエフェクト掛けまくりで、シンセベースのノイジーな伴奏が続いてる感じで、聴覚上、あまり良い印象をもてない作りです。
 ボーカルはその上をゆったりと重ねてる感じで続きますが、最後に「きっとね」の繰り返しで終わってるのが印象的ですね。

 「summer melody」はちょっぴり夏のイメージがするポップなサマーソング。甘ったるいボーカルにやはりシンセベースのノイジーな伴奏が重なってて、ちょっとボーカルが殺されてるって感じがします。ドラムスは明らかに打ち込みとわかる単調さが不自然さを出してて、全体的にはサビで急に激しくなる、安っぽいゲームの主題歌って作りなのが残念かな。
 歌詞は夏のある日のよくある恋愛ソングって感じでやや可もなく不可もなくという感じで無難といえば無難。しかし、この甘ったるい歌声で「恋は戦い」と言われても実感も何も無いですね。
 間奏の後でサビのリフレインがあるのかと思ったらそのまま終わっちゃう終末部分の囁くようなコーラスがけっこう効果的な印象を与えてくれます。全体的にはこのアルバムで一番元気の良い曲かな。

 「まっすぐな心」は何か迫ってくるような効果音が被るイントロで始まる曲。テンポはややゆっくりで、囁くというよりも機械的に音を置いてるような歌声が流れてくる感じです。サビに向かって盛り上がってくるにつれて徐々にボーカルにも感情が入ってきていますが……全体的に曲の狙いがよくわからない作りですね。
 歌詞は、寝ぼけ半分な朝から新しい1日が始まるから、昨日までのことにはくよくよしないって感じで、どっちかというともうちょっと励ますような力強さを求められるような気がするんですが……

 「春色の風,今も…。」は失恋の思い出を振り返ってるような、スローロック系のおとなしい曲。出だしのあたりから曲はゆっくりなんだけど曲の切れ目が無いから、どうも息継ぎが難しそうな曲ですね。曲を作ってる方はどうせ打ち込み主体だろうし、どんな作りでも気にせずに済むんでしょうが、実際に声を出して歌う方は大変です。
 もっとも、田村ゆかりのボーカルもゆっくりでおとなしめの曲だとあまり声が出てないって感じがします。サビに向かって曲が盛り上がってきたらボーカルの方も伸びてきてるって感じですね。その中間辺りで早口風になってるところは効果的です。
 歌詞の感じが少しアダルトっぽい感じがしますが、この人の声でそれに見合えというのは無理な話で、この辺は曲自体の作りに難点ありと言うところでしょうね。リフレインのところでちょっと息切れしてる印象を受けるのもマイナス評価ですねぇ。

 「in the Oak wood」はオーボエだか、木管系のアコースティックな音(でも、やっぱりサンプリング音源なんだろうな)から始まるのが印象的な曲。これもボーカルの出だしは囁くような感じ。英語の歌詞がボーカルの弱さをカバーしてるって感じで、全体的には良い印象を受ける作りです。
 曲調はヨーロピアン風のムーディーなメロディーでけっこう雰囲気の良い曲ですね。
 歌詞は樫の木にもたれながら恋の思い出に浸ってるって感じで、避暑地での静かな午後ってイメージです。

 「スマイル スマイル」はややアップテンポな曲。こんな曲なら普通はあまり声を弄らなくて良いのに、エフェクト掛け過ぎって感じですね。ややハスキー掛かった田村ゆかりのボーカルが実に魅力的です。このアルバムを通して聴いてみて言えるんだけど、下手に透明感出させようと押さえ気味に歌わせるよりも、こうしてハスキーっぽいところをまっすぐに持ってきた方がずっと魅力的なボーカルになるような気がします。
 歌詞は遠く離れた街から久しぶりに帰ってきて友人たちに再会して励まされえいるという内容で、聴く者に元気を与えてくれるポジティブな歌です。典型的なアイドルソングの作りといえばそんな感じですが、魅力的な曲であることには変わりません。

 「天使じゃなくても」はシンセウェーブがテンポアップしていくような感じのイントロで始まる曲。間奏部のシンセウェーブが割りと印象的です。ボーカルは少し淡々とした歌い方から、サビに向かって甘くリズミカルになっていく感じ。
 歌詞の方はあなたが天使だったらとか、私が天使だったらとかいう感じで何か天使がスーパーマンのような万能の便利屋さんって印象を受けて、逆に天使じゃない自分たちなら何も出来ないのかって疑問が出てきたりするんですが……そこはあまりつっこむところじゃなく、甘い乙女っぽい天使のイメージを用いた歌ってことなんでしょうね。

 「あの夏を忘れない」はゆったりとしたアコーディオン風の伴奏によるイントロで始まる曲。アカペラっぽく始まるボーカルが、せつなく淡々と歌い上げる感じなのがなかなか魅力的。サビはマイナー気味ながらフラットでリズミカルな曲調で、とつとつと訴えかける感じに歌ってるのが印象的です。
 歌詞の内容は夏の最後の思い出作りと別れの予感って感じで、これまた夏を題材にした歌では定番みたいなものですが、語り掛けるようなボーカルの感じが、田村ゆかりの歌として上手く特徴付けてる感じで、かなり良い曲ですね。後奏がフェードアウトしていくところも、上手く余韻を引き伸ばしています。

