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2007.10.21

宇宙戦艦ヤマト音楽全集・模範演奏テープ:SIDE2

 引き続いてB面(SIDE2)に行きます。オートリバースデッキだとすぐにひっくり返りますね。
 収録曲を記します。

 SIDE2
 01. 序曲(交響組曲)(演奏:羽田健太郎)
 02. イスカンダル(演奏:羽田健太郎)
 03. 大いなる愛(演奏:羽田健太郎)
 04. 愛し合う二人(演奏:羽田健太郎)
 05. サーシャ(澪)幸せ(演奏:羽田健太郎)
 06. ディンギル星(演奏:羽田健太郎)
 07. 水の星アクエリアス(演奏:羽田健太郎)
 08. 神秘の星アクエリアス(演奏:羽田健太郎)
 09. ウルクの歴史(演奏:羽田健太郎)
 10. ユキ(演奏:羽田健太郎)
 11. ファイナルヤマト(演奏:羽田健太郎)
 12. アクエリアス・レクイエム(演奏:羽田健太郎)
 13. 無限に広がる大宇宙(演奏:宮川泰)
 14. 宇宙戦艦ヤマト(連弾)(演奏:羽田健太郎)

 では、聴いていきましょう。

「序曲(交響組曲)」
 『交響組曲』そのままの「序曲」です。後の『組曲』みたいに省略したりはしていません。
 オーソドックスなサスペンス風のイントロ。ピアノだけじゃマイナー系のサスペンス音の連続って感じでちょっとイメージが悪い感じです。
 そして弾き語り風に始まる「無限に広がる大宇宙」のモチーフによる主題。しっとりとした感じで始まり、次いでトリルで音の広がりを出そうとしてるんだけど、ちょっと違和感を感じます。
 中盤に向けての展開部はピアノならではの激しさが出てて良い感じですが、その後の主題が原曲では盛り上がるところなんだけど、ピアノのソロではテンションが落ちてる感じで寂しいです。
 後半の締めくくりはオーソドックスにまとまっていて良いですね。
 全体的には一般向けのアレンジのピアノソロで演奏するにはかなり無理があるように思います。楽譜集の目的が『ヤマト』の音楽を自分で演奏して楽しみたいという需要を満たすことだから、これはこれで構わないと思いますが、観賞用に演奏するなら連弾やデュオにした方が良いんでしょうね。

「イスカンダル」
 同じく『交響組曲』から。原曲は文字通りヤマトがイスカンダルに到着した時の音楽ですが、意外なところでは『さらば宇宙戦艦ヤマト』でコスモタイガー隊がヤマトに合流するシーンで使われていたのが印象的です。
 演奏はイージーリスニング風。おしとやかで上品で丁寧な演奏が続きます。後半の展開部は激しく力強いのが印象的です。

「大いなる愛」
 おそらく楽譜の需要が一番大きかった曲では。サントラ盤そのままの構成なので、雪の密航発覚シーンに使われた第1主題とラストシーンで使われた第2主題が混在した形になっています。『組曲』みたいに端折られてはおらず、オリジナルのフルサイズです。
 低音のキーで静かに始まる第1主題。やがて滑らかなタッチで奏でられ始めます。第2主題は軽やかに奏でられ、やがて華麗に展開されます。
 再び第1主題が軽快でロマンティックな感じで奏でられ、最後は第2主題が華やかに盛り上がります。
 さすがにハネケンという感じの絶妙なピアノタッチの演奏です。

「愛し合う二人」
 原曲は『ヤマトよ永遠に』の冒頭、暗黒星団帝国の奇襲を受ける地球の有人機基地で古代と雪が再会するシーンに使われていた曲。もちろん原曲のピアノパートもハネケンの演奏です。
 しっとりとして軽やかな演奏。徐々に情熱的に盛り上がっていきます。クライマックスは一段と激しく。
 ハネケンらしい屈指の名演奏って感じですが、この模範演奏通りに弾くのは素人には無理でしょうね。

