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2006.04.26

芦屋交響楽団/『シンフォニア・タプカーラ』

 4月23日のザ・シンフォニーホールでの芦屋交響楽団の第65回定期演奏会に行ってきました。
 プログラムによる演奏の曲目は

  H.ベルリオーズ/『序曲「ローマの謝肉祭」作品9』
  ド・ホン・クァン/『ベトナム狂詩曲』
  M.d.ファリャ/『バレエ「恋は魔術師」』
  伊福部 昭/『シンフォニア・タプカーラ(1979年改訂版)』

というところです。ま、聴きにいったのは『タプカーラ』目的なのは言うまでも無いことですが。
 指揮者の本名徹次は近年、伊福部先生の作品の演奏を多く指揮している人で、一昨年の卒寿記念コンサートやCD『伊福部昭の芸術』シリーズの最近の録音もこの人の指揮によるものなので、このコンサートも期待大というところです。

1.『序曲「ローマの謝肉祭」』

 優雅というよりどことなくユーモラスティックな曲調の音楽。バイオリンパートの流れるような流暢さが印象的だったにょ。

2.『ベトナム狂詩曲』

 ベトナム人作曲家による民族的な曲らしいのですが、いわゆる民族音楽的な傾向のメロディーは中間部分にはふんだんに使われているものの、作品の最初と最後が安易に前衛的な現代音楽を志向した作りになってて、単調な打楽器と、高音やかましいピッコロに、バイオリンの不協和音の連続ではっきり言って聴く人に優しくない曲ですね。
 このホール、オーケストラのステージが客席に対してかなり低くて、しかもフラットなので、割と前の方の席でもオーケストラの音が直撃(下手なホールだと頭上を通り越していく)するんだけど、大太鼓だけバンバンなってる音が連続して襲ってきたら、聴感的にかなり堪えてしまいます。

3.『バレエ「恋は魔術師」』

 バレエ音楽というのは映画音楽と一緒で、この曲はこんなシーンというのが明確に組み立てられているから、音楽が具体的にわかりやすくて、楽しめます。この作品も最初の低音のフレーズからのおどろおどろしい始まりから、祭りの踊りの音楽まで、メリハリがあって退屈しない作りになっています。
 最初の方はこういうシーンはこの楽器とかいうのが割と振り分けられてて、オーケストラというよりは室内楽向けの作品かと思ったけど、中盤の「火祭りの踊り」で急にオーケストラが一斉に奏で出すあたりのカタルシスはなかなかもものです。
 この作品、4箇所ほどソプラノ独唱が付いてるのですが、やはりこういうのは歌詞の内容がわかって聴かないとおもしろくないような気がします。

4.『シンフォニア・タプカーラ』

 さすがに伊福部作品、オーケストラが変わったのかというくらいにおもいっきりオーケストラが鳴りまくり。しかし、これってけっこう激しい曲なんだけど、全体的にまとまった演奏で仕上がっていてバラツキが感じられませんでした。けっこう気合を入れた演奏だというのがひしひしと伝わってきて嬉しかったです。
 オーケストラメンバーの構成上の都合もあるんだろうけど、弦と管のバランスが少し違うような気がしたけど、そんなのを意識させないくらい素晴らしい演奏だったのは確かです。
 ただ、第1楽章初めのトランペット(?)と、第3楽章中間部のチューバ(?)がソロパートで少し乱れてたのが残念だったところですか。

E.『SF交響ファンタジー第1番』

 アンコール曲はこの作品。指揮者が指揮者だし、伊福部先生が亡くなられてから関西では初めてのオーケストラコンサートということで密かに期待してたのですが……やっぱりという感じで、やってくれました。
 演奏は概ね良好。芦屋交響楽団ってアマチュア楽団なんだけど、一昨年に聴いたプロの関西フィルとか大阪センチュリー交響楽団の演奏よりずっと良かった感じでした。この辺はやっぱし指揮者の違いってのも大きいのでしょうか?
 ただ、ラストのマーチ部分がテンポが速過ぎの感じです。さすがに演奏に少し乱れが出て来てます。あと、「宇宙大戦争」のタイトルマーチと怪獣総進撃マーチの繰り返し部分が1回省略されてるのが気になりました。いや、けっこう演奏によっていろいろ省略されるのも多いのですが、『SF交響ファンタジー』というとどうしても日比谷公会堂初演版のイメージが強いですからねぇ。(最近の人にとっては『伊福部昭の芸術』シリーズで収録された演奏の方が基準になってるのかもしれませんが)


 芦屋交響楽団はGWにベトナムに演奏旅行に出掛けるとのことで、曲目が同じ今回のコンサートはその壮行会のような意味合いもあるのでしょうが、これだけのレベルの演奏で伊福部先生の作品が外国の人に紹介されることは嬉しいことです。
 アマチュアの楽団ということで演奏会も限られ、レパートリーというよりも多くの作品を演奏していこうという感じだと思いますが、今回だけに終わらず、これからも伊福部作品を取り上げていってほしいです。

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