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2007.04.20

ブラスバンド・バラエティ 宮川彬良&大阪市音楽団

 今回は吹奏楽のアルバムです。
 吹奏楽といえばパレード等のマーチングバンドをイメージすることが多いのですが、ステージ演奏をメインとする弦楽器抜きの簡易オーケストラ的な編成のものも多く、オーケストラにはちょっとメンバーを集められないアマチュアバンドの活動なんかも多いようです。(オーケストラ指向の強い吹奏楽団は特にウインド・オーケストラを名乗ったりしています)
 大阪市音楽団は大阪市の持つプロの吹奏楽団ですが、前身が陸軍の軍楽隊だったというから、相当に歴史の古いのようです。
 今回のアルバムは、この大阪市音楽団が宮川彬良のアレンジ・指揮で演奏した2006年2月の八幡市民文化会館でのコンサートのライブ録音です。宮川彬良についてはここを読んでる人には特に説明は要りませんよね。この春からNHK教育で放映してる『風の少女エミリー』の音楽も手掛けられてるようです。
 ゲストプレーヤーはサックスの平原まこと。最近の宮川彬良とは切り離せない人ですね。

 とりあえず曲目一覧。父親だからって故・宮川泰の作品が多いのはいつもながらのご愛嬌ですか。

 01. ズームイン!!朝!
 02. 組曲『宇宙戦艦ヤマト』1 序曲
 03. 組曲『宇宙戦艦ヤマト』2 宇宙戦艦ヤマト
 04. 組曲『宇宙戦艦ヤマト』3 出撃
 05. 組曲『宇宙戦艦ヤマト』4 大いなる愛
 06. 私のお気に入り
 07. ジュ・トゥ・ヴ
 08. 竹内まりやメドレー 不思議なピーチパイ
 09. 竹内まりやメドレー 駅
 10. 竹内まりやメドレー 恋の嵐
 11. ブラック・ジャック 第1楽章
 12. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” 道頓堀行進曲
 13. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” チャンピオン
 14. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” 大阪で生まれた女
 15. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” 大阪の女
 16. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” 王将
 17. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” 大阪ラプソディー
 18. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” 雨の御堂筋
 19. メドレーマーチ“Oh!Namihaya” どんなときも
 20. マツケンサンバII
 21. ゲバゲバ90分

 それでは中身を聴いていきましょう。

 「ズームイン!!朝!」はかつては日本の朝を代表する音楽だったと言っても良い、宮川泰の名曲です。トランペットのファンファーレから始まり、流れるようなホルンが紡いでいく華やかな曲……というよりは、サンバホイッスルの鳴り響くド派手な曲といった方がいいでしょう。
 テレビ番組、とくにニュース番組だと押さえ気味に使われるものだし、昔のテレビは音質も良くないから同時刻の他の局のニュース番組に比べたら派手気味でしたが、音楽自体はそんなに派手な印象はなかったのですが、こうして音楽だけ取り出してみるととても朝のニュース番組の音楽とは思えないくらい派手ですね。
 ま、「ズームイン!!朝!」といえばニュースよりも巨人贔屓の徳光アナに阪神を応援する読売テレビのアナが対抗してたプロ野球コーナーとか、ウィッキーさんの英会話の印象が強かったんですが。

 「組曲『宇宙戦艦ヤマト』」は宮川泰の代表作である『宇宙戦艦ヤマト』の音楽の演奏会用のアレンジ曲。
 この曲、90年代くらいから宮川泰が手掛けるオーケストラコンサートで演奏されるようになって、しばしばボーカルやスキャットが入ったりしていてその都度、演奏形態が微妙に違ったりしています。演奏される機会で言えばオーケストラの方が圧倒的に多いんですが、なぜかCD化されてるのは吹奏楽バージョンばかりでこれが3枚目。
 実質的には『幻想軌道』のライブ盤に入ってるのや『交響組曲 新・宇宙戦艦ヤマト』の冒頭に入ってるのもこれのバリエーションの1つと言えないことは無いでしょうけど、純粋にオーケストラ版としては出てないんですね。

 「序曲」は『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の同名曲からサスペンス・モチーフによるイントロを省き、ピアノ伴奏付きのスキャットから始まり(『交響組曲』ではピアノ伴奏は付かない)、中盤の盛り上がりから後半部に入ったところでぶち切って次の「宇宙戦艦ヤマト」に繋げられる構成の曲ですが、この吹奏楽バージョンではスキャットの代わりに平原まことのサックスが入って、もちろんピアノ伴奏なんかはありません。
 ゆっくりとした哀愁漂うサックスのソロから始まってる時点で原曲とはイメージがかなり違います。そこに木管やトロンボーン、ホルンが重なってきて何とか原曲のイメージを取り返してるという感じ。後半の盛り上がり部分はノーマルですね。

