2009.05.23

東京交響楽団/交響曲「宇宙戦艦ヤマト」

 5月16日に東京芸術劇場で催された大友直人指揮・東京交響楽団の東京芸術劇場シリーズ第100回のコンサートに行ってきました。
 目的は言うまでも無く25年ぶりに再演される羽田健太郎作曲の『交響曲「宇宙戦艦ヤマト」』です。この曲自体についてはハネケンの追悼記事として以前に書いてますので、楽曲に関する詳細はそちらをご参照ください。(羽田健太郎『交響曲 宇宙戦艦ヤマト』

 初演の時は聴けなかった(というか、レコードが出てから初めて知った)貴重なヤマトの演奏会用の音楽ですので、万難を排して聴きに行くことにしました。しかし、3月の『ウルトラセブン』4月の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』と、3ヶ月連続の東下りはさすがに懐的に辛いですね。いつもは年1回ぐらいに抑えてるものですが。

 会場には西崎プロデューサーからの花が飾られていましたが、ご健在そうで何よりです。おりしも『ヤマト』の新作が動き出してるみたいなので、期待したいものですね。

 さて、コンサートの演奏曲目は以下の通りです。

 01. 坂本龍一
    映画『戦場のメリークリスマス』テーマ曲
 02. 三枝成彰
    NHK大河ドラマ『太平記』から
    「はかなくも美しく燃え」(藤夜叉のテーマ)
 03. 三枝成彰
    映画『優駿 ORACION』から“誕生”
 04. 服部隆之
    TBS日曜劇場『華麗なる一族』からメイン・テーマ(原典版)
 05. 羽田健太郎(テーマ・モチーフ:宮川泰)
    交響曲『宇宙戦艦ヤマト』
 EC. 冨田勲
    NHK『新日本紀行』テーマ曲

 それでは、順番に印象などを……

坂本龍一
 映画『戦場のメリークリスマス』テーマ曲

 坂本龍一といえばYMOの坂本教授ってイメージでしたが、それを一新して世界的な映画音楽作家として印象付けたのが、この『戦場のメリークリスマス』ですね。シンプルで覚えやすいフレーズの繰り返しによるこのテーマ曲は、いまなお色々なところで耳にします。
 鉄琴の序奏から始まり、ストリングスが伴奏を重ねます。次いで木琴とベル、そしてピアノが主題のフレーズを奏でていき、徐々にストリングスが加わってきます。
 次第にオーケストラ全体で優雅に、そして壮麗に奏でられていきますが、終始ベルが響いてるのが印象的です。

三枝成彰
 NHK大河ドラマ『太平記』から
 「はかなくも美しく燃え」(藤夜叉のテーマ)

 三枝成彰といえば、個人的には『機動戦士Zガンダム』の音楽の人ってイメージですが、透き通った流れるようなストリングスを多用するオーケストレーションの印象が強い作曲家ですね。
 木管のフレーズから始まり、次第にストリングスが重なってきますが、この辺りが実に三枝成彰らしい作りです。
 やがて哀愁的なヴァイオリンのソロが響いてきますが、これは劇伴の原曲では胡弓によるものだという話。もっとも、ヴァイオリンも胡弓と呼ばれたりする場合がありますが……
 マイナー気味の沈滞したようなフレーズがしばらく続き、全体で華々しく盛り上がっていきます。再びヴァイオリンのソロが入り、穏やかな伴奏と共に締めくくられていきます。

三枝成彰
 映画『優駿 ORACION』から“誕生”

 波打つような独特のヴァイオリンとフルートによる序奏。ベル(トライアングル?)とストリングス、そしてブラス、パーカッション、コーラスが加わって大きく盛り上がっていきます。
 マイナーなストリングスのフレーズが続いた後、ストリングスにコーラスが加わって優雅に展開されます。全体で壮大に盛り上がり、堂々とした主題が奏でられます。その後、清らかなコーラスと美しいストリングスのフレーズが展開され、安らぎと清浄なイメージが広げられます。
 最後は全体で壮大に盛り上がって、太古の連打と共に堂々のクライマックスを迎えます。

服部隆之
 TBS日曜劇場『華麗なる一族』からメイン・テーマ(原典版)

 服部隆之というと『劇場版スレイヤーズ』とか『機動戦艦ナデシコ』の作曲家というイメージですが、音楽的にはストリングスとブラスを調和させた豊かで華やかなオーケストレーションの印象が強い人です。
 原典版とあるのは、実際にレコーディングに用いられた作曲家手書きのスコアを用いての演奏とのことみたいです。
 力強いブラスとストリングスから始まり、徐々にスローダウンしていきます。哀愁漂うマイナーなストリングスと低音のコーラスのフレーズが続きます。やがて叙情的にオーケストラが展開していきますが、この辺りが実に服部隆之らしい深みのあるオーケストレーションです。
 ピッコロとハープが間奏的なフレーズを奏でた後、全体で盛り上がると、今度はトランペットやホルンが哀愁的なフレーズを印象深く重ねます。
 ピアノのソロからストリングスの穏やかにフレーズに続き、徐々に全体で盛り上がり勇壮に展開していきます。その後の余韻に響くホルンが印象的。
 スタッカート気味にテンポ良く盛り上がり、行進曲風に勇壮に展開していきます。やがて大きくコーラスが入り、壮大に響き渡ります。まるで交響曲の終楽章のような堂々たるフィナーレを迎えます。


羽田健太郎(テーマ・モチーフ:宮川泰)
 交響曲『宇宙戦艦ヤマト』

 第一楽章「誕生」

 低音から始まる幻想的な序奏。CDでは数え切れないくらい繰り返し聴いてる冒頭部ですが、生で聴くブラスの響きはとっても豊かに感じられます。
 可変的なテンポで奏でられる第1主題のメインテーマが壮大に展開されていきます。オーケストラの音がとにかく豊か。こればかりはレコードでは味わえない醍醐味です。ホルンによる間奏を経て第2主題の「イスカンダル」が奏でられます。華麗な木管がメインのフレーズから始まり、美しいストリングスに引き継がれていきます。
 展開部の第1主題はどこか不安定な雰囲気で始まります。危うくも派手な展開が繰り広げられますが、途中に入るティンパニーの響きが印象的。
 再提示部になると第1主題は安定し、勇壮かつ堂々とした展開で盛り上がります。そして静寂に帰って第2主題。雄々しく優雅な雰囲気で、曲全体は穏やかに流れていく感じです。

 第二楽章「闘い」

 流れるようなストリングスによる第1主題の「神殿部の斗い」に、トランペットによる「FIGHTコスモタイガー」が絡み、華々しい盛り上がりから始まっていきます。重低音の「ウルクの歴史」はコントラバスがメインで旋律を奏でてるのが実に印象的です。
 こうして生で聴くと、ストリングス主体の第1主題のフレーズと、重低音の「ウルクの歴史」のフレーズ、そしてブラス中心の展開音楽が三者互いに対峙してるイメージが強く感じられます。
 中間部に流れるストリングス主体の第2主題は、激しいスケルツォに挟まってとても優雅に感じられます。
 終盤はより力強い「FIGHTコスモタイガー」から始まって展開されます。

 第三楽章「祈り」

 ストリングスで優雅に奏でられる第1主題。そして清らかな第2主題の「無限に広がる大宇宙」が木管中心で奏で始められます。
 中間部では第1主題が展開的に奏でられていきます。美しくも不安げな感じから、熱情的なブラスの展開に移り、最後は雄々しく堂々とした形になっていきます。
 終盤はスキャット(ヴォカリーズ)とハープを加えた第2主題。ヴォカリーズは安井陽子というソプラノ歌手の人ですが、初演の川島和子に比べると声が野太い感じがします。川島和子のスキャットが割りとフラットで頭にアクセントがあるのに対し、声の半ばに重みを置いた歌い方です。ま、以前に聴いたセントラル愛知交響楽団のコンサートの時の人みたいに、おもいっきり声を震わせたソプラノそのものの歌い方ほどじゃないにしても、やはりどこか違うような気がします。

 第四楽章「明日への希望」

 ピアノとヴァイオリンによるドッペルコンチェルト。今回はピアノが若林顕、ヴァイオリンがコンマスの大谷康子ということです。
 オケは力強い第1主題のユニゾンで始まりますが、ブラスの出だしが少し弱いかなという感じ。続いて入ってくるピアノは確かに力強くはあるけど、軽やかさが足りず、テンポを維持するのにいっぱいで、少し音が濁ってる気がします。初演のハネケンのピアノと比べるのも無理があるのだけど、どうしてもあれが基本に感じてしまいますからね。
 そして第2主題の「大いなる愛」をピアノが奏で始めますが、ハネケンとも宮川泰とも違う、まったく別の味わいです。一方、ヴァイオリン・ソロは表現豊かな演奏なのですが、ちょっと弱々しい感じが否めません。
 中盤、第三楽章の第1主題が現れる辺りはオケの演奏が豊かに響いてます。ヴァイオリン・ソロの歌い上げていく部分はかなり見事に聴かせてくれます。しかし、そこに加わってくるピアノが何かもたついて感じられます。そして、オケの方もそれに引っ張られてるのか、少し乱れを見せてる感じです。
 終盤近くのピアノとヴァイオリンの掛け合いは音がかみ合ってないというか、初演のハネケンと徳永二男の阿吽の呼吸のようなものはここには存在してないのでしょう。それを望むのは無理な注文とはわかるのですが……
 それでも、ラストの盛り上がりは格別の味わい。堂々としたメインテーマを用いたコーダがフィナーレを飾ります。

