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2008.06.27

Gift~eternal rainbow~オリジナルサウンドトラック

 今回は「アニメ魂」だか「アニメスピリッツ」だかの枠で放映されていた『Gift~eternal rainbow~』のサントラです。いささか時期を逸していますが、『奏光のストレイン』同様、個人的な作品鑑賞のスケジュールに関係するものです。
 作品を見た感じ、一目で思ったのは『D.C.~ダ・カーポ~』によく似てるなということですね。メインヒロインの莉子と霧乃がほとんどそのまんま音夢とさくらの関係にそっくりだし、人が一生に一度だけ使えるというギフトの力が、初音島の願い事をかなえる枯れない桜とオーバーラップしてきます。
 もっとも、この作品独自な要素も多くありますが、とりわけ印象深かったのはこの手の作品ではたいてい不在である主人公の父親がちゃんと出て来てたことですね。ま、作品の本筋とはあんまり関わってるようには思えず、中盤は出番も無かったように思いますが、最後に母親とギフトの関係を結び付けるヒントは出してくれました。

 音楽は七瀬光というのがランティスっぽいところです。以前にも『永久アリス輪舞曲』を取り上げていますが、いくつかの印象的なメロディーをモチーフにした曲を何パターンかアレンジしたのをメインに、その他のテーマ曲や状況音楽を組み合わせた作風というイメージの人ですね。
 収録曲は以下の通りです。


 01. 虹色センチメンタル(TVサイズ)
 02. 幼き日の別れ
 03. 幼なじみ
 04. 振り返って
 05. いつもの我が家
 06. 想い合う心
 07. しっかりしなさい
 08. 優しい幼なじみ
 09. 一緒に歩く
 10. 平和な時間
 11. いたずら心
 12. 魔法少女
 13. 家族の団らん
 14. 学園生活
 15. 不気味な空気
 16. 怪しいぞ
 17. お仕置きだ
 18. 和の心
 19. 偽り
 20. 張りつめた時間
 21. 得体の知れないもの
 22. 行き場を失って
 23. よぎる不安
 24. 心の溝
 25. 言いしれぬ不安
 26. 非日常的な会話
 27. Giftの修正に向かう
 28. 想い合う気持ち
 29. 通じない心
 30. 淡い恋
 31. 美しい記憶
 32. 霧乃のピアノ
 33. ふるさとの喜び
 34. 素直になって
 35. 分かり合う時
 36. 想い出の音
 37. Giftのテーマ
 38. ココロ虹を架けて(TVサイズ)


 「虹色センチメンタル」はOPテーマ。スピーディーで爽やかな印象を受ける曲です。
 「幼き日の別れ」はメランコリーなオルゴール風の曲。ややゆっくりとしたテンポで、淡いノスタルジックなメロディーを奏でています。
 「幼なじみ」はピアノによるゆっくりと穏やかな曲。少し弾むようなリズムで、憧れの感情とか淡い初恋といったイメージも含めつつ、心の安らぎどころというような印象も受けます。
 「振り返って」はグラスハープか何かの音色による透明感あふれる「Giftのテーマ」。作品中で非常に印象的に使われているモチーフメロディーですが、ここではピュアなイメージのGiftを表しているようです。思いやりや真心、希望……そんな純粋な心で彩られたGiftです。

 「いつもの我が家」はスタッカート気味のバイオリンと、弾むというよりは転がるような木琴のフレーズで奏でられる、ガボット調の2拍子の曲。全体的にコミカルな雰囲気が漂いますが、よくある日常の光景といった感じです。
 「想い合う心」はゆっくりしたバラードに始まるピアノ伴奏とグラスハープのフレーズ。やがてゆったりと雄大にバイオリンのメロディーが奏でられます。センチメンタルな雰囲気で、ラストは切なく。懐かしい義妹との心の触れ合いっといった印象でしょうか。

 「しっかりしなさい」はスローピッチでリズミカルなコミカル系の曲。日常のさりげない光景をシンセとギターで奏でたような感じです。
 「優しい幼なじみ」はリズミカルなチェンバロ系の音色によるかわいらしい曲。甘える感じとか、安らぐ日常光景とか、そんな感じです。
 「一緒に歩く」はマーチ風のテンポでアレンジされた「想い合う心」のメロディー。フルートの旋律を主体にリズムが強調付けられてる感じです。イタズラっぽさと優しさが同居したような、愉快な日常を思い浮かべます。
 「平和な時間」はゆっくりしたシンセギターと木琴のフレーズによって奏でられる曲。日常の何気ない穏やかなシーンという感じです。
 「いたずら心」「優しい幼なじみ」のメロディーのアレンジ曲。こちらは木琴系の音色によって奏でられる、ちょっとしたイタズラ心とか、ふざけ合いというイメージで、ちょっぴりドキドキするような感覚です。

