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2008.03.13

饗宴ラフレシア/東京ブラス・スタイル

 東京ブラス・スタイルは女性だけで構成されたブラスバンドユニットとのことですが、アニジャズと称したアニメソングのジャズアレンジの演奏を中心に活動してるみたいですね。
 アニメソングのジャズアレンジはこれまでも思い出した頃にポツリポツリと出てたように思いますが、たいていは単発の企画もので、プレイヤーもその場限りの寄せ集めだったりして、ジャンルとして定着するものではありませんでした。(唯一の例外はまだアナログ時代にコロンビアからジャムトリップと称したシリーズが何枚か出てたみたいですが、CD時代まで定着はしませんでしたね)
 そんな中、颯爽と登場してきたのがこの東京ブラス・スタイルです。ジャズなのに何でブラスバンド?って疑問があったりしますが、以前に取り上げてる『黒船以来』とか大阪市音楽団の演奏曲を見てもわかるように、吹奏楽とジャズとは深い関係があるみたいですね。

 今回取り上げた『饗宴ラフレシア』は東京ブラス・スタイルの2枚目のアルバム。曲目に「宇宙戦艦ヤマト」が入っていたのと、たまたまCD屋の店頭で流れていた「はじめてのチュウ」が印象に残ったからです。
 収録曲は以下の通りです。

 01. 宇宙戦艦ヤマト (宇宙戦艦ヤマト)
 02. アンパンマンのマーチ (それいけ!アンパンマン)
 03. ムーンライト伝説 (美少女戦士セーラームーン)
 04. 愛・おぼえていますか (超時空要塞マクロス)
 05. 燃えてヒーロー (キャプテン翼)
 06. POKEMON THEME (POKEMON USA)
 07. FLY ME TO THE MOON (新世紀エヴァンゲリオン)
 08. はじめてのチュウ (キテレツ大百科)
 09. ガッチャマンの歌 (科学忍者隊ガッチャマン)
 ST. CHA-LA HEAD-CHA-LA (ドラゴンボールZ)

 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」は隠しトラックなのでジャケットやライナーには記載されていません。
 では、順番に聴いていきましょう。

 「宇宙戦艦ヤマト」

 原曲はシンフォニックな編成なので、小編成のブラスバンドでそのままイントロを奏でられても少し貧相なイメージは否めません。その後、スイング風のフレーズが入った後、メインの旋律が奏でられますが、元が軍歌風のマイナーがかった曲をリズムなり伴奏で補強してる曲なので、素朴にアレンジされると曲調のイメージが違ってきますね。
 このアルバムでは1コーラス目と3コーラス目をほぼ原曲どおり、中間の2コーラス目をコード進行や伴奏をそのままにメインの旋律をアドリブ風のオリジナルに変えて演奏してる曲が多いのですが、この曲もその一つです。当然ながら原曲の歌詞内容などとはまったく関係ないフレーズが展開されていくわけですが、それでいてどことなくヤマトの雰囲気が伝わってくるのが面白いです。

 「アンパンマンのマーチ」

 ジャズを知らない人でも一度は耳にしたことはあると思うグレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」を露骨に想起させるアレンジですね。元々、似た曲調の曲同士なのかも知れませんが、なんか見事にマッチしてる感じですね。
 以前にあるアニメソングをクラシック風にアレンジしたというアルバムを聴いてみたことがあるのですが、そのライナーに、既存のクラシック曲をベースにアニメソングのメロティを乗せて作ってるというようなことが書いてあって、ずいぶん手抜きだなぁと感じて失望したことがあるのですが、このアルバムも自分が原曲を知らないだけで、そんな感じに作ってあるのでしょうか?

 「ムーンライト伝説」

 サックスをメインにフィーチャーしてあるせいか、少し大人っぽいイメージのアレンジです。
 原曲自体がとても90年代の曲とは思えない古い歌謡曲風のメロディーだから、どこか昭和30年代ごろの映画のクラブやラウンジでのバンド演奏とかで流れてそうな雰囲気がします。

 「愛・おぼえていますか」

 ジャンルによらず、どうもバラード風にアレンジされることが多い曲ですね。ただ、この曲も「宇宙戦艦ヤマト」と同じで、原曲のリズムとかテンポが曲のイメージを支えているので、それを取っ払ってバラードにしてしまうとどうしてもダウナーな感じになる印象を拭えません。ミンメイの歌とはまったく別物の曲ですね。(案外、元のプロトカルチャーの音楽はこんなアレンジだったのかもしれませんが)
 アドリブパートが終わってメロディーが復帰した後もサックスのパフォーマンスが延々と続いてるのが聴き物です。

