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2008.08.06

関西フィル/組曲 宇宙戦艦ヤマト(2008 SUMMER)

 夏といえば関西フィルの《サマー・ポップス・コンサート》です。今年も8月3日にザ・シンフォニーホールで行われましたが、役に立たないチケット会社のメールマガジンはいつも聴きたいコンサートに限って何も教えてくれないので、気付いたときにはSOLD OUTという仕打ち。でも、何とかキャンセル分を確保して聴きに行ってきました。
 ザ・シンフォニーホールは去年の久石譲のジルベスターコンサート以来の久々って気がしますが、藤岡幸夫指揮の関西フィルは3月に大阪市中央公会堂での『運命』&『未完成』のコンサートを聴きに行って以来ですね。(自分への誕生日プレゼントと、あんなとこでオーケストラのコンサートなんかやるのかって興味で聴きに行ったものです)
 今回の目当ては言うまでもありませんが、『ヤマト』です。

 演奏曲は次の通り。

【第1部】
藤岡幸夫セレクト!真夏を彩る名ポップス
 01. ラ・クンパルシータ
 02. エーゲ海の真珠
 03. 雨にぬれても
 04. ひき潮
 05. 『ウェスト・サイド・ストーリー』より
 06. ひまわり
 07. ミッション・インポシブル
 08. 007メドレー

【第2部】
駆け巡る青春の日々
 09. 燃えよドラゴン
 10. 『ゴッドファーザー』より“愛のテーマ”
 11. 刑事コロンボ
 12. 刑事ドラマ・メドレー
    ~西部警察、太陽にほえろ、Gメン'75~
 13. 交響組曲『宇宙戦艦ヤマト』

 EC. オリーブの首飾り
 EC. ルンバ・キャリオカ

 ここ数年、文化パルク城陽とザ・シンフォニーホールのコンサートを聴き続けていたら同じような曲ばっかりという気がしないでもないですが、定番曲のついでに演奏される新曲が注目どころです。
 それでは、順番に。

「ラ・クンパルシータ」
 アルゼンチン・タンゴの名曲で、オープニングにふさわしい派手な曲。ピアノや鉄琴に加えてヴァイオリンのピチカートや小刻みなスピカートの連続でリズミカルに演奏される部分と、流れるようなストリングスの部分が交互に繰り返されるのが印象的。
 ところで、早々にタクトを落としてしまい、指で指揮を続けていた藤岡氏。何をそんなに緊張してるのかと思えば……

「エーゲ海の真珠」
 ポール・モーリアの演奏で有名な曲。トランペットのバラード風に始まり、ピアノの情緒的なメロディー。華々しいオーケストラからスローダウンしてララバイ風のストリングス。再びピアノのメロディーが流れてオーケストラに続きます。
 リズムマシンが響いてる辺り、クラシックではないポップスならではのサウンドですね。

「雨にぬれても」
 映画『明日に向って撃て!』の挿入歌ですが、チャイコフスキーやらショパンやらを使って大胆にアレンジしてるようです。
 チャイコフスキー風の序奏に始まり、アドリブ的なピアノのフレーズの後、小気味良いテンポでストリングスとフルートのメロディー。ブラスが加わって派手になりますが、鉄琴やウッドブロックのコミカルな味付けが印象的です。スローダウンにてショパン風にピアノが入り、徐々にテンポアップして派手に盛り上がっていきます。

「ひき潮」
 波の音のSEをバックに演奏開始。ゆったりとしたストリングス主体の部分とブラスが加わってテンポアップする部分が繰り返されるパターンの曲ですが、ストリングスにハープが絡んで来たり、ピアノとヴァイオリンのバラード風の部分があったりするところが印象的です。

「『ウェスト・サイド・ストーリー』より」
 ピッコロの高音から始まりブラスが順番に入ってきて、サスペンスタッチのストリートギャングのモチーフが奏でられます。続いてピアノのバラードからロマンチックに盛り上がっていき、リズムマシンが入って映画音楽風になってきます。
 ゆったりとしたストリングスで「TONIGHT」のメロディーが始まり、華々しく盛り上がります。そして2コーラス目からはリズミカルなピアノ主体のイージーリスニング風に展開し、最後はアレグロのアクション風に盛り上がります。
 『ウェスト・サイド・ストーリー』は「アメリカ」と「TONIGHT」ぐらいしか知らないけど、「TONIGHT」メインの演奏を生で聴いたのは初めてのような気がして、嬉しいですね。