 「A Day Of Little Girl~姫とウサギとおしゃべりこねこ~」は甘くロリっぽいボーカルの、田村ゆかりの本領発揮って感じの曲。ポップアップな曲ですが、やはりリズムに乗れる曲の方が自然に歌えるって感じですね。
 サビの単語の繰り返しがロリっぽさをいっそう引き立ててる感じで、リフレインの囁く感じがとどめを刺してくれます。
 このアルバムの他の曲と比べると、ピアノをメインに厚めの音を重ねてる伴奏が印象的です。ただ、生楽器ならサックスやエレキギターの入るだろう部分がいかにもシンセの矩形波って音で済まされてしまってるのが非常に物足りない感じがして残念です。
 全体的にいかにも田村ゆかりって感じを引き立てるファンシーな作りで、とても馴染みやすい曲ですね。

 「青空にあいたい」はパーカッションだけをバックにアカペラっぽいボーカルで始まる曲。囁くような感じのボーカルがやけになまめかしく聴こえてきます。徐々にテンポアップしてリズミカルになってきて、かすかなコーラスとベースが伴奏に加わってきて独特の雰囲気が出てくる感じです。中間部でいったん曲が途切れて曲調が変わったかと思ったら、最初に戻ってるって感じの作りなのが意外性を感じさせます。
 歌詞は雨の日に一人ぼっちでカレシのことを思ってブルーに沈んでるってところですが、それを歌う非常にピュアな声が堪能できるのが魅力的な曲ですね。

 「エピローグ」は文字通り、アルバムの締めくくり曲。基本的に「プロローグ~lalala…~」と同じメロディーをベースに構成されていて、ノイジーな伴奏も同じ。極端にスローペースで囁くような感じで始まるボーカルですが、ややテンポアップして歌い上げる感じになったかと思えば、再び囁きに戻る感じ。
 アルバムの最初と対比させることによって、全体を振り返ってるというイメージを出しているのはオーソドックスな手法です。ラスト「忘れないで」とセリフで切ってるのが少し唐突な終わり方のようか気がして、何か物足りなさを感じさせています。この物足りなさが次のアルバムへの期待に向かうのか、それともせいぜいここまでのものとして終わってしまうのかが聴く人によって違ってくると思うんですが、なんか微妙なところですね。

     ☆ ☆ ☆

 う~ん……正直言って、メチャクチャ安っぽいアルバムって気がしますね。別に田村ゆかりの歌が安っぽいとかそういうわけじゃないんですが、安っぽいのは曲の作りとか伴奏とか……とくに伴奏、これじゃせいぜい80年代ぐらいのレベル。いまどきこんな安っぽいシンセの音で曲を作られても……という感じです。
 ま、コナミといえばゲームメーカーだし、コナミ矩形波倶楽部(註2)って名前が真っ先に頭に浮かんできますが。もっともそんなのには関係なく、単に予算の都合なんだとは思いますけど、せめて一般楽器のサンプリング音源をメインにしておいたら、こんなに安っぽくはならないと思います。

 アルバム全体の印象としては、何か華が無いなぁという感じ。ま、新人の声優さんを人気が出たから歌ででも売り出そうと気合入れて作ったアルバムというんじゃなく、けっこう歌を歌ってる人なのにフルアルバムが出てないからファンサービスがてら作ってみようって感じなんですね。それなら安っぽいのも納得だけど……
 それでも、田村ゆかりの魅力というのは収録曲の節々に現れてるし、そりゃ初めての人に訴えかけるようなものは無くても、ファンにとってはけっして悪くはないアルバムだと思います。

(発売元:コナミ KMCA-113 2001.07.04)

天使は瞳の中に
天使は瞳の中に

(註1)
 「桜井智」は現在の表記では「櫻井智」。
 これ以前に『マクロス7』の関連アルバムとして丸々1枚、桜井智が演じるミレーヌ・ジーナスがリン・ミンメイをカバーするというコンセプトのアルバムが出ていました。もっとも、《FireBomber》のミレーヌにしてはアコースティック系にしっとりとアレンジされた曲が多く、とくに『愛・おぼえていますか』がバラードになってたのは違和感を感じましたが。
 『マクロス・ジェネレーション』の方はそれのリベンジとして期待して買ったというのが正直なところです。

(註2)
 X68000ユーザーとしては『出たな!ツインビー』の音楽が忘れられないところ。これのためにMIDIボードとRoland SC-55を揃えた気が……アルバムも何枚か買ってた記憶があります。現在ではPC本体に音源モジュール内蔵が当たり前だから、わざわざMIDI環境揃えて音楽聴くなんて手間は無くなりましたけど。

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2006.09.13

H・K|笠原弘子

 最近はどうか知らないけど、一昔前まで「声優界の歌姫」と言えば笠原弘子のことを指していたものでした。
 昨今は歌を出す声優さんも当たり前になって、人気の声優になれば何枚も立て続けにアルバムを出してくることも珍しくはありません。人気が出ればどんどん商品化が進められるのは資本主義の原理に適ったことです。でも、いくら人気の出た声優さんでも10年以上アルバムを出し続けられる人なんてほとんどいないんですね。
 そんな中で、さすがにここ数年はコンスタントとは言い難くなって来ましたけど、十数年間アルバムを出し続けて来ている笠原弘子という存在はとてつもなく大きなもののように思えます。

 笠原弘子を意識したのはプロフィールの尊敬するアーチストとして伊福部昭の名前があったから……というのは半分冗談ですが、当時、『機動警察パトレイバー』を作ってたスタッフあたりが伊福部音楽を好んでいて、その影響を受けていたのだろうってことは想像が付きます。
 逆にそこら辺のスタッフに持ち上げられて業界内での評判が高まり、それが世間的な人気に結び付いていったというのも今は昔のお話です。当時のスタッフの多くが大林宣彦版『時をかける少女』で原田知世にはまって、その流れで自分たちの手でアイドルを作り出していった1つの成果が笠原弘子ではないかという見方もあります。
 世の中には声優になって役を掴むまでに物凄い苦労をしている人も多くいますし、そうやってデビューしても音楽活動まで手を広げられるかどうかなんて保証はありませんが、その点で笠原弘子は幸運だったようです。もっとも、その後の活動もすべてが受身になってしまい、自分で役を取ってくるという苦労をあまりしてなさそうなのが仕事の幅を狭めてしまうことになってきますが……