「サーシャ(澪)幸せ」
 原曲は『ヤマトよ永遠に』の中盤、敵母星に向かって航海するヤマトの中で古代に禁断の恋心を抱くサーシャのシーンに使われていたように思います。サントラ盤では同じテーマモチーフで3曲セットで収録されてる曲のうちの真ん中の軽やかで明るい曲ですね。
 か細く軽やかなタッチの出だしの可憐なイメージの演奏。やや弾む感じのフレーズが続きます。後半はしっとりとしてスタッカート気味の演奏が続いた後、低音でおとなしい雰囲気で終わっていきます。

「ディンギル星」
 おそらくこの中ではヤマトファンにも一般に一番馴染みが薄い曲かな。作品本編では未使用な上に、他の曲とモチーフ上の共通点があるわけでも無いので、大量の音楽が作られた『完結編』の中では影が薄い曲です。ピアノがメインの曲ということでアレンジしやすく採用されたというところでしょうか。
 同じフレーズの繰り返しが多く、あまり技巧的に高度な部分も無いので、初心者の練習向きの曲かな。割とあっさり目にまとめられて終わっています。

「水の星アクエリアス」
 原曲は『完結編』の中盤、ヤマトが目的地の水惑星アクエリアスに到着したシーンの音楽です。
 出だしの音は原曲では木琴か鉄琴だろうけど、小刻みなトリルをピアノが上手く再現しています。メインの旋律はなかなかの演奏です。
 全体的に軽やかでしっとりとしていて、癒される感じ。一時期流行っていたヒーリングミュージックを髣髴させます。ラストは強めで雄大に締めくくられます。

「神秘の星アクエリアス」
 原曲は『完結編』の中盤、アクエリアスに着水したヤマトのパネルにこの星の大自然や失われた文明の痕跡が映し出されたシーンに使われていた曲。ピアノがメインの美しい曲で、これも楽譜の需要が大きそうです。
 しっとりとしたタッチの演奏で始まる曲。情感を歌い上げるような感じで、神秘というよりはどこか下世話な宮川先生らしいメロディーをハネケンの指が滑らかに演奏しています。
 トリルから入る後半部、ピアノだけでもなかなか濃厚な演奏になっています。

「ウルクの歴史」
 原曲は『完結編』の冒頭、ヤマトを襲撃したルガール・ド・ザール将軍が都市衛星ウルクに帰還し、父親の神官大総統からルガール王家の秘密と地球侵攻計画を聞かされるシーンに使われていた曲です。
 原曲は相当に重厚な曲なので、ピアノソロだと重厚感が足りず、どこか内面的な描写の演奏に感じるのは仕方の無いところでしょうか。強大さというよりも悲劇の宿命性を現してるような演奏です。
 激し過ぎない程度に力強く鍵盤を叩いているという印象。中盤、盛り上がって壮大に奏でられていきます。

「ユキ」
 原曲は『完結編』の未使用曲。同じモチーフを使った「古代君よかった」が病院で古代を見舞う雪のシーンに用いられていますが、それのイージーリスニング風のアレンジ。
 軽やかで可憐なピアノはやはりイージーリスニング風の演奏。後半は情感を込み上げる感じに。美しいピアノの小品です。

「ファイナルヤマト」
 原曲は『完結編』のラスト、冬月に収容された乗組員たちがヤマトと沖田艦長を見送るシーンに使われていた曲です。
 ゆっくりとしたバラード風の曲。ややマイナー調でレクイエム風の、空気が沈み込むような静かな演奏。中盤でピアノソナタ風に展開されていきます。演奏は激しいけど、曲そのものはマイナーで沈み込んだままの印象です。
 ハネケンの演奏はしっとりとしたレクイエムという感じで、男声コーラスをフィーチャーした原曲とはかなり印象が違います。

「アクエリアス・レクイエム」
 原曲は『完結編』のラスト、アクエリアスに立ち向かうヤマトのシーンに用いられた長大なピアノコンチェルト「SYMPHONY OF THE AQUARIUS」から主にピアノパートのメロディーを抜き出してアレンジした曲。
 需要としては「SYMPHONY OF THE AQUARIUS」なんでしょうが、とても一般人がピアノソロで弾ける曲じゃないから「アクエリアス・レクイエム」の方が採用された感じですね。
 そういうわけなので、ピアノ曲としては自然な感じにまとまっています。「SYMPHONY OF THE AQUARIUS」のような激しさは無く、イージーリスニング風というか、しっとりとしたレクイエムに仕上がっています。

