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2006.03.28

宮川泰追悼、日本フィル・サンデーコンサート

 3月26日の東京芸術劇場での日本フィルハーモニー交響楽団のサンデーコンサートに行って来ました。演目は宮川彬良氏による、前半はポップス曲、後半は『宇宙戦艦ヤマト』のコンサートです。これは去年まで宮川泰先生がやってたものを今年から彬良氏が引き継ぐことになったらしいのですが、奇しくも前半にも宮川先生の曲が入っていて、偶然とは思えないようなタイミングのコンサートです。
 数週間前、そろそろ伊福部先生の追悼コンサートでも話が無いかなとか思って、前に卒寿記念コンサートをやった日本フィルのサイトを見たら、ヤマトのバナーが目に付いて知り、慌ててチケットを買い込んだのですが、もちろんその時はまだこんなことになるなんて思ってもみませんでしたが……
 チケットは買ったものの往復の交通費はどうやって調達しようかと迷ってたところですが、宮川先生の訃報を聞いては聴きに行かずにはいられません。会場の東京芸術劇場は以前に『幻想軌道』のコンサートの2年目の時に聴きにきたことがあり、『ヤマト』の音楽としても関係の深い場所です。

 前半は『アキラさんとともに!!ポップスの魅力』と題して、一般のポップス曲の演奏。曲目は次の通り。

 1.見上げてごらん夜の星を
 2.ニューシネマパラダイス
 3.さっちゃん
 4.あんたがたどこさ
 5.ウナ・セラ・ディ東京
 6.恋のバカンス
 7.マツケン・サンバII

 「さっちゃん」と「あんかがたどこさ」のネタは初めてじゃないんだけど、『題名のない音楽会』あたりで彬良氏の出演した回で聴いたのかな? 定番ネタだから1度でも彬良氏のコンサートで聴いたことのある人はわかるでしょうけど、聴いたことの無い人にはネタバレになるから何も言いません。是非、一度聴いてみてください。
 「ウナ・セラ・ディ東京」と「恋のバカンス」が宮川先生の曲。歌謡曲ならいくらでもあるのに、よりによって2曲とも宮川先生の曲というのは……おそらく、今回から彬良氏にバトンタッチということで、ここで宮川先生からいろんな話だされる予定だったのでしょうけど……期せずして故人を偲ぶ演奏になってしまいました。
 それを引き継いだ彬良氏の代表曲が最後の「マツケン・サンバII」という括りです。

 後半が『宇宙戦艦ヤマト放映30周年スペシャル!!』と題した『ヤマト』音楽の演奏。これが目当てで聴きにきたということはいうまでもありません。

 1.無限に広がる大宇宙〜宇宙戦艦ヤマトのテーマ
 2.決戦
 3.大いなる愛
 4.真っ赤なスカーフ
 5.白色彗星のテーマ
 6.イスカンダル
 7.大ディンギル帝国星
 8.明日への希望

 「序曲(無限に広がる大宇宙)」から「宇宙戦艦ヤマト」への連続演奏というのはコンサート演奏では定番のアレンジですが、これのお陰で「序曲」の最後とか、「誕生」の冒頭部分というのはコンサートで聴けなくなってるのが少し残念なところでもあります。
 今回はスキャットの代わりに平原まことのサックスが入ってるのですが、これが意外とマッチングしていて絶妙です。彬良氏自身の演奏による出だしの軽いピアノ伴奏は『ヤマト2』のBGM集に収録されていたバージョンを思わせて、いつもとは少し違った味がしました。
 例によってボーカルが始まるところで、ささきいさおの登場です。でも、オケの演奏中に拍手というのはいつものこととはいえ、何か馴染みません。

 「大いなる愛」も出だしがピアノとサックスだから『アコースティックヤマト』を思わせる始まりですが……それ故か第1主題の部分がとても切ない感じに聴こえました。一転して第2主題は非常に軽やかに聴こえたのですが。

 ここでささきいさおが再登場。青地にキラキラするジャケットを着ていたのですが、これはいつか宮川先生の指揮で紅白歌合戦で「宇宙戦艦ヤマト」を歌う時のために用意してたとか。去年はダメだったけど次は実現するように頑張ろうって感じのことが今年の年賀状に書かれてたそうです。
 引き続いて「真赤なスカーフ」……この曲、本当にいろんなアレンジのバージョンがあるのだけど、珍しくレコード盤そのままのアレンジの演奏で、それが意外と新鮮に感じられました。ストリングスによるサブメロディーの泣きが他のアレンジじゃ聴けないですからねぇ。そのかわりエレキベースとかリズムセクションとか、本来のオーケストラには無い余計なものまで追加になってますが……

