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2007.08.24

生で聴くのだめカンタービレの音楽会・フランス音楽特集!

 8月18日に兵庫県立芸術文化センターで行われた《生で聴くのだめカンタービレの音楽会》の第2部、《フランス音楽特集!》に行ってきました。
 『のだめカンタービレ』といえばパリ行きの直前で終わってるアニメ版でしか見たことはなく、当然、原作のパリ編も読んでないのですが、何でSオケやR☆Sオケの曲がメインの第1部じゃなく第2部を聴きに行ったのかというと、実のところ『のだめ』のコンサートというのが目的だからじゃなかったからですね。

 このブログを熱心に読んでくださってる人の中には前に大阪フィルの星空コンサートを『ボレロ』目当てで聴きにいったと書いてあったのに気付いたかもしれませんが、あの時は野外コンサートということもあり、また聴く場所もよくなかったので音に満足できる状態じゃなかったので別のコンサートを探してたら、ちょうとプレリザーブの案内が来てたので申し込んでみたって感じです。
 演奏は大阪センチュリー交響楽団。3年前に『SF交響ファンタジー第1番』と『ゴジラVSビオランテ』の演奏(他に筝のコンチェルトや大栗裕作品もあったけど)を聴いて以来ですね。指揮は『のだめ』のクラシック監修を務めてる茂木大輔本人。

 演奏曲は次の通りです。

 01. プーランク
   『4手のためのピアノ・ソナタ』より第2楽章
 02. ハイドン
   『交響曲第82番「熊」ハ長調』より第1楽章抜粋
 03. ジョリヴェ
   『打楽器とオーケストラのための協奏曲』より抜粋
 04. グノー
   『バレエ音楽「ファウスト」』より第5曲「トロイの娘たちの踊り」
 05. サン・サーンス
   『序奏とロンド・カプリチオーソ』
 06.プーランク
   『2台のピアノのための協奏曲』より第1楽章
 EC. プーランク
   『2台のピアノのための協奏曲』より第2楽章
 07. デュカス
   『交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」』
 08. ラヴェル
   『ボレロ』
 EC. ベートーヴェン
   『交響曲第7番』より第1楽章抜粋


 では、順番に各曲に対する印象なんかを記します。

プーランク
『4手のためのピアノ・ソナタ』より第2楽章

 フランシス・プーランクは20世紀のフランスの作曲家。主に活躍したのは第二次世界大戦以前だから、近代音楽の範疇の人ですか。今回のコンサートではピアノ絡みの曲が2つ演奏されてますが、特にピアノ関係が得意だったとかいうわけではないみたいですね。
 4手というのは手が4本、つまり奏者2人で1台のピアノを弾く連弾用のピアノソナタということですね。

 コンサートの始まりを告げる序奏という感じで、静かで穏やかな曲でした。

ハイドン
『交響曲第82番「熊」ハ長調』より第1楽章抜粋

 生涯に100曲以上もの交響曲を書いたという交響曲の父ハイドンの82番目の交響曲。『シンフォニア・タプカーラ』1曲だけの伊福部先生のファンから見れば羨ましい限りの数ですが、当時は交響曲もそんなに敷居の高いものではなかったとか、ハイドンは映画音楽等で時間と曲想を浪費したりはしませんでしたからね。

 金管がトランペット2本だけなのに割と大音量で響く曲です。打楽器もティンパニーだけで、昔のオーケストラはこんな素朴な編成だったのでしょうか。
 主体は木管とストリングス。特にチェロの音色が豊かに聴こえます。割とスピーディーに流れるような曲で、中盤のバイオリンのユニゾンが美しく聴こえました。

ジョリヴェ
『打楽器とオーケストラのための協奏曲』より抜粋

 アンドレ・ジョリヴェは20世紀のフランスの作曲家。活躍時期は戦前から戦後まで広く渡ってるので、近代音楽の範疇なのか現代音楽の範疇なのかは微妙なところですが、この『打楽器とオーケストラのための協奏曲』は戦後の作品です。
 今回の打楽器のソロ奏者は竹島悟史という人です。