 「宇宙戦艦ヤマト」はお馴染みの『宇宙戦艦ヤマト』のテーマソングです。前曲がサックスを表に出した大胆なアレンジで来たから、これはどう料理してくれるのかと思ってたら、意外にノーマルな感じのアレンジです。
 ボーカルパートはサックスとトランペット辺りが交互に奏でてる感じですが、サックスのペースに合わせてるのか、オーケストラ版だとしばしば速過ぎるテンポになってるところを、ボーカルに適した適正なテンポに納まっているようです。

 「出撃」は戦闘シーンの音楽。『交響組曲』の「決戦~挑戦=出撃=勝利」の真ん中からタイトルを持ってきたみたいですが、要するに「ブラックタイガー」の音楽です。
 テンポはやや不定気味。伊福部マーチじゃないけど、こういうハイテンポで激しい音が連続する曲はブラスにとっては過酷なんでしょうか。原曲に比べていくらかもたつきが感じられます。ストリングスが無いと滑らかさに欠けるというのも原因かな。

 「大いなる愛」は『さらば宇宙戦艦ヤマト』のクライマックスで使われた名曲ですが、これが本編で実際に使われた曲と構成が違うのは、昔からサントラ盤を聴いた人ならよく知ってる話ですね。
 第1主題はクラリネットのソロから始まってオーボエのソロで終わる、非常におとなしいアレンジ。哀愁漂うバラード風です。続く第2主題はサックスのソロで1ループした後、ようやく他の楽器全体に盛り上がってもう1ループという感じで、前半と後半の対比が非常に大きなアレンジに仕上げられています。
 ラストのマーチ風の締めくくりは『交響組曲』の「序曲」のラストを思わせるアレンジで、うまくまとめ上げてるって感じですね。

 「私のお気に入り」はミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』で、マリア先生が何度か口ずさむ、とても印象的な曲です。映画しか見たことはないんですけど、どちらかというと「トレミの歌」とか「エーデルワイス」なんかより、この曲の方がずっと印象に残ってるんですね。
 演奏はサックスを中心にジャズ風のアレンジから始まり、中盤、小刻みにコミカルなアレンジ。そこからゆっくりとしたバラード調のフレーズが続いた後、アップテンポに盛り上がってジャズセッション風の演奏となり、最後はシンフォニックに締めくくってるという感じ。
 いろんなアレンジを組み合わせてる感じで、トラップ家の子供たちの間を駆け回ってるマリア先生の光景が思い浮かんで来ます。
 『サウンド・オブ・ミュージック』の曲では他に「もうすぐ17歳」なんかも好きなんですが、この曲も宮川彬良アレンジで演奏してくれないかなぁ……

 「ジュ・トゥ・ヴ」はヨーロピアン風の華やかでシャレた音楽。何かと思えば、原曲はサティの書いたシャンソンらしいですね。サティといえば「ジムノペティ第2番」ぐらいしか馴染みがなく、またピアノ曲の人というイメージしかないから新鮮な感じです。
 コミカルなイントロの後、トランペットによるゆっくりとしたメロディー。トロンボーンあたりのやや寂しげなフレーズが続いた後、トランペットを中心に木管や木琴を交えて華やかに盛り上がり、シンフォニックに展開した後スローダウンして終わる感じ。

 「竹内まりやメドレー」は竹内まりやの代表曲をジャズ風のアレンジでつなげたメドレー。
 ライナーノートで宮川彬良が吹奏楽は(あまり制約がないからジャズ風のアレンジみたいな)自由なアレンジが出来るというようなことを書いていて、実際、他の曲でもジャズっぽいアレンジがされてる曲もあるわけですが、あまり音楽的に濃くないリスナーからすると、吹奏楽は吹奏楽であってジャズじゃないんだから……というような印象ももってしまって、もうちょっとノーマルなアレンジで原曲に近い音を聞かせてくれてもとか思ったりもしてしまいます。

 「不思議なピーチパイ」は竹内まりあの曲というよりも、河合奈保子がアイドル時代のライブ盤で歌ってるのを繰り返し聴いて耳に馴染んでるって感じかな。オーソドックスなジャズセッション風のアレンジですが、スローダウンしたところのピッコロがなかなか聞かせてくれます。
 「駅」はゆっくりとしたバラード風。後半、鉄琴とホルンで盛り上がってくるところのアレンジがどこか宮川泰の作風に似てるんですが、やはり血は争えないというところでしょうか。
 「恋の嵐」は華々しいアレンジで始まる曲ですが、サックスのソロの部分が印象的ですね。

