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2006.09.07

ARIA The ANIMATION ORIGINAL SOUNDTRACK

 天野こずえ原作の『ARIA』。ウンディーネになるためにアクア(火星)にやってきた水無灯里を中心に、さりげないネオ・ヴェネツィアの日常と様々な人々との出会い、時には時空を超えた不思議な経験などを描いたヒーリング的なアニメ作品です。
 2005年秋から1クール作品として放映されて人気が出て、2006年春から2クール作品として続編が放映されていますが、今回はベースとなる最初の『ARIA The ANIMATION』のサントラを取り上げます。

 音楽はラテン的なショーロをモチーフとするストリングス・トリオのCHORO CLUBとピアニストの妹尾武とのユニットによるアコースティックな癒し系フィーリング音楽です。
 CHORO CLUBの音楽はどちらかというとブラジルとかスペイン・ポルトガル風の雰囲気。南米もイベリア半島も同じラテン系といえばラテン系ですが、オリジナルのヴェネツィアのあるイタリアとは少し違うような気がしますが、そこは未来のアクアのネオ・ヴェネツィアの音楽ですから別に構わないのかも知れません。

 収録曲は以下の通り。

 01. ゴンドラの夢
 02. ウンディーネ(forest mix)(牧野由依)
 03. 鐘楼のパトリ~ネオ・ヴェネツィア~
 04. AQUA
 05. 夏便り
 06. アクアアルタ日和
 07. 満月のドルチェ
 08. 恋とはどんなもの?
 09. バルカローレ(河井英里)
 10. 迷い込んだ路地へと
 11. 幻想カーニバル
 12. 静かにあふれる涙
 13. 届かぬ想い
 14. 逆漕ぎクイーン
 15. ARIA(河井英里)
 16. 水の鏡
 17. アドリアの海辺
 18. 星影のゴンドラ
 19. オレンジの日々
 20. 天気雨
 21. サンタクロウスの空(河井英里)
 22. 歓喜の街
 23. AQUA(reprise)
 24. そして舟は行く
 25. Rainbow(acoustic ver.)(ROUND TABLE feat.Nino)

 曲数が多いので、今回は気になった曲を摘み食い。なにぶん、ギターとバンドリンの音の違いとかがあまりよくわからないので、例によって自分の耳に聞こえたイメージの楽器名が書いてあります。読む人は注意してください。(ややこしいから弦と書いてあるのはギターかバンドリンかどっちかまたは両方です。基本的に伴奏に徹してるのがギターで、メロディーを主に奏でてるのがバンドリンというイメージですが、違ってたらごめんなさい)

 「ゴンドラの夢」はどこか不安げな弦が漂う感じの曲。まぁ、水面にさざなみが立ってる感じといえば、そういうものかも知れません。主にアバンタイトルで灯里からアイちゃんへの手紙が語られてるバックに使われている曲で、冒頭のバンドリンのトレモロの部分が比較的耳に馴染んでいます。

 「ウンディーネ (forest mix)」はOP曲の別バージョン。作品ではたまに別バージョンの曲が流れていたので、これもどこかの回に使われたものかも知れません。
 オリジナルの歌詞は使われず、エコーがかったコーラスで延々と「アリア」を繰り返してる感じです。これはこれで趣はあるのですが、普通にTVサイズのOPを期待していた人には残念だったかもしれません。
 コーラスの牧野由依は『ツバサ・クロニクル』のサクラ役と『創世のアクエリオン』のED曲とどっちで先に名前を知ったかというくらいですが、声優と歌手とどっちが中心なのかよくわからない人ですね。歌の方は、菅野よう子が坂本真綾の次に見付けた逸材だそうだとかいうのはさておいても『ARIA』シリーズのOPで十分にその才能を伺うことが出来ます。

 「鐘楼のパトリ~ネオ・ヴェネツィア~」は軽快で爽やかなピアノが奏でる朝の目覚めのような感じの曲。作品的にはエピソードの始まりのイメージですね。中盤から弦が加わって来ますが、だんだん太陽が高くなり、日差しが強くなってきてるって感じでしょうか。ま、日差しが強いと言っても火星のことですから、実際には地球の地中海地方の日差しとは比べるべくも無いでしょうけど。

取って代わりますが、もう日が上り南欧の昼下がりというところでしょうか。
 「AQUA」は明るく軽快な弦が弾むように奏でる曲。灯里の日常で最も頻繁に使われている曲であり、馴染みの深いいわばメインテーマのようなモチーフの曲です。
 「夏便り」は弦とホイッスル(口笛?)、それにウッドブロックのような音のパーカッションが奏でる「AQUA」の変奏曲です。より活発的で、陽気なイメージがあります。

 「満月のドルチェ」はピアノとヴィオラによる幻想的な曲。月明りの幽玄さ、水面に映る満月……そんなイメージの曲です。短いピアノソロのフレーズに続く中間部はゆったりとしたヴィオラの音が特に印象的。ラストは前半と同じ曲に戻ります。前半と後半はヴィオラがメインでピアノがサブという感じですが、中間部はピアノが表に出てきてヴィオラと掛け合いをしているような感じなのも印象的な構成です。

 「バルカローレ」は作品中では主にアテナが歌ってる舟歌で最もよく使われてる馴染みの深い曲です。ある意味、ネオ・ヴェネツィアにとってのゴンドラやウンディーネの存在というものを感じさせてくれる、とても雰囲気のある曲ですね。
 バルカローレそのものが舟歌という意味の言葉ですが、音楽用語では舟歌を題材にしたピアノ曲等を指すらしいので、現地で舟歌という意味で通じるかどうかは知りません。
 コーラスの河井英里はアニメソングを何曲か歌っている人ですが、それ以外にもこういうサントラ盤のコーラス等に参加してることも多いみたいで、実力派のスタジオミュージシャンというイメージですか。本当に透き通るようで張りのある見事な歌を聴かせてくれますね。

