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2009.01.12

大阪センチュリー交響楽団/『ゴジラ』

 12月20日にいずみホールで催された堀俊輔指揮・大阪センチュリー交響楽団による《シネマでXmas》に行ってきました。
 大阪センチュリーというと以前に《のだめカンタービレの音楽会》を聴いて以来、それ以外というと数年前に『SF交響ファンタジー第1番』と『ゴジラVSビオランテ』その他の演奏を聴いたくらいですね。
 いうまでもなく、音楽でクリスマス気分を味わいたいとかじゃなくて、演奏曲目に『ゴジラ』とあったから、また『ゴジラVSビオランテ』みたいに珍しいものを聴かせてくれるのかと期待していたのですが、指揮者が《第2回伊福部昭音楽祭》の時の人だったのでまさかとか思ってたら、やはり《第2回伊福部昭音楽祭》で演奏されてたオリジナル版の演奏でした。

 演奏曲は次の通り。

 01. R.シュトラウス
   『交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》』冒頭
    (2001年宇宙の旅)
 02. J.シュトラウス2世
   『美しく青きドナウ』
    (2001年宇宙の旅)
 03. F.シューベルト
   『未完成交響曲』より 第1楽章
    (マイノリティ・リポート)
 04. W.A.モーツァルト
   『クラリネット協奏曲 イ長調 K.622』より 第2楽章
    (愛と哀しみの果て)
 05. W.A.モーツァルト
   『交響曲 第41番「ジュピター」』より 第4楽章
    (アニー・ホール)
 
 06. ヘンリー・マンシーニ
   『ムーン・リバー』
    (ティファニーで朝食を)
 07. 伊福部昭
   『ゴジラ』テーマ
    (ゴジラ)
 08. ハワード・ショア
   『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』メドレー
    (ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間)
 09. ジョン・ウィリアムズ
   『シンドラーのリスト』テーマ
    (シンドラーのリスト)
 10. アンドリュー・ロイド=ウェバー
   『オペラ座の怪人』
    (オペラ座の怪人)
 
 EC. ルロイ・アンダーソン
   『そりすべり』
    (ホーム・アローン)

 前半は映画に使われた既成のクラシック曲、後半は映画のために作られた音楽という構成ですね。

『交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》』冒頭

 お約束といえばお約束みたいなファンファーレ的な選曲。冒頭だけというのもよくある演奏です。ベートーヴェンの『運命』なんかも出だしだけ使われることが極端に多いですが、あれはちゃんと通して聴く人もそれなりに多いのだけど、この曲は果たしてフルで聴いたことある人どれだけいるんでしょうか。
 レコードとかではよく聴くけど、生で聴いたのは以前に『幻想軌道』のコンサートでアレンジされてたものぐらいだから初めてのようなものです。終始鳴り響いてる重低音って、ティンパニーが鳴りっぱなしなんですね。演奏中は気付かなかったけど、後でパイプオルガンの人が紹介されてたからパイプオルガンも使われてたようです。

『美しく青きドナウ』

 『2001年宇宙の旅』としてはこっちがメインの扱いですね。これもホルンの響く出だしのフレーズは馴染みがあるけどフルで聴くことはあまりないので、新鮮でした。確かCDでは持ってたと思いますが。
 様々なフレーズが展開されていきますが、ホルンが雄大に奏でた後、ゆったりと滑らかなストリングス主体に移って、最後は全体で華々しく盛り上がっていくというパターンの繰り返しみたいな感じですか。

『未完成交響曲』より 第1楽章

 シューベルトの『未完成』といえば、昔はベートーヴェンの『運命』のレコードのB面によく入ってた曲ですが、CD時代になってからはそういうカップリングはあまり見なくなりましたね。かくいう自分もレコード時代に何度か聴いてるはずですが、『運命』のインパクトの方があまりにも大きいためか、すっかり記憶がありません。最近は春に関西フィルの大阪市中央公会堂でのコンサートで聴いたばかりですが。
 割とスリリングでサスペンス的な曲調が特徴的な曲ですね。映画向きといえば映画向きかもしれません。演奏で印象的だったのは、非常にゆっくりした部分でストリングスのピチカートが入ったりしてるところ。ふつうピチカートってテンポの歯切れをよくするような効果で使われてる感じですから。

『クラリネット協奏曲 イ長調 K.622』より 第2楽章

 モーツァルトは自分にとって鬼門なのであまり知りません。
 クラリネット協奏曲と言っても、対するオーケストラは管楽器も打楽器もごっそり抜けて、ほとんどストリングスだけの小編成ですね。

『交響曲 第41番「ジュピター」』より 第4楽章

 管楽器や打楽器が戻ってきたけど、ブラスが少ない印象は変わりません。ベートーヴェンなんかと比べるとモーツァルトの作品ってストリングス中心で、ブラスがあまり使われてないって印象があるのですが、ものの本によれば当時はまだ金管楽器が未発達で自由に音を出せなかったから、オーケストラで積極的にブラスを使うというものではなかったようですね。
 それでもラストの盛り上がりにはホルンとかが重要に関わってる感じです。

『ムーン・リバー』

 これも映画音楽コンサートとかでは定番曲の一つかな。以前に関西フィルのコンサートでも聴きました。
 指揮者の人は映画好きということですが、ニューヨークに行った時にティファニーでパンを食べてきたとかとか言ってましたが、どこまで本当なのでしょうか。