冨田勲
 NHK『新日本紀行』テーマ曲

 冨田勲といえば、このブログ的には『ジャングル大帝』の人なのですが、どちらかというとクラシック音楽の演奏にシンセサイザーを用いた旗手の人という感じですか。もっとも、バッハの楽曲を使ったアルバムしか聞いたことはありませんが。
 この『新日本紀行』の曲は、途中に拍子木とか木魚とか笛の音という和風テイストを入れることで日本をめぐってるって雰囲気を出してる感じですが、曲そのものの作りはあんまし和風の感じはしないので、狙いどころは良くわかりません。ま、オケで和楽器そのものを使ってたとは思わないから、クラヴェスやウッドブロック、フルート等で代用してるんでしょうが、席が前の方だと演奏してるところが見えないので、よくわかりません。

     ☆ ☆ ☆

 これまで音源が初演版しか無かったから、どうしてもそれをスタンダードとして比較してしまいます。特にソリストの方たちにはきつい感想になってしまいがちです。こういうのも比較対象が多くなれば、それなりにきちんとした評価が出てくるのでしょうが。
 これを機会に、多く演奏されるようになってくれたらと思います。大友氏も語ってられましたが、羽田健太郎が残した貴重な大作なのですから。本当の意味での音楽的な評価がなされていって欲しいものです。

(とか言ってるけど、現在では頻繁に演奏されてる伊福部先生の『SF交響ファンタジー第1番』だって、未だに頭の中には日比谷公会堂初演版がスタンダードとして居付いてますからねぇ……。最初にレコードとしてリリースされた演奏の影響は大きいです)

     ☆ ☆ ☆

 第三楽章の女声ソロのパート、初演のレコード等じゃ「スキャット」の記述なのに今回のコンサートでは「ヴォカリーズ」との表記です。「スキャット」とは誤用で音楽的には「ヴォカリーズ」の方が正しいってことのようですが……おおっぴらにそんなこと書いてるの、Wikipediaの「宇宙戦艦ヤマト」の項目でのこの「交響曲宇宙戦艦ヤマト」に対する記事でしか見たことありません。
 ま、Wikipediaの記載自体、出典を示して書かれてるわけじゃないから、誰が言い出したことかわからないので今回の表記との関連性は不明なのですが、どうなんでしょうね。
 音楽的に「ヴォカリーズ」が正しいにしても、その当時「ヴォカリーズ」でググっても(Wikipediaの「ヴォカリーズ」の項目も含めて)音楽用語として有用な記述への検索結果が出て来なかったから、どこまで一般に認知されてる(さらに1984年当時に遡って、当時に認知されてた)言葉かはわかりません。

 この「ヴォカリーズ」を正しいとする根拠の1つとしてジャズ用語である「スキャット」の誤用が挙げられてるわけですが、そもそもこの指摘自体がおかしい気がします。
 『宇宙戦艦ヤマト』の音楽でこれを「スキャット」と称しているのは第1作目の音楽(少なくとも『交響組曲』のアルバム)から始まっていますが、そもそもこれを「スキャット」と呼んでいるのは(根源的にはジャズ由来なのでしょうが)日本の歌謡曲での習慣からなのですね。少なくとも由紀さおりの「夜明けのスキャット」に遡る流れです。
 「夜明けのスキャット」は「ルールルルー」の子音の連続だから「スキャット」で、『ヤマト』のは「アーアーアアアー」の母音の連続だから「ヴォカリーズ」というのは、そりゃ子音と母音が明確に区分されてる西洋言語の音楽なら正しいのでしょうが、共に音節をはっきりと出している日本語の音楽では区別する意味がありません。
 つまりのところ、日本の歌謡曲における「スキャット」としては『ヤマト』の川島和子の歌も「スキャット」として間違いではなく、大元のジャズの定義を持ってきて誤りだというのはふさわしくないのではないでしょうか。歌謡曲の「スキャット」とジャズの「スキャット」は別物だと考えた方が良いと思います。

 クラシック音楽として「スキャット」という概念が無いから「ヴォカリーズ」と表すというのなら、それはそれで正しいと思いますが、別のところからジャズの定義を持ってきて「スキャット」は誤りだというのは違うのではないでしょうか。

     ☆ ☆ ☆

 相変わらず商品欠乏状態ですね。リンクを貼っておくけど、取扱いがあるかどうかは運次第だと思ってください。(メーカー在庫が無いからマーケットプレイス次第)

 まずは滅多に出て来ない単品CD。それでもジャケ写はある。

交響曲 「宇宙戦艦ヤマト」~ライブ~
交響曲 「宇宙戦艦ヤマト」~ライブ~


 DVDの方はたまには出て来るみたいです。

交響曲 宇宙戦艦ヤマト ライブ [DVD]
交響曲 宇宙戦艦ヤマト ライブ [DVD]


 左サイドにも貼ってある特典ディスクに『交響曲』が付いてるBOX版。2年前にはまだまだ現行商品で在庫があったのに、これも今では……

生誕30周年記念 ETERNAL EDITION PREMIUM 宇宙戦艦ヤマト CD-BOX
生誕30周年記念 ETERNAL EDITION PREMIUM 宇宙戦艦ヤマト CD-BOX


 これはアナログ盤といえどもヤマト末期の商品だからヤフオクで探しても『交響組曲』ほど手軽に手に入らないと思います。むしろ商品期間の長かったCDの方が多く出てるかも。(ま、イージーリスニングシリーズとか、『宮川泰の世界』ほどのレア物じゃないでしょうが)

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009.04.28

日本フィル/『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』

 4月19日に東京芸術劇場で催された宮川彬良指揮・日本フィルハーモニー交響楽団の《第184回サンデーコンサート》に行って来ました。忘れもしない3年前、宮川泰先生が他界された直後に行なわれたコンサート以来ですね。(『宮川泰追悼、日本フィル・サンデーコンサート』参照)

 いうまでもなく目的は3年前のコンサートで彬良氏が公言された『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の復元演奏です。といっても、とりあえずA面曲だけというのが少し残念なところですが。

 演奏曲目は以下の通りです。

 01. イスカンダル(宮川 泰)
 02. 見上げてごらん夜の星を(いずみたく)
 03. 深い河(黒人霊歌)
 04. ムーンライト・セレナーデ(グレン・ミラー)
 05. オー・ソレ・ミオ(カプア)
 06. 空のわすれもの(宮川彬良)
 07. あの宇宙を、征け(高取ヒデアキ)

 08. 交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」(宮川 泰)
    1:序曲
    2:誕生
    3:サーシャ
    4:試練
    5:出発
    6:追憶
 09. 真赤なスカーフ(宮川 泰)
 10. 宇宙戦艦ヤマト(宮川 泰)
 EC. ゲバゲバ90分(宮川 泰)


 今回のコンサートは星がモチーフということで、星とか宇宙に関係する曲がラインナップされています。
 それでは順番にいきましょう。


イスカンダル(宮川 泰)
 いきなり空想上の星ですが、14万8千光年彼方の大マゼラン雲にあるという、女王スターシャの住む星です。いうまでもなく、これも『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』のB面に収録されてる曲なのですが、当時のスコアで現存してるのはこれだけだという話です。
 もっとも、いきなり冒頭のバスフルートのソロのところから彬良氏自身によるピアノが入ってる時点でオリジナルとは違ってるんですが……
 やがて、ストリングスが中心となり、ホルン等も加わってきたところでようやくピアノが抜けます。そこからパーカッション等も入ってオーケストラ全体で奏でられていきます。
 後半はレコードではシンセによるSE的なアクセントをピアノが奏でています。この辺り、オーケストラの演奏が非常に豊かな印象で、そのままレコード通りに終わります。

見上げてごらん夜の星を(いずみたく)
 今度は漠然とした夜空の星。地上から見た宇宙の光景ですね。これもこの手のコンサートでは定番曲の一つ。いきなり『E.T.』のイントロから始まってる辺りがなんとも。何か原曲部分が普通のインストなのに、そうじゃないとこだけ派手に盛り上がってる感じで、原曲の好きな人はどうなのかな?

