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2006.07.28

Fate/stay night A.OST

 『真月譚 月姫』に続くTYPE MOON作品原作のテレビアニメ『Fate/stay night』のサントラ盤です。アニメ版の音楽担当はお馴染みの川井憲次。アニメのサントラを買ったのは『ガンパレード・マーチ~新たなる行軍歌~』以来、それ以外を含めても『ウルトラマンネクサス』以来って気がしますが、かつては買うサントラに対する川井作品の頻度がもっと高かったような気がします。
 川井憲次というとやはり初期の『機動警察パトレイバー』とか『らんま1/2』、『吸血姫美夕』、『紅い眼鏡』あたりの印象が強いのですが、最近の人だと『アヴァロン』とか『イノセンス』とか、そっちのイメージなんでしょうか。川井憲次といえば打ち込みの鬼才。やはり打ち込みの音楽が使われることが多いゲーム作品が原作のアニメとは親和性が高いと思われますが、どうでしょうか。
 原作のゲームはやったことが無いので音楽に関しても言及しませんが、最初のOP曲はゲーム版OPのカバー曲で、劇伴の方もゲーム版の重要曲の一部がアニメ用にアレンジされて使われているようです。

 ではいつものように収録曲ですが、全40曲って最近のサントラでは多いですね。ま、元々テレビアニメの劇伴は短い曲を数多く揃えてるってのが普通なのですが、最近はテレビアニメでもサントラでは長丁場の曲が多いですから……

 01. disillusion(TVサイズ)
 02. 洗礼
 03. 運命の夜
 04. 輝け少年少女
 05. 藤ねえのテーマ
 06. 孤独な巡礼
 07. 魔術師
 08. 因果流転
 09. 聖杯
 10. 英霊鎮魂
 11. 雲は染まりゆく
 12. 家政夫は正義の味方
 13. アインツベルンの森
 14. 癒えぬ傷跡
 15. 冬木遠景
 16. 受け継がれし刻印
 17. 朽ちた血統
 18. 漆黒の十字架
 19. 麗しき花々
 20. 闇蠢く
 21. 太古の伝承
 22. 英雄王
 23. エミヤ -Kenji Kawai ver.-
 24. 藤ねえのテーマ -triple time ver.-
 25. 憧れの優等生
 26. 異界の淵
 27. 騎士王の誇り
 28. 冬の妖精
 29. 今はその剣を置いて
 30. 鮮血の騎兵
 31. 契約
 32. 約束された勝利の剣 -Kenji Kawai ver.-
 33. 永遠の咎
 34. 絆
 35. 裏切りの魔女
 36. 凶兆
 37. 天地砲哮
 38. La Sola
 39. 群雄疾走
 40. あなたがいた森(TVサイズ)

 とても全曲は見れませんが、印象に残った曲だけ。

 「disillusion」は1クール目のOPテーマで、ゲーム版OPのカバー曲。原曲はTYPE MOONのサイトで公開されてるデモムービー等で聴くことが出来ますが、雰囲気が全然違いますね。アニメ版の方は露骨に川井憲次ってアレンジですが、滑らかで洗練されてるという感じです。

 「運命の夜」はシンセベルのイントロの後、スキャットのフレーズではじまり、バイオリン主体のメロディーに引き継がれる曲。中盤の女性コーラスが印象的で、後半はストリングス、終盤で再び女性コーラスが現れます。川井憲次らしいフレーズで物語の進行を語るような感じの曲ですが、むしろ次回予告の音楽として馴染みの深いものです。
 「輝け少年少女」はアップテンポのパーカッションとストリングスによる明るく活発で清々しい音楽。この作品はどちらかというと黄昏時以降が中心でどこか神秘的かつ退廃的な雰囲気が支配的なイメージなのですが、それとは正反対の昼間の光景を描いた曲ですね。聖杯戦争の舞台は夜なので、昼間はこんな光景が同居していても不思議は無いってことですが、あまり主人公の士郎には似合いそうもない健全な青春の音楽です。

 「孤独な巡礼」はピアノとギターによるフレーズから始まって、ストリングス主体のオーケストラに続いていく、マイナー調のセレナーデ。切なく運命的な調べによる曲ですが、セイバーの内面を描いた感じの曲です。
 「因果流転」はストリングスによる悲しい調べ。サーヴァントたちの運命とか悲痛な思いとか、そんなイメージを受ける曲です。
 「英雄鎮魂」はモーツァルトのレクイエム「Lacrimosa」を使用したソプラノソロによるコーラス主体の曲。サーヴァントとして聖杯戦争を戦う神話や伝説の英霊たちを気高く歌い上げる感じの鎮魂曲ですね。

 「家政夫は正義の味方」は川井憲次お得意のギター主体の曲。聖杯戦争の合間の息抜きというか、弾むような明るく軽快な曲。イメージ的には桜のテーマ曲って感じかな。
 「冬木遠景」はチェロが奏でる虚しさ漂う感じの曲。聖杯戦争の舞台というより、前回の聖杯戦争の傷跡を残した冬木市の光景ってイメージです。
 「漆黒の十字架」は低音のストリングスとティンパニーによるゆったりとした、それでいて緊迫感のあるボレロ調の曲。戦いの前兆とか、罠を張って待ち伏せてる敵とか、そういうイメージの曲です。
 「麗しき花々」はオーボエやフルートを主体に奏でられるコミカルな曲。なぜか女の子がいっぱい同居してる士郎の家の日常光景ってところですが、どちらかというと凛が士郎をからかってる光景が思い浮かびます。