 ともあれ、笠原弘子の歌は多くのファンに愛され、声優の仕事はともかく、その後もずっと音楽活動だけはコンスタントに続いてきました。
 笠原弘子の影響力を本当に凄いかなと思ったのは、いつかの岩男潤子のイベントに行った時、目標とする歌手として笠原弘子の名前が挙げられたからです。アイドルやめて声優に流れてくる人も少なくはありませんが、岩男潤子の場合はセイントフォー解散から声優になるまでにかなりの苦労を経てきた人で、確かに声優としては笠原弘子の方が大先輩だろうけど、歌は自分の方が先輩だってこだわりがあって普通なんですが……。ま、その当時にラジオ番組か何かで一緒だったとかでリップサービスみたいなことだったのかも知れませんが……

 笠原弘子といえばいまなおカチュアや「未来派Lovers」といった単語が浮かんでくる世代からすればやはりピュアなイメージの残る『Semi-Precious Stone』や『恋愛性理論~Part1~』がベストアルバムであったり、それよりやや大人っぽく本格的なシンガー志向になった『さよならがくれたのは』や『本当の私』、あるいは別系統で『L'EXPRESS FANTAISIE』に始まる幻想シリーズといったところに馴染みが深いところで、『NEO DECADENCE』以降の迷走ぶりには置いてけぼりを食ってるような感じなのは否めません。

 そんな笠原弘子の最新のミニアルバムがこの『H・K』。「H・K」というのはもちろん本人のイニシャルですが、今になってこういうタイトルでミニアルバムを出すことにどんな意味があるのかというのが謎のところです。(アルバムの発売予定に別の仮題が付いていたこともあったので、最初からタイトル通りのコンセプトで作られたわけではないみたいですが……)
 収録曲は以下の通り。

 01. I will be there
 02. 恋歌
 03. I DREAM~ハート壊れそう
 04. My Best Friend
 05. 夏のリトグラフ 2005
 06. ひこうき雲

 「I will be there」は軽く自然体で日常を謳歌してる感じの曲。一般的なギター、ベース、ドラムスによるロックバンドの伴奏。あえてアレンジに凝らない今風な雰囲気の曲を笠原弘子向けに作ってみましたという感じで、単調な曲そのものに主張とかいうものは感じません。
 良くも悪くも今の笠原弘子をそのままの形で出してみましたという曲って感じがしますね。

 「恋歌」は少しハードでアダルトな感じの曲。バックはサックスやトランペット、ピアノを中心にしたジャズバンドといった感じ。雰囲気的に後期の山口百恵を思わせるような70年代風の歌謡曲風のイメージですか。30代の女性の激しい恋を歌ってるという感じです。
 アニメソングっぽいものを除けば、どちらかといえばアコースティックな方向で勝負を賭けてくることが多かった笠原弘子にとっては、この手の曲でここまで激しいバックの曲というのは珍しいと思います。聴いた印象としては口先だけで伴奏を追ってるという感じで、声があまり伸びていないような気がしました。もとより声を張り上げるようなスタイルの人ではありませんから、あまり激しいバックと張り合うというのも想像しにくいものですが、このあたりはミスマッチな曲かなと思います。

 「I DREAM~ハート壊れそう」はサックスとギターを伴奏に使った、ゆったりとしたバラード系の曲。
 全曲とは違ってバックが抑え気味なので、それと反比例してボーカルが十分に伸びてるように感じます。いかにも笠原弘子らしい歌声を引き出せてる曲ですね。
 間奏部分のスキャットが(バックコーラスではない)、これまた笠原弘子らしい感じでなかなか良い雰囲気です。彼氏だかダンナだかに寂しかったよって甘えてるって感じの歌なんですが、こんな風な声で迫られたらイチコロですね。

 「My Best Friend」……といってもアニメソングじゃないよ。ドラムスが派手なライトポップ調ののアップテンポの曲です。
 ずっと一緒にいて喜びも悲しみも分かち合い心の支えになってきた親友と別れてひとり立ちする決意を歌い上げるって感じのポジティブソング。笠原弘子の歌う友達というと、表面上はベタベタしてるんだけどいざという時には素っ気無いって感じのドライなイメージがあるのですが、これはもっと本質的に結びついた真の友との別れって感じですね。
 たぶん相手にはずっと心配を掛け続けていたんだけど、もう大丈夫って感じで強がって前向きに進もうという感じが伝わってきますが、こういうシチュエーションでのポジティブになれる曲というのも斬新な気がします。ま、最近の笠原弘子って感じなのでしょうか。

 「夏のリトグラフ 2005」はスローペースの曲。ひと夏の思い出を振り返ってって感じで、切ない感じの歌声にどことなく高中正義を思わせるトロピカルなメロディーの曲です。
 夏の光景ってこともあるんだろうけど、『Nature』とか『Siesta』を今の笠原弘子でリメイクすればこんな感じになるのかなぁ……と思ったりもしました。