深い河(黒人霊歌)
 河の向こうに空があるというところから持ってきたらしいですが、よくわかりません。彬良氏は三途の川の向こうにあの世があるという例えを挙げてらっしゃいましたけど、イメージが曖昧ですね。後で錦織健が言ってたように、天の川とかの方が具体的な気がします。
 豊かなメロディーでかつ、しっとりとした雰囲気の演奏です。

ムーンライト・セレナーデ(グレン・ミラー)
 いうまでもなく月ですね。元がジャズバンドの曲ですから、メインを奏でるのはサックスなのですが、それをピアノに置き換えての演奏とのことです。しっとりとした感じに仕上がっています。

オー・ソレ・ミオ(カプア)
 太陽です。雰囲気的にスペインとかの方が似合いそうですが、元はイタリアのナポリ民謡とのことですね。
 ここから登場の錦織健のテノールが見事に歌い上げてくれます。さすがに本職、マイクなんか使いません。途中に入る、クラリネットだかイングリッシュホルンだかのソロがなかなかでした。

 毎度のことだけど、オケのコンサートで曲の演奏中に拍手を入れるのはやめてほしいです。ポピュラー歌手のコンサートじゃないんだから。
(ベートーヴェンの『第九』でも第4楽章でソロ歌手が入ったところで拍手するやつがいるから、それを嫌う指揮者の中にはソロ歌手を第1楽章から出させてる人もいるって話もありますし。もちろんコーラスも)

空のわすれもの(宮川彬良)
 元はコーラス曲とのことですが、今回は彬良氏のピアノ伴奏による錦織健の独唱。歌詞や曲調が平易なので、聴いた感じ、『みんなのうた』みたいな趣きのの曲ですね。

あの宇宙を、征け(高取ヒデアキ)
 これはNHKアニメ『タイタニア』の主題歌です。オケとテノールが張り合ってるような感じの曲ですね。聴いた位置の関係もあるのか知らないけど、もう少しオケとテノールの配分を考えないと、少しお互いの音を殺しあってるような感じがします。
 錦織健でアニメの主題歌というと「未完成協奏曲」なんかも聴いてみたい気がするのですが、今回のテーマとは合いませんね。


交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」(宮川 泰)

 1:序曲
 近年演奏の多い『組曲「宇宙戦艦ヤマト」』では頭と後半部分がぶつ切りされてる「序曲」ですが、レコード通りに冒頭の「サスペンスA」のフレーズから始まります。
 やがてメインの主題として現れるのは「無限に広がる大宇宙」のモチーフ。ここで川島和子がいないからと、なんと錦織健がスキャットをやっているのですが、意外にもちゃんと聴けるのですね。恐るべし、錦織健。
 リズムボックスがテンポを奏で始めストリングスが主題のモチーフを盛り上げていきます。中間部で木琴が目立ってるのが少し印象的です。バイオリンのグリッサンドとティンパニーが絡み、演奏が盛り上がり、シンバルが鳴り響きます。フォルテの部分はかなりのパワーを感じますね。
 終盤はオーケストラ全体で主題を優雅に奏で上げ、ホルンと共に盛り上がるラストを迎えます。『組曲』では中盤で切られてしまうから、最後まできちんと聴けるのは嬉しいですね。

 2:誕生
 重厚な「悲愴ななヤマト」のフレーズで始まっていきます。コントラバスがなかなか響いてるのが印象的。そしてミステリックな雰囲気の「宇宙の静寂」のフレーズ。
 間奏部のファンファーレ的なフレーズから「ヤマト乗組員の行進」への盛り上がりが最高です。やはりここが一番の聴き所でしょうね。原曲よりはかなり軽めでポップな感じの演奏ですが、そのぶんノリは良いです。
 その行進曲からメインテーマのイントロに繋がるところ、原曲はそのままの音程で繋がってるのですが、今回はささきいさおのボーカルのキーに合わせたのか、イントロ部分に入るところで音程がどんと下がってしまってるのが気になりました。
 例のごとくボーカルが入るところでささきいさおが入ってくるので、演奏中に関わらず拍手が入ってしまうのが非常に残念ですね。だいたい原曲はボーカル無しだし、ボーカルのキーに合わせれば音程が変わるし、拍手は入れられるし、メリットがあるとも思えないので、ちゃんとレコード通りにインストゥルメンタルだけで演奏して欲しかったところです。(ささきいさおによる主題歌はちゃんと後のプログラムに入ってるわけだし)

 3:サーシャ
 大曲が続いたのでちょっと一息といったところの曲です。ミステリアスっぽい「イスカンダルの女」のフレーズを、木管から始まって、ハープのアクセントを経て、ストリングスに繋いでいきます。
 聴いてた場所によるのかもしれないけど、ちょっとコントラバスが強過ぎかな。

 4:試練
 緊迫感あふれる「サスペンスB」のフレーズで始まります。さすがに原曲にあったシンセの効果音はいっさい入っていません。
 中間の「探索艇」のモチーフはただただ軽快に奏でられます。
 終盤は「サスペンスB」のフレーズが少し入った後、じわりじわりと「ヤマトのボレロ」が奏でられていきます。スネアのリズムが本家ラヴェルの『ボレロ』並みに響きまくってるのが印象的。

 5:出発
 中間部のフレーズをカノン風にアレンジし、ボリュームアップした「地球に飛び立つヤマト」です。
 木管がリズムをリードしてる感じなのが印象的ですね。ストリングスはスタッカート気味の部分が多くて大変そうです。ラストのスローテンポの部分は優雅に奏でられてて、余韻に浸れます。

 6:追憶
 A面の最後は「宇宙戦艦ヤマト」のメインテーマをバラード風にアレンジしたイージーリスニング風の曲です。劇伴曲の「哀しみのヤマト」とは趣きが違うアレンジなんですね。
 ギターソロから始まり、ストリングスと木管がややしんみりと引き継ぎます。中盤になってトランペットが哀愁漂うバラードを奏でるのがとても印象的です。最後、ストリングスが余韻を奏でる中、鉄琴の短いフレーズで終わるのが、けっこう特徴的なんですね。

 本来、B面に続くためのインターミッション的な意味合いの曲ですから、ここで終わってしまうのは非常にフラストレーションが溜まるのですが、とにもかくにもようやくA面だけ復元できたということですから仕方がありません。


真赤なスカーフ(宮川 泰)
 これは『宇宙戦艦ヤマト』のエンディング曲。シングル盤バージョンで、ささきいさおのボーカルです。この曲、アニメのEDで使われたのはアレンジが違うんですけど、たまにはそっちを聴きたいとか思ったりしますが、どうなんでしょう。
 B面が復元されたらその1曲目が「真赤なスカーフ」になるのですが、『交響組曲』のこれは宮川泰先生らしい、ごっちゃ煮のアレンジメドレーになってて、聴ければなかなか楽しめるので大いに期待したいところです。(さすがに、これをボーカル入りでやったりは出来ないでしょうね)
 それにしても、ささきいさおの歌は全然変わりませんね。

宇宙戦艦ヤマト(宮川 泰)
 フルコーラスの主題歌ですが、「序曲」に引き続き錦織健のスキャット付です。やはりオケメインの「誕生」に無理やりボーカルを入れるよりは、ボーカル用の単独曲の方が映えて聴こえますね。
 錦織健のスキャットは、スキャット単独で聴くと悪くはないのですが、やはりささきいさおのボーカルと組ませると、ちょっと違和感があります。これをやるくらいなら「真赤なスカーフ」のバックコーラスをやって欲しかったところですが……

ゲバゲバ90分(宮川 泰)
 アンコール曲はトークでも触れられていた「ゲバゲバ90分」です。吹奏楽版は前に大阪市音楽団の演奏で聴いたことがありますが、オーケストラ版を生で聴くのは初めてかな。途中、トロンボーン隊が立って演奏してましたが、オーケストラじゃそれがせいぜいのパフォーマンスみたいですね。

     ☆ ☆ ☆

 何年後になるのかわかりませんが、引き続いてB面の復元を期待したいところです。
 B面6曲と言っても、「イスカンダル」は現存してるわけです。3年前のコンサートでは「明日への希望」が演奏されていましたが、あれのスコアはどうなってるのでしょうかねぇ。もっとも、この曲はスコアの復元以上に、コーラスを調達しないといけないという難問があるのですが。
 残るは「真赤なスカーフ」「決戦」「回想」「スターシャ」というところですが、「真赤なスカーフ」を原曲通りにやるとするとエレキギターとかも持ち込まないといけないし、いろいろとオケで生演奏するには面倒ですね。
 今回のA面ではその辺で妥協してる部分がけっこうあったように思いますけど、これもいつかもっと完全に近い形でやり直して欲しいですね。

     ☆ ☆ ☆

 アニメ音楽史上屈指の名盤とはいえ、単独の現行商品が無いんですね。次のは中古でプレムアム価格が付いてるから注意。(アナログ盤ならヤフオクに行けばいくらでも安く手に入りそうですけど)

交響組曲 宇宙戦艦ヤマト Symphonic Suite Yamato
交響組曲 宇宙戦艦ヤマト Symphonic Suite Yamato

 左サイドに張ってある30周年記念のCD-BOXもすでに在庫切れみたいですね。
 いよいよ『復活編』を作るとか言ってるから、便乗して過去の音源も復刻して欲しいものです。(個人的には『ヤマト』の音楽CDは全部押さえてるから、むしろ『オーディーン』のCDを出して欲しいんですが)

 これだけじゃ何だから、宮川彬良関連のCDでも。

 これは大阪市音楽団の演奏で吹奏楽版の『組曲「宇宙戦艦ヤマト」』が収録されていますが、以前に記事で取り上げたアルバムとは違い、とくに平原まことの名前がクレジットされてないから市販されてるスコアに準じたスタンダードなアレンジの演奏かと思います。(レコード屋で現物を見掛けたこと無いので未入手)

ブラック・ジャック&宇宙戦艦ヤマト 宮川彬良&大阪市音楽団
ブラック・ジャック&宇宙戦艦ヤマト 宮川彬良&大阪市音楽団


 こちらは同じ大阪市音楽団の演奏ですが、以前の記事で紹介している平原まことのサックスをメインにフィーチャーされたアレンジの吹奏楽版『組曲「宇宙戦艦ヤマト」』が収録されています。

ブラスバンド・バラエティ 宮川彬良&大阪市音楽団 痛快ライヴ!マツケンサンバII!!
ブラスバンド・バラエティ 宮川彬良&大阪市音楽団 痛快ライヴ!マツケンサンバII!!


