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2007.09.26

劇場版CLANNAD ―クラナド― SOUNDTRACK

 アルバムの記事も、じっくりと聴き込んで耳に馴染みが出来るようになってから書こうとすると時機を逸してしまいがちなので、今回はまだ公開中で新鮮な『劇場版CLANNAD』のサントラ盤を取り上げてみます。
 題材が題材だけに作品のネタバレに繋がる部分もあると思いますので、映画を未見の人は十分注意してください。また、映画は1回見ただけなので思い違い等があった場合は御容赦くださいませ。

 前作『劇場版AIR』と同様、東映アニメーションによるこの『劇場版CLANNAD』の音楽は、テーマ曲以外は原作ゲーム版の音楽とは別個に新規に作成されています。1時間半という短い時間の中で作品を効果的にまとめるには、映画の映像やドラマと密接に結び付いた専用の音楽が必要ということなのでしょう。
 この『劇場版CLANNAD』の音楽を手掛けたのは猪股義周という人ですが、個人的には初めて名前を目にする人です。サントラ盤は映画館で先行発売されていますが、レコード店等での一般販売は当分先のようなので、今すぐ欲しいという人は映画館に行ってください。
 それでは収録曲です。


 01. だんご だんご だんご(付属光坂高等学校 在校生)
 02. 朋也の夢
 03. 元気になった渚
 04. パン買い競争
 05. 友情
 06. 渚
 07. 希望に燃えて
 08. 仲良し家族
 09. 夢の話
 10. 記念写真
 11. 海辺にて
 12. 事件
 13. なにかが変わる…
 14. マーチングバンド
 15. 楽しい創立祭
 16. 渚熱演!
 17. 踊る渚
 18. お前が好き
 19. 渚の死
 20. 父の言葉
 21. 芳野バンド
 22. 汐と再会
 23. メグメル~frequency⇒e Ver.(eufonius)
 24. マルメロ~fildychrom~(eufonius)
 25. マルメロ~fildychrom~ La la la Ver.(eufonius)
 26. 小さな手のひら~eufonius Ver.~(eufonius)
 26. Special image song 約束(Lia)


 いつものように順番に聴いていきましょう。

 「だんご だんご だんご」は作品中でヒロインの古河渚が好きだという童謡風の曲。ま、現実世界で流行した「だんご三兄弟」をもじったような存在ですね。賑やかで楽しく、ほんわりする曲です。
 家族の結びつきという、この作品の重要なテーマを体現したような曲で、この曲のモチーフは劇中でしばしば使われることになります。歌は一応2コーラス分あるんですが、フェードアウト処理で終わってるのがどことなく中途半端に感じます。どうせなら完璧に『みんなのうた』のフォーマットで作りこんで、アニメも作ってしまえば良いと思うのは、あすかだけでしょうか。

 「朋也の夢」は文字通り、主人公・岡崎朋也がしばしば見るという夢のシーンに流れてる曲です。幻想的というか、荒涼として幽玄で、どこか重苦しくおどろおどろしい感じがする曲です。
 木管(クラリネット?)のソロのフレーズで始まり、低音のストリングスが加わってきて、最後にハープの音が掛かってきます。

 「元気になった渚」は朋也のおかげで坂を上って学校に通えるようになった渚の音楽。朋也から見た渚というキャラクターを表したようなモチーフの曲です。便宜的に渚のモチーフとしておきます。
 ゆったりとしたピアノに始まる穏やかな曲です。ストリングスの伴奏が加わった後、ラストはオカリナ風の音色のフレーズで終わります。春の柔らかな陽差しの中の出会いって感じですね。

 「パン買い競争」は朋也の友人の春原陽平が購買で惣菜パンを買おうと、果敢に割り込もうと繰り返すシーンに使われてる曲です。
 運動会の徒競走にでも向いてそうな、ストリングス主体のコミカルなマーチ曲です。

 「友情」はギターによるバラード風のゆったりとした穏やかな曲。学園生活の中のほっとするひと時って感じですが、作品中での使用シーンは覚えていません。

 「渚」はオルゴールの音色による「だんご」モチーフの曲。非常にゆったりとして儚い感じがします。
 後半はストリングス主体による、ややテンポの速いアレンジ。少し颯爽として活発な感じがします。伴奏のピアノと、ラストのハープが印象的。
 賑やかな家族に憧れる渚自身の内面を描いた感じの曲です。

 「希望に燃えて」はピアノのグリッサンドの1フレーズの後、ややテンポの速いアグレッシブな曲調で演奏される渚のモチーフ。演劇部復活に燃える渚のアクション風の音楽ですね。

 「仲良し家族」はコミカルなアレンジの渚のモチーフ。古河パンを営む渚の両親の登場シーンの音楽のようですが、少し変だけど楽しい家族の光景が思い浮かびます。コミカルな感じを強調するためか変なサンプリング音のSE音色が組み込まれていますが、サントラとして聴くには邪魔のような気がしますね。

