神田朱未・Bitter Sweet Friday
神田朱未という名前を初めて目にしたのは、確かアニメイトの店頭で『ときメモ』関連のイベント告知があった時でした。ま、知らない声優さんのイベントなんか興味があるわけもなく、『ときメモ』の人かというくらいの印象を持っただけでした。この当時のアニメの出演も見てはいたけど、記憶には残って無いんですね。
『D.C.~ダ・カーポ~』の美春も当時は3大ヒロイン(音夢・さくら・ことり)の声優さんは意識してたけど、美春まではという感じ。続編の『D.C.S.S.』で神田朱未だったのかと気付いたぐらいです。『ウルトラマニアック』は地元のCATVでアニマックスが映るようになってから再放送で見たのが最初ですから、仁菜のドジっ子な魔法少女ぶりを見たのもずっと後になります。
そんな感じで、神田朱未という名前を強く印象付けたのはやはり『魔法先生ネギま!』の神楽坂明日菜役ですね。あの『ときメモ』の人って、こんなリリカルな演技が出来る人だったのかという感じです。
そんなわけで、個人的には神楽坂明日菜の声優さんというイメージが非常に強い神田朱未ですが、『ネギま!』を初めとしてキャラソンの商品展開が盛んな作品にいくつかメインキャラで出てるだけあって、歌の数も多いようです。
今回はその神田朱未のベストアルバム『BITTER SWEET FRIDAY』を聴いてみましょう。収録曲は以下の通りです。
01. Bitter Sweet Friday
02. 鏡の中 ~Bitter Ver.~
03. ハッピー☆マテリアル
04. ココロのネジ
05. さくらの季節
06. Believe ~Acoustic Ver.~
07. WhiteSeason ~ReMix Ver.~
08. 恋するバランス
09. DRAMATIC☆GIRLY ~Bitter Ver.~
10. バカップル♥
11. 素顔でFly to you ~Bitter Ver.~
12. いつだってLove & Dream ~Bitter Ver.~
13. Oh My ダーリン ~Sweet Ver.~
14. SUNRISE
15. ありのままの世界
それでは順番に1曲ずつ。
「Bitter Sweet Friday」はこのアルバムの新曲で、ゆっくりとしたボサノバ風の曲。アルバムのCMで流れてる曲ですね。
声質が甘い感じで声が伸びずにこもってる感じの歌い方なので、雰囲気は出てるんだけど曲を活かしきれてないような気がします。もうちょっと透き通った声のボーカルなら良かったかな。
バックはギター、ベース、ドラムスだけで軽い感じ。そのぶんボーカルが目立ちます。オリジナル曲というよりどちらかというとキャラクターソングの歌い方って感じですが、その範囲で見ると悪くはありません。
間奏部のささやきがゾクッとくる感じで、ファンにはたまらないでしょうね。
「鏡の中 ~Bitter Ver.~」は『ウルトラマニアック』のOP曲のカバー。オリジナルはcan/gooが歌っていましたね。
ゆっくりとしたテンポのバラード調のサビから始まり、テンポアップして1コーラス目が始まります。バックはオリジナルより派手そうだけど、逆にボーカルはパワーが足りない感じです。ま、can/gooと比較するのはあまりに酷という感じですが、それでもよく歌ってる感じはします。
リフレインの出だしに掛かるピアノのアレンジが割りとお気に入りです。
「ハッピー☆マテリアル」は『魔法先生ネギま!』のOP曲のソロバージョン。オリジナルは非常に話題になった曲なので説明は要りませんね。
元々、明日菜は2月度のOP曲を歌ってたはずですが、これは何月バージョンでしょうか? さすがに歌いなれてるって感じでボーカルに卒がなく、活き活きとしています。しかし、ソロだと少し寂しくて『ハピ☆マテ』という感じがしませんね。
アレンジはオーソドックスな感じ。個人的にはサビで「ゴーゴー」と入る2月バージョンが好きだったんですが……
「ココロのネジ」はPS2版『D.C.P.S.』の天枷美春のキャラクターソングです。
アップテンポでややハードなロック系の曲だけど、ボーカルは優しい感じの声です。割とボーカルにパワーがあって、派手なバックに力負けしてません。基本的には声に相当のパワーがある人みたいだけど、歌向きかどうかはちょっと疑問かな。