 吹奏楽版『組曲「宇宙戦艦ヤマト」』とか「ゲバゲバ90分」とかは宮川泰先生の生前に出てる次のCDでも聴けますが。

THE HIT PARADE Hiroshi Miyagawa
THE HIT PARADE Hiroshi Miyagawa


 なぜか未だにオーケストラ版の『組曲「宇宙戦艦ヤマト」』はCDになっていないのですが、いいかげんどこかの演奏を出してくれないかな。いや、別に川島和子のスキャットが必要だとか言いませんから。(そういえばスキャットをフィーチャーした「大いなる愛」って『幻想軌道』のライブ盤辺りで出てたっけ?)

 『交響組曲』やら『組曲』やらややこしいですが、さらに来月は待望の『交響曲 宇宙戦艦ヤマト』の再演ですね。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009.04.09

六甲フィル/『SF交響ファンタジー第1番』

 少し古い話ですが、2月15に神戸文化ホールで開かれた六甲フィルハーモニー管弦楽団の第27回定期演奏会を聴きに行って来ました。

 六甲フィルハーモニー管弦楽団というのは、阪神大震災の後に神戸大学交響楽団のOBを中心として集まって結成された、主に神戸で活動しているアマチュアオーケストラのようです。指揮は客演の遠藤浩史。

 演奏曲目は以下の通りです。

 01. モーツァルト
   交響曲第35番ニ短調 K.385「ハフナー」
 02. 伊福部 昭
   SF交響ファンタジー第1番
 03. ブラームス
   交響曲第1番ハ短調 Op.68
 EC. ブラームス
   ハンガリー舞曲第6番ニ長調

 それでは、順番に印象などを……


モーツァルト
交響曲第35番ニ短調 K.385「ハフナー」

 ハフナーというのはザルツブルグの大富豪のこと。クラシック音楽(とくに交響曲)はベートーヴェンの時代からは市民社会での芸術音楽という側面を大きくしていきますが、モーツァルトの当時はまだ宮廷貴族や富豪向けのステータスシンボルとしての量産音楽という意味合いが大きかったので、これもそんな1つとしてハフナー家に献呈された作品ですね。

  第1楽章 Allegro con spirito

 雄々しいオーケストラで始まるソナタ形式の第1楽章。冒頭からの音の豊かさは古典時代ならではの曲って感じがしますが、どうなんでしょう。ブラスとストリングスのハーモニーが味わい深い印象です。
 主題展開部はややスローダウンしてマイナー気味に落ち込んだ感じですが、主題再提示部で再び華々しさが復活してきます。

  第2楽章 Andante

 優雅なセレナーデ風の緩徐楽章。そういえばこの曲は元はセレナードとして作られていた曲を交響曲に改作したものみたいですね。
 美しいストリングスにブラスのアクセントが入るという感じです。ストリングスの響きは非常に豊かな印象です。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが対向配置になっているので、それが効果的にハーモニーを響かせてる感じです。

  第3楽章 Menuetto

 華々しい序奏で始めるメヌエット。華々しいフレーズとおとなしめの静かに抑えたフレーズの繰り返しによる派手な主部が展開した後、ゆっくりと優雅な中間部が奏でられるのが印象的です。

  第4楽章 Finale:Presto

 出だしから華々しく派手なプレスト。ストリングスが主体でブラスは添え物って感じがモーツァルト的な感じかな。打楽器はティンパニーが目立つ程度。スピーディーながらも美しいストリングスの響き。少し控えめって感じもするけど、大きく盛り上がって終わります。


伊福部 昭
SF交響ファンタジー第1番

 オーケストラの編成が前曲から一気に大増員です。とくにコントラバスが倍増してるのって凄いですね。期待が高まります。

 冒頭、ゴジラの出現モチーフの重低音は抜群。ティンパニーとシンバルが目立ち過ぎって感じかな。続く間奏部は2拍子部分の溜めと7拍子部分のテンポアップがうまく出ています。
 「ゴジラ・タイトル」は少しテンポが速過ぎかな。原曲は速めなんだけど、この『SF交響ファンタジー』ではそれよりゆっくり気味の指定のはず。打楽器やブラスが強くてストリングス(とくにヴァイオリン)が弱い気がします。
 「巨大なる魔神」は上手く緩急が出ていますね。タムタムが強過ぎって感じだけど、逆にティンパニーはもうちょっと頑張った方が良かったですね。これ、ティンパニーの一番の聴かせどころのはずですから。
 「セレナーデ」はちょっとテンポが一定過ぎる感じ。ハープも伴奏に隠れてる感じだから、もうちょっと表に出て来た方が良いかな。全体的には音が豊かですね。
 「地底怪獣出現」はブラスの重低音が凄いですね。中盤の部分が少しテンポが速過ぎで、もう少し溜めが欲しいところです。
 「ゴジラ対ラドン」はラドンのモチーフの入るタイミングが絶妙。これ、ちゃんとスコアに書いてあるはずなのに、演奏しなれてないオケとかだと微妙に違うんですね。でも、太鼓が強過ぎって気がするし、繰り返しはちょっと拙速な感じですね。
 「宇宙大戦争タイトルマーチ」はファンファーレのテンポは良いんだけど、その後がいきなりテンポアップし過ぎ。かなり早過ぎる感じですね。でも、シンバルのタイミングがちゃんとちゃんと追い付いていってるのは良いです。
 この曲と「怪獣総進撃マーチ」は若干テンポを変えた方がメリハリが付いて良いのですが、そのまま突っ走ってる感じです。
 マーチの2回目は音がかなりボリュームアップした感じになります。「怪獣総進撃マーチ」の2回目のところでトランペットがミスっちゃってるのが残念。ま、ここの部分はとくにブラス系は過酷で、プロオケでも繰り返しを端折っちゃってる演奏がしばしばありますからね。
 クライマックスの「宇宙大戦争マーチ」はちゃんと盛り上げどころが分かってるって演奏で嬉しいです。結部の「怪獣総進撃マーチ」の締めも上手いですね。

 全体的にけっこう聴き応えのある演奏ですね。


ブラームス
交響曲第1番ハ短調 Op.68

 ブラームスは初めてですのでよくわかりません。この交響曲第1番は21年掛けて作ったということですが、これをもってチェレプニンが伊福部先生に交響曲を作り急ぐなと言ったお陰で、伊福部先生は生涯に『シンフォニア・タプカーラ』しか交響曲を作らなかったみたいですから、何とも罪作りな人です。

  第1楽章 Un poco sosutenuto-Allegro

 深刻そうなマイナー気味の出だし。沈んでいくようなストリングスのハーモニー。よく見ればコントラバスがオケの最後列で一直線に並んでるのが珍しいですね。
 哀歌のような沈痛な展開。まるで悩み深さを表すようなゆっくりとした展開。ちょっと『ゴジラ』のタイトルモチーフに似たフレーズが現れたかと思うと、大いなる苦悩って感じの激しい展開。
 ブラームスは苦悩の音楽ですか……と思ったら、後半はメジャー気味に豊かに展開していきます。

  第2楽章 Andante sosutenuto

 ゆっくりと優雅なストリングスで始まる緩徐楽章。木管のフレーズから始まる壮麗なセレナーデ風。そして、ストリングス主体でやや静かでおとなしめのバラード風に奏でられていきます。

  第3楽章 Un poco allegretto e grazioso

 ゆったりとした4拍子の舞曲風の始まり。普通、第3楽章にはメヌエットなりスケルツォなりの3拍子の舞曲が入るのですが、ブラームスはそうではないみたいです。
 徐々に盛り上がって、ファンファーレを伴った主題が現れますが、これがまた2+2+4拍子でかなり変則的ですね。

  第4楽章 Adagio-Piu andante-Allegro non troppo, ma con brio

 重々しい沈痛なストリングス。第1楽章を引いて苦悩の音楽って感じです。低音のピチカートでの盛り上がりが印象的。
 ゆっくりとした大きなブラスの大きなフレーズから、心が洗われるようなフルートの響き。非常にゆったりとした夜明けのようなイメージから、ベートーヴェンの『第九』に似たフレーズの優雅なセレナーデをストリングスが奏でます。そこから木管、さらに全体へと広がり、華々しく派手に展開していきます。
 延々と続く派手で激しい展開部。途中、ややゆっくりと優雅な部分が挿入され、単調さを避けてる感じかな。
 苦悩から歓喜や祝福へ昇華されて終わってるって感じですね。

 このブラームスの交響曲第1番は俗に「ベートーヴェンの第10番」とも呼ばれてるらしいですが、第4楽章の展開を見れば『第九』との関連性は伺えますね。ただし、ベートーヴェンの音楽はこんなに難解じゃないと思うんですけど。


ブラームス
ハンガリー舞曲第6番ニ長調

 元はピアノ曲のようですが、アンコール曲なのでプログラムには無く、誰による編曲のものなのかはわかりません。
 主部はゆったりとしたストリングス主体のワルツ風のフレーズと、派手なテンポアップのオーケストラのフレーズが繰り返されますが、このギャップが印象的です。ここがハンガリー舞曲の特徴的な部分なんでしょうか。
 中間部は堂々と大きく勇壮なフレーズと、ストリングスの小刻みなフレーズが奏でられ、最後に主部が繰り返されます。

