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2007.01.16

ベスト・オブ・大阪フィル・ポップス・コンサート

 1月14日にザ・シンフォニーホールで行われた《ベスト・オブ・大阪フィル・ポップス・コンサート 新たなる夜明け!55年目の朝日》に行ってきました。宮川彬良の編曲・指揮による大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートです。
 55年目の朝日って何かと思ったら、朝日放送の創立55周年ってことらしいです。そういえば、ここザ・シンフォニーホールって朝日放送の裏側に建てられた、日本で最初の本格的なオーケストラコンサート専用のホールってことですね。そのザ・シンフォニーホールも今年で25周年ということですが、そっちはまた別の機会ということらしいです。

 宮川彬良というと、去年の日フィルのサンデーコンサートで『宇宙戦艦ヤマト』を聴いて以来。大フィルはたぶん今回が初めてのような気が……。何かと聴く機会が多いのは関西フィルで、あとシンフォニカーとセンチュリーも1回ずつぐらいは聴いてるから、在阪4楽団では一番最後ですね。大フィルというとメジャーなプログラムが多いから、趣味が合わないんですね。

 演奏曲は以下のとおり。

第1部
 01. ザ・シンフォニック・パラダイス~大阪フィル・ポップスのテーマ~
 02. アイネ・クライネ・タンゴ・ムジーク
 03. 協奏曲集『四季』から「春」の第1楽章
 04. サッちゃん
 05. 見上げてごらん夜の星を
 06. ムーンライト・セレナーデ
 07. The Hall of Sunrise~日出づる殿堂

第2部
 08. 明日に架ける橋
 09. なごり雪
 10. マツケン・サンバII
 11. 異邦人
 12. シンフォニック・マンボ No.5「運命」
 13. ディズニー シンフォニック・パレード

アンコール
 14. 運が良けりゃ
 15. 悲しい色やね~Osaka Bay Blues

 それではそれぞれの曲について。
 第1部は「夜明けと朝日の大阪フィル・ポップス Best Selection!」と題打って、夜明けをキーワードとしたものを定番曲の中からセレクトしたものって感じです。

 「ザ・シンフォニック・パラダイス」は宮川彬良による大阪フィル・ポップスのテーマ。毎回のコンサートで最初に演奏される曲らしいです。ファンファーレ的な派手な始まりの後、一転して静かなストリングスの調べ。そこから徐々に鉄琴やブラスが加わって派手に盛り上がっていくという感じですが……なんだか全体的に故宮川泰の作品である『オーディーン』の「大航海時代」の雰囲気に近い曲ですね。

 「アイネ・クライネ・タンゴ・ムジーク」はモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」をタンゴ調にアレンジした曲。途中からカスタネットが入ってきてもろにタンゴって感じになるんですが、逆に言えばカスタネットが無けりゃあんまり気付かないような感じがしますね。
 「協奏曲集『四季』から「春」の第1楽章」はヴィヴァルディの名曲。実はヴィヴァルディは楽譜に曲のイメージを詩にして書いてたって話で、それを宮川彬良が朗読してくれるのですが、その詩の中身が「春だ!春なんだ!」って感じであまりにストレート過ぎるのがポイントですね。
 曲の方は何かシンバルやティンパニー、タムタム、スネアドラムってあたりのパーカッション系とブラスが派手過ぎてメロディーの方が完全に隠れちゃってる感じ。何かと思ったらロックアレンジですか。メタル楽器を使わずにオーケストラでロックをやるとこんな感じになるんですかね。

 「サッちゃん」は宮川彬良の定番ですね。以前は確かサッちゃんは天国に行ってしまったんじゃないかって悲しいお話だったのに、今回は夢の中の幻覚のようなもので最初からいなかったんじゃないかって話になってました。殺してしまうとファミリー層にウケが悪いんでしょうか?
 クラリネットのソロと宮川彬良の語りから始まって、途中から宮川彬良によるピアノソロ。そこに低音のストリングスが断続的に重なってくるという感じ。最初は物悲しいバラードといった感じから終盤になるにつれて幻想的な雰囲気になっていくという感じでしたね。
 「見上げてごらん夜の星を」は日フィルのサンデーコンサートでもやってた曲ですが、しょっぱなから『E.T.』で始まってるという辺りがもうめちゃくちゃ。こっちはブラス全開でド派手なのに、肝心のタイトル曲のメロディーはおとなしいストリングスで、全然目立ってないっていい加減さ。ほとんどタイトル詐欺の曲ですね。

 「ムーンライト・セレナーデ」はグレンミラーの曲。ピアノ主体のセンチメンタルな曲って感じ。ドビュッシーの「月の光」を組み込んでるって話でしたが、とにかく眠気を誘うことこの上ない曲です。
 「The Hall of Sunrise~日出づる殿堂」は宮川彬良によるザ・シンフォニーホール15周年の時の委託曲。「日出づる殿堂」というのは婉曲表現で、意味はずばり「朝日のホール」ってことらしいです。
 序盤はゆったりとした優雅な夜明けのイメージでストリングス主体のところに低音のホルンが時折重なってくるという感じ。中盤は小刻みなリズムの曲調からトランペットが高らかに鳴り響く派手なところまで盛り上がっていく展開。終盤はそのままややアップテンポの盛り上がりを維持してオーケストラ全体が鳴り響いていくという曲です。
 カラヤンが絶賛したというこのホールの音響を活かした作りの曲ということですが、序盤から中盤にかけてはそれが見事に現れていたように思います。ただ後半部分でもうちょっと起伏のある作りの方が退屈しないような気がしますね。
 今年は25周年ということでやはり宮川彬良作曲による新たな作品が次回のコンサートで発表されるということですが、この曲を上回る素晴らしい作品に仕上がってくれることを期待します。

