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2006.09.23

momo-i quality~ベスト・オブ・モモーイ~ 桃井はるこ

 桃井はるこ(モモーイ)の歌といえば小麦ちゃんやUNDER17のイメージが強くて、いざ本人名義の歌というと「うたまるえかき歌」ぐらいしか思い付かなかったりしますが、UNDER17の解散からすでに1年半が過ぎ、そろそろ本人のシンガーとしてのアピールがないと、どんどんマイナーな存在に成り下がってしまいそうな、そんなタイミングで出てきたのが今回の『momo-i quality』です。
 「ベスト・オブ・モモーイ」と題打ってるようにベスト盤というスタイルですが、収録されてるのはCDショップで売ってるようなメジャーな歌じゃなくて、《Dream Party》の会場でしか売ってなかったり、《とらのあな》でしか売ってなかったりするような、いわゆるインディーズで出した曲の数々です。
 こういうのを見ると、モモーイってまだまだマイナーの世界を彷徨ってる人なんだなぁという気がしますし、だからこそこういう路線での活動が続けられてるんだとか感心したりもしますが、その辺の受け取り方は様々でしょう。

 収録曲は以下の通り。

 01. Opening -dreaming more! more!-(instrumental)
 02. LOVE.EXE -momo-i quality version-
 03. mebius ring
 04. Adolescence -rainy Taipei version-
 05. Hide and seek
 06. 恋のレシピ
 07. フィギュアになりたい -re painted version-
 08. ゴー☆ホーム!-Master MIX version-
 09. 贖罪のラプソディー~Sin & Pain~
 10. Far and away ~party night~ -new mix-
 11. アキハバラブ -summery summer version-
 12. Friendship
 13. もっと、夢、見よう!! -Now I feel…version-

 それではいつものように1曲ずつ見ていきましょう。オリジナルの出典なんかはわからないので、あくまでこのアルバム内での印象です。

 「Opening」はゆっくりと幻想的な雰囲気から始まっていくインスト曲。ライブコンサートの最初、アーチストの登場の前に流れるオープニングのイメージですね。ラスト、スモークが噴き出していよいよアーチスト登場という最高の盛り上がりで、そのまま次の曲に繋がっていきます。

 「LOVE.EXE」はパワー全開のヘビメタ系サウンド。このトラックから頭出しで聴くといきなり最大音量から始まってしまいますから、ヘッドホンやスピーカーの音量調整をしないまま聴いてしまう人は要注意ですね。
 曲自体はもう果てしなく激しい曲って感じなんだけど、歌ってるのがモモーイだから舌足らずなボーカルが、どっちかというと小麦ちゃんがシャウトしてるような感じの曲になってしまってます。時も空間も越えた激しい恋を歌ってるって感じで、それはそれでロック魂を刺激されそうな曲なんですが……やっぱし、本職のハードロッカーのボーカルにでも歌ってもらうとぜんぜん雰囲気が違ってくる気がしますね。
 バックに入る「エクゼ」ってコーラスがお茶目な感じを引き立ててます。

 「mebius ring」は、これも割りとハードロック系の激しい曲。ま、最近はこれくらいのビートのガールズポップ系の曲も珍しくはないんですが、どっちかというとCDで聴くよりライブ向きって感じかな。
 歌詞は完全に脳内妄想の恋って感じですが、頻繁に「禁断の恋」なんてフレーズが出てくるからいったい何の歌かと思ってしまいますが、別にそのことについて詳しく触れてるような歌じゃないんですね。そんなキーワードだけで反応できる層に向けた電波系ソングの一種って感じかな。ま、エロゲの主題歌って匂いがぷんぷんしてきますが……
 中盤、「メ、メ、メ、メ」とスタッカートで盛り上がってくるところから一層電波的に充実してくる感じです。ま、何も疑わずに聴けば、それなりに心地良い曲です。

 「Adolescence」は前の2曲に比べると、ややテンポを落とした感じの曲。思春期の甘く切ない関係から一線を越えてしまったって感じの、ちょっとアブナゲな雰囲気のある歌ってイメージですね。
 中間部分の伴奏が弱まった部分のボーカルが、触れれば壊れてしまいそうな淡く儚げな雰囲気を醸し出していて、もう絶品です。

 「Hide and seek」はかくれんぼの歌。いや、別にかくれんぼしてる歌じゃないんですけどね。アップテンポでライトポップな、それでいて脳味噌が融けてしまいそうなぶっ飛んだ歌詞の典型的な萌えソングの作り。モモーイらしいといえばモモーイらしい曲です。
 かくれんぼにかこつけて告白の返事をじらしてるって感じの歌詞ですが、なんか裏にもっと卑猥な意味がありそうなのは気のせいでしょうか。
 何と言っても「もういいかい」「まあだだよ」のコーラスが絶品としか言いようがありませんね。

 「恋のレシピ」はライトでおしゃれな感じの曲。ま、セクシーな感じのバックコーラスの存在が前曲みたいな萌えソングとかとは完全に一線を画してるって感じですが、いわば「普通の曲」なんだけどモモーイにしては珍しいってあたりがなんだかなぁ。
 甘く軽い感じの恋の歌って感じで、ささやくように甘える感じの歌い方は他のモモーイの歌とは全然違ってますね。それでもモモーイの曲ってことで一緒くたに扱われそうだけど……
 曲の作りとしては途中で三連符を繰り返してるあたりが印象的です。