     ☆ ☆ ☆

 かなり聴き応えのあるコンサートだったので、良かったですね。こういうのを聴くと日本のアマチュアオーケストラのレベルの高さが実感できます。逆に、下手なプロオケの演奏を聴いたら金を返せとか言いたくなりますが……プロはプロで年間何十曲とか数をこなさなければいけないから、一曲一曲に割けられるエネルギーはどうしても違ってくるんですね。

 配布されてたプログラム本体にも一般的な解説風の楽曲紹介は載っているのですが、それとは別に、ペラ紙に簡易印刷されたチラシ風の簡単なオーケストラの紹介とか演奏曲の紹介が書かれた物も挟み込まれてたのは気が利いてると思いました。
 ま、関西で無料のコンサートだから、どんな客層が来るかわかったものじゃないからでしょうが、初心者が興味を持てるレベルでの紹介というのも、客の演奏に対する集中力を喚起する上では良いと思われます。

     ☆ ☆ ☆

『SF交響ファンタジー』なんて頻繁に書いてるし、最近新譜が出たりしてるわけでもないので、CDは別に良いかとも思ったのですが、とりあえずはオーソドックスなのを。

宙-伊福部昭 SF交響ファンタジー
宙-伊福部昭 SF交響ファンタジー


こちらはユーズド価格がおもいっきし高くてぶっ飛びました。買うのはいろいろと冒険ですね。ま、手元に持ってるから、是非とのリクエストがあればレビューは書けますけど。

おもしろオーケストラ1/オーケストラ・イン・スクリーン~SFファンタジーの世界@〔「2001年宇宙の旅」~タイトル・テーマ(R.シュトラウス)/「スタートレック」~メイン・テーマ(J.ゴールドミスミ,編曲和田薫/他〕石丸寛/新星日本o.
おもしろオーケストラ1/オーケストラ・イン・スクリーン~SFファンタジーの世界@〔「2001年宇宙の旅」~タイトル・テーマ(R.シュトラウス)/「スタートレック」~メイン・テーマ(J.ゴールドミスミ,編曲和田薫/他〕石丸寛/新星日本o.

     ☆ ☆ ☆

 3月に引越ししたのが全然片付かないから、しばらくCDを聴いたりできません。根本的に荷解きしてCDを取り出す空間的余裕が無い……手元ですぐ取り出せるのが10年以上も前のCDばかりってのが……

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.03.20

冬木透 CONDUCTS ウルトラセブン

 3月13日に東京オペラシティで催された『ウルトラセブンの音楽を創った男・冬木透 CONDUCTS ウルトラセブン』のコンサートに行ってきました。

 あすかはアニメや東宝特撮映画の音楽は好んで聴いていますが、テレビの特撮番組はその対象じゃないのだけど、昔から『ウルトラセブン』だけは何か魅かれるものを感じて、キングから出ていた『ウルトラセブン総音楽集』とか、90年前後にCD化された『交響詩ウルトラセブン』とかは聴いていました。

 思えば幼少の頃にしばしば再放送されていて、ちゃぶ台の前で胡坐を組むメトロン星人とか、何か口の中で飴のようなものを鳴らしながら語ってる第四惑星のロボット長官とかの光景が記憶の奥底に染み付いているんですね。
 カラータイマーが無かったり、カプセル怪獣を使ったりすることが他のウルトラ兄弟と一線を画してるところもセブンを特に印象付けた要素でもあったでしょう。
 そんな『ウルトラセブン』のオーケストラコンサートがあると聞けば、たとえ日本の東の果てであろうとも、万難を排して聴きに行かなければなりません。

 演奏は東京交響楽団。前身の東宝交響楽団の時代から映画音楽等のレコーディングの多いオーケストラですが、『ウルトラセブン』の音楽も当時の東京交響楽団の手でレコーディングされたものらしいですね。
 しかし、1500円もする有料のパンフレットに肝心の当日の演奏の主役であるオーケストラの構成メンバーに関する記述が何も無いのは頂けません。
 指揮は作曲者の冬木透本人というのが、今回のコンサートの目玉でもあるでしょう。

 演奏曲目は以下の通り

 01. 交響曲「ウルトラコスモ」
    第1楽章 太陽をこえて
         Allegro con brio, ma non troppo presto.
    第2楽章 光をあびて
         Moderato―Andante
    第3楽章 暗黒の淵から
         Lento misterioso―Moderato―Allegro barbaro
    第4楽章 輝きの環を…
         Finale:Allegro brillante
 02. 交響詩「ウルトラセブン」
    第1楽章 ウルトラセブン
    第2楽章 怪獣出現
    第3楽章 ウルトラホーク発進
    第4楽章 侵略者の魔手
    第5楽章 さよならウルトラセブン
 03. ウルトラ警備隊の歌
 04. ワンダバメドレー
 EC. ウルトラセブンの歌


 それでは演奏の印象などを。

交響曲「ウルトラコスモ」

 この曲は円谷プロの創立30周年記念の祝典曲として委嘱されて作曲された曲とのことです。セブンに限らず、『ウルトラマン』に始まるウルトラヒーローの音楽がモチーフとして組み込まれた本格的な交響曲です。

 第1楽章 太陽をこえて
      Allegro con brio, ma non troppo presto.

 「Allegro con brio」は「生気に満ちた」、「ma non troppo presto」は「しかし急速過ぎないように」という意味です。
 スタッカート気味のバイオリンとホルンの響きから始まります。勇壮な『ウルトラマン』のモチーフが現れ、やがてブラス主体の主題が奏でられていきます。穏やかなストリングスの調べに転じ、静かな『ウルトラセブン』のモチーフが現れ、やがてシンバルの鳴動と共に激しく勇壮に展開していきます。
 最後はホルンのファンファーレに始まる勇壮な後奏で終わる感じです。

 席が左前の方だったのですが、その近くにドラがあって、それがあまり他では見られないくらいコンサートを通じてしばしば使われてるから、なんかドラばかりがやかましい感じがしたのは否めません。
 それにしても、楽章の間で拍手をするなよ。

 第2楽章 光をあびて
      Moderato―Andante

 「Moderato」は「中くらいの速さで」、「Andante」は「歩くような速さで」という意味です。
 ブラスに始まるマイナーなバラード曲。ハープの伴奏を伴ったトランペットのソロが高らかに鳴り響きます。そこにストリングスが重なってきて、やがて懐かしい感じの穏やかなメロディーが流れてきます。そして、ストリングスが、継いでブラスがバラードを大きく歌い上げていきます。
 再びマイナーに転じて不安な感じのフレーズが続きます。
 ハープとホルンが穏やかなフレーズを奏で始め、ストリングスに展開していきます。そしてトランペットのソロを挟み、ゆっくりと穏やかに、やがて大きく盛り上がって収束していきます。

 第3楽章 暗黒の淵から
      Lento misterioso―Moderato―Allegro barbaro

 「Lento misterioso」は「遅く神秘的に」、「Allegro barbaro」は「快活に競うように」という感じの意味です。
 木管と鉄琴から始まる不安でミステリアスなサスペンスモチーフ。鉄琴とストリングスがスリリングで不気味な雰囲気を盛り上げていき、ショッキングなコードが緊張を打ち破ります。
 小刻みなストリングスがスリリングな主題を奏で、そしてティンパニーとドラとブラスの不協和音が不安を煽っていきます。さらにティンパニーの連打がサスペンス感を高め、ドラが緊迫感を煽ります。
 この辺りは次第に激しくなってくる怪獣の襲撃って感じですね。

 第4楽章 輝きの環を…
      Finale:Allegro brillante

 「Allegro brillante」は「快活に輝かしく」という意味です。
 ゆっくりとしたトランペットのファンファーレに始まります。低音のストリングスから次第に盛り上がって華々しく奏でられる『ウルトラマン』のモチーフ。『ウルトラセブン』の戦闘モチーフを挟んで、再び『ウルトラマン』が奏でられます。
 ドラの連打とティンパニーの乱打から一転してピンチの音楽。そして、確かヤプール辺りの襲撃のテーマかな。静寂からミステリアスでスリリングな展開。鉄琴と小刻みなストリングス、ホルンの響きが印象的です。
 やがて『ウルトラセブン』のモチーフが復活し、低音から盛り上がるように「ウルトラセブンの歌PART2」が奏でられていきます。
 最後はいったんスローテンポに転じて穏やかな収束を見せた後、勇壮で堂々とした演奏で「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌PART2」が奏でられて終わります。


交響詩「ウルトラセブン」

 これは『宇宙戦艦ヤマト』から始まる70年代のアニメブームの頃にアニメ音楽の商品化が進んだ頃、過去の特撮作品の音楽にも日が当たり、『交響詩ウルトラマン』とセットで新規にレコード化されたものです。90年前後にCD化されましたが、その後は入手困難になっていたのを、昨年だか一昨年だか辺りに復刻されてたように思います。
 自分は最初にCD化された時に買って聴いたものですが、今は部屋の奥底にしまいこんでしまってるので、掘り出してくるのが困難なので、コンサートの予習とかで聴き返したりはしてません。
 これは「交響詩」とか名乗ってるけど、独立した標題曲ということではなく、当時のアニメでよく出てたシンフォニー盤とかのように、原曲をほとんどそのままオーケストレーションしてメドレーで繋いだような形の作品です。

