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2006.11.23

『月詠-MOON PHASE-』Best Collection 全部、聴きたくなっちゃった…。

 少し古くなりますが、今回は『月詠-MOON PHASE-』のサントラ盤です。この作品は有馬啓太郎原作のアニメ化ですが、作品そのものよりもどっちかというと「Neko Mimi Mode」の方が有名になっちゃった感じがありますが、それなりに毎週楽しみに見ていたものでした。
 とは言っても、当時は音楽的な面で意識して見ていたわけではなく、このサントラ盤も「そういえば、EDのフランス語バージョンって持ってなかったな」というアニソンコレクター的な関心から最近になって買って来たのを聴いただけの物なので、本編での劇伴の印象というのは残ってません。

 音楽は久米大作。プロフィールを見たら日本初のフュージョンバンド《プリズム》や、《THE SQUARE》(現T-SQUARE)の初期のメンバーだったとかありますが、何となく馴染みがありそうなのは笠原弘子もカバーしていた「異邦人」のオリジナルシンガー、久保田早紀の結婚相手というところでしょうか。
 収録曲は以下の通り。

 01. The Theme of Moon Phase
 02. Neko Mimi Mode(TV size)(Dimitri From Paris)
 03. Kiss Me
 04. A Little Night Dream
 05. Memories of Your Blood
 06. Just for my love(巫女ツインズ~門脇舞&松来未祐~)
 07. Lemonade&Rice
 08. A Valley in My Tears
 09. Waltz
 10. Quiet Town
 11. Be My Cat!
 12. At the Dark Garden
 13. Prelude
 14. Love!Love!Lips
 15. In the Flowers
 16. Midnight Games
 17. Behind Voice
 18. Brething
 19. Anata no Toki
 20. Dance with Me
 21. Pressentiment triste(EDテーマ仏語Ver.)
   (marianne Amplifier feat.yuka)

 横文字が並んでますが、最後の曲以外は別に『灼眼のシャナ』みたいにフランス語のタイトルばっかり並んでるってわけでもないので大丈夫。いつものように摘み食いで見ていきますが、例によって楽器はいい加減です。

 「The Theme of Moon Phase」はゆったりとした幻想的な序奏の後に急ぐような派手目のエレキギターで始まっていく曲。そこにアップテンポなままパワーのある女声コーラスが入ってきます。続いてバイオリンがメインのパートに入り、やや落ち着いたテンポで中盤が奏でられ、ラストは前半と同じくエレキギターの後にコーラスが入ってきて終わる感じです。
 タイトルからは作品のメインテーマって感じなのですが、波乱万丈な展開が運命付けられてるといったイメージで、対決や葛藤がテーマって感じがしてくる曲です。

 「Neko Mimi Mode」はOPのTVサイズ。演奏のDimitri From Parisはフランス出身のクラブ系ミュージックのDJで、フレンチ・ハウスというジャンルの第一人者ということですが、よくわかりません。この「Neko Mimi Mode」もDimitri From Parisの昔の曲を意識して作られてるらしく、一見、典型的な電波ソングと思われがちな曲なのですが、意外と音楽的には評価されてるようです。
 でも、聞こえてくる素材のサンプリング音声が斎藤千和のアレだから、やっぱり萌え系電波ソングというイメージは払拭し難いのは確かですね。

 「Kiss Me」は三拍子のうきうき弾むような感じの曲ですが、いわゆる室内楽的なワルツのイメージではなく、シンセ系の音がクールに奏でてる感じなのが印象的です。曲から連想されるイメージとしては月夜にはしゃいでるって感じ。少しエレガントで少しシリアスっぽさが感じられる曲です。
 「A Little Night Dream」はシンセギター風の伴奏にボコーダーを通したような神秘的というかなんともいいがたい感じのコーラスが重なるフレーズで始まる曲。メインはチェロによる優雅なメロディー。
 ヴァンパイアの少女としての運命を持つ葉月のテーマって感じの曲で、流れるような弦の音が悠久さを感じさせつつ、抗えない宿命を思わせてるかのようです。
 「Memories of Your Blood」はハープ系のゆったりとした伴奏と女声コーラスによるイントロで始まる曲ですが、メインはピアノとチェロによる暖かさと懐かしさを感じさせる優雅なフレーズが展開されます。
 コーラスは沖縄のユンタを思わせるような雰囲気がありますが、うまくアクセント的にマッチしてる感じです。曲の印象としては夢の中の光景って感じで、耕平が古城に眠っていた葉月に感じたものとか、葉月が追い求めてる母親のイメージとか、そんなところを意識した曲でしょうか。

 「Just for my love」は御堂宗家の双子の巫女、光と薫のイメージソング。月夜に片思いの相手を思ってるって感じの切ない恋の歌というところです。作りとしてはありふれた感じですが、間奏部の掛け合いのセリフが微妙なところですね。ま、より切なさを掻き立ててるという効果は確かにあるんですが……
 「A Valley in My Tears」はギターとチェロによるしんみりとしたイメージで始まる曲。そこにバイオリンやパーカッションが加わってより重厚になってきます。
 曲としては葉月の立ち向かうべき悲しい運命を奏で上げてるという感じで、心情的に歌い上げるチェロのフレーズがとにかくもの悲しい雰囲気。アクセント的に入るピアノのフレーズがそれをさらに引き立ててるって感じです。
 ラストのチェロのアドリブ風のところからの演奏はなかなか聴きもの。