第1楽章

 頭が5拍子とか言う、リズム感が狂いそうな始まりの曲です。前衛っぽいメロディの無い曲で、オーケストラは状況的に音を出してるだけって感じです。
 ステージ上の一番手前に数多くのパーカッションのセットが置かれているのですが、第1楽章ではティンパニーと小太鼓を中心に用いていて、あくまで打楽器のソロがメインの曲って感じですね。
 後半、打楽器とブラスが断続的に重なって盛り上がっていくところが印象的でした。

第2楽章

 ピアノのソロとコントラバスの伴奏で伴奏で始まり、マイナー調のストリングスが奏でられてきます。打楽器のソロは鉄琴に交代。ゆっくりと幽玄な鉄琴のフレーズとあくまでマイナーなストリングスの調べが重なります。
 やがてオーケストラによるシリアスな響きが盛り上がった後、それを鎮めるような鉄琴のフレーズが続き、終わっていきます。

第4楽章

 ソロの打楽器は、ドラムセットと大太鼓、シンバル、木魚に代わります。
 クラリネットによるエキゾチックな旋律に激しいドラムスが重なります。けっして心地良いとはいえない不協和音で激しく盛り上がるオーケストラ。
 ブラスとストリングスが日本民謡風のフレーズを繰り返しますが、木魚といい、この辺は作曲者が東洋的な素材を取り入れてるのでしょうか?
 中盤のシンバルの激しさがなかなかです。
 民謡風の木管のフレーズからオーケストラが盛り上がり、それに答えるようにドラムスもヒートアップしていきます。

 フランス音楽というイメージだけで聴きに来た人たちにとっては相当異質に聴こえた曲かもしれませんが、なまじ日本の近現代音楽を聴きなれてる身にとっては、こういう曲の方が親しみを覚えたりしますね。

グノー
『バレエ音楽「ファウスト」』より第5曲「トロイの娘たちの踊り」

 シャルル・グノーは19世紀のフランスの作曲家。ゲーテの詩を基にしたオペラ『ファウスト』で知られますが、このバレエ音楽はオペラ初演の10年後に改訂されたときに、第5幕の前半に追加されたものらしいです。

 バイオリンのユニゾンで始まる穏やかな曲です。そしてハープとストリングスの優雅なフレーズが奏でるゆっくりとした舞曲。どちらかというと王侯貴族の上流階級の舞踏会風の音楽でしょうか。

サン=サーンス
『序奏とロンド・カプリチオーソ』

 カミーユ・サン=サーンスは19世紀から20世紀にかけてのフランスの作曲家。この『序奏とロンド・カプリチオーソ』は奇しくも大阪フィルの星空コンサートで小学生の見渡風雅ちゃんがバイオリンソロを演奏していた曲ですが、今回のソロ奏者は大宮臨太郎という大人のプロのバイオリニストの人です。

 さすがにバイオリンソロの演奏は、音自身に豊かさがあって、滑らかです。オーケストラともピタリと息が合ってる感じです。
 中盤、オーケストラが盛り上がってから断続的に伴奏するところの、バイオリンソロの演奏が印象的でした。後半の旋律のフレーズを奏でていく部分もなかなかです。

プーランク
『2台のピアノのための協奏曲』より第1楽章

 1曲目はピアノの連弾でしたが、こちらはピアノ2台を用いた協奏曲。プログラムでは第1楽章だけだったけど、その後、アンコールとして第2楽章を演奏。だったら最初から第2楽章もプログラムに入れとけよと言いたいところですけど……。全3楽章構成の曲ですが、第3楽章はありませんでした。
 ピアノはプリムローズ・マジックの2人の演奏です。