 第1楽章 ウルトラセブン

 ティンパニーとコントラバスの重低音、鉄琴のアクセントで始まるサスペンス曲。バイオリンのグリッサンドがスリリングさを醸し出してきます。
 バイオリンのポルタメントから曲調が一転し、ウルトラセブンのOP冒頭のファンファーレが鳴り響き、メインの「ウルトラセブンの歌」が始まります。とにかくホルンが目立つ曲ですが、隠し味でマラカスが使われてたのが印象的です。

 第2楽章 怪獣出現

 フルートで始まる穏やかなセレナーデ。日常の安息という感じです。
 一転して激しいサスペンス曲。ティンパニーとドラがメインという感じで、そこにブラスの不協和音が被ってきます。この辺りは『交響曲「ウルトラコスモ」』の第3楽章でも使われてた曲ですね。
 やがてチェロとコントラバスの低音から始まるサスペンス曲に移り、バイオリンのグリッサンドが不安を煽ります。そして、次第に激しさを増していきます。

 第3楽章 ウルトラホーク発進

 華やかな「ウルトラ警備隊の歌」から始まりますが、一転してゆっくりと低音で不気味なサスペンス曲に転じます。
 ティンパニーとスネアドラムがリズミカルなスリリングなピンチの音楽が奏でられ、やがて「ウルトラ警備隊の歌」のマイナーアレンジによる寂しげな哀歌が流れてきます。そして最後は再び勇壮な「ウルトラ警備隊の歌」で幕を引きます。

 第4楽章 侵略者の魔手

 パイプオルガンをバックに、ゆっくりと幻想的に始まるミステリアスなサスペンス曲。鉄琴のアクセントと、小さく鳴り続けてるドラが印象的です。
 やがてドラをベースに、バイオリンの胴打ちがリズムを奏で始めます。そして、小刻みなストリングスが鬼気迫る激しいサスペンス曲を奏でていきます。

 第5楽章 さよならウルトラセブン

 ブラスとティンパニーから始まるゆっくりとしたバラード調の「ウルトラセブンの歌」のマイナーアレンジ。哀愁漂うストリングスによる、穏やかでもの悲しいレクイエム。
 ゆっくりとしたバラードで始まる「ULTRA SEVEN」のフレーズから、「ウルトラセブンの歌」のマイナーアレンジが続き、やがて徐々にメジャーに転じていきます。途中に挟まれるストリングスの美しいフレーズが印象的です。


ウルトラ警備隊の歌

 『大怪獣バトルNEO』のテーマ曲を歌ってる中西圭三のリードボーカルに、サウンド・アンビション合唱団のコーラスを加えての演奏ですが……やっぱし、この曲は男声コーラスでやって欲しかったですね。


ワンダバメドレー

 冬木透といえばワンダバ!……ということで『セブン』とは違うけどプログラムに入ってました。
 最初が『帰ってきたウルトラマン』のMATのテーマで、元祖ワンダバ。意外とテンポがゆっくりだったのと、木琴が使われてたのが印象的。
 続いて『ウルトラマンA』の「TACの歌」。さすがにこの曲は児童コーラスが活きてる感じです。でも、ワンダバというからには歌詞入りの歌の方じゃなくて、男声コーラス入りの劇伴の方じゃないと……
 あと1曲ぐらいあったけど、知らない曲でした。『ウルトラマンマックス』辺りだとまだ記憶にあると思うから、『ザ・ウルトラマン』とか『ウルトラマン80』辺りの曲でしょうか?

     ☆ ☆ ☆

 『ウルトラコスモ』は初めて聴いたけど、本格的な作りの曲だったので、またじっくりと聴いてみたい気がします。幸い、6月にライブ盤がでるみたいですし。それまでには『交響詩ウルトラセブン』のCDも部屋から発掘しておきたいけど、さて。そういえば数年前にでた『ウルトラセブン』の全曲CDも未開封でどこかに転がってるはずです。

 ゲストトークのところでせっかく「ULTRA SEVEN」の話題が振られていたのに、アンコールでの演奏も無かったのがちょっと残念でした。

     ☆ ☆ ☆

Amazonで取扱中の『交響曲「ウルトラコスモ」』収録のアルバム。中古品を手に入れるしかないようですが。(今回のライブ盤が出るまで待つという手もありますね)

円谷英二生誕100周年記念CD BOX - Music from the works of EIJI TSUBURAYA -
円谷英二生誕100周年記念CD BOX - Music from the works of EIJI TSUBURAYA -


近年復刻された『交響詩「ウルトラセブン」』収録のCD。残念ながらジャケットは変更されてるようですが。

交響詩「ウルトラマン」「ウルトラセブン」
交響詩「ウルトラマン」「ウルトラセブン」


原曲の劇伴をコンプリートしたアルバムはこちら

ウルトラセブン コンプリート・コレクション
ウルトラセブン コンプリート・コレクション


「ウルトラセブンの歌」とか「ウルトラ警備隊の歌」のレコードバージョンはいろいろ出てると思うから、自分で探してください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.12

大阪センチュリー交響楽団/『ゴジラ』

 12月20日にいずみホールで催された堀俊輔指揮・大阪センチュリー交響楽団による《シネマでXmas》に行ってきました。
 大阪センチュリーというと以前に《のだめカンタービレの音楽会》を聴いて以来、それ以外というと数年前に『SF交響ファンタジー第1番』と『ゴジラVSビオランテ』その他の演奏を聴いたくらいですね。
 いうまでもなく、音楽でクリスマス気分を味わいたいとかじゃなくて、演奏曲目に『ゴジラ』とあったから、また『ゴジラVSビオランテ』みたいに珍しいものを聴かせてくれるのかと期待していたのですが、指揮者が《第2回伊福部昭音楽祭》の時の人だったのでまさかとか思ってたら、やはり《第2回伊福部昭音楽祭》で演奏されてたオリジナル版の演奏でした。

 演奏曲は次の通り。

 01. R.シュトラウス
   『交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》』冒頭
    (2001年宇宙の旅)
 02. J.シュトラウス2世
   『美しく青きドナウ』
    (2001年宇宙の旅)
 03. F.シューベルト
   『未完成交響曲』より 第1楽章
    (マイノリティ・リポート)
 04. W.A.モーツァルト
   『クラリネット協奏曲 イ長調 K.622』より 第2楽章
    (愛と哀しみの果て)
 05. W.A.モーツァルト
   『交響曲 第41番「ジュピター」』より 第4楽章
    (アニー・ホール)
 
 06. ヘンリー・マンシーニ
   『ムーン・リバー』
    (ティファニーで朝食を)
 07. 伊福部昭
   『ゴジラ』テーマ
    (ゴジラ)
 08. ハワード・ショア
   『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』メドレー
    (ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間)
 09. ジョン・ウィリアムズ
   『シンドラーのリスト』テーマ
    (シンドラーのリスト)
 10. アンドリュー・ロイド=ウェバー
   『オペラ座の怪人』
    (オペラ座の怪人)
 
 EC. ルロイ・アンダーソン
   『そりすべり』
    (ホーム・アローン)

 前半は映画に使われた既成のクラシック曲、後半は映画のために作られた音楽という構成ですね。

『交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》』冒頭

 お約束といえばお約束みたいなファンファーレ的な選曲。冒頭だけというのもよくある演奏です。ベートーヴェンの『運命』なんかも出だしだけ使われることが極端に多いですが、あれはちゃんと通して聴く人もそれなりに多いのだけど、この曲は果たしてフルで聴いたことある人どれだけいるんでしょうか。
 レコードとかではよく聴くけど、生で聴いたのは以前に『幻想軌道』のコンサートでアレンジされてたものぐらいだから初めてのようなものです。終始鳴り響いてる重低音って、ティンパニーが鳴りっぱなしなんですね。演奏中は気付かなかったけど、後でパイプオルガンの人が紹介されてたからパイプオルガンも使われてたようです。

『美しく青きドナウ』

 『2001年宇宙の旅』としてはこっちがメインの扱いですね。これもホルンの響く出だしのフレーズは馴染みがあるけどフルで聴くことはあまりないので、新鮮でした。確かCDでは持ってたと思いますが。
 様々なフレーズが展開されていきますが、ホルンが雄大に奏でた後、ゆったりと滑らかなストリングス主体に移って、最後は全体で華々しく盛り上がっていくというパターンの繰り返しみたいな感じですか。

『未完成交響曲』より 第1楽章

 シューベルトの『未完成』といえば、昔はベートーヴェンの『運命』のレコードのB面によく入ってた曲ですが、CD時代になってからはそういうカップリングはあまり見なくなりましたね。かくいう自分もレコード時代に何度か聴いてるはずですが、『運命』のインパクトの方があまりにも大きいためか、すっかり記憶がありません。最近は春に関西フィルの大阪市中央公会堂でのコンサートで聴いたばかりですが。
 割とスリリングでサスペンス的な曲調が特徴的な曲ですね。映画向きといえば映画向きかもしれません。演奏で印象的だったのは、非常にゆっくりした部分でストリングスのピチカートが入ったりしてるところ。ふつうピチカートってテンポの歯切れをよくするような効果で使われてる感じですから。

『クラリネット協奏曲 イ長調 K.622』より 第2楽章

 モーツァルトは自分にとって鬼門なのであまり知りません。
 クラリネット協奏曲と言っても、対するオーケストラは管楽器も打楽器もごっそり抜けて、ほとんどストリングスだけの小編成ですね。

