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2006.07.20

関西フィル/宇宙戦艦ヤマト組曲

 7月16日に京都の文化パルク城陽・プラムホールで行われた『スクリーン・ポップス2006』というコンサートに行って来ました。藤岡幸夫指揮、関西フィル・ポップスオーケストラ演奏による映画音楽のコンサートです。
 関西フィル・ポップスオーケストラというのは関西フィルハーモニー管弦楽団がポップス編成の時に名乗ってるようです。指揮者の藤岡幸夫氏は、確か2年前に河内長野のラブリーホールで聴いた『伊福部昭×ジョン・ウィリアムス ~ゴジラVSスターウォーズ 日米SFシンフォニーの競演~』の時と同じ人だと思うけど、この時はあまり伊福部音楽への理解が無いような感じを受けました。
 映画音楽のコンサートといっても、昔の洋画の音楽を聴きにわざわざ出掛けたりはしません。お目当ては『宇宙戦艦ヤマト組曲』です。曲目としては目新しさがあるわけではありませんが、宮川父子が関わらない、純粋にオーケストラコンサートのプログラムとして『ヤマト』の音楽がどのように演奏されるのかというのも興味津々でした。

 演奏曲は以下の通り。

《第1部》
  1.オペラ座の怪人
  2.オリーブの首飾り
  3.マイ・フェア・レディより
  4.ハリーポッター組曲より
      ~ヘドヴィグのテーマ~
      ~ハリーの不思議な世界~
  5.宇宙戦艦ヤマト組曲より

《第2部》
  6.風と共に去りぬ
  7.ゴッド・ファーザー
  8.タイタニック
  9.スターウォーズ組曲より
      ~メインテーマ~
      ~レイア姫のテーマ~
      ~ダースベイダーのテーマ~
      ~アナキンのテーマ~
      ~フラッグ・パレード~

  E.宇宙戦艦ヤマト組曲より


 まず1番目は『オペラ座の怪人』から。これは映画そのもので聴いたとか言うより、劇団四季だったの舞台のCMで流れていたのが馴染みが深いという感じです。
 最初から独特の低音の毒々しいフレーズから始まり、ホルン、チューバ等の低音の管楽器が響く中、木琴が効果的に使われてる感じ。終盤近くのバイオリンソロが美しく流れますが、最後はオーケストラ全体で締めくくり。全体的にストリングスがブラスに力負けしてる感じがしましたが……

 続いて2番目はポール・モーリアの『オリーブの首飾り』。ヨーロピアンムード音楽の代表と言っても良いくらいに馴染みのある曲ですが、これって何かの映画音楽だったのでしょうか。
 さすがにブラス系は出番が無くてストリングスとピアノにドラムがメイン。オリジナルでは使ってないハープを入れたとか言ってたのですが、あまりわかりませんでした。

 そして3番目は『マイ・フェア・レディ』からメドレー。原曲は知りませんが、スピーディーな曲とゆっくりとした曲、ストリングス主体の曲とブラス主体の曲が交互に折り重なる感じで、生オーケストラで聴く醍醐味を味わえる構成ですね。

 4番目は『ハリーポッター』から2曲。指揮者の人も映画自体見たこと無いようでしたが、自分も知りません。
 「ヘドヴィグのテーマ」はチェレスタのソロから始まり、やがてストリングス、木管、ブラスが次々に奏でていく展開の曲。前半は静かで幽玄的な物語の始まりの雰囲気の曲で、やがてオーケストラ全体で奏でられてくる後半部は派手で何か運命的な印象を感じました。
 「ハリーの不思議な世界」はゆったりとした始まりで、やがて爽やかなストリングスに物語の進行を告げるホルンのフレーズが続き、中盤はストリングスとピアノの小刻みなユニゾンとそれを打ち破るイメージのブラスのアクセント。終盤は『E.T.』とかにも見られるジョン・ウィリアムス独特の畳み掛けるような終末が印象的でした。

 第1部のラストは本命の『宇宙戦艦ヤマト組曲』。今回は特別な要素は何も無いので基本的な「序曲」~「メインテーマ」~「決戦」~「大いなる愛」の標準構成です。
 「序曲」はピアノの伴奏で始まるコンサートバージョン。スキャットは無いのでメインフレーズを奏でるのはストリングスが主体。中盤の差し掛かりのハープがなかなか効果的に聞こえ、そこからオーケストラの盛り上がり。ブラスの低音が効いてなかなか迫力のあるサウンドでした。
 「序曲」が終盤に入るところで切られて、そこから「メインテーマ」に入るのもすっかり定番になった構成ですが、コンサートでは1コーラス半という形態が多いのに、今回はストレートに2コーラス。ボーカル無しでオーケストラだけですが、(何かとイベントになるとささきいさおの歌が入ったりするから)ヤマトのテーマを純粋のオーケストラで聴く機会はなかなか無いので、これはこれで嬉しかったです。
 演奏としてはストリングスが奏でるメインフレーズの始まりにタメが無く、全体に流してる感じで緩急のメリハリが無い。出だしのところがドラムと微妙にずれてるのも気になるところ。そして全体的にテンポが速すぎ。これでボーカルが入ったら歌手の人がかなり苦労するはず。ブラスに対してストリングスが弱いというのはこの曲に限らず、今回のコンサート全体にいえることですが。
 「決戦」は始まり部分でブラスに少し乱れが感じられました。ドラムがやはり少しタイミングが合ってない感じがして気になるところです。そして、こちらは全体的に少しテンポが遅すぎる感じがしましたね。ブラスが鳴りまくりの曲だからテンポが速いと大変なのかも知れませんが……
 「大いなる愛」もコンサート用のショートバージョン。第1主題の第1ループはピアノソロが主体ですが、演奏にメリハリが無くだらけた感じだったのは残念。第2ループはストリングスメインで、そして第2主題に入ってブラスやドラム、ティンパニーが加わってきますがストリングスが弱いから相対的にこれらの音の方が目立って聞こえるんですね。いくらなんでも打楽器系の音が前面に聞こえるような曲じゃないはずだから、どうにかならなかったのかと思います。(単に席が悪かったのか、ホールの音響の関係なのか、それともストリングスパートが少なすぎるのかはわかりませんが)