 「太古の伝承」は三味線と土笛のような音色に奏でられるアジアンエスニックな感じの曲。でも、これだと太古と言っても神話や伝説の太古と言うより、沖縄の太古ってイメージがしてくるんですが……
 「エミヤ」はシンセボイスとアップテンポのパーカッションに軽快なピアノが絡んでくるアクション系の音楽。これはゲーム版の同名曲のアレンジのようですが、川井憲次によるアニメ版のアレンジは、目立たないけどカッコイイという感じの曲。アーチャーのテーマ曲って感じですが、アニメ版ではアーチャーの正体は不明のままなんですね。

 「憧れの優等生」はホンキートンク系のピアノとシンセベルのアクセントが主体の曲。シャープでいてエレガントってイメージの曲ですが、凛のテーマ曲って感じなのかな。
 「騎士王の誇り」は「孤独な巡礼」と同じモチーフをバイオリンとハープによって奏でられるセイバーの心情。美しい音色に中に、自らの安らぎよりもアーサー王として人生のやり直しを願う悲痛な願いが漂う曲です。後半に入ってくる新しいメロディーが印象的ですね。
 「冬の妖精」はスキャットとピアノによるもの悲しい曲。やはりセイバー絡みですが、これはどちらかというと過去のアーサー王の回想シーンに使われていた曲かな。

 「今はその剣を置いて」はいかにも川井憲次らしいギター・ソロ主体の曲。戦士の休息って感じの安らぎの曲ですが、どちらかというと霊力を使い果たしてぐっすり眠ってるセイバーってイメージの曲ですね。
 「契約」はシンセベルによる単調なフレーズの繰り返し。「運命の夜」のイントロと同じなのですが、これだけが続くとちょっと落ち着かない雰囲気があります。しんしんと星の降る夜に運命の戦いが始まるってイメージですか。
 「約束された勝利の剣」はスリリングなブラスとドラムによるスピーディーなアクション音楽。セイバーのエクスカリバーによる一気呵成の反撃って感じで、カタルシスが沸きあがってくる曲です。「エミヤ」同様、これもゲーム版の同名曲のアレンジのようですが、アニメ版ではもうちょっと突き抜けるような感じが欲しかったように思います。
 ゲーム版の音楽はプレイヤーの動作を待っていないといけないから、ある程度うるさくないくらいに抑えてリピートできるものが要求されるわけですけど、アニメの音楽はリアルタイムで如何に効果的に使えるかですから、アクション系の音楽の流用というのは辛いものがあると思いますが。

 「永遠の咎」はストリングスによってゆいったりと奏でられるセイバーの曲。より頑なに自分の使命を果たそうとしていくセイバーの姿を見る士郎の悲痛な思いがより一層深まってくるイメージです。
 「絆」は上と同じモチーフをピアノで奏でた曲。後半にストリングスが加わって厚みが増すと共により悲痛さを増してくる、切ない曲です。
 「天地砲哮」は混声コーラスとストリングス、パーカッションによるスリリングな曲。ヴェルディの『レクイエム』のような感じで畳み掛けるイメージの曲です。総力戦、圧倒的に強大な敵、最終決戦……というイメージですね。
 「La Sola」はイタリア語歌詞の女性コーラスの曲。最終回のラスト、自分の世界に戻ったセイバー(アーサー王)がエクスカリバーを湖の貴婦人に返して永遠の眠りにつくシーンに使われていた曲。聖なるイメージを感じさせる曲で、セイバーのためのレクイエムです。
 「群雄疾走」はストリングスとパーカッションによるアップテンポの曲。「運命のよる」と同じモチーフを使った川井憲次らしいフレーズのアクション系の音楽です。

   ☆ ☆ ☆

 全体的に派手な音楽は少なく地味な印象のサントラで、何かをしながら聴いてたりすると、まったく何も聴いた印象が無いままに最後まで終わっちゃってたりしますが、こうしてじっくりと向かい合って聴くと味わい深い曲も多いですし、川井憲次独特の音楽を味わえる部分もあります。
 いわば、主張の少ない名盤といったところでしょうか。

 主題歌に関しては今さらサントラ盤にフルコーラスで収録しろなんては言いませんが、問題は第14話のED曲と、最終話のED曲。どちらも現時点では発売の予定無しということは、ジェネオンによくあるアーチストのアルバムに収録って可能性が高いのですが、近々アルバム発売を控えた歌手の曲ならいざ知らず、いつアルバムを出すのかわからない歌手でこういうことをされると、作品ファンとしては困った限りです。数年経ってから出されても時機を逸してるどころか、曲そのものの存在を忘れてしまってる可能性がありますからね。
 こういう曲は極力サントラに収録しておいて欲しいものなんですが。さて、タイナカサチと樹海のアルバムっていつ出るんでしょうね?

(発売元:ジェネオン GNCA-1093 2006.06.28)

TVアニメ「Fate/stay night A. OST」
TVアニメ「Fate/stay night A. OST」

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コメント

すいません 初めて覗いたのに5000踏んじゃいました・・・
ここに来たのも フェイトの最終話に流れてたED曲の名前を探してて・・・この間友人から全話録画したDVDを見せて貰って 気になって気になってwエンドロールに曲名すら無くて 未だに解らないのですが><

投稿: バストール | 2006.08.04 11:04

最終話のEDですが、ネット上で伝わってる話では「君との明日」というタイトルのタイナカサチさんの歌らしいという話を聞きましたが、どこまで信憑性のある話かはわかりません。

投稿: 結城あすか | 2006.08.07 06:26

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