『交響曲 第41番「ジュピター」』より 第4楽章

 管楽器や打楽器が戻ってきたけど、ブラスが少ない印象は変わりません。ベートーヴェンなんかと比べるとモーツァルトの作品ってストリングス中心で、ブラスがあまり使われてないって印象があるのですが、ものの本によれば当時はまだ金管楽器が未発達で自由に音を出せなかったから、オーケストラで積極的にブラスを使うというものではなかったようですね。
 それでもラストの盛り上がりにはホルンとかが重要に関わってる感じです。

『ムーン・リバー』

 これも映画音楽コンサートとかでは定番曲の一つかな。以前に関西フィルのコンサートでも聴きました。
 指揮者の人は映画好きということですが、ニューヨークに行った時にティファニーでパンを食べてきたとかとか言ってましたが、どこまで本当なのでしょうか。

『ゴジラ』テーマ

 いよいよメインの『ゴジラ』です。

  「メインタイトル」(M1)
 ストリングスが硬くてティンパニーが必要以上に規則的な印象で、全体的にオーケストラが奏でてるというより、サンプリング音源を叩いてるという感じに聴こえました。ま、演奏の幅を持たせた『SF交響ファンタジー』なんかと比べるとサントラ本来の演奏はこういう感じなのでしょうが、《第2回伊福部昭音楽祭》での演奏と比べても何か角ばってたように感じます。

  「フリゲートマーチ」(M11)
 映画ではブラスバンドの現実音楽。後に『怪獣大戦争マーチ』とかに発展していく伊福部マーチの原型ですが、小編成のブラスと打楽器による素朴だけど映えるメロディーです。

  「ゴジラの猛威」(MA')
 チューバの重低音とピアノのリズムが印象的な曲です。しかし、見てたらバイオリンの出番がありませんね。チェロやコントラバスは低音を奏でるのに使われてるからけっして弦楽器が無いわけではないのですが、それでいてバイオリンが使われてないというのは珍しいです。
 演奏中にゴジラの鳴き声を入れるのはやめて欲しかったです。

  「エンディング」(M23)
 2曲連続休みで満を持したバイオリンが「平和への祈り」のモチーフを厳かに奏でていき、全体で大きく盛り上がって終わります。オキジェンデストロイヤーによって葬られたゴジラと芹沢博士へのレクイエムでもあり、往年の日本映画的なラストシーン音楽です。

『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』メドレー

 BSで特別版だかなんだか劇場公開版よりも長いのをやってたのを1度みただけなので音楽はあまり印象に残ってませんが、旅立ちのあたりの雰囲気は聴き覚えを感じました。ただ。文字通りのメドレーらしく様々なモチーフが小刻みに繋がれてるって感じで、慌しいというか、取り留めが無い印象です。テーマを絞ってじっくり聴かせてくれた方が良かったですね。

『シンドラーのリスト』テーマ

 バイオリンのソロから始まって切ない感じの調べ。オケが控えめな分、ハープの伴奏が目立ちます。アクセント的に使われてるチェレスタも印象的。やがてバイオリンが泣きの展開に入っていき、激しくも切ない哀しみの旋律を奏でていきます。

『オペラ座の怪人』

 パイプオルガンが奏でるテーマ曲。映画音楽というよりは劇団四季のミュージカルの宣伝でよく流れていたのが印象的なメロディーです。しかし、指揮者が怪人に扮して出てくるのはいいけど、オルガンの演奏中に拍手を求めるのはやめて欲しいですね。
 オルガンにオーケストラが被って大きく盛り上がったと思ったら、リズムが入り始めて別のテーマフレーズを奏で始めていきます。近年にミュージカルの作者自身の手によって映画化されたものの音楽みたいですが、なんか原曲をぶち壊しって感じです。
 それからいろいろと展開していきますが、なんかボリュームが大き過ぎてお腹いっぱいって感じの大曲ですね。

『そりすべり』

 クリスマスコンサートなのにクリスマスらしい曲が無いと、最後に追加の1曲。別に『ホーム・アローン』を出さなくてもクリスマス時期になると街中に流れまくってる曲のような気がしますが、あくまで映画音楽のコンサートというところでこじつけたのでしょうか。
 バックで鳴り捲ってるスレイベルがクリスマスの雰囲気をかもし出していますが、別にクリスマスじゃなくてもそりに付き物のベルの音みたいですね。日本では西洋のそりはサンタクロースとセットでしか馴染みがありませんが。
 トナカイを叩いてるイメージなのか、鞭を使ってるのが印象的だなとか思ってたら、本来はルーテ(これも日本語じゃ鞭になるけど、一般的な楽器の鞭じゃなく、叩くための本物の鞭のような形状の楽器)を使うところを、(一般的な楽器の方の)鞭を使ってた感じです。ルーテの代用なのでしょうけど。
 最後にトナカイの鳴き声みたいなのが入ってたけど、あれはクラリネット辺りが出してたのかなぁ? (Wikipediaで調べたらトランペットで馬の鳴き声を出してるってことみたい。曲そのものはサンタクロースのそりなんて意識してないんでしょうね)

   ☆ ☆ ☆

 大阪センチュリー交響楽団といえば在阪4オーケストラの中でも一番経営状態が危ぶまれてるみたいで、いつ大阪府の橋下改革でリストラされるかという心配をしたりもしてますが、今後も無事に演奏活動を続けられることを祈ってます。とりあえず次回の《のだめカンタービレの音楽会・ロシア音楽特集》のチケットはプレオーダーで手配済みですから……

   ☆ ☆ ☆

 関連CDを探したけど、初代ゴジラのサントラも今は手軽に入手できない感じですね。下記のものはデジタルリマスターで高音質化を図ったものですが、これも中古で値段が跳ね上がってますね。

ゴジラ+空の大怪獣ラドン
ゴジラ+空の大怪獣ラドン

 いっそ中古と割り切ればこの辺りのものがヤフオク等でも比較的手軽に手に入ると思います。

ゴジラ大全集(1)ゴジラ
ゴジラ大全集(1)ゴジラ


 東宝ミュージックのサイトにある50周年BOXなら新品で手に入りますが、なにぶん単価が高いのが……(これ、6巻目はいったいいつ出るのかな?)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.12.07

伊福部昭の指揮棒

 プレイウッドという楽器ブランドから伊福部昭モデルのタクトが発売されたので、手に入れてみました。
 伊福部先生の名前が付いていますが、メープルの棒にコルクの持ち手が付いてる普通の作りです。柄のところに「AKIRA IFUKUBE」と刻まれてるのと、同時に発売になったラインナップの中では棒が一番長い代わりにコルクの部分が一番短いとかいうところが特徴でしょうか。
 箱にはタクトは楽器を演奏するためのもので、それ以外には使用するなという注意書きがありますが、もちろん、直接タクトで楽器は演奏できません。いや、タクトで物を叩けば音が出ますから、長い音楽の歴史の中ではタクトを直接使って音を出すような作品を書いた人もいるかもしれませんが、一般的でないことは確かです。普通に集団演奏の指揮に使うものと考えておきましょう。

 同時に発売されたマエストロモデルのタクトとして岩城宏之モデルがありますが、この人はプロの指揮者として活躍されてた方ですから、愛用のタクトにもこだわりがあってそれが復刻されたというのならわかりますが、伊福部先生のタクトというのはどういうものなのでしょうか?
 伊福部先生の場合、記念コンサートで1、2曲自ら指揮をされたことはあったようですが、普通はコンサートにしろ映画音楽の録音にしろ、本番はプロの指揮者に委ねられています。逆に映画音楽のレコーディングの記録映像とか見ると、リハーサルでの演奏指導では御自身で指揮をされてることも多かったようですね。そういう時に愛用されたタクトなんでしょうか。
 わざわざ復刻されてるということは既製品ではなく自作かオーダーメイドの一品だったのかと思いますが、どこまでこだわりがあったのかはわかりません。昔の人は物を大事にするくらいの感覚で愛用されてただけなのかも。たまたま遺品の中にあったのを復刻してみたというあたりでしょうか。

 ま、実用的に使う機会は無いでしょうが、今年復刻された『管絃楽法』と大事に並べておきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.17

松来未祐|Memories ~Miyu Matsuki Best Songs~

 松来未祐という声優さんは、昔、みやむー目当てで『Missing Blue』とかいうゲームの握手会に行った時に、一緒に来てた人ってのが最初の記憶です。いつもながら眠そうで仏頂面に思えるような表情のみやむーの隣で、華奢でかわいい女の子がいたって印象でした。声優さんとして声を聞くより先に本人に会ったというのはこの人ぐらいかなぁ。
 その後、次第にアニメで声を聴く機会が増えてきましたが、やはり華奢でかわいい感じのキャラの声ってイメージが多いですね。(というか、最初の印象が頭に残ってるから、そうじゃないのは記憶から弾かれてるのかも知れません)
 あまり主役級をやってるって感じは無く、印象に残ってるキャラといえば『ダイバージェンス・イヴ』のコトコとか、『D.C.~ダ・カーポ~』の鷺澤頼子、鷺澤美咲、後は『ハヤテのごとく!』の伊澄ぐらいかな。

 そんな感じで、主役キャラを連発してるような売れっ子の声優さんと比べると少しマイナーな声優さんって印象があるので、キャラソンとかも限られてるように思えるのですが、意外にもベスト盤を出せるだけは揃ってるみたいです。(『D.C.~ダ・カーポ~』関連がゾロゾロって気がしないでもないですが)
 今回はその松来未祐のベストアルバム『Memories ~Miyu Matsuki Best Songs~』を取り上げてみます。とりあえずは収録曲の一覧を。


 01. ムスメゴコロ☆オトメゴコロ New Arrange Ver.
 02. ここだよ。 COCO version
 03. サニサニデイ♪
 04. おみくじ 第八千八百拾番
 05. アイ・ウィル!
 06. GOOD DAY
 07. 煌めきの彼方へ
 08. 心のそばに
 09. ほんとのきもち
 10. オレンジワルツ
 11. ちいさな翼
 12. 妄想クロッキー
 13. カメラ=万年筆
 14. ハンドメイドでNe!
 15. ハートにはきゅん!どきゅん!


