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2008.04.29

Reprise~下川みくにアニソンベスト~

 今回もアニソン関係のアルバムです。
 下川みくにというと『幻想魔伝 最遊記』の「Alone」で名前を知って、その後『フルメタル・パニック!』あたりからよく名前を聞くようになり、以前は『アニぱら音楽館』のレギュラー時代にアニソンのカバーをいろいろ歌ってたりしてたのを見てたので、てっきりアニソン専門の歌手の人かと思ったりしてました。
 で、以前にそうと意識せずふとアルバムを買ったらそれがCCCDだったりして、ポニーキャニオンもアニメ関係じゃCCCDでは出して無いはずなのにと何かけち臭い感じがしたりしたのですが……一般歌手扱いだからCCCDだったのですね。(ショックで絶望してそのCCCDはたぶん一度も聴かないままどこかに埋もれてると思います)
 もっとも今では活動の主力はアニソン関係であるのは否めませんが。

 そんな下川みくにのアニソンのベストアルバムが今回のアルバムです。今ではCCCDの心配をしなくて済むので安心してアルバムが聴けるようになりました。
 2枚組みの1枚目がカバーソング。以前からアニソンのカバーアルバムを出してるみたいで、その中のベストという感じかな。

DISC-1
 01. 水の星へ愛をこめて(機動戦士Zガンダム)
 02. 魂のルフラン(新世紀エヴァンゲリオン)
 03. 悲しみよこんにちは(めぞん一刻)
 04. 願い事ひとつだけ(名探偵コナン)
 05. 想い出がいっぱい(みゆき)
 06. 残酷な天使のテーゼ(新世紀エヴァンゲリオン)
 07. 輪舞-revolution-(少女革命ウテナ)
 08. ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~(機動戦士ガンダムF91)
 09. 愛・おぼえていますか(超時空要塞マクロス)
 10. KUJIKENAIKARA!(スレイヤーズ)
 11. そばかす(るろうに剣心)

 「水の星へ愛をこめて」はオリジナルが森口博子のデビュー曲。『Zガンダム』の後期OP曲ですが、個人的にはB面の「銀色ドレス」の方が好きだったですね。
 森口博子のたどたどしくも初々しい歌と比べると、下川みくにの歌はずっと安定していて聴き心地は良いです。しかし、アイドルソングというものは歌の上手い下手よりもアイドルとしての瑞々しさがいかに表現されているかという魅力が大事なのも確かで、すっかり歌手として安定してしまってる下川みくにの歌は分が悪く感じられます。

 「魂のルフラン」は以前の『劇場版 新世紀エヴァンゲリオン シト新生』のREBIRTH編で、ネルフ本部を攻撃する戦自をやっつけたアスカの弐号機の前に量産型のエヴァンゲリオンが降下してくるところでいきなりエンディングになって流れてきた曲です。当時は作品が盛り上がってくるところでいきなり終わるのを「魂のルフラン」だとか、この劇場版のメインプログラムは『魔法学園ルナ』だったとか散々な言われようでしたが、今となっては懐かしい思い出です。
 オリジナルは「残酷な天使のテーゼ」と同じ高橋洋子。少しミステリアスな感じのメロディーにパワーのあるボーカルが魅力の曲です。下川みくにの歌は確かにメロディーをなぞってるという点では上手いんだけど、高橋洋子と比べると声量の差が大きいのか、パワーに不足を感じてしまいます。

 「悲しみよこんにちは」は『めぞん一刻』の初代OP。この作品は3クール目からスタッフが変更になり、少しして安全地帯の『好きさ』に変わってるから、初期の土器手キャラ時代のイメージの曲ですね。(OPアニメ自体は確か本編とは無関係に南家こうじの作品だったと思うけど)
 オリジナルは当時『スケバン刑事』でブレイクした斎藤由貴。彼女の歌は「卒業」から聴いてたから、人気のタレントの歌を使っての話題作りではあっても違和感はありませんでしたが、「卒業」にしてもこの曲にしてもどこかたどたどしさを感じる歌い方です。今から思えば、たどたどしく感じたのは切実に一生懸命歌ってたからですね。
 それに比べると下川みくには実にスムーズに歌っています。斎藤由貴に感じる自信の無さのようなものは欠片も感じないくらい安定してます。でも、それが逆に斎藤由貴の歌の魅力でもあった切実さというものを失くしてしまってます。