 「逆漕ぎクイーン」はギターとバンドリンが激しくせめぎあうアップテンポの曲。ネオ・ヴェネツィアというよりはスペインあたりのフラメンコの音楽って感じですが、作品的には緊急事態で急いでるって感じの曲ですね。
 普段はのろのろクイーンの灯里も何故か逆漕ぎになると一転してスピーディーに。マンホームで独学で練習した結果だとかいう話ですが、いくら本家のヴェネツィアが無くなった世界とはいえ、ゴンドラの漕ぎ方ぐらい他に教えてくれる人がいなかったのかとツッコんでしまいますが……いくら逆漕ぎが速くても実務に役立たないのが虚しいですね。

 「ARIA」は「AQUA」のスキャットバージョン。ピアノの伴奏付きで、のんびりとしたスローペースの曲ですが、のどかなネオ・ヴェネツィアの光景が思い浮かぶようです。作品中では一件落着したフィナーレとか、暇そうに雄大なアクアの自然を感じてるようなところで使われてる感じです。
 スキャットはやはり河井英里ですが、本当にいい声をしてますね。

 「アドリアの海辺」は南欧の明るい海を表すような陽気な弦が印象的な曲。アドリア海といえば『紅の豚』の久石譲の音楽なんかが思い浮かんだりするのですが、こちらはアクアにあるネオ・ヴェネツィア周辺の海のことですね。冒険の始まりだとか、灯里・藍華・アリスの3人がはしゃいでる様子だとか、そんな光景が思い浮かぶ曲です。
 「星影のゴンドラ」は弦とピアノによる懐かしくノスタルジックな感じのする曲。途中、全体の音程が低くなってる部分でバックのコントラバスがかなり切ない雰囲気を出しているのが聴き物。弦とピアノの掛け合いによる心に沁みるような美しいメロディーが印象的な曲です。どちらかというとアクアの開拓時代の記憶を物語ってるようなイメージが感じられますね。

 「サンタクロウスの空」は河井英里によるスキャットと、(シンセの代用でしょうが)グラスハープのような透明感のあるベルの音による、聖夜のしんしんとした雰囲気を描いたような曲。人と人とのつながりをしんみりと感じさせるような曲でもあります。
 雰囲気的にはクリスマスの曲という感じですが、アクアでクリスマスというのはどうなんでしょうかねぇ。クリスマスが本来は古い宗教の冬至の祭りを引き継いだものとするならアクアでも似た季節に行えばいいのですが、何しろ火星の1年は地球の2年近くですから火星のサンタクロースは地球のサンタクロースの半分しかプレゼントをくれないということになります。クリスマスをキリストの誕生日として地球のカレンダーの12月25日に決めちゃったりしたら、火星では1年に2回クリスマスがある上に季節感も何も無くなってしまいます。季節感といえば地球でも南半球では真夏のクリスマスなんですが……

 「AQUA(reprise)」は弦とコントラバスによるややゆったりで寂しげなバージョン。アクアの夕暮れというイメージですが、エピソードの終わりとか静かな大団円とか、そんな感じがする、どこかほのぼのとした曲です。
 「そして舟は行く」はピアノによるきれいなセレナーデ。夜の安らぎというか、1日が終わってお疲れ様とか「おやすみなさい」って感じの曲ですね。

 「Rainbow(acoustic ver.)」はED曲のアコースティックバージョン。伴奏は弦だけって感じで非常にあっさりした感じに仕上がっています。普通、サントラ盤に入ってるテーマ曲の別バージョンっていうのはボーナストラック的な意味合いが大きいのですが、このサントラ盤に関していえば全体がアコースティックなサウンドで満たされていますから、非常にぴったりはまってるという感じです。でも、サントラ盤の本義からいうと逸脱してるってことになるんですが……

 割愛したけど、しっとりとしたワルツ風の「恋とはどんなもの?」やトイピアノを使った穏やかでせつない感じの「天気雨」も、作品中で非常に印象的に使われている素晴らしい曲です。

   ☆ ☆ ☆

 打ち込みメインでもオーケストラでもないアニメのサントラというのは、個人的な嗜好もあってあまり聴く機会が無いのですが、これだけ見事な演奏を聴かせてくれると次に期待してしまうのは当然のことかもしれません。この手の音楽はやはりプレーヤーの技量というものが露骨に出てきてしまいますが、さすがにプロの仕事は違うとうならさせてくれる1枚ですね。
 もっとも曲の雰囲気からすると一発録りのアルバムかと思ってたけど、演奏家のリストを見たらシンセとかトイピアノとか特別な楽器を使ってる曲は完全にバッティングしてるので、一部か全部かは知らないけどパート録りしてるのは確かなようです。
 ともあれ、『ARIA』という作品にとっては切っても切り離さない音楽の世界を確立してしまっているのは確かで、こういう音楽に出会えた作品というのは、でっかい幸せなんだなと思います。
 ……というところで、続編『ARIA The NATURAL』のサントラ盤については、また別の機会に。

(発売元:ビクター VICL-61795 2005.11.23)

「ARIA The ANIMATION」オリジナルサウンドトラック
「ARIA The ANIMATION」オリジナルサウンドトラック

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