 「魔法少女」は少しスピーディーなハプニング系のアンサンブル曲。タイトルから見ると「魔女っ子」千紗絡みのドタバタ騒動って感じで、ハラハラドキドキやお茶目感たっぷりな、一種のパターン曲ですね。めくるめくバイオリンの展開が事態のエスカレートを物語っている印象です。
 「家族の団らん」「いつもの我が家」のライトアレンジ。シンセギターと木琴による弾むような感じの曲です。
 「学園生活」はアップテンポに奏でられる「優しい幼なじみ」のアレンジ曲。鉄琴とギターで奏でられ、パーカッションが小気味良い感じの曲です。学園生活らしい活発さを描いた感じですね。

 ここからはサスペンス系の状況音楽が続いたりしますので、適当に端折ります。

 「怪しいぞ」はいわゆる『ピンクパンサー』系の泥棒シーンでお約束のミステリー音楽。ま、1フレーズ聴いただけでどういう状況かはわかるのですが、こういうのがパターン化されてるのはどうなんでしょうか。
 「お仕置きだ」はスケルツォ風の大騒動曲。こういうのもパターンといえばパターンですね。スピーディーなバイオリンの展開から始まって、アップテンポにコミカルに繰り広げられて行きます。

 「行き場を失って」はピアノとバイオリンによる「Giftのテーマ」のマイナーアレンジ。悲しげで深刻なイメージで、レクイエムの雰囲気です。悲嘆にくれてやるせない想いとか、救いを求めて彷徨ってるような印象です。
 「Giftの修正に向かう」は激しいサスペンス音楽で、スピーディーでスリリングな曲です。ピアノ伴奏とオケのメロディーで緊張の連続が奏でられ、後半はアクティブな行動へのつながりを感じさせます。作品のクライマックスに繋がって行く音楽のようです。
 「想い合う気持ち」「想い合う心」のピアノアレンジ。ゆったりとした日常の労り合いって雰囲気の曲です。
 「通じない心」「行き場を失って」をさらにパラードっぽくアレンジしたピアノによる「Giftのテーマ」のマイナーアレンジ。間違ったGiftによって絶望に陥ってしまった霧乃と莉子の悲嘆と後悔を表してるような感じです

 「霧乃のピアノ」は霧乃が幼い頃にコンクールで弾いていたピアノ曲。たまたまその日が莉子との別れの日だったために春彦に拒絶され、どうしてもピアノを最後まで弾けなくなってしまうというトラウマの原因になった曲ですが……なかなか力強い展開を見せるラプソディーです。
 「ふるさとの喜び」はギターソロによる淡く軽やかな感じの「Giftのテーマ」のアレンジ曲。絶望の淵から希望を見出したようなイメージで、物語の転換点といった感じの曲です。
 「素直になって」はグラスハープによる「虹色センチメンタル」のバラード風インストゥルメンタル。笑顔を見出し、心情的な解決に至ったような雰囲気を印象付ける音楽です。

 「分かり合う時」「Giftのテーマ」のオーケストラアレンジ。物語の大団円に大きな祝福を与えているかのような感じです。
 「想い出の音」「虹色センチメンタル」のオルゴール風アレンジ。淡く儚げで、懐かしくセンチメンタルな感じの曲です。
 「Giftのテーマ」は作品中で様々にアレンジされて使われてる曲ですが、これが基本形でしょうか。ピアノに始まり、バイオリンが続き、そして室内楽風に展開して行きます。ピアノが霧乃、バイオリンが莉子をイメージする楽器としたら、2人の和解によるハーモニーがこの曲を完成に導いてるという解釈に結び付きそうですが……
 「ココロ虹を架けて」はEDテーマ。ED映像のようなアコースティックな引き語りってわけではありませんが、ギター伴奏主体のフォークっぽい出だしの曲ですね

     ☆ ☆ ☆

 EDで莉子がギターの弾き語りをしてる映像の印象が強いせいか、莉子の方が音楽的なキャラクターのような気がしたりするのですが、実際にはピアノを弾く霧乃の方が音楽に結び付いているんですね。
 そんなわけで、音楽としてピアノに印象付けられてるのが霧乃。一方、莉子の方はバイオリンっぽい感じかな。ま、あくまでそういう印象って感じで、個々の曲にピアノやバイオリンが使われてるからって必ずしもキャラクターと関連付けられてるわけではありませんが。
 何と言っても印象的なのは「Giftのテーマ」で、次回予告に使われてることもあるけど、作品を見てるだけで刷り込まれてしまう感じです。全体的に音楽は淡白な感じで、優雅さを感じた『永久アリス輪舞曲』に比べるとチープな印象を受けるのは、むしろアコースティックなイメージを志向してるからでしょうか。同時期に放映されていた『乙女はお姉さまに恋してる』の音楽がけっこうリッチな印象を受けていたのとは対照的です(どっちの方が音楽にお金が掛かってるのかは知りませんが)。逆にその分だけ余計に「Giftのテーマ」の印象が強まってくるんですね。この曲が無ければこのサントラ盤は聴かなかったかも知れません。
 やはりアニメの劇伴というのは作品そのものの展開の中で印象付けられる音楽が一番貴重だと思える一例です。

(発売元:ランティス LACA-5601 2007.01.24)

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