ハネケン・ランド ―羽田健太郎・サウンドトラックの世界―
作曲家としての羽田健太郎を初めて意識したのはTV版『超時空要塞マクロス』だったと思います。それ以前は、『宇宙戦艦ヤマト』のサントラでピアノを弾いてる人……というイメージが強く、羽田健太郎ときくと「大いなる愛」が頭に浮かんだりもしましたが。
それでも、ヤマトのシンフォニーを聴き慣れた耳にはTV版『マクロス』の音楽は、カッコイイけど物足りない……そんな印象を受けました。
そんな羽田健太郎の作品に対するイメージを一新させたのが、宮川泰と共に手掛けた『宇宙戦艦ヤマト完結編』の音楽です。あくまで人の感情やロマンをベースにした宮川泰の音楽とは対極に、羽田健太郎の音楽はそんな人間の営みとは無関係にそびえたつ宇宙の森羅万象の生成流転の宿命というもののイメージを描ききっていたように思います。
そして、宮川泰のポップス的なシンフォニーと違って、よりクラシカルな技法に乗っ取った羽田健太郎のシンフォニーは斬新に思いました。
その後、『さよならジュピター』、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』、『オーディーン 光子帆船スターライト』などの映画で聴いた羽田健太郎の音楽は、全身をぞくぞくさせてくれるような魅力にあふれていました。
今回発売されたこのアルバムは、そんな劇伴作家としての羽田健太郎の歩みを綴ったベスト盤です。
ま、『ヤマト』や『マクロス』に関してはほとんどCDとして出尽くしているので、いまさらこのアルバムで聴くことも無いのですが、やはり注目どころは稀少音源や初収録曲というところになるんでしょうね。
意外なところで、まずは『戦国自衛隊』。当時の角川映画の典型的な傾向として、映画を主題歌・挿入歌とのタイアップによって話題作りに主眼が向いていて、レコードは出てもテーマ曲集のみ。劇伴なんて見向きもされてないって時代でしたからね。
『宇宙戦士バルディオス』のOP曲「あしたに生きろバルディオス」。特にマイナーな曲というわけでもないのですが、これがCDになってなかったってのは意外でしたね。
『さよならジュピター』もかつてCD化された記録こそあれ、CD黎明期のことですから、かなりの稀少品です。以前に『怪獣王』とかいう企画アルバムで日本の特撮映画の音楽を(やはり未収録曲中心に)集めたBOXがあったのですが、そこではなぜかサントラの他の曲が収録されてるのにメインテーマは外されてましたから……サントラCDを復刻してもらうのが一番良いのですがね。
極め付けのレア音源というと『おにいさまへ…』のBGMでしょうか。90年代の出崎統作品のTVシリーズだから、本当ならサントラの1枚、2枚出ていて当然なのですが……なにせ放送媒体が始まったばかりのアナログBS放送というのが災いしたのか、今回が初音盤化というところみたいです。
レア音源にできるだけ多くスペースを取ろうとすれば、容易にサントラCDの手の入る作品は適当な1曲だけってところですが……『宇宙戦艦ヤマト完結編』からは長大曲「Symphony of The Aquarius」。いや、これがある意味で羽田健太郎のサントラの極致だということはわかるんですが……
私も羽田健太郎作品専門に追い掛けてるってわけでもないので、まるっきり知らない作品、作品は知ってるけど音楽は覚えていない作品というのも半分ぐらいはありますが……『宝島』や『テクノボイジャー』って、こんなカッコイイ音楽使ってたのか……『夏への扉』や『恐怖伝説 怪奇!フランケンシュタイン』では、こんな魅力的な音楽が使われてたのか……という新たな発見があって嬉しいです。
難を言えば、『オーディーン』からせめて1曲ぐらい入れて欲しかったところですね。いや、サントラ盤のCD化をしてくれればそれで良いんですけど。(いや、本当に聴きたいのは宮川泰の「大航海時代」だったりするけど……)
羽田健太郎ファンじゃない、一般のサントラファンにも聴き応えのある1枚ではあると思います。
(あ、西部警察、カッコイイ……)
(発売:コロムビア COCX-32379〜80 2003.12.17)
| 固定リンク




コメント