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2006.11.10

LA SOLA Fate/stay night A.OST OUT TRACKS

 なぜかアクセス解析を見たら《Fate/stay night A.OST》のページだけやたらアクセスが多かったりするので、今回は同じく『Fate/stay night』から題材を持ってくることにしましょう。
 もっとも、解析結果を調べたら「君との明日」絡みの検索フレーズで飛んできてる人が大半みたいだから件の記事もほとんど目的の役に立ってるとは思えないので、果たしてアクセスはあるけどどの程度読まれたのかは疑問なところがありますが……

 今回取り上げる『A.OST OUT TRACKS』はジェネオンがコミケ販売用に出したアルバムであり、後日ネットショップで受注販売されたものです。当初、コミケ販売が中心だとか、ネットでの販売は数が限られてるとかで転売厨が跋扈し、ジェネオンの通販サイトは不通になった上に速攻で完売ということで、ずいぶんネットオークションを賑わしたようですが、別途、救済処置がとられたので慌ててオークションに齧り付いた人や、小まめな情報収集を怠った人以外は無事に正規の価格で入手できたはずです。
 もっとも、そもそもネットを使ってなけりゃ話にならないわけだし、救済処置の方も受付期間が短すぎたようであり、当初のネット販売に至っては平日日中の受付開始という社会人に対する嫌がらせとしか思えない状態だったので、とても親切だったとは言えません。
 本来なら通常の商品と同じ流通ルートに乗って売り出されるのが望ましいところでしょうけど、一般の商品化した場合の宣伝費や流通コストの問題を考えるととても商売になるだけの売上があるとは予想されなかったものだと思われます。ま、アニメイトがサントラ盤を1枚も入荷してくれない作品がざらにある昨今ですから、サントラ盤の発売もリスクが大きい商売ということですか。
 そういえばあの『涼宮ハルヒの憂鬱』だって、いまのところサントラ盤は商品化されずに限定版DVDの特典CDに分散収録されてるだけですからね。第1巻や最終巻の特典にサントラ盤がそのまま付いてくるのならまだ買う気にもなりますが(註1)、分散収録なんか手を出す気にもなれません。これなんか、『詰合』を単体で出さずにサントラ盤に収録させときゃ、そこそこサントラ盤も売れてたはずだと思いますが……(それもそれであこぎな商売だといえないでもありませんが)

 今回のこのアルバムというのはアニメの最終回放映終了後に問い合わせの多かった「La Sola」の歌詞と対訳を掲載すると共に、サントラ盤の別バージョンや未収録曲を収録したというものらしいです。個人的な感想から言えば一番問い合わせが多かったのはED曲についてだったと思うのですが、それはさておき、ここのアクセス解析を見てても「La Sola」の歌詞を探してるようなアクセスがしばしば見受けられますから(註2)、歌詞掲載にもそれなりの需要があったのは確かでしょう。
 では、収録曲です。

 01. La Sola
 02. 受け継がれし刻印-vocal ver.-
 03. 契約-off strings ver.-
 04. 夢幻の魂
 05. 藤ねぇのテーマ-short ver.1-
 06. 日差しの中で-Kenji Kawai ver.-
 07. 洗礼-short ver.-
 08. 冬木遠景-off strings ver.-
 09. 洗礼-strings ver.-
 10. 憧れの優等生-off melody ver.-
 11. 冬の妖精-a cappella ver.-
 12. 結界
 13. 解き放つ力
 14. 騎士王の誇り-off percussion ver.-
 15. 凶兆-loop ver.-
 16. 太古の伝承-off percussion ver.-
 17. 漆黒の十字架-taiko ver.-
 18. 藤ねぇのテーマ-short ver.2-
 19. 魔術回路
 20. 魔城の罠
 21. 運命の夜-piano ver.-

