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2007.01.24

京都フィロムジカ管弦楽団/『交響譚詩』

 1月21日に京都コンサートホールで行われた京都フィロムジカ管弦楽団の第20回定期演奏会に行ってきました。アマチュアのオーケストラを聴くのは去年の芦屋交響楽団以来ですね。
 指揮の金子健志という人は良く知りませんが、大学の音楽の先生みたいで、マーラーの交響曲には造詣が深い評論家の人のようです。
 演奏曲目は次の通り。

  伊福部昭/『交響譚詩』
  マーラー/『交響曲様式による音詩「巨人」』

 メインの目的が伊福部先生の『交響譚詩』なのはいうまでもありませんが、この曲もCDは初期の頃から数多く出てる曲なので馴染みは深いですが、生で聴くのはこれが初めてだったりします。
 この曲に関しては『伊福部昭 ギタートランスクリプションズ』の記事でも触れてるので、そちらを参照ください。

 一方、マーラーは三女神の宿敵の悪魔の名前これまでCDすらまともに聴いたことがありません。『涼宮ハルヒの憂鬱』に使われてた『交響曲第8番』を押さえてあるぐらいかなぁ。
 この『音詩「巨人」』は改作されて『交響曲第1番』になった元の曲みたいです。大きな違いというのはこちらが3管編成だったのが4管に増やされたり、5楽章構成だったうちの第2楽章が削られて4楽章構成になったという感じですが、その他にも音の変更とかは多いみたいです。
 現在、清書して出版されてるスコアは『交響曲第1番』のものと、現存する『音詩「巨人」』の第2楽章のもので、単純に『交響曲第1番』にこの第2楽章を追加して演奏されることも多いみたいですが、今回の演奏はマーラー直筆の『音詩「巨人」』のハンブルグ稿と呼ばれるスコアを検証してに楽団員自身の手で演奏用のパート譜を完成させるという面倒なことをして『音詩「巨人」』を復元したとのことで、苦労が偲ばれます。

 伊福部先生の『交響譚詩』の第二譚詩も本来は『日本狂詩曲』の第1楽章として作られていたものが都合により削られてしまったのを転用したものらしいですが、こちらは発表前の変更なので、3楽章構成の『日本狂詩曲』なんてものは完成作品として存在しません。当然ながら『交響譚詩』として作られるときに大幅に改作が行われているはずですから、この第二譚詩と現在の『日本狂詩曲』を組み合わせても意味は無いでしょうね。いや、幻の『日本狂詩曲』第1楽章「じょんがら舞曲」のスコアが見付かったとかいう話があれば別ですけど、残してないんじゃないかなぁ。


伊福部昭/『交響譚詩』
 第一譚詩(Allegro capriccioso)

 音が出てるんだけど、全般的に硬い感じ。1曲目だからまだオーケストラが出来上がってないってところもあるんだろうけど。
 序盤のアレグロが終わった後のピアニシモの部分で少し音がずれてる感じかな。中盤辺りからティンパニーやトランペット辺りがけっこう見事な演奏をしてるんだけど、全体的には木管に対してストリングスが強過ぎるって感じで、何かバランスが違うって気がし続けていたのが残念。

 第二譚詩(Andante rapsodico)

 出だしの木管(アングレ)とハープが少し強過ぎ。ここはピアニシモで始まると思うんだけど、ピアノかメゾピアノ辺りに聞こえてる感じです。ハープなんてくっきり音が聞こえる部分じゃないはずなんですが。
 全般的に強弱のコントラストがあまり現れてこなくて、満遍なく音が出ててのっぺりとしてる感じかな……


マーラー/『交響曲様式による音詩「巨人」』

第一部 青春の日々より―花・果実・茨―
 第1楽章 春、そして終わることなく

 静寂な出だしのところからの音がなかなかいい感じ。(なんでマーラーで出来て、伊福部昭で出来ないのか……と思ったけど、こっちはストリングスで始まってるからか)
 中盤に入るところのトランペットのファンファーレがなかなか見事。そしてストリングスが徐々に盛り上がってくる感じがなかなか素晴らしく聞こえました。
 後半、静寂なところに戻って、一転して派手な展開になっていくあたりが見事で、オーケストラが活き活きして聞こえてきた感じです。(何でマーラーだと活き活きしてて、伊福部昭だと硬いんだって……)

