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2008.01.30

久石譲 ジルベスターコンサート2007

 ちょっと遅くなりましたが、昨年の大晦日にザ・シンフォニーホールで行われた《久石譲 ジルベスターコンサート2007》に行って来ました。一昨年に続いての年末最後のコンサートです。
 環状線の福島駅からの道すがら、かすかに白い物が空から散っているのを見たのが、この冬の雪の見始めだったかな。昔は大晦日というと年越しの準備で大忙しだったわけですが、そんなものやったって仕方が無いと開き直ると気楽なもので、大晦日にコンサートに出歩くのも平気になりますね。(ま、ちゃんと年越しの準備を完了してから聴きに来てる人も多いんでしょうけど)
 演奏はお馴染みの関西フィル。指揮は前回と同じく前半が久石譲本人で、後半が金洪才でした。演奏曲は次の通りです。


 01. Orbis
 02. 組曲『マリと小犬の物語』(全4楽章)
 03. 組曲『太王四神記』(全4楽章)

 04. Links
 05. オーケストラストーリーズ となりのトトロ2007
 06. HANA-BI
 07. Tango X.T.C.

 EC. あの夏へ
 EC. Oriental Wind
 EC. 夢の星空


 それでは、各曲について……

「Orbis」

 この曲は少し以前に行われたサントリー1万人の第九の25周年記念のオープニング曲として作られた曲で、オリジナルは合唱曲ですが、今回はオーケストラ演奏用にアレンジされたものです。
 トランペットから始まり、オーケストラが緩やかに盛り上がっていきます。木管とストリングスややスタッカート風の調べからパイプオルガンのフレーズが続き、そしてオーケストラが大らかに展開していきますが、オーケストラ曲の中でパイプオルガンを使ってるというのは珍しいですね。
 弾むようなストリングスのフレーズから、スピーディーなブラスが入り、力強く盛り上がっていきます。これに木琴(マリンバ?)や鉄琴、ティンパニーが絡まってきてオーケストラ全体で華やかに盛り上がります。
 いったん静まった後、木管とブラスの少しコミカルなフレーズが始まり、ストリングスやパイプオルガンも加わって盛り上がり、木琴がスピーディーに展開し、ティンパニーが激しく叩き、とどめに太鼓が加わって雄々しく展開していきます。
 終盤は低音のストリングスによるアダージョ風の調べから、夜明けのようなファンタジックな広がりを見せ、徐々に盛り上がりつつ、ハイライトに達したところで終わります。

「組曲『マリと小犬の物語』」

 これは映画『マリと小犬の物語』のサントラから演奏用の4楽章構成にしたもののようですね。作品の方は映画公開とタイアップしたマンガが少年サンデーで連載されてたのを知ってるぐらいで、映画は見ていませんので、音楽を聴くのはこれが初めてです。

 第1楽章

 ホルンとトランペットから始まる、ゆったりとしたファンファーレ風の出だし。木管がかわいらしいメロディーを奏で始め、やがて木管とバイオリンによるスタッカート気味のフレーズに。
 再びバイオリンのスタッカート気味のフレーズから、どこか『魔女の宅急便』辺りで聴いたことがあるような旋律が続き、やがてオーケストラ全体で華々しく展開していきます。
 震災以前の幸福な時間の音楽って感じですね。

 第2楽章

 低音から始まるマイナーでサスペンスタッチの曲。迫り来る危機って感じです。木琴の小刻みなリズムが不安を煽り立て、太鼓やティンパニーがそれを強調していきます。そしてさらに激しいサスペンスタッチの展開へ……
 地震の予兆というところでしょうか。

 第3楽章

 鉄琴とバイオリンから始まるスリリングな曲。どことなく『ジョーズ』のテーマ曲のような雰囲気を感じます。まさに中越地震が発生して災難が襲い掛かってくるという感じです。激しい木琴が印象的ですね。やがてボレロのようなリズムで盛り上がって終わります。

 第4楽章

 ストリングスの美しいフレーズがゆっくりと展開していきます。フルートの小刻みなフレーズからマーチ風の力強い展開に繋がっていきます。生命の息吹の力強さを感じさせるようです。
 激しく展開した後、一転して静かな余韻に入り、そして第1楽章の後半でも使われていた旋律が、感動のフィナーレを飾り立てていきます。ストリングスをメインにゆったりと大きく展開し、少し切なく涙が誘われる感じ。最後は大きく優雅に全体で盛り上がって大団円です。


「組曲『太王四神記』」

 これは韓国の歴史ドラマの音楽らしいですが、作品は知りません。やはりサントラの曲を演奏会用の4楽章構成にしたものです。

 第1楽章

 フルートのソロで始まるノスタルジックで静かなフレーズがゆっくりと展開していきます。やがて和太鼓やブラスが加わってリズミカルな展開に。そして華やかに激しく盛り上がっていきます。
 全体のメロディーが西洋音楽風なのに和太鼓が祭太鼓のリズムを奏でてるのが印象的ですね。