 「夢の話」は渚の家の夜のベランダで、渚が朋也に夢のことを語るシーンの音楽。
 序盤はピアノ主体の優雅で美しいメロディー。夢を希望と同義に捉えてるような渚の、いわば夢見る少女としての曲です。
 中盤は繰り返し出てくる朋也の夢のモチーフ。夢が希望を表すものばかりではないという朋也のアンチテーゼのわけですが、朋也自身がそれを詳しく語ろうとはしないから、それは朋也の内面だけで留まっていて、渚には伝わりません。
 終盤は序盤のメロディーの繰り返し。渚は渚の夢を信じればいいと、どちらかというとまだ他人行儀な朋也の反応がむしろ強調される感じです。

 「記念写真」はストリングス主体の華やかな「だんご」モチーフの曲。朋也と渚が高校卒業後に一緒に暮らし始めた後、何かと仲間たちが集まって賑やかな光景の回想シーンに使われている音楽ですね。
 本来なら一番楽しい思い出のシーンのはずなのに、虚しい回想シーンという位置付けになってしまうのが、どこか寂しい気がします。

 「海辺にて」は渚が朋也と春原を強引に演劇部に入れるシーンの音楽かな。サックス主体の穏やかで解放的な感じの渚のモチーフ。明るいけど、どこか影のあるような感じがします。終盤はオカリナ風の短いフレーズ。
 明確に海が出てきたシーンは渚が汐を産む決心を語ったシーンだけど、そこでは「マルメロ」のラララが使われてますし……

 「事件」はシンセ系のハイテンションでスリリングなサスペンス音楽。後半はゆっくりとした短いフレーズのミステリータッチ。
 渚が演劇部員募集のために描いた手描きのポスターが生徒会長たちに無惨にも処分された事件あたりの曲だったかな。

 「なにかが変わる…」は渚との出会いによって変化を見せ始めた朋也の夢のシーンの音楽。
 前半は従来どおりに木管(クラリネット?)主体のモチーフが繰り返されますが、後半は一転してエレキギター等を交えた、ショッキングで激しくダイナミックな展開が提示されます。

 「マーチングバンド」は渚が演劇部を復活させたいと言い出したシーンの背景で、恐らく創立者祭に向けての練習であろうマーチン部バンドの音楽として演奏されていた現実音楽。
 高校のマーチングバンドにしてはやけに本格的なプロ仕様の感じがするというのは置いておいて、明るく華やかで、輝かしいイメージの行進曲です。ほんの短いシーンだけの音楽なのに、ちゃんと三部形式で作ってあるところが細かいです。

 「楽しい創立祭」は創立者祭当日のシーンに使われていた、明るく開放的な音楽。トランペット主体で始まる学生らしい若々しさに溢れるアップテンポのアクション系の曲です。
 中間部で展開されるトランペットのソロパフォーマンスが印象的。

 「渚熱演!」は創立者祭での渚の1人芝居に使われている最初の音楽。ストリングス主体でどこか悲しげな、ゆっくりとしたメヌエット風の曲。
 このサントラ盤、なぜか普通の劇伴は使用シーンに合わせた最小限の作りって感じの短くあっさりと終わる曲が多いのに、現実音楽に限っては割と長尺で本格的に作ってる感じがしますが、これもその一曲。そもそも劇中の1人芝居のシーンが長いってこともあるのですが、この曲がサントラの中では一番聴き応えのある曲に仕上がってるように思えます。

 「踊る渚」は1人芝居の中盤の渚の踊るシーンに使われている音楽。木管とストリングス主体の優雅で華やかなワルツです。
 作品中では音響担当の朋也が「渚熱演!」をフェードアウトしてこの「踊る渚」に切り替えてるわけですが、とくに練習していたようには思えないのに、よくこういう本格的な機械を使いこなせてるものだと感心しました。

 「お前が好き」は1人芝居の終盤、渚の芝居の内容に自分の夢をシンクロさせた朋也が、最後には熱演を終えた渚に告白するシーンに使われている音楽。全曲に引き続き1人芝居のシーンに被さってはいますが、これは現実音楽じゃなくて朋也の心情を描いた劇伴ですね。もっとも、舞台の進行と音楽の展開がシンクロしてるので、どちらともとれないことはないのですが。
 シンセによる幽玄でミステリアスな感じの夢のモチーフから始まり、やがてファンタジックに盛り上がっていき、最後はオルガンの音色が華々しく締めくくられます。作品前半のクライマックスの音楽ですが、最後のオルガンの音は教会での結婚式のイメージとかも掛けてるんでしょうね。
 もっとも、劇中では曲の前半しか使われてませんね。

 「渚の死」は作品後半で一転して語られる渚の死に絡む音楽。
 前半はゆっくりと寂しげなピアノによるレクイエム風の渚のモチーフ。後半はバイオリン主体の悲しげな旋律。運命的な大悲劇の哀歌というような感じです。

