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2009.03.20

冬木透 CONDUCTS ウルトラセブン

 3月13日に東京オペラシティで催された『ウルトラセブンの音楽を創った男・冬木透 CONDUCTS ウルトラセブン』のコンサートに行ってきました。

 あすかはアニメや東宝特撮映画の音楽は好んで聴いていますが、テレビの特撮番組はその対象じゃないのだけど、昔から『ウルトラセブン』だけは何か魅かれるものを感じて、キングから出ていた『ウルトラセブン総音楽集』とか、90年前後にCD化された『交響詩ウルトラセブン』とかは聴いていました。

 思えば幼少の頃にしばしば再放送されていて、ちゃぶ台の前で胡坐を組むメトロン星人とか、何か口の中で飴のようなものを鳴らしながら語ってる第四惑星のロボット長官とかの光景が記憶の奥底に染み付いているんですね。
 カラータイマーが無かったり、カプセル怪獣を使ったりすることが他のウルトラ兄弟と一線を画してるところもセブンを特に印象付けた要素でもあったでしょう。
 そんな『ウルトラセブン』のオーケストラコンサートがあると聞けば、たとえ日本の東の果てであろうとも、万難を排して聴きに行かなければなりません。

 演奏は東京交響楽団。前身の東宝交響楽団の時代から映画音楽等のレコーディングの多いオーケストラですが、『ウルトラセブン』の音楽も当時の東京交響楽団の手でレコーディングされたものらしいですね。
 しかし、1500円もする有料のパンフレットに肝心の当日の演奏の主役であるオーケストラの構成メンバーに関する記述が何も無いのは頂けません。
 指揮は作曲者の冬木透本人というのが、今回のコンサートの目玉でもあるでしょう。

 演奏曲目は以下の通り

 01. 交響曲「ウルトラコスモ」
    第1楽章 太陽をこえて
         Allegro con brio, ma non troppo presto.
    第2楽章 光をあびて
         Moderato―Andante
    第3楽章 暗黒の淵から
         Lento misterioso―Moderato―Allegro barbaro
    第4楽章 輝きの環を…
         Finale:Allegro brillante
 02. 交響詩「ウルトラセブン」
    第1楽章 ウルトラセブン
    第2楽章 怪獣出現
    第3楽章 ウルトラホーク発進
    第4楽章 侵略者の魔手
    第5楽章 さよならウルトラセブン
 03. ウルトラ警備隊の歌
 04. ワンダバメドレー
 EC. ウルトラセブンの歌


 それでは演奏の印象などを。

交響曲「ウルトラコスモ」

 この曲は円谷プロの創立30周年記念の祝典曲として委嘱されて作曲された曲とのことです。セブンに限らず、『ウルトラマン』に始まるウルトラヒーローの音楽がモチーフとして組み込まれた本格的な交響曲です。

 第1楽章 太陽をこえて
      Allegro con brio, ma non troppo presto.

 「Allegro con brio」は「生気に満ちた」、「ma non troppo presto」は「しかし急速過ぎないように」という意味です。
 スタッカート気味のバイオリンとホルンの響きから始まります。勇壮な『ウルトラマン』のモチーフが現れ、やがてブラス主体の主題が奏でられていきます。穏やかなストリングスの調べに転じ、静かな『ウルトラセブン』のモチーフが現れ、やがてシンバルの鳴動と共に激しく勇壮に展開していきます。
 最後はホルンのファンファーレに始まる勇壮な後奏で終わる感じです。

 席が左前の方だったのですが、その近くにドラがあって、それがあまり他では見られないくらいコンサートを通じてしばしば使われてるから、なんかドラばかりがやかましい感じがしたのは否めません。
 それにしても、楽章の間で拍手をするなよ。

