Flower|折笠富美子
個人的には清楚なキャラが多いかなというイメージを持ってる折笠富美子ですが、改めて出演作を確かめてみると、意外とそうでないキャラの方が多かったりして、人の印象というのはあまり役には立ちませんね。
代表作を1つ挙げろといえば『最終兵器彼女』のちせかなって気がしますが、フィリエル(西の善き魔女)やパシフィカ(捨てプリ)みたいな活動的なお姫様役というのも印象に強いですね。
そんな彼女の2枚目のアルバムがこの『Flower』。1枚目のアルバムが『真月譚 月姫』の頃だったから2年ぶりぐらいの発表ですか。
収録曲は以下の通り。
01. Flower
02. 答えは胸の中にある
03. 嘘つきなあなたへ
04. クラス・メイト
05. 音の花
06. -18cm~いちあまりの裏側~
07. さくらピエロ
08. 勝算アリ
09. 39.5℃
10. シアワセの波
《bonus track》 ムシとフラワー
「Flower」はマーチテンポの元気な曲。表題曲ということでCMでも盛んに流れていたので耳に馴染んでる感じです。前半はゆったりと流すような、やわらかく爽やかな歌声です。後半、サビの付近は一転して高音でアクセントを効かせたボーカルが印象的。
全体的に、爽やかに元気付けてくれる感じの曲です。
「答えは胸の中にある」はややスピーディーな曲。ボーカルはドラマティックにというか、刹那的で回想的に歌い上げてる感じで、マイナー気味。全曲のような華やかで浮付いた雰囲気はどこにもありません。ただまっすぐに歌い上げる中に垣間見られる曲の広がりにカッコよさを感じます。
「嘘つきなあなたへ」は前曲に引き続いてマイナー系の雰囲気の曲。歌詞は普通なのに何故か宿命とか運命とかの何か淡く儚げなイメージが感じられますが、中盤のやわらかく優しい感じのボーカルがそれを和らげてくれてる様子です。
全般的に声の透明感を強調したようなつくりで、透き通った声の伸び具合がきれいに聴こえます。
「クラス・メイト」は『苺ましまろ』のED曲。シングルを出さずにアルバムを買えってあたりがジェネオン商売の見本のような曲ですが、まんまとアルバムを買わされてる人間が書いても客観的ではありませんね。
アカペラっぽい始まりから、全体的にゆったりとしたアコースティック風の曲です。サビのあたりとか少しエフェクトを効かせ過ぎって感じがありますが、声優・折笠富美子の声をイメージしてアルバムを聞いてる人にはここらあたりの曲が一番安心できそうな感じです。
「音の花」はゆったりとしたバラード風の曲。どちらかというと中島みゆきとかあたりの80年代のニューミュージック系の作りって感じがします。笛とギターをメインとした南米風のちょっとエスニックな伴奏にメッセージを乗せて語ってるって感じですね。
「-18cm~いちあまりの裏側~」はちょっとコメントしづらい不思議な感じの曲です。エコー掛かったボーカルがまるで妖精のダンスのような弾む感じで歌ってるイメージですね。
「さくらピエロ」はバイオリン+ピアノの伴奏によるホッとするような暖色系の曲。前半はゆっくりとしたバラード風ですが、後半はボーカルが伴奏の助け無しに、とつとつと語るように歌い上げてるのが印象的。けっこうどんな曲でも歌いこなせるという折笠富美子の芸達者ぶりを見せ付けてくれてる感じかな。
「勝算アリ」はヒップホップ風のボーカルによるストリートダンス風の曲。伴奏のサックスが雰囲気を添えていますが、このアルバムの中では飛び抜けて異質な感じがする曲であることは否めません。
前曲にも増してボーカルの歌というか語りがすべてという感じですが、それをまるで自然にこなしてるあたりがどこか少し怖いくらいですね。
「39.5℃」はささやくような声をエフェクトで強調した、どこかコケティッシュというかポエム的な日常風景を語ったような曲。真っ先に頭に浮かんだのは笠原弘子の『本当の私』なんですが、そんな風なニューミュージック系の流れを汲む90年代のJ-POP風のイメージです。
「シアワセの波」はウクレレ風のギターと民族風パーカッションが伴奏のトロピカルなアコースティック曲。淡い感じのゆっくりとしたボーカルが南の島ののんびりとした光景を思い浮かばせてくれます。セレナーデ風の甘くて優しい声が魅力的な曲です。
「ムシとフラワー」はマーチ風のリズムの曲。1曲目の「Flower」と対をなしてる感じですね。歌い方は淡く、甘く、軟らかくという感じ。後半、一転してリズムに合わせてボーカルに強いアクセントが付いてきます。
間奏部のバグパイプが印象に残る中、サビのリフレインの伴奏の弱い部分の声が聴き物です。全般的にボーカルののびやかな部分が魅力的に引き出されている曲ですが、同じ曲の中で声の出し方が4つぐらい異なった方法で歌っているのが印象的ですね。
ラストがアカペラで終わってるのが曲自身はすっきりしてて良いのですが、アルバムがここで終わってしまうと、ちょっと不安を感じてしまう感じですが……
☆ ☆ ☆
アルバムを通してみて、寒色系の無機質でマイナー系の曲調で仕上げてる傾向が強いように感じます。折笠富美子の透き通った声を引っ張り出して、それを最大限に印象付けるにはそういう作りの方が良いのかもしれませんが、ファンとして聴いてみて魅力を感じるのはそんな透明な声の場所じゃなく、少し濁っていても暖かで柔らか味のある声の方なんですね。
そういう面はあっても、その一方でこのアルバムは折笠富美子からどれだけのものが引き出せるのか、その可能性を見せてくれていることは確かです。
(発売元:ジェネオン GNCA-1056(限) / GNCA-1057 2005.09.14)
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