 「ひこうき雲」はしんしんとゆったりした感じのシンセの伴奏で始まる淡々とした感じの曲。後半、ギターとパーカッションが入って来て普通の曲っぽくなって来ますが、非常に穏やかな曲です。
 笠原弘子の歌は、日常光景の中から遠い過去を振り返ってるという雰囲気を切々と歌い上げてる感じですが、すべてはもう思い出になってしまったって感じの曲ですね。

   ☆ ☆ ☆

 期待していた以上には笠原弘子の魅力を引き出していたアルバムのように思います。下手に凝ったアルバムにしなかったのが良いというか、そんな感じですが。ただ、やはり何でいまさら『H・K』ってタイトルなのかがアルバム自体からは伝わって来ません。
 それに難を言えば続きが見えないって話ですね。このミニアルバムの先に新しい笠原弘子の音楽世界が広がっているかといえば、そうではなく、これもここ数年続いてる単発企画の一つに過ぎないって感じなのです。
 もっとも今さら幻想シリーズのようなものを音楽家とペアを組んで作るには、本人の歌にそれだけの柔軟性が無くなってきてるって感じなのかもしれませんし、いろいろと事情はあるのでしょうから無理を言っても仕方がありませんが。
 今回のミニアルバムでも笠原弘子の歌は確かに笠原弘子の歌なんだけど、もう20代の頃のような瑞々しくて張りのある歌とは別物なんですね。30代ももう後半に入った笠原弘子としての音楽志向というものを確立したアルバムというものを聴いてみたいのですが、まだそこのところであれこれ試行錯誤を繰り返してる最中のようです。
 ま、そんなこと言いながら聴いてる方だってもう若くは無いんですけどね。

(発売元:コイーライツバンク GNCA-7019 2005.09.22)

HK
HK

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2006.08.29

Flower|折笠富美子

 個人的には清楚なキャラが多いかなというイメージを持ってる折笠富美子ですが、改めて出演作を確かめてみると、意外とそうでないキャラの方が多かったりして、人の印象というのはあまり役には立ちませんね。
 代表作を1つ挙げろといえば『最終兵器彼女』のちせかなって気がしますが、フィリエル(西の善き魔女)やパシフィカ(捨てプリ)みたいな活動的なお姫様役というのも印象に強いですね。

 そんな彼女の2枚目のアルバムがこの『Flower』。1枚目のアルバムが『真月譚 月姫』の頃だったから2年ぶりぐらいの発表ですか。
 収録曲は以下の通り。

 01. Flower
 02. 答えは胸の中にある
 03. 嘘つきなあなたへ
 04. クラス・メイト
 05. 音の花
 06. -18cm~いちあまりの裏側~
 07. さくらピエロ
 08. 勝算アリ
 09. 39.5℃
 10. シアワセの波
 《bonus track》 ムシとフラワー

 「Flower」はマーチテンポの元気な曲。表題曲ということでCMでも盛んに流れていたので耳に馴染んでる感じです。前半はゆったりと流すような、やわらかく爽やかな歌声です。後半、サビの付近は一転して高音でアクセントを効かせたボーカルが印象的。
 全体的に、爽やかに元気付けてくれる感じの曲です。

 「答えは胸の中にある」はややスピーディーな曲。ボーカルはドラマティックにというか、刹那的で回想的に歌い上げてる感じで、マイナー気味。全曲のような華やかで浮付いた雰囲気はどこにもありません。ただまっすぐに歌い上げる中に垣間見られる曲の広がりにカッコよさを感じます。

 「嘘つきなあなたへ」は前曲に引き続いてマイナー系の雰囲気の曲。歌詞は普通なのに何故か宿命とか運命とかの何か淡く儚げなイメージが感じられますが、中盤のやわらかく優しい感じのボーカルがそれを和らげてくれてる様子です。
 全般的に声の透明感を強調したようなつくりで、透き通った声の伸び具合がきれいに聴こえます。

 「クラス・メイト」は『苺ましまろ』のED曲。シングルを出さずにアルバムを買えってあたりがジェネオン商売の見本のような曲ですが、まんまとアルバムを買わされてる人間が書いても客観的ではありませんね。
 アカペラっぽい始まりから、全体的にゆったりとしたアコースティック風の曲です。サビのあたりとか少しエフェクトを効かせ過ぎって感じがありますが、声優・折笠富美子の声をイメージしてアルバムを聞いてる人にはここらあたりの曲が一番安心できそうな感じです。

 「音の花」はゆったりとしたバラード風の曲。どちらかというと中島みゆきとかあたりの80年代のニューミュージック系の作りって感じがします。笛とギターをメインとした南米風のちょっとエスニックな伴奏にメッセージを乗せて語ってるって感じですね。

 「-18cm~いちあまりの裏側~」はちょっとコメントしづらい不思議な感じの曲です。エコー掛かったボーカルがまるで妖精のダンスのような弾む感じで歌ってるイメージですね。

 「さくらピエロ」はバイオリン+ピアノの伴奏によるホッとするような暖色系の曲。前半はゆっくりとしたバラード風ですが、後半はボーカルが伴奏の助け無しに、とつとつと語るように歌い上げてるのが印象的。けっこうどんな曲でも歌いこなせるという折笠富美子の芸達者ぶりを見せ付けてくれてる感じかな。

 「勝算アリ」はヒップホップ風のボーカルによるストリートダンス風の曲。伴奏のサックスが雰囲気を添えていますが、このアルバムの中では飛び抜けて異質な感じがする曲であることは否めません。
 前曲にも増してボーカルの歌というか語りがすべてという感じですが、それをまるで自然にこなしてるあたりがどこか少し怖いくらいですね。

