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2006.10.09

ザ・サード~蒼い瞳の少女~ オリジナル・サウンドトラック

 額に青い天宙眼を持つ少女・火乃香。人類の文明が最終戦争で滅んだ後、ザ・サードと呼ばれる天宙眼を持った新人類が人類を支配している未来の世界。そんな時代に辺境の砂漠地帯で生きている火乃香の活躍を描いたのが『ザ・サード~蒼い瞳の少女~』という作品です。
 WOWOWノンスクランブル枠の作品というと同じような作品が多いUHF系深夜アニメと比べてもじっくりと作品を描くややマニアックな作品が多いのが特徴ですが、この作品もどちらかというとそんなマニアックな雰囲気の作品ですね。
 ソードダンサーと呼ばれる火乃香が砂漠の危険生物や数々の難敵を倒しながら、イクスやパイフウという仲間に出会っていくというのが簡単な物語ですが、事件を描くんじゃなくてあくまで火乃香というキャラクターを描いているというのがこの作品の特徴でしょう。

 音楽担当は大橋薫。割と最近の人のようで、他の作品を調べても『うた∞かた』とか『トランスフォーマー・ギャラクシーフォース』や『仮面ライダーアギト』という辺りしか見当たらず、印象には残ってない人というのが正直なところです。
 サントラは2枚目まで出ていますが、今回は1枚目。収録曲は以下の通り。

 01. 砂上の夢(TV size 1st Version)
 02. 砂漠の海原へ
 03. トゥルンカ
 04. 気配
 05. 疾風
 06. 緊迫
 07. 襲撃
 08. 回想のウォーケン
 09. 悲しみをこらえて
 10. 市場にて
 11. 仲間たち
 12. トクター・ノルとメイリン
 13. イクスのテーマ
 14. ミリィがいれば
 15. 希望の旅立ち
 16. 放浪
 17. 休息
 18. 不安
 19. 火乃香―切なさを抱いて
 20. 救出!
 21. 女王アリ
 22. 夜明け
 23. 浄眼機のテーマ
 24. 静かなる策謀
 25. パイフウのテーマ
 26. 苦悩
 27. ブルーブレイカー
 28. 対峙
 29. 緊急発進!
 30. 火乃香―ソード・ダンサー
 31. 別れ
 32. 火乃香―想い出
 33. 「ザ・サード」のテーマ
 34. アイエヌジー(TV Version)

 では、印象に残った曲を見ていきましょう。

 「砂上の夢」は佐々木ゆう子が歌うOP曲。あまり名前を見かけない人ですけど、『セラフィム・コール』とか『火魅子伝』でとても印象に残ってます。曲の方はいまどきの普通のアニメソングって感じですが、壮大なイメージで歌い上げてる感じですね。
 単なるタイアップ曲ならOPと本編は別物って感じですけど、この曲は様々にアレンジされて本編の劇伴に使われていて、非常に印象に残ってます。本当の意味で作品の顔といえるテーマソングです。

 「砂漠の海原へ」はどこか幽玄なイメージで始まる曲。やがてホルンの音色とともにメインのフレーズが始まり、勇壮なトランペットへと続いていきます。夜明けと共に始まる冒険や戦いの物語の序章って感じですが、やはり颯爽と登場する主人公のイメージというのがわくわくするところですね。
 どことなく『劇場版スレイヤーズ』のサントラの最初に入っていた組曲を思い浮かべてしまう構成の曲ですが、原作が富士見ファンタジア文庫の作品という以外にとくに共通項はありませんね。
 「トゥルンカ」は微かなスキャットで始まる曲。後半部はこれにピアノの伴奏が付き、やがてフルートとストリングスの演奏に変わっていきます。曲のイメージとしては母なる大地というか、そういう感じがするのは、やっぱり『銀河鉄道999』とかその辺の音楽に
似たものを感じるからでしょうか。

 「疾風」はスリリングなギターにブラスが加わってくる曲。切羽詰った事態だとか、危機が迫ってきてるというイメージの緊迫感あふれる曲です。
 「襲撃」はスリリングなブラスメインの曲。まさに敵襲という感じですが、ホルンの低音がとにかく目立ちます。メインのメロディーはトロンボーンでホルンがサブメロ、トランペットがアクセントを出してるという感じ(トロンボーンとトランペットは逆かもしれない)。
 ブラスの各楽器がパートごとにしっかり聞き分けられるのがこのサントラの特長みたいなものですが、それにも増してブラスだけで固めた曲というのもアニメのサントラじゃ珍しいですね。普通、どんなブラスが派手な曲でもストリングスパートとの対比があって引き立つってものなんですが。

 「回想のウォーケン」はどことなく尺八風のオーボエの曲。ウォーケンというのはキャラバンで辺境をさすらってる確か火乃香の育ての親だったと思いますが、曲は荒野をさすらう武人ってイメージですね。時代劇の一匹狼とか、そんなところです。
 「市場にて」はエスニックな異国の祭り風の曲。フルート、バイオリン、ギターって辺りがややハイペースに奏でています。バグパイプが入ればケルト風って感じですけど。賑やかな町というイメージですが、ミリィの住むエンポリウムの町の曲ですね。
 「イクスのテーマ」はストリングスによる幻想的でかつ温かくて懐かしい感じの曲です。地球外生命体だという設定ながら、なぜか人懐っこいイメージのイクスの雰囲気作りにずいぶん役立ってそうです。
 「ミリィがいれば」は王朝室内楽的なワルツ曲。軽快なバイオリンが印象的。ミリィの曲ってところで、息抜きというか安らぐが感じられる音楽なんですが、どことなく『焼きたて!!ジャぱん』辺りで聞き覚えあるような感じがするのは気のせいでしょうか?