 「フィギュアになりたい」はピアノ伴奏によるバラード系の曲。なんかオタクの彼に気持ちを気付いてもらえないから、自分がフィギュアになってずっとそばにいたいって感じの切ない歌詞ですが……一般人には理解不能な電波系の歌に分類されるんでしょうねぇ。
 曲としては悪くはないんだけど、モモーイのボーカルに張りが無いというか……声が十分に出せてないって感じですね。それがかえって切ない感じを引き出してるみたいですけど。こういう曲はか細く弱々しい声で歌えば良いってわけじゃなくって、やっぱりそれなりに伸びのあるボーカルが無いと曲の魅力を十分に引き出せないんだけど、モモーイの声はその辺が苦手なようで残念です。
 ま、モモーイに限ったことじゃなく、最近の声優さんのアルバムとかじゃ普通のことですけどね。

 「ゴー☆ホーム!」はアップテンポのドタバタ・コメディ系の曲。典型的なキャラクターソングの作りって感じですけど、なんかバックコーラスの入れ方がメチャクチャですね。
 モモーイらしさが爆発してるといえばそんな感じですが、前曲とのギャップは無限大。続けて聴くとインパクトありすぎです。
 とにかく騒がしいくらい賑やかな曲です。

 「贖罪のラプソディー」はコーラスとオルガンによる教会風というかゴシック風の雰囲気に包まれたイントロで始まる曲。でも、そういう厳かな雰囲気の曲じゃなくて、たちまちギンギンのハードロックに一変。まぁ、プログレって感じですね。曲もボーカルもかなり激しい感じで、なんか一頃のロボットアニメの主題歌って感じがあります。『プリズム・アーク』とかいうゲームのテーマ曲みたいですが、どんなゲームかは知りませんが……
 神に逆らうほどの激しい恋だとか、放浪する戦士の宿命だとか、そんなシリアスでドラマチックな雰囲気にあふれた、その手の曲が好きな人にはたまらないようなアクション系の歌です。

 「Far and away」はちょっとおとなしめのイメージのビートを抑えたユーロっぽい曲。歌詞は切なく相手を思い続けるって感じで、なんかロボットアニメのEDにありがちな雰囲気の曲で、アニオタには心和む感じの曲です。
 これも前曲と同じ『プリズム・アーク』の曲みたいですが、キャラクターのイメージソングであって、別にED曲とかいうわけではないみたいですが……
 やはり気になるのはボーカルが弱々しいところ。やっぱりモモーイは元気系の曲じゃないと似合わないのかな。

 「アキハバラブ」はもうギンギンのクラブ系テクノトランスって感じ。どっちかというとイベントで盛り上がるための曲で、CDで聴いたりしてたらダメですね。
 歌詞の中身はアキバ系の恋の歌って感じですが、ひと夏の恋が有明じゃなくてなんで秋葉なのかよくわからないって感じ。秋葉でのイベント目的あたりで作った曲なんでしょうか?
 ま、恋の場所が秋葉じゃなければ普通の歌って感じですが、やっぱり電波ですねぇ。

 「Friendship」はゲームを介した男女の友情関係って感じで、やはり電波な感じの割とハードなロック。
 曲の作りとしてはハスキーボイスで声を張り上げたいところだけど、歌ってるのがモモーイだからそんなの無理って感じで適当に妥協してるあたりがヘタレな曲かな。
 歌詞は意外と真面目で、くじけた友人を励ましてるって内容なんだけど……状況説明だけに終わってしまって、歌として訴えてるところが不明確なのが致命的。ま、最近のオタクは中身が無くてもキーワードだけで条件反射的に感動できる(感動してると思ってる)みたいなので、こういう曲でも胸にジーンと来るんでしょうけど……

 「もっと、夢、見よう!!」は、よく声優さんのアルバムに最低1曲ぐらい入っていて、イベントやライブで繰り返し歌われるレパートリーにされる感じの曲。そう書けばなんか安直で俗っぽい感じがしますが、それなりにノリが良くてカッコイイ感じの曲です。
 曲としては2コーラス目のサビの手前でメロディーが変わってる部分が割と印象的なポイントかな。でも、その直後の間奏で入るセリフがちょっと臭くてどうかって感じがするのも確かですが。
 雰囲気としてはアニメの感動の最終回に特別に流れてくるEDって感じで、余韻を引き摺るには良い感じの曲です。もっとも、いきなり「LOVE.EXE」で始まるこのベストアルバムでは相対的に地味に感じるので、あまり効果的に収録されているようには思えません。ラストは「アキハバラブ」みたいなのを持ってくるか、逆に「フィギュアになりたい」あたりでしんみり終わった方がバランス良かったかも。

   ☆ ☆ ☆

 ベスト盤だから当然ですが、モモーイの魅力にあふれた実に楽しいアルバムです。もっとも、出典がインディーズ曲ばかりだからあまり知名度のある曲と言えないのがほとんどで、UNDER17時代のアルバムに比べてもマイナーっぽいのは致し方ありませんが。
 モモーイの曲はモモーイが歌ってこそ味があるというのも確かですが、曲によってはモモーイの声が追いついていないってのもいくつかあって、なんか非常に勿体無い気がするのも確かです。小麦ちゃんみたいなバーチャルな人じゃなくて、現実の歌手をモモーイがプロデュースして作ったアルバムなんか出来たら、聴いてみたいですね。
 声優としてのモモーイなら、『D.C.~ダ・カーポ~』のうたまる役のあの何ともいえない長閑な役が非常に好きなんですが、ああいうイメージを音楽で作ってみたら物凄く良い味を出してくれそうな気もします。

(発売元:avex AVCA-22786 2006.08.09)

momo-i quality~ベスト・オブ・モモーイ~
momo-i quality~ベスト・オブ・モモーイ~

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