 続いて、ゲストに松本零士先生。本来、宮川先生のトークが入るところを代わったのかなぁ?という感じですが……ちょうど宮川先生が亡くなられた時刻に九州で身内の人々と『ヤマト』の歌を歌ってたとかいう話で、虫の知らせってわけではないけど、なんか縁のつながりってものがあるような気がしました。
 主題歌の話で松本先生がいろいろなこと語ってらっしゃるのを聴くと、西崎プロデューサーからも何か宮川先生についてのコメントを聴きたいように思いました。

 「白色彗星」……『アコースティックヤマト』のジャズバージョンでもやるのかと思ってたら、パイプオルガンによるオリジナル通りの演奏でした。『幻想軌道』の時もこのホールでパイプオルガンで演奏されたのですが、あまり生演奏される曲じゃないですから、嬉しい誤算です。
 サントラの収録の時は高校生だった彬良氏が演奏したという話ですが、鍵盤を弾くのがやっとで足まで使えないから、ペダル操作は指導の先生に操作してもらってたとか、これ1曲で収録に6時間半掛かったとか……トラウマのような話が聞けましたが、これも本来なら宮川先生の話も聴けたんだろうなと思うと残念です。

 「イスカンダル」……冒頭のバスフルートがちょっと息が切れ掛かってる感じがしましたが、これってなかなか珍しい楽器みたいですね。これでもかってくらいなきれいなメロディーの音楽ですが、これも生演奏は珍しいかな。

 そして本来は今日のコンサートの目玉だったという「大ディンギル帝国星」。『ヤマト・ファイナルへ向けての序曲』に収録されてる曲ですが、彬良氏は作品本編に使われなかったってことで「幻の曲」とおっしゃってました。でも、このアルバムを『完結編』のサントラ以上に聴き込んでたファンからすれば、けっして「幻の曲」なんかじゃない、馴染みの深い曲なんですね。
 本編で使われなかったのは映画のシナリオが変わったからだとか。確かにアルバムの中のディンギル帝国のイメージは銀河に覇を唱える軍国主義国家って感じでしたが、実際の映画では母星が天災で消滅したから祖先の地に移住しようと地球に攻めて来るだけですから……
(いや、実際は後半部分は古代を庇ったディンギル少年を見ながらアクエリアスのワープ時間を計ってルガール総統が去っていくシーンに一部使われていますし、前半部分はアップテンポにアレンジし直されてロボットホースの襲撃シーン等に使われたりもしてるんですけど……というのは余計なツッコミですけど)
 しかし、この曲もけっこう長丁場でしかもブラスパートが激しい曲だから生演奏はかなりきつそうな感じなのですが、本当にオリジナルのままで聴けたというのは非常に感激でした。

 最後は『交響組曲』の中で彬良氏が一番好きだという「明日への希望」。やはり出だしのスキャットはサックスに変わっていますが、問題は男声コーラスの部分どうするんだろうと思ってたら、ブラスでコーラスパートを演奏していました。でも、ブラスだと景気良く鳴り響き過ぎって感じがしないでもなかったですけど、これもスキャットとかコーラスを除けばほぼオリジナルの形で演奏されてたから、非常に珍しいんじゃないかな。

 彬良氏が『交響組曲』を再現する演奏を続けて行きたいって話してらしたのを聞いて、そうか、これはあくまでレコードと同じ形を意識した演奏だったんだなということが理解できました。これが宮川先生だったら変にサービス心旺盛でいろんなアレンジのバージョンが出てくるでしょうからね。
 宮川先生の後継者というよりも『交響組曲』の一ファンとしての演奏だったんだなと思うと、何かジーンと感じてしまいました。

 アンコールは次の3曲でした。

 1.若いってすばらしい
 2.宇宙戦艦ヤマト
 3.メモリーズ・オブ・ユー

 最後の「メモリーズ・オブ・ユー」は宮川先生を偲んで平原まことのサックスと彬良氏のピアノによる演奏でした。

 宮川先生は亡くなられたけど、こうして後継者はちゃんといるし、何よりも宮川先生の音楽は、これっきり忘れ去られてしまうようなちっぽけなものじゃなくて「この宇宙全体に広がって永遠に続くもの」だという思いをひしひしと感じました。

 宮川先生、これまで数多くの素敵なメロディーを聴かせてくれて、本当にありがとうございました。

交響組曲 「宇宙戦艦ヤマト」 Symphony
交響組曲 「宇宙戦艦ヤマト」 Symphony

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