 「願い事ひとつだけ」は……聴き覚えあるけど、何の曲だっけ? と頭を抱えてしまうのがこの『名探偵コナン』のビーイング系列の曲とか、土6のSME系列の曲のようなタイアップによる宣伝目的のためだけの定期的に主題歌を変えてる作品の主題歌ですね。
 オリジナルは小松未歩だけど、『コナン』の主題歌というイメージでは「謎」の方が好きですね。とっさに作品名が出て来なかったくらいなので、小松未歩のオリジナルの印象も薄いです。だから、下川みくにの歌を聴いてもそんなものかと感じるだけです。

 「想い出がいっぱい」は以前に取り上げた緒方恵美の『アニメグ。』にも入っていましたが、『みゆき』の初代EDです。あだち充作品のアニメ化は個人的にはあんまりハズレは無いんだけど、『みゆき』だけはおもっきりハズレでしたね。せめて『タッチ』と同じスタッフで作って欲しかったなぁ。ですが、H2Oの主題歌だけはアタリでした。この「想い出がいっぱい」も名曲ですが、「Good-byeシーズン」もなかなか良い曲でしたね。
 緒方恵美のカバーがその「男声」を活かしてH2Oのイメージをそのまま再現しようとしてるのと比べると、下川みくにのカバーは素直に女声での歌い方ですね。だからオリジナルとは全然印象が違っています。でも、この歌からはこの曲の持つノスタルジーが感じられないのも確かです。

 「残酷な天使のテーゼ」も緒方恵美の『アニメグ。』に入ってましたが、言うまでも無く『新世紀エヴァンゲリオン』のOPで、オリジナルは高橋洋子。
 さすがに中途半端な感じがした緒方恵美に比べるとそつなく歌い上げていますが、「魂のルフラン」同様、オリジナルと比べるとパワーが足りません。

 「輪舞-revolution-」は『少女革命ウテナ』のOPで、オリジナルは奥井雅美。『アニぱら音楽館』のゲスト出演者では頻度の高い方だし、番組内でも何度か歌われてた曲だと思います。
 そのためか、他の曲には無いくらい非常に奥井雅美を真似た歌い方をしてるような感じです。他のカバー曲が優等生志向だとすれば、これはちょっとそこから外れてる感じですが、上手くオリジナルの雰囲気は似せています。ただ、いかんせん奥井雅美に比べるとドスが効いてないというか、上品過ぎるんですね。

 「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」は『機動戦士ガンダムF91』の主題歌ってことですが、残念ながら作品は見たことがありません。オリジナルの森口博子の歌なら何度か聴いたことがありますが……
 これは「水の星へ愛をこめて」と違って森口博子も歌手としてある程度キャリアを積んでからの曲だから、アイドルソングって感じは無くなっていて、落ち着きのある安定感のある歌になっています。
 そのためか、下川みくにの歌が非常にオリジナルのイメージと似た印象を受けます。ま、作品自体を見てないからアニソンとしての作品との結び付きとか思い入れといったものは無いわけですが……

 「愛・おぼえていますか」は巨人族の襲来による絶滅の危機から人類と文化を救った伝説の歌です。オリジナルはリン・ミンメイ……じゃなくて、飯島真理ですね。日本のアニメを代表する名曲の一つなのでカバーも少なくはありませんが、最近では『マクロスF』の特番のエンディングで使われていた中島愛バージョンが記憶に新しいところです。
 その中島愛バージョンや、『マクロス7』の時にミレーヌがミンメイの歌を歌ったというコンセプトで出されたアルバムに入っていた櫻井智バージョンのように、ともすればバラード気味のアレンジでカバーされることが目立つ曲なのですが、この下川みくにのカバーはほぼ原曲通りですね。
 原曲の魅力はというと、やはりミンメイのアイドルらしい初々しさ瑞々しさを引き出していたというところにあります。当時からアーチスト志向だった飯島真理本人には不本意かも知れませんが、アーチストというよりアイドルとしてのイメージが強かったのは確かです。
 下川みくにの方はというと、無難には歌ってはいますが、やはりすっかり枯れたイメージというのは否めません。
 ちなみに原曲の方はシングルバージョンと劇場用ロングバージョンの2つがあって、アナログ盤時代は収録時間の関係かロングバージョンは一部のアルバムに収録されただけでしたが、その後CD時代になったら出るアルバム出るアルバムどれもロングバージョンになってしまってシングルバージョンを見付ける方が難しかった時期がありましたが、今はどうなんでしょうか?