 「39.5℃」はささやくような声をエフェクトで強調した、どこかコケティッシュというかポエム的な日常風景を語ったような曲。真っ先に頭に浮かんだのは笠原弘子の『本当の私』なんですが、そんな風なニューミュージック系の流れを汲む90年代のJ-POP風のイメージです。

 「シアワセの波」はウクレレ風のギターと民族風パーカッションが伴奏のトロピカルなアコースティック曲。淡い感じのゆっくりとしたボーカルが南の島ののんびりとした光景を思い浮かばせてくれます。セレナーデ風の甘くて優しい声が魅力的な曲です。

 「ムシとフラワー」はマーチ風のリズムの曲。1曲目の「Flower」と対をなしてる感じですね。歌い方は淡く、甘く、軟らかくという感じ。後半、一転してリズムに合わせてボーカルに強いアクセントが付いてきます。
 間奏部のバグパイプが印象に残る中、サビのリフレインの伴奏の弱い部分の声が聴き物です。全般的にボーカルののびやかな部分が魅力的に引き出されている曲ですが、同じ曲の中で声の出し方が4つぐらい異なった方法で歌っているのが印象的ですね。
 ラストがアカペラで終わってるのが曲自身はすっきりしてて良いのですが、アルバムがここで終わってしまうと、ちょっと不安を感じてしまう感じですが……

   ☆ ☆ ☆

 アルバムを通してみて、寒色系の無機質でマイナー系の曲調で仕上げてる傾向が強いように感じます。折笠富美子の透き通った声を引っ張り出して、それを最大限に印象付けるにはそういう作りの方が良いのかもしれませんが、ファンとして聴いてみて魅力を感じるのはそんな透明な声の場所じゃなく、少し濁っていても暖かで柔らか味のある声の方なんですね。
 そういう面はあっても、その一方でこのアルバムは折笠富美子からどれだけのものが引き出せるのか、その可能性を見せてくれていることは確かです。

(発売元:ジェネオン GNCA-1056(限) / GNCA-1057 2005.09.14)

Flower(初回限定盤)(DVD付)
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Flower
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2006.08.08

坂本真綾|夕凪LOOP

 声優さんの中には役柄としての演技よりも音楽活動の方が印象に残る人がいて、グループこまどり時代の先輩に当たる笠原弘子なんかその代表的な存在なのですか、坂本真綾の場合もどちらかというとそういうイメージがあります。もっとも、彼女の場合は最近でもルナマリア(ガンダムSEED DESTINY)とか、藤岡ハルヒ(桜蘭高校ホスト部)とか、そっちのほうでもけっして印象が薄いわけではないのですが。
 でも、そういうイメージがあるのは、これまで大事に音楽活動を育んできたという実績が伝わってくるからですね。そんな彼女の音楽活動に転機を迎えたという感じなのがこのアルバムです。
 坂本真綾の歌と言えば出世作『天空のエスカフローネ』の縁か、長らく菅野よう子によるプロデュース作品が続いてきましたが、今回の『夕凪LOOP』は菅野よう子の世界から脱却したアルバムということで、今後の音楽活動を占うためにも注目されるところです。

 それでは収録曲です。

 01. Hello
 02. ハニー・カム
 03. ループ
 04. 若葉
 05. パプリカ
 06. My Favorite Books
 07. 月と走りながら
 08. NO FEAR / あいすること
 09. ユニゾン
 10. 冬ですか
 11. 夕凪LOOP
 12. a happy ending

 「Hello」は穏やかなバラード系の曲。坂本真綾らしいのびのびとしたボーカルが感じられます。アルバムの最初にアーチストの魅力をストレートに出してきた真っ向勝負の曲といえるでしょう。

 「ハニー・カム」はアップテンポのイントロで始まる曲。ところがボーカルが始まったとたんにドラムス以外の伴奏が引っ込んでしまう感じで、極力ボーカルを表に出した感じになります。透明感あふれるボーカルがこれに応えるように曲をリードしていきます。サビになって普通に伴奏が復活する感じですが、爽やかで気持ちの良い曲です。

 「ループ」は『ツバサ・クロニクル』(第1期)のEDで耳に馴染みが深い曲です。歌うというより歌詞を紡いでるという感じのバラード。サビになって一転してのびやかなボーカルが歌い上げるという感じですが、歌の魔術師のような作品ですね。とりあえず現在(アルバム発売当時)の坂本真綾を代表する曲です。

 「若葉」はスローロックのリズムに、ゆったりとして澄んだボーカルの曲。タイトルに現れてるようにのびのびとした生命力とか若々しさというものを感じさせてくれる曲ですが、特にサビの部分の声の伸び具合が魅力的です。
 サビの辺りでテンションを落とした部分のボーカルがなぜか笠原弘子に非常によく似て聴こえるんですが、昔からのこととはいえ、こればかりはいつまで経ってもついて回るんでしょうか……

 「パプリカ」は少しトロピカルでポップな曲。どちらかというと原由子とか谷山浩子とか、その辺のニューミュージック系の印象を受ける曲で、キッチンから見たのんびりとしたちょっとポエトリーな日常風景ってイメージです。

 「My Favorite Books」はゆったりとしたテンポの曲調なのに激しいリズムのバックバンドに、どことなくアバンギャルドなボーカルの曲。曲全体がマイナー調がベースで、歌いにくそうな曲なのは確なように思われます。ちょっと馴染みにくい曲かな。

 「月と走りながら」はゆっくりとしたギターバックのアコースティックな曲。ボーカルの力が活きる曲ですね。途中で入ってくるバックコーラスがなかなか絶妙な味付けをしてくれています。曲中におもいっきり低音の部分があるのですが、ここばかりはさすがに声が苦しそうな感じです。