『ゴジラ』テーマ

 いよいよメインの『ゴジラ』です。

  「メインタイトル」(M1)
 ストリングスが硬くてティンパニーが必要以上に規則的な印象で、全体的にオーケストラが奏でてるというより、サンプリング音源を叩いてるという感じに聴こえました。ま、演奏の幅を持たせた『SF交響ファンタジー』なんかと比べるとサントラ本来の演奏はこういう感じなのでしょうが、《第2回伊福部昭音楽祭》での演奏と比べても何か角ばってたように感じます。

  「フリゲートマーチ」(M11)
 映画ではブラスバンドの現実音楽。後に『怪獣大戦争マーチ』とかに発展していく伊福部マーチの原型ですが、小編成のブラスと打楽器による素朴だけど映えるメロディーです。

  「ゴジラの猛威」(MA')
 チューバの重低音とピアノのリズムが印象的な曲です。しかし、見てたらバイオリンの出番がありませんね。チェロやコントラバスは低音を奏でるのに使われてるからけっして弦楽器が無いわけではないのですが、それでいてバイオリンが使われてないというのは珍しいです。
 演奏中にゴジラの鳴き声を入れるのはやめて欲しかったです。

  「エンディング」(M23)
 2曲連続休みで満を持したバイオリンが「平和への祈り」のモチーフを厳かに奏でていき、全体で大きく盛り上がって終わります。オキジェンデストロイヤーによって葬られたゴジラと芹沢博士へのレクイエムでもあり、往年の日本映画的なラストシーン音楽です。

『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』メドレー

 BSで特別版だかなんだか劇場公開版よりも長いのをやってたのを1度みただけなので音楽はあまり印象に残ってませんが、旅立ちのあたりの雰囲気は聴き覚えを感じました。ただ。文字通りのメドレーらしく様々なモチーフが小刻みに繋がれてるって感じで、慌しいというか、取り留めが無い印象です。テーマを絞ってじっくり聴かせてくれた方が良かったですね。

『シンドラーのリスト』テーマ

 バイオリンのソロから始まって切ない感じの調べ。オケが控えめな分、ハープの伴奏が目立ちます。アクセント的に使われてるチェレスタも印象的。やがてバイオリンが泣きの展開に入っていき、激しくも切ない哀しみの旋律を奏でていきます。

『オペラ座の怪人』

 パイプオルガンが奏でるテーマ曲。映画音楽というよりは劇団四季のミュージカルの宣伝でよく流れていたのが印象的なメロディーです。しかし、指揮者が怪人に扮して出てくるのはいいけど、オルガンの演奏中に拍手を求めるのはやめて欲しいですね。
 オルガンにオーケストラが被って大きく盛り上がったと思ったら、リズムが入り始めて別のテーマフレーズを奏で始めていきます。近年にミュージカルの作者自身の手によって映画化されたものの音楽みたいですが、なんか原曲をぶち壊しって感じです。
 それからいろいろと展開していきますが、なんかボリュームが大き過ぎてお腹いっぱいって感じの大曲ですね。

『そりすべり』

 クリスマスコンサートなのにクリスマスらしい曲が無いと、最後に追加の1曲。別に『ホーム・アローン』を出さなくてもクリスマス時期になると街中に流れまくってる曲のような気がしますが、あくまで映画音楽のコンサートというところでこじつけたのでしょうか。
 バックで鳴り捲ってるスレイベルがクリスマスの雰囲気をかもし出していますが、別にクリスマスじゃなくてもそりに付き物のベルの音みたいですね。日本では西洋のそりはサンタクロースとセットでしか馴染みがありませんが。
 トナカイを叩いてるイメージなのか、鞭を使ってるのが印象的だなとか思ってたら、本来はルーテ(これも日本語じゃ鞭になるけど、一般的な楽器の鞭じゃなく、叩くための本物の鞭のような形状の楽器)を使うところを、(一般的な楽器の方の)鞭を使ってた感じです。ルーテの代用なのでしょうけど。
 最後にトナカイの鳴き声みたいなのが入ってたけど、あれはクラリネット辺りが出してたのかなぁ? (Wikipediaで調べたらトランペットで馬の鳴き声を出してるってことみたい。曲そのものはサンタクロースのそりなんて意識してないんでしょうね)

   ☆ ☆ ☆

 大阪センチュリー交響楽団といえば在阪4オーケストラの中でも一番経営状態が危ぶまれてるみたいで、いつ大阪府の橋下改革でリストラされるかという心配をしたりもしてますが、今後も無事に演奏活動を続けられることを祈ってます。とりあえず次回の《のだめカンタービレの音楽会・ロシア音楽特集》のチケットはプレオーダーで手配済みですから……

   ☆ ☆ ☆

 関連CDを探したけど、初代ゴジラのサントラも今は手軽に入手できない感じですね。下記のものはデジタルリマスターで高音質化を図ったものですが、これも中古で値段が跳ね上がってますね。

ゴジラ+空の大怪獣ラドン
ゴジラ+空の大怪獣ラドン

 いっそ中古と割り切ればこの辺りのものがヤフオク等でも比較的手軽に手に入ると思います。

ゴジラ大全集(1)ゴジラ
ゴジラ大全集(1)ゴジラ


 東宝ミュージックのサイトにある50周年BOXなら新品で手に入りますが、なにぶん単価が高いのが……(これ、6巻目はいったいいつ出るのかな?)

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