ココロのネジを巻くというのは自分の世界を開かせて恋心を与えてくれたってあたりの意味合いでしょうか。背中のネジを巻くのはロボットの美春で、頭のネジを巻いたりしたら大変ですね。
「さくらの季節」は『ときめきメモリアル3』の牧原優紀子のキャラクターソング。ボーカルやメロディーは少しおとなしめだけど、バックのリズムが派手という典型的な90年代アニソン系の作りの曲です。
ボーカルはサビの出だしのところが少し気張り過ぎな感じ。この辺りを自然と滑らかに歌えるようになったら良いはずです。対照的にリフレインの出だしの力を抜いた甘える感じがなかなか良かったりします。
全体的にはうまく曲に乗った歌い方をしていて、聴いて心地良いですね。
「Believe ~Acoustic Ver.~」は『魔法先生ネギま!』初代ED「輝く君へ」のC/W曲で、かなかな組というユニットで歌ってた曲のソロバージョン。
伴奏はギターと、途中から入ってくるストリングスがメインのアコースティックアレンジで、ボーカルは柔らかく流れるような感じです。サビで力を込めているのが逆に切なさを感じさせています。肩の力が抜けた感じの、リラックス向きの曲ですね。
ギターが終始、淡々としていて変に主張したりしないのが良いです。逆にストリングスが目立ち過ぎですが……
「WhiteSeason ~ReMix Ver.~」は『D.C.F.S.』の冬編のテーマソングのリミックスバージョン。(原曲は『D.C.W.S.』でrinoが歌ってる曲のカバー)
バックの音がギターとおとなしめのドラムス以外の音が極端に削られてて少し物足りない感じがします。特にシンセ系の音とコーラスが無くなっていて雰囲気が全然違ってますね。そのぶんボーカルが強調されてる感じで、原曲でボーカルに掛かってたエフェクトも外されていてストレートに響いてきます。原曲では弱々しく感じられたボーカルがパワーアップしてるように聴こえ、これくらいパワーがあれば文句はありません。
サビになってバックも原曲並みに音が増えてきますが、それでもしっとりとしたような原曲の雰囲気に比べると乾いた感じですね。
「恋するバランス」は『ウルトラマニアック』のキャラクターソングで、亜由役の堀江由衣とのデュエット曲のソロバージョン。
アコーディオン風の音色の伴奏によるゆっくりとした出だしの曲で、パーカッションとシンセベルが入ってきて少しリズミカルなってきます。2コーラス目からはさらにサックスの音色が加わってくる感じで、曲全体を通して徐々に盛り上がってる雰囲気です。
リフレインの出だしの高音の裏声が印象的。さらに普通の音程の声と重ねてコーラスにしてるのが興味深いところです。ラストのアカペラもなかなかです。
「DRAMATIC☆GIRLY ~Bitter Ver.~」は『となグラ!』OP曲のソロバージョン。原曲はレギュラー女性声優5人で歌ってた曲です。どちらかというと大原さやかの演じた姉の初音の方が印象深かったりしますが、そういえばヒロインの香月役が神田朱未でしたか。
このエレギのアルペジオによるイントロを聴くとどうしても香月のパンツが頭に浮かんでくる曲ですが、それはさておき、ソロバージョンでもあまり雰囲気の変わらない曲ですね。(確かに他の声優さんの歌ってるパートのボーカルはそれなりに違うんですけど、ソロの方が自然な感じなので違和感を感じないんですね)
バックはエレギ、ベース、ドラムスといった標準的なロックバンドで、かなりハードな感じです。ボーカルは短いフレーズ単位でシャウトしてる感じで、どうも長めのフレーズだと呼吸が続かないような気がします。
ボーカルも力強いのだけど、やや喉先で声を出してるって感じで、もうちょっと腹から歌ってるという感じが欲しいかと思いますが、けっこうノリのいい曲ですね。
「バカップル♥」は國府田マリ子を中心とする声優ユニット・DROPSの曲のソロバージョン。なかなかインパクトのある曲です。
バックはブラスが入った派手な曲で、ドラムスも叩きっぱなし。それに負けてないボーカルがある意味凄いです。勢いだけの曲って感じで、歌詞もお約束の夏の恋でイケイケって感じの刹那的な歌かな。何も考えずに頭を空っぽにして聴く曲ですね。
「素顔でFly to you ~Bitter Ver.~」はアニメ版『D.C.~ダ・カーポ~』の天枷美春のキャラクターソングのアレンジバージョン。