「ひまわり」
 藤岡氏が好きだという同名映画の音楽。バラード風のピアノソロによるメランコリックな旋律から始まり、やがてリズムとストリングスが加わってやや柔らかに奏でられます。フルートが第2の旋律を奏でた後、ピアノとストリングスが最初の旋律を奏で、オーケストラがそれを繰り返します。
 ピアノソロの展開部からオーケストラ全体で盛り上がり、最後は穏やかに終わっていきます。

「ミッション・インポシブル」
 派手なTOTTIから始まる『スパイ大作戦』のテーマ。クラリネット主体のスリリングなフレーズをベースに展開していきますが、ブラスとパーカッションが全開でとにかくド派手です。最後までノリノリのテンポですね。

「007メドレー」
 ジェームズ・ボンドといえばロジャー・ムーアって辺りが藤岡氏が同じ世代であることを思い出させてくれますね。(往年の映画ファンだとまずショーン・コネリーが出て来ますから)
 低音のブラスと木琴から始まるテーマ音楽。ストリングス主体のスリリングな曲調に派手なブラスの展開。ティンパニーの乱打が印象的。
 小刻みでスピーディーなストリングスに絡む、ホルン主体の遠吠えのようなバックサウンド。
 最後に再びテーマ音楽を繰り返して終わります。

「燃えよドラゴン」
 いわゆるブルース・リーの奇声を指揮者自身が発してるという画期的な演奏です。いや、何も無理して再現する必要は無いような気がしますが……
 低音から始まるサスペンスタッチで派手なリズムのアクション曲。ウッドブロックの連打が印象的ですが、トランペットが高音で裏返ってるのも珍しいです。

「『ゴッドファーザー』より“愛のテーマ”」
 バラード風に始まるオーケストラ。ストリングス主体でテーマモチーフが奏でられ、トランペットのソロに続きます。そしてオーケストラ全体で盛り上がっていきますが、トランペットの掛け合いが印象的。最後に堂々と終わる辺りがマフィアのボスって貫禄ですか。

「刑事コロンボ」
 TVでは口笛が印象的なテーマ曲ですが、木管のメロディーで始まります。そしてストリングス主体にマーチ風のリズムで展開されていきます。2コーラス目以降は口笛のメロディーに何か変な音が使われてるんですが、何を使ってるのかは不明ですね。

「刑事ドラマ・メドレー」
   ~西部警察、太陽にほえろ、Gメン'75~
 華々しいファンファーレから始まる『西部警察』。ストリングスのメロディーに派手なブラスのアクセント。続いてドラムス主体のイントロに続く『太陽にほえろ』。原曲のイントロはエレキギターだけど、さすがにそこまでは持ってこなかった感じですか。テンポが少し速過ぎる感じで、ストリングスのサブメロに少し違和感があります。元はブラス系バンドの曲だから、ストリングスに新しい音を加えようとしたりしたらこうなるのでしょうか。一転テンポを落としてややマイナーなボレロ風のリズムで『Gメン'75』。次第に盛り上がっていき、堂々と終わります。

「交響組曲『宇宙戦艦ヤマト』」
 「交響組曲」とありますが、例によってアルバムの曲ではなく、演奏会用の『組曲 宇宙戦艦ヤマト』です。ヤマトブームがとっくに終わった90年代ごろから演奏活動中心に移った宮川泰によってまとめられた形で、(おそらく)いまだにオーケストラ版のCDは出ていません。(宮川彬良のアレンジによる吹奏楽版は何枚か出ていますが)
 元が演奏会用の曲だから、その時のプログラム内容や演奏家によってボーカルが入ったり、スキャットが入ったり、サックスがメインにフィーチャーされたりといろいろな演奏パターンがあるので、それを楽しむのも一興ですね。

   01. 序曲
 情緒的なピアノ主体で始まる「無限に広がる大宇宙」。アルバム『交響組曲』の「序曲」ではスキャットやストリングスが主体にアレンジされてしまってますが、元々の劇伴ではピアノ伴奏の印象的な曲だったので、懐かしい印象です。
 リズムマシンが入ってからストリングス主体に移り、大きく盛り上がっていきます。ハープの短いフレーズの後、「宇宙戦艦ヤマト」のモチーフが激しくドラマチックに展開されていきます。大きく盛り上がって再び「無限に広がる大宇宙」のモチーフが華々しく堂々と奏でられ、それを中断する形でそのまま次に続いていきます。

   02. 宇宙戦艦ヤマト
 イントロで木琴が入ってたり、細かいところで音の違いが目に付きますが、とにかく派手で勇壮なメインテーマです。ただ、本来は特徴的なスキャットパートのメロディーがほとんど聴こえてこないので単調な感じがします。通常は1コーラスで終わるところですが、今回はフルコーラスで充実感を覚えました。
 ただ、1箇所大いに気になる部分がありましたが、それは後述します。

