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2007.12.06

グリーン交響楽団/『交響譚詩』

 今年の伊福部作品の聴き納めということで、11月24日にいたみホールで催されたグリーン交響楽団の第19回定期演奏会に行ってきました。グリーン交響楽団というのは「みどり会」という旧三和銀行系の親睦団体の参加企業の中から集まったメンバーで構成されているアマチュアオーケストラだそうですね。

 演奏曲目は次の通り。


01. 伊福部昭 交響譚詩
 第一譚詩
 第二譚詩

02. ドヴォルザーク 交響詩「水の精」(4つの交響詩より)

03. ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調
 第一楽章 Poco sostenuto - Vivace
 第二楽章 Allegretto
 第三楽章 Presto
 第四楽章 Allegro con brio

EC ベートーヴェン トルコ行進曲(アテネの廃墟より)


 アンコールはうろ覚えですので確証はありません。聴き覚えがある曲だったからこの辺りだと思ったのですが……
 ドヴォルザークは『新世界より』と『ユーモレスク』ぐらいしか知らないので目新しい気がしますが、ベートーヴェンの第7は『のだめ』影響で最近は人気みたいです。もっとも、生でフルに聴くのは初めてですが。
 では、各曲の印象とかを……


伊福部昭 交響譚詩

 どうも伊福部作品を最初に持ってくるコンサートが多いのですが、開演直後のオーケストラがまだこなれてない時に伊福部先生の曲を持ってくるのは、演奏が硬くなり過ぎる気がしてならないのですが……

   第一譚詩

 強めのアクセントの力強い出だしです。伊福部先生の管弦楽作品としては編成の小さな曲なので、逆にトランペットの高らかな音色が目立って聴こえます。それに比べるとバイオリン群が少し弱い感じです。
 序盤のアレグロ部分が終わって曲全体が静まって来たところで、クラリネット辺りが少し変な音を出してるのが気になりました。
 ストリングスはチェロやコントラバス等の低音はなかなかよく出てるのですが、いかんせんバイオリンの弱さが気になります。それでも中盤のストリングス主体の部分は十分な厚みを感じさせる演奏でしたが、すぐにブラスに負けそうになります。
 後半になるとブラスにまとまりがなくなってきて、少し演奏が乱れてる感じがしてきました。
 全体的に演奏が硬過ぎる感じです。バイオリンが頑張ればもう少し滑らかに感じたのかも知れません。

   第二譚詩

 冒頭のストリングスはなかなか滑らかで良い感じで始まります。続いて入ってくる木管パートではフルートがなかなか良い音を出していますが、オーボエとクラリネットが少し課題かな。
 背後で地道に小さく鳴り続けてるティンパニーが格別。ふだんあまり気付かないところなんですが、こういうのがまさに縁の下の力持ちなんだと感じました。
 中盤のスローテンポのところが味のある演奏になっています。後半に盛り上がっていくところのストリングスのフレーズはなかなか上手い感じです。
 クライマックスのフォルテの後、しばらく静かな余韻のフレーズが続くところで客席からの咳払いがやたら響いてたのが興醒めです。


ドヴォルザーク 交響詩「水の精」(4つの交響詩より)

 スタッカート気味のフルートの旋律から始まり、跳ねるような軽快なフレーズが続きます。隠し味的なトライアングルが印象的。
 ゆったりと優雅なストリングスのフレーズが穏やかで優しい感じに奏でられますが、やがてややバラード風の重いフレーズに変わっていきます。美しく優雅なストリングスのセレナーデから、躍動的なフレーズに転じ、オーケストラ全体で力強く奏でられていきます。
 やがてマイナーの旋律が全体に広まり、ゆったりと大きく、そしてシリアスな印象を与えて来ます。しばらくアダージョ風のフレーズが続いた後、再び躍動的な力強いフレーズと伸び伸びとしたフレーズが繰り返されます。そして、ゆっくりと穏やかな響き。
 後半への差し掛かりのチェロやコントラバスによる波打つような低音の響きが面白いですね。
 一転して激しいフレーズが続き、断続的なオーケストラ全体のTUTTIの後、アダージョ風に余韻を展開して終わって行きます。


ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調
   第一楽章 Poco sostenuto - Vivace