 「燃えてヒーロー」

 スピーディーなテンポに、軽快でカッコイイアレンジに仕上がっていて、まさにブラスバンド向けの曲って感じですね。
 イントロのラストでホイッスルが入ってますが、確かに原曲でもホイッスルは使われていて、サッカーをイメージさせる大きな要素なのですが、この手のアレンジ曲で入っていても何かイメージが違うような気がします。
 アドリブパートのピアノが印象的です。

 「POKEMON THEME」

 ポケモンって書いてある割にはどうも聴き覚えのない曲だなと思っていたら、海外版のテーマ曲だってことです。
 まったく馴染みのない曲だからとくにコメントはしませんが、アドリブで入ってる「ぴ~ひゃら……」って「おどるポンポコリン」のフレーズが妙に印象に残っています。

 「FLY ME TO THE MOON」

 元がジャズのスタンダードナンバーであるこの曲を、なんで今さらって感じですが、『エヴァンゲリオン』版のイメージをそのままにアレンジしてあるので、大元の原曲を聴くよりは馴染みやすいのは確かです。
 アドリブパートでトランペットのソロが延々とパフォーマンスを続けてるのが聴き応えありかな。途中で「魂のルフラン」が入ってるのはご愛嬌でしょうか。

 「はじめてのチュウ」

 ものすごく洒落たアレンジに仕上がっていて、何も言うことがないぐらい見事です。この曲だけのためにこのアルバムを買っても損はしないでしょう。後半のサックスのパフォーマンスなんか痺れてきます。
 何も知らない人にこの曲だけ聴かせたら、まずアニメソングが原曲だとは思わないでしょうね。『キテレツ大百科』なんて作品のことは忘れられてしまっても、この曲だけはずっと残されていきそうな気がします。

 「ガッチャマンの歌」

 非常にハイテンポなアレンジで、曲全体がアグレッシブに仕上がってる曲です。アレンジの見事さという点では方向性は違うけど「はじめてのチュウ」に引けを取っていない気がします。原曲はまさに昔の王道中の王道アニメソングなんですが、それがまるで別曲のような現代風に仕上げられてる感じです。
 とにかくアグレッシブな曲で、ジャズのピアノというと普通は軽快に洒落たメロディーを奏でてるイメージがあるんですが、ここでは非常に力強い演奏を印象付けてくれています。

 「CHA-LA HEAD-CHA-LA」

 何で隠しトラックになってるのか良くわかりませんが、コンサートでのアンコール曲のような位置付けなのかもしれません。このアルバムの中では最も原曲に近いストレートなアレンジですね。
 Aメロの1回目を軽快なピアノが奏でた後、2回目をトランペットが続けるという形がなんかツボにはまっていて絶妙です。アレンジパートは他の曲がだいたい1コーラス分のところをこの曲は2コーラス分とっていて、1回目がサックス、2回目がピアノをメインに演奏されています。で、このピアノの軽やかさが、たまりません。

     ☆ ☆ ☆

 ジャズについては完全に専門外なので元ネタがあったとしても分かりませんが、さすがにグレン・ミラーのあの曲だけはあちこちで使われてて聴き覚えがありますからあからさまな感じがしてなりませんね。
 ニコニコ動画に作曲の仕方についての動画とかあったから見てみたら、コード進行から先に作ってメロディーは後から乗せていく作り方(もちろん歌詞は出来た曲に合わせて考える)が主流みたいにあったのですが、最初に歌詞があってメロディーを付けて……という方法が(ポピュラー音楽では)基本かと思っていたのでびっくりしました。確かにそういう作り方ならメロディーも似通った無難なところに落ち着くから、別の似た曲をベースにアレンジしても違和感が無いんだろうなとも思ったりしましたが、どうなんでしょうか?
 このアルバムに入ってる曲だと「宇宙戦艦ヤマト」「愛・おぼえていますか」なんかは完全に歌詞やメロディー先行型の曲だと思うから、逆にコード進行の似通った曲を探してきて当てはめるのが難しそうに思えますし、逆に「アンパンマンのマーチ」なんかは例えそうでないにしても結果としてコード先行型と同じパターン進行の曲になってしまってるから他の曲と絡め易いように感じます。
 ま、作り方はどうであれ、満足できる音楽が聴けたらそれで構わないわけですが。

(発売元:ハピネット HMCH-1008 2006.08.23)

饗宴ラフレシア~アニジャズ 2nd note~
饗宴ラフレシア~アニジャズ 2nd note~

     ☆ ☆ ☆

 今週末は《第2回 伊福部昭音楽祭》ですが……『完本 管絃楽法』で全財産が消えました。誰か交通費恵んでください。(;_;)

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