 第2部最初の6番目は『風と共に去りぬ』から有名な「タラのテーマ」。荘厳なオーケストラのフレーズと、美しいストリングスのフレーズが交互に繰り返される曲ですが、ストリングスのキーが高いのとは逆にブラスのキーが低いので、ストリングス主体の部分とブラスが加わった部分の印象ががらりと違ってくるのはそういう曲なんでしょうか。

 7番目は『ゴッドファーザー』からどことなく退廃感を漂わせる宿命的な印象の有名なテーマ曲。ストリングス主体で奏でられるテーマに、時折ブラスが絡んでくるって感じですが……相手がトランペット1本でも力負けしてるストリングスって……」

 8番目は『タイタニック』。司会の人がウケをとろうといろいろやってるんですが、夏だから海、海難事故ときてタイタニックというのは無理がありすぎ。タイタニックって氷山と接触して沈んでるから、あれは冬の事故なんでしょうね。
 曲はテーマソングのオーケストラバージョン。やはり『タイタニック』といえばこの曲のイメージが強いですね。単なるインストゥルメンタルじゃなくて本格的にオーケストレーションされてるから、馴染みのあるサビの部分以外はなんか原曲とイメージが違う感じです。

 そして最後は『スターウォーズ組曲』。これがラストなのは得意なプログラムだからでしょうか。2年前の『ゴジラVSスターウォーズ』の時だって、こっちが後でしたからねぇ……
 「メインテーマ」は出だしのオーケストラヒットが大き過ぎ。なんか音に襲われた感じがしたぐらい圧倒される音だったけど、今回はこういうブラスメインの曲はとにかく迫力を感じました。しかし、逆にストリングスの弱さも引き摺っていて、終盤の盛り上がり部分のストリングスのトリル、ある意味でこの曲の聴き所のひとつなんですが、それがほとんどブラスに掻き消されちゃってて聴こえないとかいう有様です。
 「レイア姫のテーマ」。幽玄なストリングスに絡むホルンの音色。今回、やたらパワーのあるブラスの中でホルンだけは抑え気味にストリングスと調和していたので、この辺りは破綻無く聴けました。中間部分のフルートとハープで奏でられる部分がどこと無く硬かったのですが、後半の絶妙なバイオリンソロがそんなの忘れるぐらいに見事な演奏を聴かせてくれました。
 「ダースベーダーのテーマ」は、いわゆる帝国の逆襲マーチですが、今回のオーケストラの状況からは用意に予想される通り、やたらブラスの音が響き渡って重厚過ぎ。いや、この曲を生でこれだけ重厚に聴けるのも滅多にないことでしょう。ただ、ブラスが薄くなる部分で木管の音が不安定だったのが気になりました。
 「アナキンのテーマ」は『エピソード1』から。全体的にストリングスによる爽やかなテーマで、とても前曲と同一人物のテーマとは思えない……とか思ってたら、終盤近くになってかすかにダースベイダーのモチーフが流れてきて、確かに同一人物であることを暗示してるようです。
 「フラッグ・パレード」は『エピソード1』のラスト、アナキンがレースで優勝した時の音楽だと思われますが、何かまとまりの無い雑多なフレーズが寄せ集められてるって感じで、ちょっと馴染めない曲です。ま、旧3部作に比べて『エピソード1』以降は馴染みが薄いこともあるのですが、やはり締めくくりは『ジェダイの復讐』のフィナーレで盛り上げてくれた方が良かったかな。

 アンコール曲は『宇宙戦艦ヤマト組曲』から「メインテーマ」を1コーラス。意外にあっさりとしたアンコールです。映画音楽というと特に今年は何か忘れてはいけない作品がひとつあったように思ってそれをアンコール用に取ってあるのかと期待していたりしてたのですが……

 関西フィルのメンバーの多くもヤマト世代ということで、指揮者の人も特にヤマトには思い入れが深かったようで、ゴジラの時とは違ってそれなりに愛情は伝わってきました。聞けば来年2月にも宮川先生を招いてコンサートをやる予定だったそうですが、それが叶わなくなってしまったのは非常に残念です。
 入口で配布されたプログラムにも、オーケストラと指揮者の紹介以外に宮川先生だけ紹介記事が入っていて特別なものを感じました。今回が関西フィルにとっての宮川先生の追悼コンサートだったみたいです。

『宇宙戦艦ヤマト組曲』の収録CD(ただし、吹奏楽版)

THE HIT PARADE Hiroshi Miyagawa
THE HIT PARADE Hiroshi Miyagawa

なにわ(オーケストラル)ウィンズ 2006
なにわ(オーケストラル)ウィンズ 2006


『スターウォーズ』は旧三部作なら次がお奨め。

スター・ウォーズ・トリロジー
スター・ウォーズ・トリロジー

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今まで見た映画やレンタルのちょっと辛口?な、勝手な感想を聞いてやってください。価値観や環境が違っていても、映画を通じて多くの人と共感しあえたらと思います。感想も書き込んでいってね。 [続きを読む]

受信: 2006.08.16 12:09

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