 第2楽章 光をあびて
      Moderato―Andante

 「Moderato」は「中くらいの速さで」、「Andante」は「歩くような速さで」という意味です。
 ブラスに始まるマイナーなバラード曲。ハープの伴奏を伴ったトランペットのソロが高らかに鳴り響きます。そこにストリングスが重なってきて、やがて懐かしい感じの穏やかなメロディーが流れてきます。そして、ストリングスが、継いでブラスがバラードを大きく歌い上げていきます。
 再びマイナーに転じて不安な感じのフレーズが続きます。
 ハープとホルンが穏やかなフレーズを奏で始め、ストリングスに展開していきます。そしてトランペットのソロを挟み、ゆっくりと穏やかに、やがて大きく盛り上がって収束していきます。

 第3楽章 暗黒の淵から
      Lento misterioso―Moderato―Allegro barbaro

 「Lento misterioso」は「遅く神秘的に」、「Allegro barbaro」は「快活に競うように」という感じの意味です。
 木管と鉄琴から始まる不安でミステリアスなサスペンスモチーフ。鉄琴とストリングスがスリリングで不気味な雰囲気を盛り上げていき、ショッキングなコードが緊張を打ち破ります。
 小刻みなストリングスがスリリングな主題を奏で、そしてティンパニーとドラとブラスの不協和音が不安を煽っていきます。さらにティンパニーの連打がサスペンス感を高め、ドラが緊迫感を煽ります。
 この辺りは次第に激しくなってくる怪獣の襲撃って感じですね。

 第4楽章 輝きの環を…
      Finale:Allegro brillante

 「Allegro brillante」は「快活に輝かしく」という意味です。
 ゆっくりとしたトランペットのファンファーレに始まります。低音のストリングスから次第に盛り上がって華々しく奏でられる『ウルトラマン』のモチーフ。『ウルトラセブン』の戦闘モチーフを挟んで、再び『ウルトラマン』が奏でられます。
 ドラの連打とティンパニーの乱打から一転してピンチの音楽。そして、確かヤプール辺りの襲撃のテーマかな。静寂からミステリアスでスリリングな展開。鉄琴と小刻みなストリングス、ホルンの響きが印象的です。
 やがて『ウルトラセブン』のモチーフが復活し、低音から盛り上がるように「ウルトラセブンの歌PART2」が奏でられていきます。
 最後はいったんスローテンポに転じて穏やかな収束を見せた後、勇壮で堂々とした演奏で「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌PART2」が奏でられて終わります。


交響詩「ウルトラセブン」

 これは『宇宙戦艦ヤマト』から始まる70年代のアニメブームの頃にアニメ音楽の商品化が進んだ頃、過去の特撮作品の音楽にも日が当たり、『交響詩ウルトラマン』とセットで新規にレコード化されたものです。90年前後にCD化されましたが、その後は入手困難になっていたのを、昨年だか一昨年だか辺りに復刻されてたように思います。
 自分は最初にCD化された時に買って聴いたものですが、今は部屋の奥底にしまいこんでしまってるので、掘り出してくるのが困難なので、コンサートの予習とかで聴き返したりはしてません。
 これは「交響詩」とか名乗ってるけど、独立した標題曲ということではなく、当時のアニメでよく出てたシンフォニー盤とかのように、原曲をほとんどそのままオーケストレーションしてメドレーで繋いだような形の作品です。

 第1楽章 ウルトラセブン

 ティンパニーとコントラバスの重低音、鉄琴のアクセントで始まるサスペンス曲。バイオリンのグリッサンドがスリリングさを醸し出してきます。
 バイオリンのポルタメントから曲調が一転し、ウルトラセブンのOP冒頭のファンファーレが鳴り響き、メインの「ウルトラセブンの歌」が始まります。とにかくホルンが目立つ曲ですが、隠し味でマラカスが使われてたのが印象的です。

 第2楽章 怪獣出現

 フルートで始まる穏やかなセレナーデ。日常の安息という感じです。
 一転して激しいサスペンス曲。ティンパニーとドラがメインという感じで、そこにブラスの不協和音が被ってきます。この辺りは『交響曲「ウルトラコスモ」』の第3楽章でも使われてた曲ですね。
 やがてチェロとコントラバスの低音から始まるサスペンス曲に移り、バイオリンのグリッサンドが不安を煽ります。そして、次第に激しさを増していきます。