 ストリングスによる旋律とブラスのTUTTIが繰り返される冒頭部。演奏は卒が無いというか、教科書通りというか、無難な演奏に始まってる感じです。
 明るく優雅なフレーズを中心に展開していく第2主題が印象的。
 その後、第1主題を中心に華々しく展開されていきます。

   第二楽章 Allegretto

 チェロの低音のフレーズで始まるマイナー調の緩徐楽章。流れるようなストリングスの美しいフレーズが続きますが、少し悲しげな印象です。
 やがてブラスが加わって、最後はフォルテに盛り上がって行きます。

   第三楽章 Presto

 オーケストラ全体による華々しいアレグロに始まるスケルツォ。跳ね回るような木管中心のフレーズにストリングスとブラスが絡んできている感じで、スローダウンとアレグロが繰り返されます。
 断続的なユニゾンの後、そのまま終わってしまうのが印象的。

   第四楽章 Allegro con brio

 曲間を開けずに激しい展開で始まります。華やかな主題が奏でられ、ストリングスのユニゾンとブラスが上手く拮抗している感じです。激しいティンパニーも印象的。
 とにかくクライマックスにかけて派手な曲で、ベートーヴェンの他の交響曲と比べても親しみやすい感じですね。

 全体的に最初の『交響譚詩』と比べると、見違えるように滑らかな演奏です。たいていのコンサートでは演目が進むに連れてオーケストラの硬さが取れてくるから、こういう演奏を聴くと何で伊福部作品を最後に演奏してくれないのか、などと思ってしまいますね。実際には楽団員がよく知ってる曲だとか、主演目だからとくに念入りに練習してるってところもあるのでしょうが。
 演奏とは関係ないけど、曲が終わる瞬間をギリギリ見計らってブラボー叫ぶアホは何とかして欲しいものです。ブラボーをするなとは言わないけど、演奏の余韻後、まず拍手が始まって一呼吸置いてからとか、マナーは弁えて欲しいものですね。


ベートーヴェン トルコ行進曲(アテネの廃墟より)

 子供向けのコンサートでも無い限り、意外とオーケストラの生演奏では滅多に聴けない曲でしょう。CD買って聴きたいという対象の曲でもないから、メロディーは知っていてもサウンドは知らなかったりします。
 トライアングルがずっと鳴り続けてるのが印象的でした。

     ☆ ☆ ☆

 今年最初の伊福部作品が京都フィロムジカ管弦楽団の『交響譚詩』だったので、『交響譚詩』で始まって『交響譚詩』で終わった年になりました。どちらもアマのオーケストラですが、プロのオーケストラの演奏では関西フィルの『リトミカ・オスティナータ』や大阪フィルの『日本狂詩曲』、それに《第1回伊福部昭音楽祭》も忘れてはいけません。
 比較的聴く機会が多かったのは、こまめに演奏スケジュールをチェックするようになったこともあるけど、伊福部先生の没後1年ということで演奏会自体が多かったからかもしれませんが、今年に限らず、今後も伊福部先生の曲を広く演奏し続けて欲しいですね。

 ここのところ、関西でのアニメ関係や声優さんのイベントとかめっきり減ってくれたお陰で、クラシック系のコンサートに出掛ける機会が増えたわけですが、こういう大人の趣味は良いですね。いや、やってくれれば行きたいのは山ほどあるけど……
 関東方面への遠征も体力や経済力にスケジュール的な面からも、年1回、早くから決まってるものだけが限度だし。川井憲次のコンサートは行きたかったのになぁ……。とりあえず来年も《第2回伊福部昭音楽祭》だけは準備しておくつもりですが。

 ……などと書きつつ、今年もまだ1ヶ月残ってるわけですが、とりあえず去年に引き続き、久石譲のジルベスターコンサートはチケットを確保したので、(どれだけアニメの曲が聴けるか)楽しみにしています。

     ☆ ☆ ☆

『交響譚詩』はすでに何回もやってるので同じCDを取り上げても仕方がないから、今回はスコアを貼ってみました。スコアを追いながらCDを聴くのも乙なものですので、是非お試しあれ。

OGTー302 伊福部昭 / 交響譚詩
OGTー302 伊福部昭  /  交響譚詩

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