 第2楽章 花の章

 『交響曲第1番』では削られた楽章です。
 静寂なところから優雅なフレーズが奏でられていくのが印象的。そこから一転してマイナー調のメロディーが始まったかと思うと、これがメジャーに移っていく感じなのが少し奇異に感じたところですが、これはこういう曲なんでしょうね。
 全体的に優雅にまとめられて終わってる感じ。木管とストリングスのバランスがなかなか良い感じでした。

 第3楽章 順風満帆

 ブラスが響くオーケストラ全体がフォルテから始まる、力強い目の覚めるような出だしの曲です。(第2楽章は半分うとうとしてました)
 中盤で流れるストリングス主体のワルツがなかなか美しい曲です。ラストは再びオーケストラ全体が力強く締めくくってます。

第二部 人間喜劇
 第4楽章 カロ風の葬送行進曲

 ティンパニーとコントラバスのゆったりとしたフレーズで始まる重いバラード風の出だしですが、これは割りといろんなところで使われてるのか、どこか聴きなれたフレーズです。
 その重い旋律の中、チューバの音が入るんですが、これがちょっと苦しい感じだったのが残念なところ。
 一転して世俗的というか、そんな感じの民謡風の舞曲が入ってきて、曲の印象ががらっと変わってしまいます。再び冒頭と同じゆったりとしたフレーズの後、美しいセレナーデが聞こえてくる感じですが、それがやがてさびしげな葬送曲風のメロディーに変わってしまいます。
 いったん音が途切れた後、この葬送曲のメロディーがティンパニーとコントラバスのリードでゆったりと奏でられていき、それと対照的にエスニックな明るい民謡風の舞曲がインサートされ、両者のコントラストでまとめられてる感じですね。

 第5楽章 地獄から天国へ

 オーケストラヒットというか、オーケストラ全体がフォルテシモで始まる激しい曲で、勇壮なメロディーが奏でられます。
 その後もゆったりとしたフレーズと激しいフォルテシモが繰り返し入れ替わるという感じで、どことなく落ち着きません。
 後半、勇壮な進軍ラッパ風のファンファーレからゆったりとした締めくくりに入っていきます。夜明けなのか、それとも宵に入っていくのかという感じの静かで幻想的な演奏に続き、断続的にオーケストラは再びフォルテシモへと盛り上がっていきます。ラストはほとんど騒音同然の激しさですね。

     ☆ ☆ ☆

 『交響譚詩』はストリングスを中心に確かに音は出てるんだけど、強弱のコントラストとかリズムの緩急が足りないって感じなのかな。この曲はもうちょっと柔軟に演奏されるものだと感じました。
 伊福部先生の曲の中じゃそんなに難しい曲じゃないような気がするんですけど、難しいですか?

 一方、『音詩「巨人」』の方は、マーラーってこんなに凄いダイナミックな曲を作った人なのかというくらいに演奏を堪能させてくれました。今までマーラーは専門外だったけど、これから聴いてみようという意欲を掻き立ててくれたのは確かです。
 プログラムには指揮者によるハンブルグ稿での演奏についての詳しいレポートが載ってるんですが、素人にはさっぱり良くわかりませんが、それだけこの演奏に力を注いでるのだということはひしひしと伝わってきます。
 『音詩「巨人」』は無いかもしれないけど『交響曲第1番』のCDでも買ってきて聴いてみたいですね。


 マーラーはさておき、とりあえず『交響譚詩』で現在入手が容易で演奏も手堅いものと言えば、次のCDくらいですか。基本的に『伊福部昭の芸術』シリーズは全部揃えておいて損はないです。

譚 ― 伊福部昭の芸術1 初期管弦楽
譚 ― 伊福部昭の芸術1 初期管弦楽

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