 冒頭のオーケストラヒット一発の後、ピアノの演奏にオーケストラが伴奏していく感じです。2台のピアノも一方が旋律を、もう一方が伴奏する形でオーケストラと対峙します。序盤のオーケストラはかなり激しく、大きく盛り上がります。
 中盤はしっとりとしたピアノの展開で、コントラバス辺りが最低限の伴奏を奏でる以外はオーケストラが沈黙してしまいます。やがてピアノの軽快で小刻みな二重奏とともに、オーケストラが復活して盛り上がります。
 後半は静かで幽玄に響く神秘的なピアノの音が印象的で、オーケストラはゆっくりと穏やかにバックを奏でます。ラストは葬送的な印象を受けるほど静まった後、トリッキーな感じのアクセントで終わります。

プーランク
『2台のピアノのための協奏曲』より第2楽章

 まだコンサートの途中なのにアンコールです。事前のプログラムでは『序奏とロンド・カプリチオーソ』よりも先に『2台のピアノのための協奏曲』があったので、休憩前のアンコールの予定だったのかと思いますが、時間配分のためか、ピアノのセッティングのためか順番が入れ替わってしまったので、アンコールとしては中途半端な位置になってしまったみたいですね。

 明るく踊るようなピアノが穏やかで温かく奏でていきます。アクセント的に入るオーケストラヒット。
 やがて大きく盛り上がって展開していくオーケストラとは逆に、ピアノの演奏は機械的な繰り返しに感じられてきます。
 後半は序盤と同じフレーズが繰り返されますが、典型的な三部構成みたいですね。優雅に奏で上げていくオーケストラが印象的でした。

デュカス
『交響的スケルツォ「魔法使いの弟子」』

 ポール・デュカスは19世紀から20世紀にかけてのフランスの作曲家。非常な完璧主義者で気に入らない作品は次々に捨ててしまったので現存する作品は限られてるようですが、その幸運な作品の1つがこの『魔法使いの弟子』。一般にはディズニーの『ファンタジア』で使われていることで知られているようです。
 魔法使いの未熟な弟子が魔法に失敗してトラブルを起こすという状況を描いた曲のようですが、とっさに頭に浮かんだ反応は「赤ずきんチャチャかいっ!」。セラヴィー先生の留守にチャチャが横着しようと「出でよ、水!」と魔法を使ったのはいいけど、止め方がわからなくて、リーヤも巻き込んで大騒動……という光景ですね。しいねちゃんがいればこれくらい何とかしてくれるかもしれませんが。

 大阪センチュリーは二管編成がメインのオーケストラなので、三管編成のオーケストラと比べて小振りに感じるのですが、それにもましてこれまでは特にブラスが(ハイドンのトランペット2本だけは例外としても)異様に少なくてこざっぱりしすぎてた感じがあったのですが、ここでいきなりオーケストラを増員して来たので期待が膨らみます。

 曲はフルートとストリングスによって静かに始まりますが、やがてコミカルなブラスのアクセントで展開していきます。
 ホルンとコントラバスのフレーズが印象的。ストリングスが事態をシリアスに奏でる中、何とかしようと魔法を振るってるような鉄琴とトライアングルのコミカルな響きも面白いです。
 徐々に音が低く分厚くなってきて、事態の深刻化が奏でられるようにテンポアップしていきます。太鼓とシンバルが激しく打ち鳴らされます。
 一転してゆっくりとホルンが断続的に奏でた後、印象的なファゴットのフレーズが続きます。再びオーケストラはテンポアップし、太鼓とシンバルが激しく鳴らされます。
 クライマックスの盛り上がりは大きく、そしてゆったりとしたコーダ部の最後、オーケストラヒットの3連発で締めくくられます。

