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2006.06.22

『Great Movie Themes』~「ゴジラ~組曲」

 昨今、クラシックのCDで100曲入りとかの商品が売れてるようですが、この『Great Movie Themes』はそれの映画音楽版みたいなもので、5枚組で全74曲が収録されています。もちろんオリジナルサントラではなく、主にザ・シティー・オブ・プラハ・フィルハーモニックの演奏によるもの。映画音楽のオリジナルスコアの演奏では定評のあるオーケストラのようです。
 まだ全部聴いたわけでもないし、収録曲を羅列してもスペースの無駄ですから一覧は割愛しますが、『スター・ウォーズ』や『スーパーマン』といったジョン・ウィリアムズの定番作品から、『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』などの近年の作品、『風と共に去りぬ』や『ベン・ハー』など往年の名作までジャンルは幅広く収録されています。
 それでも、どちらかというと昨今のSFスペクタクル系の映画が多い感じがしますし、74曲程度じゃ作品に偏りが大きいことは否めません。そこらはセット商品の常として、こういうものだと割り切るしかありません。

 ちょこっと聞いた感じでは、演奏内容は平均的にそこそこ悪くはありません。あまり洋画のオリジナルサントラは聴かないので、そのまま比べることは出来ませんが、例えば『スーパーマン』や『E.T.』などは、手元にあるジョン・ウィリアムズ自身の指揮によるボストンポップスの演奏のCDと比べても別物とかいう感じではありませんし、『ロッキー』とか『エクソシスト』なども映画で聴いたようなイメージのままという感じがします。
 ま、厳密に聴き比べればいくらでも粗が出てくるでしょうけど、そんなに気になるならオリジナルのサントラ盤を聴けって話ですし。あくまで手軽に映画音楽を楽しむという点では良いアイテムでしょう。
 ただし、『スター・ウォーズ』が有名なタイトルマーチじゃなく『帝国の逆襲』のダースベイダーのテーマが入ってるというのは、初心者にとっては不親切。歌物が難しいのはわかりますが『タイタニック』でテーマソングじゃないサントラの曲が入っていても初心者には馴染め無いでしょう。

 ……とここまでは一般的な話。目的も無く大枚をはたいていまさらこんなオムニバス盤を買ったりはしません。
 最初レコード屋さんで手にとってみたとき収録曲に洋画のタイトルが羅列する中、一曲だけ場違いにそこに鎮座していた曲がありました。曲名は「ゴジラ~組曲」。パッケージの外からはただそういう情報しか読み出せませんでした。
 他の収録曲は全部洋画の音楽。イギリスのレコード会社が出したCDなので素直に考えればイグアナ映画……じゃなかった、エメリッヒ版『GODZILLA』の可能性も大いにあります。もっとも、あれはあれでまともなサントラ盤が出てない映画なので、それが補填されてるとめっけものということにもなりますが……

 バクチ半分で買っていったら、収録されてるのは本家本元の日本の『ゴジラ』。伊福部昭の名前がクレジットされています。
 で、問題は「組曲」の中身です。まさか『SF交響ファンタジー第1番』を丸々収録して組曲とか称してるわけでもないでしょうし。かつて日本の特撮映画の音楽を集めた『怪獣王』というオムニバスBOXがあり、これの特典の新録ディスクに和田薫編曲による『ゴジラ組曲』が収録されていましたが、もちろんこれの可能性も低いです。
 可能性として高そうなのは平成のゴジラで多く使われていた、「ゴジラの出現モチーフ」+「タイトルマーチ」+αという構成ですが……

 何はともあれ、実際に聴いてみるのが早いです。
 冒頭、足音だか破壊音だかを思わせるブラスとティンパニーによるエフェクト音とゴジラの鳴き声のSE……ま、これはこれで良いでしょう。
 そして『ゴジラ』のタイトルマーチ。イメージとしては第1作のタイトルかな。意外とオーソドックスに来たという感じ。演奏は昨今の日本の演奏と比べても悪くは無いかなと思ったのですが……
 1ループ終わったところでいきなりトランペットの甲高い音が。いや、低音の続く曲だからゴジラの鳴き声でも意識してアクセント的に入れてみたのだろうけど、なんか思いっきりぶち壊してる感じ。原曲を知らない人が聴いたらカッコイイとでも思うのかも知れないけど……
 続いて「ゴジラの恐怖」のモチーフ……かと思ったら、途中でラドンのモチーフが割り込み。この辺。伊福部昭自身によるいわゆる「ゴジラ対ラドン」等の入り方とは微妙に違っていて斬新といえば斬新なんですか……しかし、このラドンのモチーフが全般的に急ぎすぎ。とりわけラドンのモチーフの最後のフレーズのトランペット、本来ならスタッカート気味にアクセントをつけながらゆっくりと音階を高くしていくところを、一息で一気に音階を上げてるからもう完全に別物。これまでの演奏を一気にぶち壊してしまってる感じで思いっきり興を削がれてしまいました。
 最後に「怪獣大戦争マーチ」が流れるんですが、これは普通に演奏されてるのだけど、その前の違和感が残ってるために素直に聴けません。

 いや、タイトルマーチのラストはそういうアレンジもあるだろうと言えるのですが、ラドンのモチーフはモチーフ自体を弄ってしまったら曲そのものが別物としか思えないのです。
 なんか珍妙な曲を聴いてしまったって感じですね。
 ま、あまりこの曲のためにこのCDを一般の人に薦めたりはしませんが、珍妙さが気になるマニアの方々は怖いもの見たさ半分で聴いてみるのも宜しかろうとは思います。あくまで自己責任においてですけどね。

(発売元:シネマ・フレイヴァー PUCY-2508-12 2005.11.23)

GREAT MOVIE THEMES
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