 第2楽章

 久石譲自らのピアノソロから始まります。前回は指揮とピアノを行ったりきたりで忙しそうでしたが、今回ピアノを弾きながらの指揮はこの曲だけです。
 ピアノソロの切ない調べに、やがてかすかにストリングスの伴奏が加わってきます。そして木管とストリングスによって、より優雅で、より切なく、そして情緒的なメロディーに大きく展開していきます。
 途中、チェロパートだけによる切ないフレーズが入ってきたのが印象的です。

 第3楽章

 スリリングなストリングスに始まるアクション系の曲です。ゆったりと雄々しいホルンに激しいティンパニー、忙しそうなストリングスの中、木管が民族音楽風のフレーズを奏でます。
 チェロとコントラバスによる低音の落ち着いたフレーズが、やがてストリングス全体に広がり、そこにブラスが加わってスピーディーな旋律が繰り広げられ、激しく力強い展開になっていきます。

 第4楽章

 低音のブラスによるアダージョ風の始まりから、大きく華々しく展開していきます。ピアノの伴奏とストリングスのゆったりとした情熱的なセレナーデが続き、やがてオーケストラ全体で熱っぽく語り掛ける感じになっていきます。
 トランペットが華やかなフレーズを奏で、そして運命的なイメージの展開に。何か音楽だけからすると感動的で悲しい結末って印象ですが、それが力強く盛り上がり、余韻を残しながら終わります。


「Links」

 ここからが第2部で、指揮は金洪才に変わり、久石譲はピアニストに専念という形になります。
 バイオリンと木琴によるリズミカルなフレーズに始まり、華々しく加わってくるホルンとトランペット。フルートと木琴で同じリズムが繰り返された後、ブラスとストリングスが展開していきます。
 木管の小刻みなフレーズから、ベースのリズムはそのままに、スタッカートなストリングスの調べが続きます。以後、木管の各楽器が交互にソロで旋律を奏でた後、ブラスとティンパニーが加わって展開していくのが印象的。そして徐々に激しく盛り上がっていきますが、とりわけ木琴の激しさが印象的でした。


「オーケストラストーリーズ となりのトトロ2007」

 これは『となりのトトロ』の音楽を素材に、キッズやファミリー層向けにオーケストラの入門用に作られた作品で、ストーリーとともに楽器の解説付きになっています。本来はもう少し小編成のオーケストラ用らしく、今回はそれを三管編成向けに直したものですが、楽器の紹介であぶれてる楽器が多いのはそのためなんでしょうか。
 CDではお父さん役の糸井重里が解説をしているようですが、今回のコンサートでは久石譲による解説です。
 『トトロ』のサントラは持ってるけど、もうずっと昔の作品だし、『ナウシカ』や『ラピュタ』と違ってそんなに聴き込んでないから、原曲の知識はあやふやなところです。

 「さんぽ」

 華々しいイントロから始まり、各グループ単位で1コーラスずつ、楽器の紹介がてらにメロディーが演奏されていきます。
 ピッコロ~フルート~オーボエ~ファゴット~木管全体。ホルン~トランペット~トロンボーン~チューバ~ブラス全体。バイオリン~ヴィオラ~チェロ~コントラバス~ストリングス全体。ティンパニー~鉄琴~ハープ~ピアノ~バイオリンのピチカート。
 最後はオーケストラ全体で華々しく締めくくられます。

 「五月の村」

 弾むようなヨーロピアンメロディー風の曲。ストリングスから始まってオーケストラ全体で優雅に奏でられます。サツキとメイが引っ越してきた田舎ののどかな光景ですね。
 続いて家の中を冒険するコミカルな音楽が奏でられます。

 「ススワタリ~お母さん」

 木管メインで始まるコミカルなマーチ風の曲。やがてブラスが力強いフレーズを響かせます。
 入院中のお母さんを想うセンチメンタルな「お母さん」の旋律は鉄琴から奏で始められ、やがてストリングスが優雅に歌い上げて行きます。

 「トトロがいた!」

 鉄琴によるミステリアスなフレーズに始まり、ブラスのユーモラスなメロディーが続き、トトロのモチーフが挿入されてきます。そして、鳴り響くティンパニー。
 木管のフレーズが続き、何か気配を感じさせるようなトロンボーン。そしてチューバによって奏でられる重低音のトトロのモチーフ。

 「風のとおり道」

 木管とストリングスがゆっくりと優雅に奏で始めます。続く久石譲のピアノが華麗に響きます。木管が主旋律を展開し、ストリングスが大らかに奏で上げます。クラリネットの祭囃子っぽいフレーズを挟み、オーケストラ全体で華々しく雄大に締めくくられます。

 「まいご」

 ハープと鉄琴によるイントロから始まり、オーボエのソロによってメロディが奏でられます。やがてストリングスによって展開された後、ピアノが最後を飾ります。

 「ネコバス」

 低音のストリングスから始まるコミカルで力強い音楽。ブラスが華々しく展開した後の流れるような美しいストリングスの間奏が印象的。オーケストラ全体で盛り上がり、トゥッティで終わります。