 いつものように適当に摘み食いしていきます。

 「La Sola」は『A.OST』収録のものと同じ。歌詞(及び日英対訳)掲載のために再録したとのことですので、この曲を聴くためだけに無理してこのCDを入手する必要はありません。
 その歌詞ですが、デジパック仕様のパッケージにそのまま掲載されていて他にはペラ紙1枚付いていません。ま、スタッフのクレジット等は基本的に『A.OST』と同じってことでライナーノーツ関係は省略されたのかも知れませんが、コメントの1つも無いのは寂しいものです。
 曲そのものは何度聴いても名曲ですね。アニメのこの曲が使われてるシーン、珍しく数回は繰り返して見ていますが、見れば見るだけジーンとなってきます。本家のアーサー王伝説でもアーサー王の最後の所はいつも感傷的になるんですが、こっちはそれに付加価値がいっぱい付いてきてますからねぇ。

 「受け継がれし刻印-vocal ver.-」はスキャットの入ったバージョン。原曲はストリングスだったかな。スキャットによって運命的、神秘的なイメージが強調されている感じですが、反面、イメージが直截的で幻想的な雰囲気が損なわれているように思えます。
 「契約-off strings ver.-」はストリングスが抜けたバージョン。元からベルの音色が延々と続いてる感じの曲なので、ストリングスが抜けたといってもイメージはそう変わりません。ただ、幻想的なイメージが薄れて神秘さがくっきりと浮き出てきたという感じでしょうか。

 「夢幻の魂」はシンセと尺八の音色で、何かこの世ならざる世界の雰囲気を醸し出してる感じの曲です。サーヴァントの英霊たちの魂がさまよってる世界ってイメージでしょうか。
 「日差しの中で-Kenji Kawai ver.-」はゲーム版の音楽のアレンジって感じですね。戦いの後の安らぎって感じの曲です。
 ギターのアルペジオによるゆっくりとしたイントロの後、フルートの柔らかく歌い上げるような温かいメロディーが流れます。そこにチェロのフレーズが入りストリングスとパーカッションが加わって、メインのフルートも合わせてアップテンポな曲調に移っていき、明るい希望を奏で上げています。
 この作品の中では珍しいポップなイメージの曲ですが、やや短く終ってしまってるのが残念です。

 「冬木遠景-off strings ver.-」はストリングスを抜いたバージョン。ピアノの伴奏とチェロのメロディーがより切なく響いてるように感じられます。
 「憧れの優等生-off melody ver.-」はピアノのメロディーが抜かれ、リズム系の音だけになったバージョン。メロディーが無いと何の曲か分からないというのが正直なところですが、原曲が想定されるような場所でME的にリズム音だけでつなげたいって場合に効果があるんでしょうか。
 「冬の妖精-a cappella ver.-」はピアノの伴奏が抜かれてスキャットだけになってるバージョン。セイバーというかアーサー王の悲しみというのがより強調されて伝わってきますが、伴奏が無いことによって、ここだけ切り出されたシーンというイメージを与えます。戦いのさなかの回想とか、そんな場面を想定した曲かな。

 「結界」はシンセエフェクトとパーカッションをベースに、静かで不気味な低音のフレーズが響くサスペンスタッチの曲。単調なパーカッションの繰り返しが敵の結界内に侵入していくようなイメージを与えています。
 「解き放つ力」はこのアルバムで唯一のアップテンポなアクション音楽。クラリネット(?)の出だしに続くストリングスのかっこいいフレーズが、暗めの曲が多いこのアルバムの雰囲気を吹っ飛ばしてくれる感じです。その後、クラリネットによるマイナー調の反発のようなフレーズが入った後、もう一度リフレイン。
 『A.OST』で未収録だったのがもったいない感じです。

 「騎士王の誇り-off percussion ver.-」はパーカッション抜きのバージョンですが、原曲自体が「孤独な巡礼」をアコースティックにアレンジしたような曲なので、イメージ的にはあまり変わりません。物悲しく切ないセイバーの心情をより切実に訴えかけてるような感じです。ラスト付近のハープのフレーズがやはり印象的です。
 「漆黒の十字架-taiko ver.-」は原曲のティンパニーのパートだけ抜き出して太鼓で叩いたような感じの曲。原曲のように緊迫感を表わすでもなく、ただ太鼓の音が物語の進行をつないでる感じです。
 太鼓だけの曲というのは昔からアニメの未収録BGM集とかによく入ってる定番曲なんですが、特定のイメージを与えることなく何か音が欲しいって時には重宝するんでしょうね。