 「NO FEAR / あいすること」はピアノ伴奏でしっとりと歌い上げてる曲。やはりアカペラっぽいボーカルの魅力もさるものながら、この曲は途中で何度も複雑に曲調が変わってるのですが、それを見事に歌い切ってる辺りはさすがです。

 「ユニゾン」はなかなかユニークな曲ですね。ピアノ伴奏のアカペラな出だしから始まって、それがオーケストラバックに盛り上がってくるかと思えば、コーラスのユニゾンが独特のハーモニーを奏で、後半がらりとアップテンポな曲調のポップスバンドに変わったかと思えば、最後は再びピアノ伴奏のアカペラタッチに戻ってゆっくりと終了。
 曲の作りとしては様々な形態の伴奏とのユニゾンを転々と繰り返していくといった趣なんでしょうけど、ユニゾンという観点で印象に残ったのはコーラスのところです。この部分、まるで坂本真綾が複数いて歌ってるかのようにインパクトがあります。

 「冬ですか」は高らかなトランペットのイントロで始まる、少しルーズな趣のあるジャズ系のバックバンドの曲。少しアダルトでアップテンポな曲ですが、けだるく甘えるようなボーカルが特徴的です。サビに向かう盛り上がり部分の歌い方になかなか魅力を感じます。

 「夕凪LOOP」はピアノとエレクトリック系の楽器によるムードバンド風のバックバンドの曲。つぶやくような歌い方から始まって徐々に声を張り上げていく歌い方はどこかシャンソン風の雰囲気があります。サビの部分でそれは絶頂になるわけですが、最後までテンションを落とさず見事に歌い上げてるところが立派です。
 ただ、アルバムの表題曲なんですが、これがこのアルバムを代表するかというと、違うような気がしますね。

 「a happy ending」はピアノ伴奏のアカペラ風でメルヘンチックな感じの曲。やわらかく弾むような、スキップするようなメロディー。どちらかというとフォークダンスにでも流れてそうな曲です。サビの部分でコーラスが重なってる部分が印象的です。

     ☆ ☆ ☆

 坂本真綾のボーカルの魅力というものを改めて思い知らしめてくれた1枚です。
 菅野よう子という巣箱にいた雛が、立派に巣立って飛び立っていったという感じでしょうか。以前の坂本真綾に比べるとボーカルが一皮向けて、より主体性を持ってきたというところでしょうか。
 菅野プロデュースの作品はそれはそれで素晴らしいんだけど、坂本真綾の素の歌声を引き出してはいるものの、あくまで主体性は菅野よう子の音楽の方にあったという感じ。いわばボーカルというよりもコーラスとしての役割が大きかったんじゃないかなという気がします。
 今回のアルバムは明確にボーカルとしての主体的な役割を坂本真綾に求めていますし、素の歌声の魅力だけではなく、歌手としての技量まで引き出されているように感じました。主体的な歌手としての坂本真綾の旅立ちというところです。
 鳥籠で歌うカナリアが良いのか、野山でさえずるウグイスが良いのかは聴く人それぞれの嗜好ですが、個人的にはこれからの坂本真綾を期待したいと思えるアルバムだったと言えます。

(発売元:ビクターエンタテインメント VICL-61755 / 限VIZL-155 2005.10.26)

夕凪LOOP(初回限定盤)
夕凪LOOP(初回限定盤)

夕凪LOOP(通常盤)
夕凪LOOP(通常盤)

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2006.07.14

野川さくら Cherries

 野川さくらといえば、ちょうど自宅にCATVが入った頃にキッズステーション製作のアニメ作品にやたら出てた人というイメージが強いですね。そして、それらの作品の主題歌を歌ってたから、最初から歌とは切り離せない印象の人でした。
 やがて影山ヒロノブのプロデュースでオリジナルの歌も歌い始め、キッズステーション以外のアニメ作品でも多く見掛けるようになって、今ではそれなりのポジションを維持している一線級の声優さんになってきた感じです。

 すでに何枚もオリジナルアルバムを出していて毎年ライブツアーを開いている野川さくらですが、今回のアルバムは初期の頃から『φなる・あぷろーち』までのアニメの主題歌やキャラクターソングを集めたものです。

 01. SAKURA…舞い散る空へ
   (「SAKURA~雪月華~」IM)
 02. thunder of PP
   (「アーケードゲーマーふぶき」OP)
 03. 心配かけてゴメンね?
   (「D.C.~ダ・カーポ」朝倉音夢CS)
 04. 今日、笑顔があれば
   (「ゲートキーパーズ21」ED)
 05. One Drop
   (「おとぎストーリー 天使のしっぽ」ED)
 06. ラブロケ☆パイロット
   (「舞-HiME」宗像詩帆CS)
 07. アクビ娘
   (「よばれてとびでて!アクビちゃん」ED)
 08. Lip to Love
   (「D.C.~ダ・カーポ~」朝倉音夢CS)
 09. 100%SmileJuice
   (「φなる・あぷろーち」益田西守歌CS)
 10. 竹箒にまたがって
   (「SAMURAI GIRL リアルバウトハイスクール」鬼塚美雪CS)
 11. 風のMon-Ami
   (「あずまんが大王」かおりんCS)
 12. 薫のミラクル・スパイラル・ラブ!
   (「ぴたテン」御手洗薫CS)
 13. ぽっぴん☆らっぴん
   (「ななか6/17」霰玉久里子IS)
 14. 恋のときめきチャンス!
   (「アーケードゲーマーふぶき」IS)
 15. 君色パレット~acoustic version~
   (「φなる・あぷろーち」OP)