 「希望の旅立ち」はゆったりと始まる勇壮な曲。フルートから始まってストリングスが取って代わり、そこにホルンが絡んで次第に雄大に盛り上がっていく感じです。大冒険の始まりって感じにまさにお似合いな曲かな。
 「火乃香―切なさを抱いて」はややマイナーがかったOP曲のゆったりとしたバリエーション。ピアノソロから始まってストリングスが入ってくるという感じですが、少し物悲しい雰囲気のする曲です。
 「救出!」はアップテンポのアクション曲。じわじわと詰め寄ってくるようなスリリングなイメージから一転してトランペット主体の派手なブラスによるスピーディーな爽快感あるフレーズに変わっていく曲です。敵とのチェイスシーンや、いざ反撃って感じのバトルシーン向きの曲ですね。

 「夜明け」は穏やかなストリングスの曲です。夜の砂漠の危険を乗り越えた後の安らぎの朝とか、未来の希望を歌い上げるような優雅さを持った曲です。
 「浄眼機のテーマ」はパイプオルガンの音色の曲。パイプオルガンといってもバロック的な宗教曲というよりも機械的なイメージが強いんですが、絶対的な権力者って雰囲気に感じるのは「白色彗星」の影響なのかなぁ。浄眼機個人というよりもザ・サードという支配階層のテーマって感じがします。
 「パイフウのテーマ」はどことなくストリートギャング風のジャズピアノによる、少し大人びたイメージの曲。元殺し屋のパイフウのテーマってことで、火乃香やイクスとは違う甘さが無く、どこか凄味のあるキャラクターという感じですか。
 「苦悩」はピアノによる即興曲風に始まる曲。この辺はジャズとか現代音楽とかその辺のイメージから来てるのかなぁ。それがやがてストリングスとパーカッションによるスピーディーな展開になっていきます。単なる苦悩というよりも、苦悩を乗り越えてそれを解決していくってシーケンスの曲ですね。

 「緊急発進!」はアップテンポのアクション曲。エレキギターとブラスによる軽快なフレーズからストリングスが加わってスリリングに盛り上がっていくという展開。中盤以降、ヘビメタ並みにエレキギターが鳴りまくってるあたりが乱戦のイメージを伝えてくる、まさにバトルアクションを盛り上げる曲です。しかし、オーケストラにギンギンのエレキギターを絡めますか……
 「火乃香―ソード・ダンサー」はブラス主体のアップテンポの曲。いかにも主人公だというフレーズがかっこよく奏でられ、颯爽と登場してるって感じを表してます。後半、スキャットとストリングスが入ってきて曲が柔らかくなってくるイメージですが、火乃香の女の子としての側面とかそういう感じかな。全体的には爽やかなイメージです。
 そにしても、スキャットが和らげてくれてるとはいえ、全体的にブラスが派手過ぎですね。

 「別れ」はストリングス主体のマイナー系の曲。単なる別れというより、死別するってイメージですね。もう二度と会えない悲しさという感じがひしひしと伝わって来ます。(ザンカンが死んだ時の曲かな)
 ラストでブラスが入ってきて曲全体に悲壮感みたいなものを盛り上げてるのが印象的ですが、悲しみだけで終わらずに、そこから何か物語が始まっていくようなイメージです。
 「火乃香―想い出」はゆったりとした感じのオルゴールの音色によるOP曲のバリエーション。思い出の彼方の遠い過去の記憶って感じですが……儚いイメージです。
 「「ザ・サード」のテーマ」もOP曲のゆったりとしたマーチ風バリエーション。冒頭は口笛風のフルートがメロディーを奏で、それがやがてストリングスに変わり、最後は交互に繰り返すような構成です。
 作品冒頭の状況説明等のシーンによく使われているので馴染みの深い曲ではあります。
     ☆ ☆ ☆

 一度耳を通して最初に感じるのは、とにかくくっきりとオケの音が聞き分けられるサントラだなということですね。解説書の編成を見たら、フルオーケストラを使ってるような劇場版作品なんかは別として、普通のテレビアニメのサントラの編成に比べたら楽器が厚いということですね。
 普通はこれの半分ぐらいの編成で、それで音が足りないとなるとシンセの代役とかで音を被せたりしてるみたいですが、おそらくそんなことせずにオケで録った音をそのまま使ってるからクリアに聴こえるんでしょうね。
 しかし、この解説書、オケの編成はちゃんと載ってるんだけど、ピアノやシンセは忘れられてるようですね。シンセは完全打ち込みならとくに奏者はいないってことかもしれませんが、まさかピアノの音まで打ち込みで出してるわけじゃないでしょうに。

(発売元:コロムビア COCX-33789 2006.07.19)

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