   03. 出撃
 ややゆっくりな感じのテンポながら派手に奏でられる「ブラックタイガー」。この曲ばかりはストリングスは完全に脇役に回ってしまい、ブラス系メインの形ですが、とくにチューバとティンパニーが派手に活躍してる感じです。ここでも木琴が使われてるのも印象的ですが。

   04. 大いなる愛
 ピアノソロで始まる第1主題。2回目のループがストリングスで柔らかく奏でられます。そこにブラスが加わって華やかな第2主題に入り、最後はオーケストラ全体で盛り上がっていきます。
 そして、アルバムの「序曲」から切り取って来てつなげたような「宇宙戦艦ヤマト」のモチーフによるコーダ部がリズミカルで勇壮に締め括られます。

 毎度毎度だけど、第2楽章の後と第3楽章の後で拍手を入れるのはやめてほしいところです。でも、これでボーカルが入ったりしたらイントロ演奏中の歌手の登場シーンで拍手が入ったりするから、それよりはマシなんですが。

 アンコールはいつもの定番曲です。エルガーが入ってないのは今回はクラシック系の演奏曲が無かったからかな。

「オリーブの首飾り」
 これも「エーゲ海の真珠」と同様にポール・モーリアの演奏で知られた曲。リズミカルなピアノとハープ主体のテンポ良い演奏で始まり、ストリングス主体に移っていきます。アンコールということで手の余ってるメンバーを集めたのか知れませんが、パーカッションが派手ですね。

「ルンバ・キャリオカ」
 タンゴに始まってルンバに終わるという、暑苦しい情熱的な夏のコンサートを締め括るのに絶好の曲かな。今回はピアノが行儀のいい曲ばかりだったせいか、オケと掛け合ったりしてるのはこの曲ぐらいかな。長いパーカッションの間奏の後、ブラスが立ち上がってのパフォーマンスが印象的です。

     ☆ ☆ ☆

 「宇宙戦艦ヤマト」で気になったところというのは、ボーカルパートの第1音に被せて太鼓が鳴ってるところなんですね。これは一昨年の城陽でのコンサートでも感じたのですが、思いっきり違和感を覚えるところです。これは関西フィルの演奏だけに見られるもので、近年聴いた他の演奏(日本フィル、セントラル愛知、大阪市音楽団)のいずれにも見られません。
 「宇宙戦艦ヤマト」の楽譜は簡単な素人向けの楽譜なら書店や楽器店の楽譜コーナーで入手できると思いますが、一般的な4分の4拍子の曲なのですね。ただし、ボーカルの第1音はボーカルパート最初の小節の第4拍から始まっています。第1音、第2音は八分音符の二連音符なので「さらば~」のうち、「さら」が第4拍で、「ば」が次の小節の第1拍になります。
 4分の4拍子の曲だと通常は第1拍が「強」で、第4拍は「弱」。「宇宙戦艦ヤマト」でもそれは同じです。つまり、ボーカルパートの第1音は第4拍で「弱」のはずなのに、そこで大きく太鼓の音が入ってくるから物凄く変に感じてしまうわけです。これ、自分が歌手だとしたら、こんなところで太鼓が入ったらとても歌えませんよ。ボーカルを普通に「弱」で歌ったら太鼓の音に掻き消されてしまいますし……
 本当のところ、この太鼓、ボーカルパートの頭で入れようとするからおかしいわけで、正しい位置に移せば良いわけです。じゃ、どこが正しかというと、1つ手前の小節の第1拍、つまりイントロの最終音のところですね。
 そりゃ第1音で派手に音を入れたいのもわからないでもないけど、曲の強弱の流れに逆らって入れても仕方がないでしょうに。

 関西フィルというと『SF交響ファンタジー第1番』中盤の『宇宙大戦争』のセレナーデがまるで別の曲のような旋律で聴こえるというのも目立ってて、個人的には関西フィルの2大解釈ミスと呼んでるところですが、毎回繰り返されるというのは気付いてないってことでしょうか。
 ま、繰り返し演奏してくれるだけでもありがたいと思うところですが、やっぱり改善はしていって欲しいですね。

     ☆ ☆ ☆

とりあえず新しいCDも出てないので今回は吹奏楽版のスコアをはっておきますが、Amazonでも在庫は無いのかなぁ(写真もないし)。バンド専門のところを探した方が良さそうです。

ブレーンコンサートレパートリー1 組曲「宇宙戦艦ヤマト」
ブレーンコンサートレパートリー1 組曲「宇宙戦艦ヤマト」

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