ラヴェル
『ボレロ』

 小太鼓を真ん中付近に持ってくるのはスコアの指定なんでしょうか? 大阪フィルの星空コンサートでは小太鼓は3個だったけど、今回は2個。でも、これがオリジナルのようですね。
 演奏は小太鼓のソロから。ピアニッシモよりもさらに小さい感じですが、他に音がないからこの微かなリズムもホールに響きます。しかし、奏者はほとんど手を動かしていないんですね。
 B♭クラリネットとE♭クラリネットは同じ人が持ち替えてます。トランペットがやや堅い感じを受けました。テナーサックスがなかなか味がありますが、クラシックというよりジャズ風の吹き方じゃないのかな。
 木管が一通り出揃った辺りで、ようやく小太鼓の奏者の腕が動いてる様子が見えるようになりましたが、まだ1人なんですね。
 トロンボーンが男の音を聴かせてくれますが、ちょっと息が苦しそうだったかな。
 ストリングスが出揃った時点でも小太鼓は1人。もう1人はまったくもって暇そうです。暇な楽器は他にもまだありますけど。
 小太鼓が1人のまま、ティンパニーが加わってきます。クライマックスの盛り上がりでようやく小太鼓が2人になり、さらに最後の最後で太鼓と銅鑼が派手に鳴り響きます。

 やはり、ちゃんとしたホールで聴く『ボレロ』は格別ですね。

ベートーヴェン
『交響曲第7番』より第1楽章抜粋

 原曲の抜粋というよりドラマ版『のだめカンタービレ』のOP曲の演奏というところでしょうか。アニメ版しか見てないのでよくわかりません。ま、『交響曲第7番』自体はアニメの中でも何度か使われていましたし、関連商品のCMでも御馴染みですね。

     ☆ ☆ ☆

 単独の楽章だけの演奏とか抜粋曲が多いのが初心者向けの入門コンサートって感じですが、最近巷で売れてるクラシックのベスト盤CDみたいで、なんか安っぽい感じがして好きではありませんね。わざわざコンサートに来てまで聴くんだから、曲数は減っても全曲を通して聴きたいという気がします。
 ま、チャイコフスキーの3大バレエ音楽ですら巷の廉価盤でよく売ってるような3作品から抜粋したようなCDは嫌で、多少高くなってもそれぞれ全曲収録のものを探す人ですから、他の人はそうではないのかも知れませんが。

 このコンサート、ステージの上にスクリーンが設けられていて、原作のマンガをストーリー仕立てで映していたのですが、原作は知らないし、もっぱら演奏の方に関心があったのでほとんど見てません。
 ただ、『魔法使いの弟子』のところで千秋が幼い頃の飛行機事故のシーンを流していたのですが、この話はアニメでもやってたので、こんなところで映されてるのには違和感を覚えたりもしました。

 演奏的には主目的の『ボレロ』には満足できたし、ジョリヴェの『打楽器とオーケストラのための協奏曲』なんてCDを探すのも難しいような珍しい曲を聴けたのは良かったです。

     ☆ ☆ ☆

 コンサートとは関係ありませんが、『のだめカンタービレ』関係から

アニメ「のだめカンタービレ」オリジナル・サウンドトラック
アニメ「のだめカンタービレ」オリジナル・サウンドトラック
 アニメ版の劇伴を集めたサウンドトラック。一部を除きクラシック曲は入ってません。聞き物は劇中曲として使用された「のだめラプソディ」でしょうか。

「のだめオーケストラ」STORY!
「のだめオーケストラ」STORY!
 こちらはアニメ(やドラマ)の劇中で使用されたクラシック曲のバリエーションを集めたもの。変な演奏のものがあったり、最低限の部分しかなかったりするのでクラシック曲の鑑賞用には使えないでしょう。
 聞き物は「プリごろ太マーチ」と川澄綾子版「おなら体操」。ジョリヴェの『打楽器とオーケストラのための協奏曲』もオーケストラじゃなくピアノ伴奏版の第4楽章だけですが、入ってるのが貴重かも。

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受信: 2007.08.27 15:15

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