アニメギガ「作曲家・大島ミチル」
このところ更新を怠ってますが、生活環境の変化とかでなかなか音楽に集中できない状況です。ま、コンサートの感想とかもまとめてないのが何個かあるのですが、時機を逸すると載せにくいとかいうのもあるので……
さて、9月20日にBS2で放送された『アニメギガ』(http://www.nhk.or.jp/animegiga/)のゲストは大島ミチルさんでした。『アニメギガ』では過去にも田中公平さんや川井憲次さんがゲストで出ていますが、田中公平さんはアニソンの作曲家としての扱いが強かった感じだし、川井憲次さんはちょうど『スカイクロラ』の頃だったから押井作品絡みのカリスマ作曲家的なイメージな気がしたから、純粋にアニメの劇伴作曲家としての話題に期待できそうなのは初めてじゃないかと期待していました。
もっとも、大島さんにしても今となっては大作志向の(作品で起用される)作曲家ってイメージがしますから、もっとテレビアニメを中心に地味でやってる作曲家をゲストで呼んでもらった方が、それはそれで生々しい業界の話が聞けそうな気がしますが。
大島ミチルさんといえば、個人的には『ミラクル☆ガールズ』とか『アークザラッド』とか『魔法のステージ ファンシーララ』という辺りが強く印象に残っていますが、番組中で触れられていたのは最初のアニメ作品『セントエルモ 光の来訪者』、代表作といわれる旧作『鋼の錬金術師』、そして最新作の『妄念のザムド』の3作品でした。
『セントエルモ』なんて、よく引っ張り出してきたなという感じですが、これ、『松本零士音楽大全』にも音源が入らなかったくらいだから、サントラ盤とかは出てないんですよね。(石川優子の主題歌すら出てたかどうか……)
個人的には思い入れの深い『ミラクル☆ガールズ』についても何か語って欲しかったところですが……
大島さんがロシアのオーケストラを使ってることにちょっと触れていましたけど、あんまり深い業界事情とかまでは踏み込んでませんね。要するに、80年台末から90年台初頭のロシア・東欧革命で社会主義が滅んだ結果、ロシアや東欧のオーケストラは国家の保護が無くなって経営が苦しくなったので、伝統ある有名オーケストラも外国からのレコーディングの依頼とかを積極的に受けるようになったのですが、一方、日本でもアニメや映画音楽でフルオーケストラを使いたいけど、国内のオーケストラを使うと人件費や会場費で莫大な予算が掛かってしまうから、比較的低予算で使えるロシアや東欧のオーケストラを使ってレコーディングする作曲家が90年台中盤以降から増えてきたってところですね。
ま、大島さんが言ってるように、日本のオーケストラより外国のオーケストラの方が体格の関係でブラスが豊かに聴こえるって面もあるでしょうけど。
(確かに日本のオーケストラと欧米のオーケストラを聴き比べると、向こうのオーケストラはブラス主体に聴こえて、逆に日本のオーケストラはストリングス主体に聴こえるって印象はよく感じますが、この辺は国民性による音の好みも関係してるって気もします。日本人はモーツァルト好きな人が多いようですが、モーツァルト時代のオーケストラはまだ金管楽器が未発達だったので、楽曲的にもストリングス主体のものが多いみたいですし……
昔、確かロサンゼルスでレコーディングされた『交響組曲1000年女王』のLPを聴いたら、それまでに聴き慣れたアニメの交響組曲と違って、やけにブラスの音ばかり響いてると思ったけど、単に喜多郎のサントラを編曲したらそうなっただけかと思ってたら、その後、ゴジラとかの音楽を向こうのオケが演奏したのを聴いたらやはりストリングスよりブラスが強いんですよね。向こうの音源は教会で録音したとかいうのも多いから、設備的な音響の関係もあるのかと思ってたけど、その後もいろいろ聴いてると、やっぱり根本的にオーケストラの音が違うんだとわかってきました)
BSハイビジョンでも9月25日に放送があるようなので、興味ある人は見てみてください。
☆ ☆ ☆
番組中で触れられていた『亡念のザムド』と『鋼の錬金術師』
TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 1
TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 2
TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 3
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 オリジナル・サウンドトラック
アニメ以外の大島ミチル音楽を知るには……
『映画音楽ベスト』は過去に記事にしてるので、気が向いたらそちらも読んでみてください。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント