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2007.05.05

大阪フィル 星空コンサート

 4月29日に大阪城・西の丸庭園で行われた大阪フィルハーモニー交響楽団の星空コンサートに行ってきました。
 ちょっと『ボレロ』が聴きたいなと思ったら、500円で聴けるコンサートがあるとのことで出掛けてみたのですが、ゆっくりと出掛けたらすでに大入りで、ちゃんとオーケストラの見える場所なんか無くなってる感じでした。
 絶好の行楽日和というのにこんなところに群がって暇な連中だな……と思ったけど、考えりゃ大阪城も行楽地ですね。それに1万人も詰め込むには何時間も前から入れ始めないとダメですね。

 大阪迎賓館前の特設ステージでの演奏で、ステージ前には大きなスピーカーセット……クラシックのコンサートというよりポピュラー系の野外ライブという感じですね。横の方から覗いてただけなので正確なところはわかりませんが、最前列を第1バイオリンと第2バイオリンが向き合う形で、チェロやヴィオラ、コントラバスは後方に下がったような感じでしたね。
 指揮は大植英次。この人の指揮で聴くのは初めてですが、恰幅がいいというか、ちょっと小太りな感じで、やたらパフォーマンスが派手な人ですね。今回のコンサートはいわゆるクラシックファン以外の一般人が多いことを意識したからかもしれませんが。

 演奏曲目は次のとおり。

 01. バーンスタイン
    『キャンディード』序曲
 02. ドヴォルザーク
    交響曲第9番『新世界より』第4楽章
 03. J.シュトラウス2世
    ワルツ『美しく青きドナウ』
 04. サン=サーンス
    序奏とロンド・カプリチオーソ
 05.J.ウィリアムズ
    映画『E.T.』フライング・シーン
 06.ラヴェル
    ボレロ
 07. チャイコフスキー
    序曲『1812年』
 E1. G.ロッシーニ
    『ウィリアム・テル』序曲
 E2. 童謡
    「夕やけこやけ」「七つの子」「ふるさと」
 E3. 八木節

 「『キャンディード』序曲」は『ウェストサイド物語』で知られるバーンスタインによるミュージカルだか、オペレッタだかの音楽。なんでこの曲が初っ端に?……と思ったら、大植英次がバーンスタインの晩年の弟子だったからみたいですね。
 ハイスピードのブラスに始まる演奏。ジャンジャカジャンって感じの『天国と地獄』を思わせるような派手な出だしです。その後、コミカルなフレーズのピッコロ、低音のストリングスによる強く滑らかな旋律、畳み掛けるようなブラスという要素が繰り返され、最後はブラスがだんだんアップテンポに盛り上がって終わります。

 「交響曲第9番『新世界より』」はよく知られたドヴォルザークの代表作。「第4楽章」は有名な「家路」の旋律が華々しく展開される最終楽章です。個人的には『わが青春のアルカディア』の冒頭のファントム・F・ハーロックのシーンに使われていた第1楽章の方が馴染みが深いのですが……
 聴きなれた曲って思ってても中学・高校生の頃くらいのことで、中間部分のメロディなんかは完全に忘れてしまってますね。スピーカーで増強してるとは言え野外の演奏なので、ブラスは通りが良いけどストリングスはもうひとつって感じ。やっぱりちゃんとしたホールで聴くのが一番です。
 あと、テレビの収録と、迎賓館のところに設置されたスクリーンの映像のために空撮用のクレーンが動き回ってたり、通路をスタッフが走り回ってたりするのが思いっきり邪魔な感じですね。

 「美しく青きドナウ」はワルツ王、ヨハン・シュトラウス2世の代表作。キューブリックの『2001年宇宙の旅』で、R.シュトラウスの『ツァラツストラはかく語りき』と共に使われてる曲としての馴染みが深いですね。
 ホルンとストリングスの出だしから始まってブラスが少し盛り上がって、ややスローダウン。別の旋律が流れた後、コントラバスの低音がボンボンと弾けた後、ストリングス主体の華麗なワルツの始まり。さすがにこの曲はストリングスが全開だから、通りが悪いといってもそれなりに響いてきます。

 「序奏とロンド・カプリチオーソ」はフランスのロマン主義作曲家、サン=サーンスの作品ですが、知らない人です。ここでヴァイオリンのソロ奏者として登場したのが見渡風雅という若干11歳の少女……小学生ですか。
 ヴァイオリンソロとストリングスの静かな始まり。ソロの旋律はどこか「チゴイネルワイゼン」風の哀愁のある調べ。スタッカートでアップテンポに踊るようなフレーズのストリングス。ブラスが思い出したようにアクセントを付ける感じで、オーケストラはあくまで伴奏に徹してるようです。
 それにしても、オーケストラを相手にソロが延々と弾き続けなのが凄いですね。とても11歳の女の子とは思えません。

