SAMURAI7 オリジナル・サウンドトラック
黒澤明の不朽の名作『七人の侍』を原作に、SF風の味付けでリメイクされたアニメ作品『SAMURAI7』のサントラです。最近、新譜コーナーで見掛けたので手に取ったのですが、意外にもサントラ盤は今まで出てなかったんですね。
物語の方はSF仕立ての意味がわからないし、後半の原作に無い天子との戦いが唐突で蛇足な展開に感じたりしてどうかと思う面も多々見られた作品でしたが、音楽となるとこの重厚な世界観にこの人ありという感じの和田薫で、いかにもという感じの土俗的かつ重厚な音楽を聞かせてくれました。
和田薫というとやはり重厚な『犬夜叉』『銀河戦国群雄伝ライ』とかいったあたりが代表作なんでしょうが、個人的には意外な組み合わせである『ToHeart』の爽やかな音楽が忘れられません。
01.UNLIMITED
02.サブタイトル
03.侍探し
04.旅
05.キクチヨとコマチ
06.飄々
07.陣
08.商人
09.水分りの巫女
10.大地の民
11.絆
12.式杜人
13.戦場
14.ホタル飯
15.村を守る
16.斬
17.合戦
18.侍
19.普遍
「UNLIMITED」は相川七瀬によるBS-Hi版のOP曲。この作品、地上波放送に合わせて主題歌が変更されているようですが、このサントラに収録されてるのは以前のBSハイビジョンで放送された時のものです。
いかにもエイベックスって感じで今風の主題歌で、作品の雰囲気に似合ってるとは言えません。
「サブタイトル」はサブタイトルバックというか、どっちかというとアイキャッチ部分で使われてた印象が強い曲ですね。尺八と三味線と和太鼓による時代劇風の雰囲気を出してる効果音楽です。
「侍探し」はゆっくりとしたマーチ風の曲。笛の音(篠笛?)を主体にチューバ(ファゴット?)の伴奏で、小鼓風のパーカッションで、ややコミカルな感じの曲。中間あたりでメインの旋律が笛の代わりにストリングスが奏でてるのがポイント。キララたちが侍探しをする道中に使われていた馴染みの深い曲ですね。
「旅」は同じくマーチ風の曲ですが、和太鼓、鉦、笛あたりがメイン。後半になってゆっくりとした曲調になり、フルート、バイオリンをメインにチューバの伴奏で、コミカルなアクセントが付いてきます。こちらは侍が集まってからの旅のイメージかな。
「陣」はいざ戦いという感じで侍たちが立ち上がるイメージの曲。尺八の調べにチューバの伴奏とストリングスが被さり、そこにトランペットが加わってきてるって感じの曲で、しばしば印象的に使われてた曲です。
「水分りの巫女」は本作品のヒロイン的立場にいるキララのテーマ。美しいストリングスによるセレナーデで、琴(ギター?)による伴奏がややリズミカル。原作にはない巫女というキャラクターなので、アニメならではの音楽イメージという感じですね。心洗われるような癒し系の曲です。
「大地の民」は侍たちを雇った神無村の百姓たちのテーマ曲です。前半はストリングスによる悲しげで静かで土俗的なバラード。中間でサスペンスタッチのスリリングな曲になり、ホルン、トロンボーン等のブラスが野伏せりの恐怖を思わせるゆっくりとおどろおどろしい感じを奏であげます。後半はアップテンポになりホルンのファンファーレからブラスが一斉に鳴り響き、ティンパニーが轟き、農民たちの蜂起を描き出します。
「絆」は琴(ギター?)と笛(能管?)による悲しげで美しい曲。後半はストリングスとピアノで盛り上がってくる感じですが、悲壮さを感じさせる曲ですね。野伏せりにさらわれた後、売られていった村娘たちの悲運を奏でている感じです。
「戦場」はチューバのベースに、ホルンのアクセント、さらにオーケストラヒットが轟いた後、メインに尺八が入ってくるサスペンス風の曲。戦場の緊迫感を感じさせる曲です。後半はストリングスによる悲壮なフレーズがやがてオーケストラ全体で奏でられていく感じです。
「村を守る」はブラスの力強いマーチ。村人と侍たちが一体となって野伏せりに立ち向かっていくカタルシスにある曲。後半、アレグロに近いアップテンポになっていくあたり、和田薫の師の伊福部昭の影響というか、オマージュみたいなものでしょうか。いわば、神無村防衛軍マーチです。
「合戦」はアップテンポのオーケストラによる激しい戦闘のテーマ。和太鼓によるパーカッションがぐるぐる鳴り回ってる感じが戦闘の緊迫感をゾクゾクと感じさせます。
「侍」は激しいアレグロのオーケストラ曲。他の曲で尺八で吹かれてるフレーズがここではオーケストラがストリングス、ブラスの順番に尺八風に奏でているのが印象的です。前曲同様、鳴り回る和太鼓のパーカッションが激しさを際立たせています。いわば侍たちのアクションテーマとして、作品中で一番馴染みの深い曲です。最後のホイッスルのような能管(篳篥?)のアクセントで終わってるのが効果的です。
「普遍」はBS-HiでのED曲。尺八や琴をイメージさせる和風の伴奏が印象的です。
さすが和田薫というところを十分に堪能させてくれるサントラです。いや、映像の方のSF的な味付けとかみたらもう少しエキセントリックなところがあっても良さそうにも感じるのですが、本当に堅実でオーソドックスに作りこまれている音楽ですね。
時代劇ということで和楽器が活躍してますが、尺八のように独特の音を出してる楽器は判別が用意ですが、笛や琴は演奏内容によっては洋楽器との区別が付かないので、どこからどこまで本物の和楽器を使ってるのか不明です。(ライナーに記載の編成にある和楽器は篠笛・能管・尺八・倭太鼓だけなので、割と目立ってる三味線もシンセ等により代用かも知れません)
ライナーノーツでこの辺りを詳しく記してくれたら嬉しいのですが……
あと気になったのは、いくら紙製の外装ケースが付いてるとはいえ、プラケース本体がジャケットも何も無い真っ黒というのはちょっと考えて欲しいかなあ。
(発売元:エイベックス AVCA-22669 2006.04.26)
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