 「ブラック・ジャック」は宝塚市立手塚治虫記念館の開館5周年記念に作曲された作品で、「命」をテーマに3楽章構成で作られています。元々は宮川彬良&アンサンブル・ベガの公演プログラムとして発表された曲なので、元来は非常に少人数のブラスバンドで演奏される曲のようです。今回はそれを大編成用にアレンジしなおしたバージョンですね。
 「第1楽章」は「血と、汗と、涙と…」という副題が付いていますが、血は患者の発生、汗は手術の苦労、涙はそれを巡る人間模様というところでしょうか。
 割と派手目のシンフォニックな曲で、具体的な解説がないのでどういう状況展開の曲なのかはちょっとわかりませんが、天才外科医として華々しく活躍するBJの光と影を描きながら「命」を謳い上げてるというところでしょうか。
 作曲者によるとソナタ形式とのことですが、終始トランペットで奏でられるメインモチーフが印象的に残る曲です。

 「メドレーマーチ“Oh!Namihaya”」は1997年の大阪国体(なみはや国体)の開会式入場行進曲です。この曲を手掛けたことが宮川彬良と大阪市音楽団との出会いだったようですね。
 曲目を見てもわかるように、大阪ゆかりの歌謡曲をメドレーで繋いで行進曲かしたものです。ファンファーレ的なトランペットのモチーフをメインに各曲をマーチ風にアレンジして繋げてある形ですが、原曲がしっとりとした感じの曲はアレンジも抑え目にただリズムにメロディーを乗せてる感じなのですが、逆に元から派手目の曲はマーチ化のアレンジが大胆でイメージがかなり変わってるような気がします。
 この手の式典マーチは、完全オリジナルの曲ならともかく、こういう既製曲をメドレーにしたようなのはほとんど使い捨てという感じで、後から顧みられることは滅多に無いと思うので、こういう形で残っていくのも貴重かも知れません。
 Wikipediaの「なみはや国体」を見てみたら『グランドオペラなみはやの夢』というのも宮川彬良が手掛けたようですが、これも聴いてみたいですね。

 「マツケンサンバII」は今や宮川彬良の代表曲として知らない人はいないような曲ですね……って、実のところマツケン抜きのオーケストラ版とか吹奏楽版しか聴いたことがないんですけど。
 とにかく全体的に華やかな曲で、ド派手なトランペットにサックスが微妙に絡んでる感じです。クラリネットとトロンボーンあたりによる間奏がなかなか良いですね。

 「ゲバゲバ90分」は昔、日曜の夜にやっていたバラエティ番組のテーマ曲で、これも故・宮川泰の作品です。当時は子供は8時には寝ろというのが当時の我が家のルールだったので、原則的に見られない番組だったのですが、それでも何らかの事情で遅くなるときもあって、たまたまテレビに映っていたのを目にしたこともあるのですが、記憶に残ってるのはシルクハットとタキシード姿でステッキを持った大橋巨泉が行進してる光景ぐらいですか。
 いかにも宮川泰らしい歌謡ショー的な華やかなオープニングマーチという感じで、スポーツ番組とか運動会とかにも使えそうなのに、あんまりそういう使い方されてるイメージはありませんね。ま、長らく音源が商品化されてなかったみたいだし、番組のイメージが強過ぎて(特に学校の運動会のような行事には)不向きと思われていたのでしょうか。

     ☆ ☆ ☆

 吹奏楽のライブ盤と言っても、平原まことのサックスにかなりウェイトを置いたようなアレンジがなされてるので、純粋な吹奏楽バンドの演奏なり音を期待して聞いてみると、若干イメージが違って感じられると思います。
 「組曲『宇宙戦艦ヤマト』」なんかもそういう意味で原曲とは違いますから、このアルバムで初めて聴いたというような人は、原曲なり原曲に近いアレンジの演奏に触れて欲しいような気がします。一方、あまり演奏の機会のない「ズームイン!!朝!」とか「ゲバゲバ90分」はストレートに吹奏楽の音を引き出した演奏で原曲に近い魅力を引き出してると言えます。

 この宮川彬良&大阪市音楽団ですが、ほぼ同じような曲目のプログラムのコンサートが各地で開かれてるようですね。(頻度は高くないようですが)
 『題名のない音楽会21』の公開録画の観覧募集の案内が出てたから、近々テレビでも放送があると思いますし、秋にはザ・シンフォニーホールでのコンサートがあるみたいだから聴きに行きたいと思います。

(発売元:キングレコード KICC-648 2006.12.06)


ブラスバンド・バラエティ 宮川彬良&大阪市音楽団 痛快ライヴ!マツケンサンバII!!
ブラスバンド・バラエティ 宮川彬良&大阪市音楽団 痛快ライヴ!マツケンサンバII!!

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