「無限に広がる大宇宙」
 原曲はいわずと知れた遊星爆弾による地球の汚染が語られるシーンに繰り返し使われていた曲ですが、どちらかというと第1作のオリジナル曲よりもパート2のBGM集に収録されている再録バージョンに近いイメージがします。
 原曲では遊星爆弾の悲惨な光景が頭に蘇るところですが、そういうイメージは無くて、平和で穏やかな感じがします。
 宮川先生のピアノははっきりとしたキータッチで、力強い演奏です。後半は少し激しく、かつメロディアスな感じに。

 アニメや映画の劇伴作曲家の中には伊福部先生のように多くの曲の楽譜を保管してる人もいれば、録音が終わるたびにどんどん捨てていく人もいるらしいのですが、当初の宮川先生は後者のタイプだったようで、ヤマトブームで音楽の再演が求められた時には後の祭り。慌てて録音した曲を聴きながら採譜したとのことです。(セルフ耳コピ)
 『交響組曲』やその他の再録曲のアレンジが原曲とは異なってるのは、あえてアレンジを変えたというより、再現しきれなかったという部分が大きいのではないでしょうか。昨今のように耳コピ職人が大量にいたらバイトで雇って採譜させるという手段もあるのですが、DTMなんて欠片も無かった当時と今じゃ環境が全然違いますからね。

「宇宙戦艦ヤマト(連弾)」
 連弾ということはハネケン以外にもう1人奏者がいるはずですが、名前は書かれていません。A面最初の「宇宙戦艦ヤマト'83」(宮川版)と対をなすオーソドックスなアレンジで、連弾の分だけ音が増えている感じです。
 イントロの最後の波打つような演奏が印象的。さすがにソロに比べて音が厚く、より原曲に近いイメージです。素人の演奏でもそれっぽくは聴こえそうですね。
 宮川先生のソロの演奏に比べると、やはりハネケンらしい流れるような華麗な演奏で、連弾でもけっして激し過ぎたりはしません。

     ☆ ☆ ☆

 一般向けにアレンジされたピアノスコアの模範演奏とはいえ、やはり宮川先生とハネケンの演奏は聴き応えがありますね。
 宮川先生は後にオーケストラや名匠宮川組での演奏活動が多くなり、そこでは宮川先生自身のピアノの演奏によるヤマトの音楽もしばしば聴かれるようになったのですが、この頃はまだご本人による演奏なんてテレビの歌謡番組で取り上げられるぐらいしかなかったように思います。
 一方、当時のハネケンは劇伴作曲者としてやスタジオミュージシャンとしてのピアニストとしては業界内ではよく知られていたものの、コンサート等での実演家としての一般的な知名度はまだあまり無かった時代ですね。
 そんな両者によるヤマトの音楽の演奏が詰まった、この模範演奏テープはとても貴重な1本と言えます。今なら模範演奏はCDで最初から添付されてたりするんでしょうけど、当時は別途頒布という形が普通だったので、楽譜は買ったけど模範演奏テープは買わなかったとかいう人も多いんでしょうね。

 手元には現在、模範演奏テープはあるけど『宇宙戦艦ヤマト音楽全集』の楽譜集本体は持ってないから、復刊でもされれば入手したいものですが。楽譜の原版とか模範演奏の音源等がどこでどうなってるかも気掛かりです。出版元に残っていればいいのですが、下手すればウェストケープ倒産のドサクサで散逸してしまってる心配がありますからね。


 参考までにサントラ関係のCDを。

生誕30周年記念 ETERNAL EDITION PREMIUM 宇宙戦艦ヤマト CD-BOX
生誕30周年記念 ETERNAL EDITION PREMIUM 宇宙戦艦ヤマト CD-BOX


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