 「父の言葉」は渚の死に囚われたままの朋也を立ち直らせようとする父親のシーンの音楽かな。
 スリリングなサスペンス風に始まる、ゆったりとしたストリングスのマイナー調の曲。悲しくもやるせない無力感が伝わってくるような曲です。
 このお父さん、冒頭で少し出て来た後は全然出番が無かったから、ラスト間際でいきなり復活してきたのにはびっくりしました。

 「芳野バンド」は東京でプロのミュージシャンをやっていたという、今は電設会社に勤める芳野先輩のバンドの音楽。春原の部屋でCDを掛けながら聴いてた曲ですが、あれだけスピーカーのコーンが動くような音を出してたら、騒音の苦情で寮から叩き出されても知りません。(ま、アニメの誇張表現でしょうが)
 ボーカル無しでギターメインのプログレ系の曲ですが、たまたまそういう曲だったのか、そんな曲がメインのバンドなのかはわかりません。

 「汐と再会」は作品後半のクライマックスの音楽。
 冒頭ややショッキングなイメージのコードの後、ストリングスによるゆったりと気だるいマイナー系の短い序奏に続き、ゆっくりとしたピアノによる「だんご」のモチーフが奏でられます。
 そして、中間部で短く激しいアクション系のフレーズ。
 後半は短いピアノの間奏に続くストリングスによる「だんご」のモチーフ。大きく盛り上がって大団円のフィナーレとなります。いうまでもなく、駆け出して転びそうになった娘の汐を朋也が救い上げて抱きしめる感動の再会シーンの音楽ですね。
 断続的に使われた細かい劇伴曲のセットかと思ったら、このまんま該当シーンで連続して使われています。

 「メグメル~frequency⇒e Ver.」は作品冒頭のタイトルバックに流れるテーマソング。ゲーム版の主題歌をeufoniusがリメイクしたものですが、ゲーム版を歌ってるriyaがeufoniusのボーカルなのでセルフカバーのようなものですね。

 「マルメロ~fildychrom~」は今回の新曲かな? CD付き前売券のためのカップリング曲って感じですか。
 「マルメロ~fildychrom~ La la la Ver.」は歌詞を忘れたとき対策……ではありませんね。渚が汐の名前を決めた時や、ラストの合宿に向かう電車の中で掛かってた挿入歌バージョンです。
 「小さな手のひら~eufonius Ver.~」はゲーム版ED曲のeufoniusによるリメイク。これも原曲はriyaなのでセルフカバーみたいなものですね。
 「Special image song 約束」はLiaによる新曲。前作『劇場版AIR』の主題歌だった「鳥の詩」の人気にあやかってって感じですが、なかなか本格的で良い曲ですね。

     ☆ ☆ ☆

 あれだけの人気曲に関わらずアニメ化で新規にCDが出なかったから、聴こうと思えばゲームのサントラ盤か、I'VEのアルバムに入ってるショートバージョンを探すしかなかった「鳥の詩」と違って、ちゃんと主題歌がサントラ盤に入ってるのは嬉しいですね。

 映画という限られた時間の中を、主として3つのモチーフを用いて効果的に組み上げられた『劇場版CLANNAD』の音楽は、そのために印象に残りやすく親しみやすい映画音楽に仕上がっています。
 ただ、サントラ盤としては変に現実音楽が充実してるのにメインの劇伴は尺が短くて物足りないというのは歯痒いです。普通はこの反対で、メインの劇伴は充実してても使う分しか作ってない現実音楽に不満を感じたりするんですが……
 『劇場版AIR』の時はDVDの初回限定版の特典にシンフォニーアレンジされたCDが付いてたりしたから、そういうCDが出て来るなら期待したいものです。(出来れば一般販売で)

 ところで、映画のED曲は確か3曲ぐらい継ぎ接ぎで使ってた感じですが、よく覚えていません。「小さな手のひら」「マルメロ~fildychrom~」「だんご だんご だんご」だったかな?
 これ、確か『劇場版AIR』でも「Farewell song」「青空」「IF DREAMS CAME TRUE」を継ぎ接ぎで使ってたような気がしますが、細切れに聴かされるより通しで1曲じっくり聴かせてくれた方が絶対に良いんですが。(そりゃ昨今のハリウッドの大作映画みたいにEDだけで10分以上掛かってるんなら継ぎ接ぎも仕方ないでしょうけど、アニメの映画でEDの尺が1曲じゃ足りないとも思えませんし)
 複数のタイアップレコード会社に配慮しなければならないってわけでも無いんですから、一考して欲しいところですね。

(発売元:フロンティアワークス FCCM-0198 2007.11.21)


劇場版「CLANNAD-クラナド-」 SOUNDTRACK
劇場版「CLANNAD-クラナド-」 SOUNDTRACK


ついでにTV版で使われている原作ゲームのサントラも張って置きます。
CLANNAD Original SoundTrack
CLANNAD Original SoundTrack


更新履歴
07.09.26 新規作成
07.10.09 一部の記述を訂正
07.11.26 ジャケ写追加

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