 「フライング・シーン」は『E.T.』で自転車が宙に浮くシーンに使われていた曲。ジョン・ウィリアムズによるこの映画の音楽の中で代表的な曲ですね。
 しかし、指揮者が途中で指揮台を下りてるから何をするのかと思ったら、E.T.の人形を乗せた自転車をこぎ出してるって……さすがにパフォーマンスが過ぎるって感じがしますが……
 もっとも、人口に膾炙した定番曲なだけあって、指揮者無しでも演奏に乱れが無いのはさすがです。終盤のピッコロがなかなか。

 いよいよ目的の「ボレロ」ですが、「ボレロ」と言えば『銀英伝』の最初の劇場版のクライマックスで使われてたのが印象に強い曲です。それを受けて『涼宮ハルヒの憂鬱』の「射手座の日」ではあえて「ボレロ」を避けたって拘りも思い出します。
 ここでいきなり小太鼓他の打楽器系を一番前に出して来てます。ま、ボレロといえば延々と同じリズムを奏でる小太鼓がメインとでもいう曲ですから、これもありですが。
 しかし、特別な趣向はこれだけで終わらず、指揮者による次々に交代で演奏する楽器の説明付きです。以前に『題名のない音楽会21』で羽田健太郎の解説付き「ボレロ」というのをやってましたが、それの簡単なのをやろうという感じです。ま、面白いといえば面白いのですが、純粋に曲を聴くのを目的でやってきたので、ちょっと残念な感じですね。
 それにしても、複数いる小太鼓も終盤近くまでは1人でやってるので、他の奏者が暇そうですね。

 「序曲『1812年』」はナポレオンのモスクワ遠征に対するロシアの祖国戦争を題材にしたチャイコフスキーの作品。「序曲」というのは何かバレエやオペラの「組曲」のようなものの「序曲」というわけではなく、この作品が発表された演奏会における「序曲」という意味合いみたいですね。
 哀愁漂うチェロを主体としたゆったりとした始まりから、木管、第1バイオリン、ブラスと盛り上がって行った後、スローダウン。華々しいホルンと美しいストリングスのフレーズが続き、ストリングスのスタッカートの連続の後ブラスが盛り上がり、勇ましい行軍マーチ風の派手な展開。
 一転、ゆっくりと優雅なストリングスが続いた後、再び勇ましいマーチの盛り上がり。ここで大砲音が3発。その後、ゆっくりと大団円風に盛り上がった後、大砲音の乱れ撃ちが続く興奮の中で終わり。
 せっかく広い野外の会場(しかも戦前は陸軍の駐屯地)なんだから大砲は本物の空砲でも持ってくるのかと思ったんだけど、どうもシンセ系のサンプリング音源を使ってた感じですね。ま、いくら空砲とは言っても矢継ぎ早に乱れ撃ちするには大砲を何発も並べないといけないから、そう簡単に調達も出来ないんでしょうけど……

 「『ウィリアム・テル』序曲」は運動会などで聴き慣れたマーチ曲ですが、シラーの戯曲を基にしたロッシーニの歌劇『ウィリアム・テル』の一曲です。ウィリアム・テルといえば我が子の頭上のリンゴを射抜いた弓の名手として、『平家物語』の屋島の合戦で扇を射抜いた那須与一とともに知られている人ですが、この序曲とはイメージがちょっと結びつきませんね。
 ま、1曲目の「『キャンディード』序曲」に合わせたって印象があるんですが、どうなんでしょうか。

 「夕やけこやけ」「七つの子」「ふるさと」は全員で合唱。ま、入り口で歌詞カードを配ってたから、あらかじめ想定済みの曲でしたが。

 最後は「八木節」。ステージの脇に和太鼓があったから何に使うのか気になってたけど、最後のこの曲ためでしたか。しかし、「八木節」だけなんて中途半端で終わるぐらいなら、外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」でもやってくれれば良かったと思ったのはここだけのナイショ。
 しかし、クラヴェスを3本ぐらい使ってるのはなんか珍しい感じかな。野外ステージだから多目にしてるのかもしれませんが。

     ☆ ☆ ☆

 当日は雲ひとつ無い快晴で、まさに『星空コンサート』にはうってつけの天気だったのですが、星空と呼ぶには空には月と金星しか見えないというのも所詮は大阪の空ってところですが、風情が無いですねぇ。伊丹に降りる飛行機が意外と低空を飛んでるのも気になったところですが……
 500円のコンサートとしては十分元が取れた気がしますが、やはりもうちょっと音響の良いところで聴き直したいですね。とくに「ボレロ」は純粋な演奏を聴き直したいところなので、リベンジを画策中ですが……

P.S.
 思い込みによる誤りがあったので、一部の記事を修正しました。

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