 「となりのトトロ」

 ストリングスの美しい旋律で始まり、キャラクター的な強調付けなのか「トトロ」の部分だけ低音のチューバが使われてくるのが印象的ですね。そしてオーケストラ全体で力強く華々しく展開されます。いったんスローダウンしてゆっくり優雅に展開されたあと、再びオーケストラ全体で盛り上がってフィナーレを迎えます。


「HANA-BI」

 これは前回も演奏された、北野たけし作品の映画音楽ですね。
 久石譲の切ないピアノの旋律とストリングスの伴奏から始まり、木管を中心に展開されていきます。激しく情熱的に盛り上がっていきますが、ブラス全般に出番は無く、ただ最後にホルンがアクセント的に使われてるだけです。


「Tango X.T.C.」

 これも前回に演奏された曲ですね。「X.T.C.」って何かと思ってたら、エクスタシーのことでしたか。
 重いピアノとストリングス、ティンパニーに始まるマイナー系の曲。悲しく宿命的な響きを奏でるストリングスに、アクセント的なピアノ。ストリングスが盛り上がった後、トランペットが華々しいフレーズをアクセント的に挿入します。
 フラメンコ風のカスタネットとともにスタッカート気味に展開されるリズミカルなタンゴ。全体が大きく盛り上がって来ます。
 タンゴのリズムがスピーディーに展開され、大きく盛り上がって終わりますが、最後の一発と同時にプログラム終了なのか、クラッカーが鳴らされたのが印象的。


「あの夏へ」

 アンコールの1曲目。これは『千と千尋の神隠し』の音楽かな。宮崎アニメもまともにサントラ聴いたのは『もののけ姫』まで、うち聴き込んでるのは『魔女の宅急便』ぐらいまでだから、これも『ハウルの動く城』も買ったはいいけどどこかで埃を被ってるぐらいなので、よく知りません。
 久石譲のピアノから始まり、幽玄に響くストリングスが続き、徐々に盛り上がっていきます。切ないピアノの旋律がどこかヒーリング系の音楽を思わせます。
 ストリングスが盛り上がった後、ピアノソロ、それにストリングスが伴奏に加わり、ホルンがアクセントを奏で、トランペットとチューバが雄々しく加わってきます。
 フルートがメインの切ない旋律にピアノソロが続きます。そしてコントラバスの低音をベースに全体が徐々に盛り上がり、雄大に、断続的で激しく展開して終わります。


「Oriental Wind」

 この曲もよく知りませんが、ネットで検索したらお茶のCMに使われてた音楽みたいですね。最近は深夜アニメの時間帯のCMぐらいしか目にしないので、見掛けたような記憶はありません。
 木管から始まり、ストリングスが優雅に奏でていきます。スタッカート気味に展開していくストリングスに、旋律を奏でるピアノ。木琴が加わって民族音楽的なフレーズが奏でられ、ブラスが華々しく盛り上げていきます。
 木管とストリングスによる静かで優雅な調べ。ロマンティックな盛り上がりを見せた後、ピアノがリズミカルなフレーズを奏で、木管が祭囃子風に響かせます。最後にブラスが加わって雄大で力強く盛り上がって終わります。


「夢の星空」

 アンコール最後の曲。オーケストラが退場した後、久石譲が一人戻って来てソロ演奏という、前回と同じパターンです。
 この曲もよく知りませんが、明るく希望を描くようなイメージの曲ですね。最後に可憐に終わりました。

     ☆ ☆ ☆

 まさか2度目があるとは思ってなかったので、前回に引き続き2年連続で久石譲の音楽で1年を締めくくれたのは嬉しい誤算でした。今回はちゃんとプログラムも用意されてたのも良かったですね。
 クラシック系の人のコンサートみたいに交響曲の組合せとかいうスタイルは難しいから、どうしても1曲単位の曲の連続という構成になりがちなポピュラー作曲家のコンサートなのですが、今回は「組曲『マリと小犬の物語』」「組曲『太王四神記』」「オーケストラストーリーズ となりのトトロ2007」と、サントラ曲を再構成した作品を柱にすることでまとまりがあったのは良かったと思います。
 やはり映画音楽というのは作品1本単位で1つの作品ですから、その中から1曲だけ抜き出して演奏されるよりも、全体を捉えた構成で演奏されてこそ、より音楽的に意味があるものと思いますから。
 今年以降もこんな素晴らしいジルベスターコンサートは是非続けていってもらいたいですね。

     ☆ ☆ ☆

オリジナルの『オーケストラストーリーズ となりのトトロ』
オーケストラストーリーズ となりのトトロ
オーケストラストーリーズ となりのトトロ

こちらは映画のサントラ盤
となりのトトロ サウンドトラック集
となりのトトロ サウンドトラック集

でも、『トトロ』と言えばサントラよりもイメージソングアルバムの方が印象に残ってるんですですよね。
となりのトトロ イメージ・ソング集
となりのトトロ イメージ・ソング集


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