 「SAKURA…舞い散る空へ」はゲームソフト『SAKURA~雪月華~』のイメージソング。ゲームの名前自体は当時CMでよく流れていたので記憶にありますが、作品そのものは知りません。
 印象としては舞い散る桜に思いを託してるって感じの定番的な作りの曲かな。花と共に散る恋と、春に始まる恋。いったいどっちなんでしょうか。

 「thunder of PP」はOVA『アーケードゲーマーふぶき』のOPテーマ。「PP」というのはパッションパンツの略ですが、作品を知らないと何のことやらわかりませんね。この曲を最初に聴いたのは発売の前年のエモーションフェスティバルで製作発表がされた時の生ライブ。こんなに早くから主題歌を作ってるのかと感心した覚えがあります。
 当時の野川さくらの他の曲と比べたら、これだけ激しいアクション系の曲は初めて聴いた感じで新鮮だったかな。

 「心配かけてゴメンね?」は『D.C.~ダ・カーポ~』の朝倉音夢のキャラクターソング。当時、CMで流れていたのか、数ある音夢の曲の中でそれなりに聞き覚えがあるのはこの曲だけです。
 妹キャラという点をストレートに押し出した甘ったるい曲。後になったら音夢の曲も普通の恋人キャラって感じになって「妹」成分がどんどん希薄になってる感じがするから、これはけっこう貴重ですね。

 「今日、笑顔があれば」は『ゲートキーパーズ21』のEDテーマ。作品の方は割りと最近、CATVでやってたのをパラパラと見ただけですが、それでもこの曲の印象は非常に大きいという主題歌の鑑のような曲です。一度聴いたら忘れられない畳み掛けるようなメロディーにパワーのあるボーカル。これが野川さくらの歌だとは気付きませんでした。
 作品の中身は忘れてもテーマ曲は忘れないような、とにかくパワフルな名曲です。

 「One Drop」は『おとぎストーリー 天使のしっぽ』のEDテーマ。いわゆるキッズステーション作品の1つです。野川さくらはインコのツバサ役で出演していますが、それまでおとなしいキャラのイメージだった印象を変えるキャラクターでしたね。
 淡々としたバラード系の曲ですが、この作品の守護天使たちが元々は死んだペットだったということを考えたらどことなくしんみりとしたレクイエムに聞こえてきたりしてしまいます。

 「ラブロケ☆パイロット」は『舞-HiME』の宗像詩帆のキャラクターソング。詩帆というキャラクターは後半、舞衣への嫉妬からどんどんダークな方向に性格が変わっていくのですが、これはそれ以前の詩帆のイメージですか。間違っても『舞-乙HiME』のシホのキャラソンではありません。
 ロケット絡みの歌詞があるから何か別の宇宙物の作品の曲かなと思ってしまうくらい、あまり詩帆には結び付かないですね。確かにシリーズ前半のきゃぴきゃぴとしてぶりっ子の甘えキャラだった詩帆なら、芝居としてこんなことを言い出しても不思議ではないと思いますが、キャラ自身とはどこか違うような気がします。でも、単独の曲としては好きな感じの曲です。

 「アクビ娘」は『よばれてとびでて!アクビちゃん』のEDテーマ。これは長らくCD化されてなかった曲で、当時、握手会のイベントで御本人にそのことが残念だと言ったら、即座に目の前で歌ってくれたことがあって心に残っています。
 オリジナルが堀江美都子ということもあって昔から割とメジャーなアニメソングですから本人も慣れ親しんでいたのか、こうしてCDで聴くと初期の曲の中では一番無理なくまっすぐ歌えてるような気がします。

 「Lip to Love」は、これも朝倉音夢のキャラクターソング。音夢だけ2曲も入っているのは一番の代表的なキャラだということでしょうか。第1シリーズの『D.C.~ダ・カーポ~』ではキャラ別のマキシシングル1枚に、キャラソンのアルバム2枚、さらに音夢は(さくらと頼子も)ミニアルバム1枚出てたから音夢の歌だけでかなりの数になってるはずですが、そこらのCDは買ったけど開封すらしてないのが多いので、残念ながら聴き覚えがありません。
 曲のイメージとしては夏の海ってところかな。アップテンポでかっこいい感じの曲で、向かうところ敵無しの最強ヒロインってところですか。

 「100%SmileJuice」は『φなる・あぷろーち』の益田西守歌のキャラクターソング。西守歌は非常にユニークなキャラで、腹黒系の美少女かと思ったらその腹黒さはすべて一途さの現われなんですね。
 昔の歌謡曲っぽいアレンジが西守歌の少し古風で一途な感じをうまく表してる感じに仕上がっていますが、どっちかというと勝手に自分の世界を作り上げてるような感じが無くも無いですね。

 「竹箒にまたがって」は『SAMURAI GIRL リアルバウトハイスクール』の鬼塚美雪のキャラクターソング。これもキッズステーション製作の作品です。この鬼塚美雪というのは神社の巫女さんでしたか。巫女さんが境内を掃いてる竹箒を魔女が空を飛ぶ箒に見立てて、魔法少女チックな思いを綴った歌ですね。初々しさが漂いまくってたまりません。
 ひたすら清楚でかわいらしい感じの曲です。

 「風のMon-Ami」は『あずまんが大王』のかおりんのキャラクターソング。かおりんって言っても、個性的なキャラクターの多いこの作品の中では目立たないキャラでしたが、歌の方はOPテーマのイメージをそのまま持ってきたような曲で、これといったキャラの主張が無いところがかおりんらしいというところですか。