 「KUJIKENAIKARA!」は『スレイヤーズ』のED。オリジナルは林原めぐみ・奥井雅美の2人……ということで、コーラスの方はどうするのかなと思ってたら、コーラスも自分ですか。
 これも「輪舞-revolution-」と同様、奥井雅美(及び林原めぐみ)の歌い方を真似てるから原曲とのイメージの違いというものはありませんが、この2人と比べるとやはり声量の面で差がありすぎ。良く言えば上品に収まってるってところなのですが……

 「そばかす」は『るろうに剣心』のOPで、オリジナルはJUDY AND MARYとかいうバンド。主題歌を依頼された時、アニメといえば『キャンディキャンディ』、『キャンディキャンディ』といえば「そばかす」という連想でこの曲が作られたという実しやかな噂が当時ありましたが、さて……
 この作品の製作のSPEは現在のアニプレックスの前身なので、OPは比較的長く使われてるけど、頻繁に変わるEDとかは土6アニメを彷彿させるものがあります。使われた期間が長いので作品と結び付かないということは無いのですが、作品内容そのものとも結び付きが無いので、カバーに対しても何もコメントがありませんね。

 2枚目は下川みくにの持ち歌のアニソンです。

DISC-2
 01. Alone(幻想魔伝 最遊記)
 02. tomorrow(フルメタル・パニック!)
 03. 枯れない花(フルメタル・パニック!)
 04. all the way(キノの旅)
 05. それが、愛でしょう(フルメタル・パニック?ふもっふ)
 06. 君に吹く風(フルメタル・パニック?ふもっふ)
 07. 南風(フルメタル・パニック!TSR)
 08. もう一度君に会いたい(フルメタル・パニック!TSR)
 09. Bird(劇場版キノの旅 病気の国)
 10. 藍色の空の下で(はぴはぴクローバー)
 11. Life

 なんか『フルメタ』が中心って感じの印象ですね。『グレネーダー』辺りが入っていれば少し印象が違ったかも知れませんが、なぜか入っていません。
 「Alone」が少し湿っぽい印象を受けるのと対照的に、「tomorrow」「南風」はからっとした爽やかな感じで、作品が持つ軍事的な殺伐さを覆い隠してる印象ですね。ま、短編みたいに陣代高校を舞台とした学園ものならあってはいそうですが……
 「それが、愛でしょう」は『らき☆すた』のEDでこなたが歌ってた曲ですが、こうして聴いてみると平野綾の方が明らかに声量があって余裕が感じられますね。下川みくにの歌としてならこんなものなのでしょうけど、一度あれを聴いてしまったら平野綾にちゃんとカバーさせたバージョンも聴きたくなってしまいます。
 ところで『ふもっふ』とかいう作品はOVAか何かよく知らないけど、この曲がOPって他の2作品とは全然イメージが違うんですが、どんな映像が付いてたんでしょうか。
 『キノの旅』はちゃんと見てたけど、主題歌なんかすっかり忘れてしまっててイメージが結び付きません。どちらかというと前田愛のEDの方が印象強かったのかなぁ。

     ☆ ☆ ☆

 2枚目は普通のベスト盤なんだから普通に聴けばそれだけのものなんですが、1枚目のカバー盤を先に聴いてしまうとそのイメージに引き摺られてしまうという、何だか厄介な商品ですね。ま、別物のアルバムとして完全に別けて聴くのが正解なんでしょうが。
 同じカバーでもこの前の緒方恵美の『アニメグ。』は技量はともかくとして歌ってる本人の思い入れというものがひしひしと伝わってくるタイプだったのですが、単に上手く歌ってみましたといういうよりはそっちの方が聴いてる方にも共感が湧いてきます。これはそこらのトランスアレンジとかもそうなんですが、単に人気曲を集めましたという商品に原曲に対する愛着の追体験を期待するのは難しいのですね。もとより、そんなところまで目指してる商品化などではないのでしょうが。

(発売元:ポニーキャニオン PCCA-2595 2007.12.19)


Reprise~下川みくにアニソンベスト
Reprise~下川みくにアニソンベスト

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