 第3楽章 ウルトラホーク発進

 華やかな「ウルトラ警備隊の歌」から始まりますが、一転してゆっくりと低音で不気味なサスペンス曲に転じます。
 ティンパニーとスネアドラムがリズミカルなスリリングなピンチの音楽が奏でられ、やがて「ウルトラ警備隊の歌」のマイナーアレンジによる寂しげな哀歌が流れてきます。そして最後は再び勇壮な「ウルトラ警備隊の歌」で幕を引きます。

 第4楽章 侵略者の魔手

 パイプオルガンをバックに、ゆっくりと幻想的に始まるミステリアスなサスペンス曲。鉄琴のアクセントと、小さく鳴り続けてるドラが印象的です。
 やがてドラをベースに、バイオリンの胴打ちがリズムを奏で始めます。そして、小刻みなストリングスが鬼気迫る激しいサスペンス曲を奏でていきます。

 第5楽章 さよならウルトラセブン

 ブラスとティンパニーから始まるゆっくりとしたバラード調の「ウルトラセブンの歌」のマイナーアレンジ。哀愁漂うストリングスによる、穏やかでもの悲しいレクイエム。
 ゆっくりとしたバラードで始まる「ULTRA SEVEN」のフレーズから、「ウルトラセブンの歌」のマイナーアレンジが続き、やがて徐々にメジャーに転じていきます。途中に挟まれるストリングスの美しいフレーズが印象的です。


ウルトラ警備隊の歌

 『大怪獣バトルNEO』のテーマ曲を歌ってる中西圭三のリードボーカルに、サウンド・アンビション合唱団のコーラスを加えての演奏ですが……やっぱし、この曲は男声コーラスでやって欲しかったですね。


ワンダバメドレー

 冬木透といえばワンダバ!……ということで『セブン』とは違うけどプログラムに入ってました。
 最初が『帰ってきたウルトラマン』のMATのテーマで、元祖ワンダバ。意外とテンポがゆっくりだったのと、木琴が使われてたのが印象的。
 続いて『ウルトラマンA』の「TACの歌」。さすがにこの曲は児童コーラスが活きてる感じです。でも、ワンダバというからには歌詞入りの歌の方じゃなくて、男声コーラス入りの劇伴の方じゃないと……
 あと1曲ぐらいあったけど、知らない曲でした。『ウルトラマンマックス』辺りだとまだ記憶にあると思うから、『ザ・ウルトラマン』とか『ウルトラマン80』辺りの曲でしょうか?

     ☆ ☆ ☆

 『ウルトラコスモ』は初めて聴いたけど、本格的な作りの曲だったので、またじっくりと聴いてみたい気がします。幸い、6月にライブ盤がでるみたいですし。それまでには『交響詩ウルトラセブン』のCDも部屋から発掘しておきたいけど、さて。そういえば数年前にでた『ウルトラセブン』の全曲CDも未開封でどこかに転がってるはずです。

 ゲストトークのところでせっかく「ULTRA SEVEN」の話題が振られていたのに、アンコールでの演奏も無かったのがちょっと残念でした。

     ☆ ☆ ☆

Amazonで取扱中の『交響曲「ウルトラコスモ」』収録のアルバム。中古品を手に入れるしかないようですが。(今回のライブ盤が出るまで待つという手もありますね)

円谷英二生誕100周年記念CD BOX - Music from the works of EIJI TSUBURAYA -
円谷英二生誕100周年記念CD BOX - Music from the works of EIJI TSUBURAYA -


近年復刻された『交響詩「ウルトラセブン」』収録のCD。残念ながらジャケットは変更されてるようですが。

交響詩「ウルトラマン」「ウルトラセブン」
交響詩「ウルトラマン」「ウルトラセブン」


原曲の劇伴をコンプリートしたアルバムはこちら

ウルトラセブン コンプリート・コレクション
ウルトラセブン コンプリート・コレクション


「ウルトラセブンの歌」とか「ウルトラ警備隊の歌」のレコードバージョンはいろいろ出てると思うから、自分で探してください。

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