 「薫のミラクル・スパイラル・ラブ!」は『ぴたテン』の御手洗薫のキャラクターソング。『ぴたテン』も美紗や湖太郎や紫亜は覚えてても、その他の脇役はさっぱりって感じで、この薫も曲を聴いてそういうキャラもいたなと思い出した感じです。
 歌の方はこういうキャラと割り切ってるからか、無理とか気負いも無くストレートにまっすぐ歌ってるという感じ。この人は割とバラード系の曲が多いんだけど、どことなく意識して気負いがちに歌ってるような印象があるんですが、この曲はイケイケって雰囲気でそんな感じがまったく感じられなく、ある意味聴きものです。

 「ぽっぴん☆らっぴん」は『ななか6/17』の霰玉久里子のキャラクターソングということですが、全然知りません。作品自体知らないからキャラクターソングといわれても馴染みも何もありませんね。
 曲の方はキャラソンらしいコミカルな感じで、少しばかり騒がしいというところ。

 「恋のときめきチャンス!」は『アーケードゲーマーふぶき』の挿入歌。いや、本編はほとんど見た記憶が無いので、どこで使われたとか使われてなかったとかはわかりません。
 アップテンポでカッコいいフレーズのサビで始まったかと思ったら、曲の本体はコミカルなキャラソンで、この辺のアンバランスさが微妙な魅力ですね。

 「君色パレット~acoustic version~」は『φなる・あぷろーち』のOPテーマのアコースティックバージョン。オリジナルはポップで可憐な曲で、野川さくらの代表曲と言っても良い仕上がりの曲です。この acoustic version はそれをスローテンポにアレンジしなおした曲ですが、原曲自身ストリングスが印象的に使われてるのにその部分をそのまま残してアコースティックバージョンと言われても、ちょっと中途半端な仕上がりに感じてしまいます。
 好みで言えば、もっとアカペラっぽく作って欲しかったですね。

   ☆ ☆ ☆

 ごく初期の作品から比較的最近の作品まで、アニメ関係の野川さくらの曲を集めていて、声優・野川さくらの成長の足取りをたどるのに興味深い1枚だといえるでしょう。
 ただ、権利の関係上、他社音源が収録されにくいのは仕方の無いことでしょうが、『リアルバウトハイスクール』では同じポニーキャニオンから出ていた「竹箒にまたがって」が入ってるのに作品のEDテーマである「負けないで...片想い」が入ってなかったりするのは寂しいですね。
 おそらくメジャーなメディアで流れた野川さくらの最初の曲だと思いますから、出来ることなら無理をしてでも収録して欲しかったと思います。

(発売元:ランティス LACA-5415 2005.08.03)

野川さくら キャラクター&テーマソングベスト Cherries
野川さくら キャラクター&テーマソングベスト Cherries

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2006.04.08

小清水亜美 ナチュラル

 ナージャ(明日のナージャ)、塚本天満(スクールランブル)役で存在感をアピールした若手実力派声優、小清水亜美のファーストアルバムです。
 昨今は声優学校やら養成所やらが充実してきたため、若手の声優さんと言っても高校卒業後にその方面に行って、デビューしたらもう20歳過ぎとかいうのが珍しくないイメージなのですが、その一方で、劇団の子役上がりで10代から仕事をやってる人は一味違う印象があります。
 小清水亜美も20歳になったばかりということでナージャの頃は高校生ですが、その頃から見せている大器のつぼみはずいぶんと膨らんできたけど、未だ花びらを満開には時間があるって感じで、これからの成長も大いに期待できる人でしょう。

 歌の方面ではキャラクターソングは幾つか歌ってきたものの、自分名義のオリジナルはこれが初めてということで、すべてがこれからの人ではありますが、どんなアルバムなのかは気になるところです。
 収録曲は以下の通り。

 1. CIRCLE GAME
 2. CREAM
 3. ココロの深いトコロ
 4. scene11
 5. この恋は忘れない
 6. 約束
 7. MESSAGE
 8. Present
 9. SUPER GIRL
 10. dear friend
 11. SAKURA Fallen

 全体的に感じたのは、何か80年代のアイドルのファーストアルバムといった感じ。具体的にどうというわけではないのですが、昨今の声優さんのアルバムとはどこか違った印象を受けます。

 個々に印象に残った曲としてはまず「ココロの深いトコロ」。このアルバムの中ではおとなしめの出だしの曲ですが、温かくしんみりと心を和ませてくれる感じから徐々に力強さをこもってくる感じが素敵です。
 軽快なライブ仕立ての「MESSAGE」。アルバムを1つの世界と考えたら、その中でライブで歌ってる現実音楽のような雰囲気です。ライブにしちゃ拍手がまばらなのが気になりますが、小さな酒場で身内のパーティーで歌ってるって感じでしょうか。
 そしてラストの「SAKURA Fallen」。舞踏会のダンス曲のような優雅なワルツですけど、それをはつらつと歌い上げてるところが特徴です。

 歌の方はこれからって感じですが、今の小清水亜美という世界をそのままに歌い上げてるって感じがするのは清々しく思います。特に意識した歌い方では無いんでしょうけどアルバムを通して聞けば、これが全体で1つのミュージカルの曲を歌ってるんじゃないかというようにも聴こえてきます。この辺は劇団若草での経験が影響してるのかもしれませんが……
 『ナージャ』なんか良い素材なんだけど、こうなったら小清水亜美を主演にしたミュージカルアニメでも見てみたい気がしますね。華やかで楽しく思いっきり元気なミュージカルを。

(発売元:コロムビア COZX-204 2006.03.22)

ナチュラル(初回)(DVD付)
ナチュラル(初回)(DVD付)

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