 第2部は「あなたが選ぶ大阪フィル・ポップス Best5」ということで、前回のコンサートでのアンケートによるベスト5の発表です。

 第5位はサイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」。なんか映画音楽のような太鼓とスネアドラムのリズムによるゆったりとしたマーチ風の始まり。当時やっていた「料理の鉄人」を意識してアレンジしたとかいう話でしたが、何か原曲とは別物って感じですね。

 第4位はイルカの「なごり雪」。ストリングス主体の演奏で、ちょっとコントラバスがうるさいって感じ。間奏がどこかで聴いたようなクラシック風の作りで、2コーラス目はストリングスにクラリネットが加わった感じです。サビのリフレインも静かに終わって、なんか意外すぎるほどおとなしいアレンジでしたね。
 それにしても25歳のコンサートマスターはこの曲を知らなかったって話で、ジェネレーション・ギャップを感じます。

 第3位は今や宮川彬良の代表作とも言うべき「マツケン・サンバII」。カスタネット、マラカス、タムタム、チューブラベルといろんなものを使ってサンバのリズムを出してるのが興味深かったです。(それでいてサンバホイッスルとかは使ってないんですね) 休んでる楽器が無いというのもなかなか印象的でした。

 第2位は久保田早紀の「異邦人」。今回はエジプト風味ということでエキゾチックな低音のイントロから始まり、アラビアだかイスラム風に始まるコーラスメロディー。サビの派手なオーケストラは西洋風なんですが……。2コーラス目の途中でエジプトの民族音楽的なダンス曲のフレーズが入って、ラストも同じ雰囲気で終わっていくという感じ。確かにエジプト方面から来た「異邦人」って感じはしますね。

 第1位はこれも定番曲というべき「シンフォニック・マンボ No.5「運命」」。生で聴くのは初めてだけど、『題名のない音楽会』とかでやってることも多いですね。
 ベートーベンの「運命」に「マンボNo.5」を「No.5」繋がりで繋げたという乱暴な曲なんですが、これが見事に繋がってるんですね。「運命」から始まって途中でマンボのリズムになってくるんですが、ちゃんと自然な流れで「運命」に戻って終わってるところが凄いとしか言いようがありません。
 日本で一番CDを出してるオーケストラだという大フィル。大阪フィル・ポップスも例外でなく何枚かCDが出てますが、この曲はまだCDになってないという話。しかし、この見事な曲はちゃんとCDで出して欲しいですね。

 「ディズニー シンフォニック・パレード」はお馴染み、ディズニー作品のメドレーによるパレードマーチ。さすがにこれはそのままのディズニー音楽です。聞き覚えのある曲がほとんどとはいえ、曲名が出てくるのは「ジッパ・ディ・ドゥ・ダー」「ミッキーマウス・マーチ」「ビビディ・バビディ・ブー」ぐらいだというのは悲しいです。(いや、ディズニーは専門外だから……)

 最後にアンコール曲。

 「運が良けりゃ」はミュージカル『マイ・フェア・レディ』から。スネアドラムから始まるこのアレンジは大阪フィル・ポップスで宮川彬良がアンコールに再登場する時の定番曲らしく、客席が一体になって手拍子を合わせてるのが印象的です。
 最後は上田正樹の「悲しい色やね~Osaka Bay Blues」。ゆったりとした歌謡曲風の下世話なメロディーによるしっとりとした曲。ご当地ソングというわけでもないでしょうけど、最後の最後で湿っぽい曲を持ってきたかという感じです。1年の始まりだし、もっと景気の良い曲で締めくくってくれてもって感じが無いわけでもありませんが、これはこれで余韻があって悪くはありません。

     ☆ ☆ ☆

 ちゃんとしたクラシックのコンサートを聴かずにこんなものばかりだとどうかと思いますが、たまにはこういう感じのオーケストラ・コンサートを楽しむのも悪くはないでしょう……と、伊福部作品絡みじゃなけりゃクラシックのコンサートなんか行かない人間が言っても意味ありませんが、クラシックじゃなくてもオーケストラを堪能できるコンサートはあるって話で。大阪フィル・ポップスは春秋に年2回のコンサートを定期的に行ってるので、そういう意味では足を運びやすいコンサートだと思います。
 次回は4月に定期コンサートがありますが、ザ・シンフォニーホールの25周年のための宮川彬良による新曲が演奏されるみたいだから、彬良ファンにはお薦めですね。ただチケットは完売間近だとか……

 ザ・シンフォニーホールでは2月に関西フィルが伊福部先生の『リトミカ・オスティナータ』をやるみたいで、ぜひ聴きたいのですが、なにぶん夜とはいえ平日のコンサートだから有給取らないと……
 3月は東京のサントリーホールで本名徹次の指揮による日フィルの《伊福部昭音楽祭》が。これは万難を排してでも行かなくてはなりませんねぇ。同じ3月には名古屋の方でアニメとゲーム音楽のシンフォニーコンサートがあるって話で、これも聞き逃せないんだけど、プレオーダーでチケット取れるかなぁ……

 ま、今年もアニメのサントラとか声優アルバムとか伊福部音楽をメインにいろいろと書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


(とりあえず「ディズニー シンフォニック・パレード」は以下のCDに収録。「シンフォニック・パラダイス」もね)

大阪フィル・ポップス 星に願いを
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受信: 2007.01.18 19:57

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