ハードなロック系のバックに、逆にボーカルはおとなしめのアンバランスな曲。最初から淡々とした一定のレベルの歌い方で、とくにサビで盛り上がったりとかはしません。
恋に未経験な女の子が自分のイメージだけで恋を思い描いてるっていう感じの歌ですが、歌詞やボーカルがどこか事務的で感情が避け除かれてるようなのは、やはりロボットの美春の歌だからってところでしょうか。
「いつだってLove & Dream ~Bitter Ver.~」は『魔法先生ネギま!』の神楽坂明日菜のキャラクターソング。アニメ化に先立って1年間リリースされたキャラソンCDの曲で、《STARCHILD DREAM in KOBE 2nd》ででも聴いたから、神田朱未の歌としては一番早く印象に残った曲ですね。
メロディーはハイテンポでノリノリのポップな曲で、典型的なアイドル系のロックサウンドだけど、エレギはオーバードライブ掛けまくりでかなりヘヴィな感じ。原曲よりはハードなアレンジになってるみたいで、間奏部のエレギのパフォーマンスはこの手の曲ではお約束ってところでしょうか。
イケイケのポジティブソングですが、これも理屈よりも体で聴く曲って感じですね。
「Oh My ダーリン ~Sweet Ver.~」は『となグラ!』の有坂香月のキャラクターソング。
アコースティック風に始まるしっとりとした曲で、囁くように……というよりは甘えてるような歌声が特徴です。声がどことなく幼い感じで、約束の彼を待ち焦がれてるような初々しい感じの恋愛ソングですね。
バックはキーボード、ストリングス、ギター、ベース、ドラムスといったところで、ストリングスがけっこう厚め。間奏部に入る「チュ、チュ、チュ、チュ」というコーラスがなかなか耳に残ります。
「SUNRISE」は『ときめきメモリアル』のイメージソングのソロバージョン。原曲は「もえぎの高校委員会」とあるからヒロイン声優のユニットなんでしょうね。
ギター伴奏のゆっくりとしたバラード系の曲で、ボーカルは優しく囁くような感じ。歌詞は「あなたを想いながら過ごす日々を深く噛み締めてる」という感じで、いわば受身の恋愛ソングですね。
曲の雰囲気からするとアコギでちょうど良いと思うのですが、エレギとドラムスが入ってて少しバックが重い感じがして、おまけに間奏でオーバードライブかけてるのは余計過ぎる感じがします。
リフレインが盛り上がって力強いんだけど、ちょっと違和感ありですね。むしろ2コーラス目のサビを思いっきり力強く盛り上げて、逆にリフレインは抑えた方が良さそうな気がします。これなら間奏のオーバードライブも不自然には感じないし、ラストは1コーラス目の優しく囁くように終わってくれたらと思います。
「ありのままの世界」はこのアルバムの新曲で、ゆっくりとしたバラード系の曲です。後半に盛り上がってきますが、全体を通して淡々と一定のリズムが続いてる感じですね。
バックはキーボード、ギター、ベース、ドラムスというところで、サビ以降にストリングスか入ってくるという感じ。2コーラス目の適度のエコーが掛かった透き通った感じのボーカルが魅力的です。リフレインの始まりのギターのアルペジオも印象的です。
難を言えば、自作の歌詞ですね。どっちが先か知りませんが(恐らく曲が先にあって歌詞を付けたのかと思いますが)、歌詞と曲が合ってないというか、歌詞の1コーラス目と2コーラス目の内容と、曲の1コーラス目と2コーラス目の盛り上がりが全然マッチングしてないんですね。
本人は一生懸命気持ちを込めて書いたものだと思いますが、所詮は素人仕事というところかなぁ。もっとも、それをフォローしてないスタッフにも問題があると思いますけどね。
☆ ☆ ☆
キャラソンを中心としたベストアルバムですから、アニメキャラのイメージから受ける神田朱未という声優の印象をそのまま集めてみたような感じですね。ユニット曲のソロやカバーも多いので従来のファンにも余計な買物にはならないでしょうし、キャラソンを1曲2曲を聴いて気になってたから改めてもっと多くの曲を聴いてみたいという人にも向いてるでしょう。
いわゆるアーチスト指向のアルバムではないので敷居が高いというわけでもありませんし、期待以上のものは無いかもしれないけど、ハズレも無いのは確かでしょうね。
(発売元:キングレコード KIZC-7/8 2007.02.28)
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