 「Be My Cat!」はアクション系のアップテンポの曲。派手で早口の女声ボーカルが強く印象付けられます。これがブラスやストリングじゃないのは主人公が美少女だってところで柔らかくエレガントな雰囲気を出そうというところでしょうか。
 中間部分のストリングスのフレーズもなかなかスピーディーで聴き応えあるところですが、さらに終盤になったところでチェロがボーカルパートを早弾きでなぞってるところがかなり印象的。いや、アニメのサントラでこんな演奏、普通は聴けないですね。それに続くボーカルもかなり力が入ってるって感じでなかなか。必聴ものの曲ですね。

 「Prelude」は幻想的なエフェクトと少女風のコーラスが印象的な曲。曲としては幽玄な雰囲気と運命の予感、そして月夜に舞う少女ってところ……耕平が最初に見た葉月のイメージってところかな。
 「Love!Love!Lips」は日常風の音楽。刺客による襲撃の合間のほっとする日常の光景ってところですが、暖色系の音じゃなくシンセによる音色の寒色系の音なのが独特な印象。
 この作品、本来なら闇の住人であるヴァンパイアを扱ってるためか、心情的な曲はともかく、こういう日常の何気ない曲になるほど、夜を思わせる寒色系の音を多用してる感じです。

 「In the Flowers」は西部劇風のさすらいの音楽って感じの曲。ギターの伴奏に始まってチェンバロっぽい雰囲気の漂う感じに口笛のようなフルート系の音色がなかなか雰囲気を出しています。
 闇夜に現れるキンケルの刺客って雰囲気曲で、逃れられない激闘の予感ってところでしょうか。
 「Midnight Games」はゆったりとしたボサノバ風のリズムの伴奏に、透明でかつ淡々とした感じの木村真紀のボーカルがとても印象的な曲。どことなくストイックで神秘的な曲調の中に思いやりややさしさというものがにじみ出てる感じです。
 このサントラの他の曲のコーラスやボーカルの多くも木村真紀によるものですが、この曲が彼女らしさがあふれてるって感じですね。彼女の歌声に初めて出会ったのは『緑野原座フライトプラネット』という星野架名作品のコミックイメージアルバムでしたが、それからもう長くなるのに、声の魅力が全然変わってないのがうれしいです。
 これもこのアルバムの魅力を引き立ててtる1曲です。

 「Brething」はやはり木村真紀のコーラスによる「ダバダバダ」というフレーズが繰り返される曲。最初はゆったりとした黒人音楽風のエスニックな感じだったのが、途中で一転してスピーディーで都会的なしゃれた感じのスキャットになっていて、その対比がとても印象的です。
 対決の行方とか、戦いの緊迫感とかそんな感じの曲ですが、しばしば本編の最後で次回に引っ張ってるような場面で使われてたのが印象的かな。
 「Anata no Toki」はゆったりとしたチェロのフレーズに続く、美しくも物悲しい雰囲気のピアノ旋律が印象的な曲。そのピアノと掛け合う感じで入ってくるチェロがより切なさを引き立てて、とても心に沁み渡ってくる感じがします。ただ、終わり方が中途半端で凄く物足りなさを感じてしまうんですね。
 「Dance with Me」は弾むようなブギウギ系のコミカルな曲。少しずつインストゥルメントを変えてジャズセッションを楽しんでる感じのイメージの非常に面白い作りの曲です。最初はスタンダードにギターが奏でてたのを途中からトロピカルなウクレレ風。最後はお祭騒ぎのようなピッコロとジャズピアノって感じですか。
 これもなかなかアニメのサントラで聴ける曲じゃないですね。

 「Pressentiment triste」はED曲「悲しい予感」のフランス語バージョン。ハスキーがかった擦れた感じのボーカルがなんとも言えないくらい絶妙の塩梅でたまりません。
 シングル盤の日本語バージョンもなかなか良いんですが、フランス語に対する刷り込みのイメージもあるんでしょうけど、ここまでファンタジックなイメージは沸いて来ないですね。

     ☆ ☆ ☆

 このアルバムはいわゆるサントラの特徴である状況説明的な音楽をメインにした作りの音楽ではなく、一曲一曲、個々に単独の楽曲として独立している音楽が集まった感じの印象ですね。たぶん、『月詠』というアニメ作品が無くてもこのアルバムだけで存在しうるってタイプです。
 アニメ版の『月詠』という作品自体が非常にポップカルチャーを意識して作られてるイメージがある作品ですから、劇伴としてこういう音楽をコラージュ的に散りばめることは十分取りうる選択肢であり、その集積がこのサントラ盤だというわけです。
 おかげでこのアルバムを聴けば個々の曲に関しては非常に充実した音楽を楽しむことが出来るのですが、逆に言えば、このサントラ盤と出会わなければ聴けないわけで、なんか非常に贅沢というか、もったいないサントラ盤だって気がしますね。
 作品を見てた当時にはまったく意識してなかったということを考えると、予期せずに凄い掘り出し物を見付けてきたって感じです。厳密に作品自体と一体化した音楽がサントラの醍醐味という観点からすれば、全然方向性が違うといえば違う気がしますが、こういうのを味わうのもサントラ聴きの楽しみのひとつと言えます。

(発売元:ビクター VIZL-130 2005.01.21)

「月詠-MOON PHASE-」BEST COLLECTION「全部、聴きたくなっちゃった・・・」(初回限定)
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「月詠-MOON PHASE-」BEST COLLECTION「全部、聴きたくなっちゃった・・・」
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