 「魔術回路」は鐘の音が響く廃墟のようなエフェクトが延々と続くサスペンス風の曲。どちらかというとME的な感じですね。
 「魔城の罠」は静かなシンセがじわじわと迫ってくるイメージのサスペンス風の曲。鉄琴の音色にエフェクトが絡まってきてる感じで、どこか不気味というよりは得体の知れない神秘的な空気を感じさせます。
 「運命の夜-piano ver.-」はゆったりとした美しいピアノソロ。原曲は次回予告にも使われてることもあって物語の進行を語ってる感じのイメージがありますが、このピアノバージョンは聖杯戦争に直面した士郎の心情を語ってるような感じがします。

   ☆ ☆ ☆

 表題曲の「La Sola」を除けば良くも悪くも一般的な未収録BGM集って感じのアルバムです。
 サントラ盤収録曲の別バージョンが多いけど、あくまでサントラ盤収録曲が主で、そこから特定の楽器を抜いたとか入れ替えたとかいう感じのものが大半で、全く斬新にアレンジし直されてるとかいうのはありません。原曲に対して目新しさがあるといえば「受け継がれし刻印-vocal ver.-」「運命の夜-piano ver.-」くらいでしょうか。
 完全にサントラ盤未収録の曲もいくつかありますが、「日差しの中で-Kenji Kawai ver.-」「解き放つ力」を除けば、どれも地味というか華やかさがないというか、コレクション目的には網羅して欲しいけど、好んで聴きたい曲じゃないという点で未収録なのもしかたがないかなというところ。逆に言えばこの2曲が未収録だったのは残念で、これ目的でこのアルバムを求めるのはそれなりに納得できるところです。

 未収録曲を集めた構成上、必ずしもアルバムを通して聴くということを十分配慮されたものじゃないのは致し方ないところですが、それなりにバランス取れた構成ではあります。ただ、メインとなる「La Sola」が別格扱いで先頭に鎮座してるのと、他にポイントを押さえる存在の曲がないので、どうしても落ち着きが悪いんですね。個人的には「La Sola」は最後で締める位置にあってくれた方がしっくり来るんですけど……
 もっとも作り手からの感覚では、これは「La Sola」メインのマキシシングルで、C/W曲代わりに未収録サントラが入ってるってことなのかも知れませんが……

 単純にサントラ盤として考えた場合、サントラマニアとか川井憲次ファンだとかの濃いマニア層以外に純粋に音楽として楽しめるものとは思えないのですが、一般には作品ファン向けのコレクターアイテムって扱いなんでしょうかねぇ。
 コミケ販売とか平日昼間のネット販売とか考えたら、とても年季の入った濃い人たちには入手がどうかって感じで、その辺でやはり疑問を抱かずにはいられません。そんな連中はプレミア分を払ってオークションで転売厨から買えとかいうなら、それはそれであんまりだって気がしますし。

 ……などと色々書きましたが、川井憲次の音楽は飽きが来ないというか何というか、このアルバムでも川井憲次らしさというのはそれなりに楽しめるもので、『Fate』と川井憲次のファンの人は押さえといても損はしないでしょう。ま、オークションとかで大金払う価値があるかどうかは別ですが。
 最初のサントラ盤も聴いてないくせに限定商品だとかレアものだというだけで飛び付いてる人は、まず最初のサントラ盤を聴いてください。これだけ持ってても仕方が無いですし。

(発売元:ジェネオン GNZZ-3951 06.--.--)


(註1)
 このタイプでサントラ目的でDVDを買ったのが『神無月の巫女』と『おねがい☆ツインズ』。このうち『おねツイ』は後に単独のサントラ盤(中身は特典に付いていたそのものを合わせただけ)が出ましたが『神無月の巫女』は出てませんね。もっとも『おねツイ』はこんなタイミングで出しても売れそうに無いって感じで、やっぱり放映中か終了ほどない旬の時期に出しとくものだと思います。

(註2)
 そんなことを期待されても日本の音楽著作物の扱いが柔軟にならない限りは、歌詞をそのまま掲載したりしませんが。

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