 では、いつものように順番に聴いていきましょう。

 「ムスメゴコロ☆オトメゴコロ New Arrange Ver.」は『流星戦隊ムスメット』のED曲のソロバージョン。オリジナルは金田朋子とのユニットだったかな。
 弾むような感じの歌い出しで、全体的にはリズムに乗せて歌いっぱなしって感じの曲かな。掛け合いの部分とかはそれっぽくて、歌声もかわいい感じ。ただ、ソロバージョンだとコーラスのハモリとかも無いのでサビが少し寂しく感じます。
 間奏のギターのパフォーマンスなんかに比べるとボーカルは弱いんだけど、ミキシングとかでそれなりには補ってるようです。サビの末尾が体言止でシャウトな感じで終わってるんだけど、ボーカルのパワーからすると中途半端な感じですね。

 「ここだよ。 COCO version」は、コミックとらのあなのイメージソング。TVのCMで流れてるのは確かモモーイの歌だったような……と調べてみたら、オリジナルは今は無きUNDER17ですか。そういえば、貯まる一方で使い道の無いポイントカードで辛うじて交換したCDがどこかに転がってたかな。(UNDER17のアルバムにも入ってますね)
 途中に入る「萌え萌え萌え萌え……」とかいう露骨なフレーズが妙に頭の中に響きます。やたら「アアアアン」とかいう掛け合いが入るのも印象的です。ま、CMで流れてるサビと後奏部分だけやたら耳に馴染んでますが。
 割と軽めのノリの良い曲だけど、伴奏はちょっと単調で安っぽい感じがします。間奏部のディストーションギターのフレーズもパターン的に付けただけって感じですし。ボーカルとは関係の無い部分ですが。

 「サニサニデイ♪」はコレクションフィギュアで展開されてる『鉄道むすめ』から広島電鉄・鷹野みゆきのイメージソング。車掌さんらしいです。
 華奢な感じでかわいい歌声、忙しくはたき掛ける感じの、いわば掛けっこソング的な曲ですね。元気でかわいい妹キャラってイメージがしますが、松来未祐の持つ華奢なイメージを活かした曲かな。
 「えいっ」って掛け声がかわいくて良いです。

 「おみくじ 第八千八百拾番」は『ハヤテのごとく!』の鷺ノ宮伊澄のキャラソン。『ハヤテのごとく!』のキャラソンは全巻購入特典目当てで全部買っちゃいましたが、買っただけで聴いてないですね。アニメイトの購入特典でがっちりしたケースが付いてきたのに収まってどこかに転がってるはずですが。
 軽いテクノ系のポップに少し和風の旋律を絡めた不思議な雰囲気の曲です。80年代の矢野顕子辺りの作風に似た感じなのかな。ささやくようなコーラスを前面に出してきてるので、テクノっぽいくせしてアコースティックな感じが印象的です。
 おっとりした伊澄のキャラに松来未祐の声は絶妙にはまってる感じで、もう何も言うことはありません。

 「アイ・ウィル!」はTVアニメ『D.C.~ダ・カーポ~』から鷺澤頼子のキャラソン。頼子は猫耳キャラとしては長身なイメージがあるから声ももうちょっと大人びたイメージを予想してたのですが、実際には声だけ聴いたらチビ猫みたいな印象ですね。正体が正体で外見は借り物ですからそんなものかも知れません。
 なんか脆く、頼りなさげではかない感じの、朝倉家に来たばかりの頼子のイメージって印象ですね。家事のお仕事で一生懸命尽くしたいといういたいけな気持ちが全面的に押し出されていて、初々しさが瑞々しい歌です。
 音楽的にはゆっくりとした4拍子系の古典的なダンス曲のイメージで、バイオリンやアコーディオンによる優雅な伴奏が心地良い曲です。

 「GOOD DAY」は同じく『D.C.~ダ・カーポ~』から頼子のキャラソン。
 こちらは2拍子系の曲でおとなしめのボーカルだけど、強い思いが込められてるという感じがします。物語も進んできて朝倉家での生活に慣れた頼子が、はっきりと恋愛感情的なものを意識しているような感じの歌ですね。

 「煌めきの彼方へ」はPS2版『D.C.P.S.~ダ・カーポ プラス・シチュエーション~』から頼子のキャラソン。ゲームはベスト版が出た時に買ってみましたが、まだ積みゲー状態ですね。
 先のTVアニメ版のキャラソン2曲が現実的な日常をベースに歌ってるのと比べると、こちらのキャラソンはファンタジックで抽象的な歌という印象を受けます。サウンドもエレキ系がメインになって少し激しく力強い感じです。その分、頼子の気持ちは一層はっきりと表に出してるような歌になっています。

 「心のそばに」も『D.C.P.S.』から頼子のキャラソン。
 前曲に比べるとほんわりした感じの曲。アコースティックギターをバックに、少しフォーク系の香りがします。サビでバックが急に分厚くなってくる辺りはいかにも歌謡曲っぽい作りですが。
 この曲も歌詞はファンタジックで抽象的な恋の歌って感じかな。間奏部分はギターじゃなくてベースがメインになってるみたいなのが印象的です。

 「ほんとのきもち」も『D.C.~ダ・カーポ~』関連で頼子のキャラソン。これは確かヴォーカルセレクションとかのミニアルバムに入ってたカバー曲。オリジナルはyozuca*で、アニメ本編の挿入歌として使われています。さくらが魔法の桜の木を枯らしたために頼子が消える回かな。
 さっぱりとしたギターの伴奏でアコースティックな感じのする曲です。それでいてサビはボーカルをメインに力強く歌い上げられます。2コーラス目で一瞬だけどアカペラっぽく聴こえる部分が印象的。
 頼子のキャラクターイメージを総まとめにしたって感じで、ちょっと切ない感じのボーカルが特徴的ですね。

 「オレンジワルツ」はTVアニメ『D.C.S.S~ダ・カーポ セカンド・シーズン~』から鷺澤美咲のキャラソン。ま、猫耳じゃない頼子というか、こっちがオリジナルの存在ですけど。この作品の美咲の扱いは甚だ不親切で、かなり不満の残るところでした。ファンサービスとしてゲスト出演させてるだけだといえばそうかも知れませんが。
 ピアノの伴奏によるワルツ風の3拍子の曲。穏やかでファンタジックな感じの歌ですが、単調なメロディーにささやきを重ねてるってイメージですね。頼子より引っ込み思案の美咲らしいというか、物陰でこっそり想ってるだけの恋心って感じが良く出ています。

 「ちいさな翼」は松来未祐自身による作詞のオリジナル曲かな。
 エレギやドラムが激しいロック系のやや激しい曲。それに比べてボーカルは甘くかわいい感じで、それでいて一生懸命歌ってる感じがひしひしと伝わってきます。その辺りの精一杯さが初々しくて良いですね。
 歌詞の内容は、彼氏のことを信じる強さを手に入れた女の子って感じですか。


 「妄想クロッキー」は『ひだまりスケッチ』の吉野屋先生のキャラソンです。
 設定年齢に比べてやたらと乙女っぽい歌で、これもある意味、電波系のイメージですね。バックはスローだけどド派手。色で言い表すと、ショッキングピンク大爆発って感じの印象です。

 「カメラ=万年筆」は『HAND MAID マイ』とかいう作品のOP曲。よく知らないけど、『HAND MAID メイ』の関連作品でしょうか。
 ボーカルは小林沙苗、浅井清己、松来未祐の3人。各人のソロパートから始まって後半が3人のコーラスという形式ですが、松来未祐は先の2人がAメロを歌った後でテンポが変わってドラムが少し引っ込んだBメロ部分のソロを歌ってるため、ソロとしては一番印象に残ります。
 Bメロ後半からコーラスになりますが、サビの直前の「ハンドメイドが~~」って辺りがなぜか耳に残ってクセになる曲です。
 曲自体は間奏でディストーションギターが鳴り捲ってるハードロック系の典型的なアニメソングって感じですが、サビのラストの「万年筆」が体言止になってて、「筆」の部分が1音しかないので「まんねんひっ」になってしまってるのは作りとしてどうかって気がしますね。作詞の問題でしょうけど。

 「ハンドメイドでNe!」は同じく『HAND MAID マイ』のED曲。ボーカルも同じく小林沙苗、浅井清己、松来未祐の3人です。
 こちらは掛け合いとかのセリフ部分以外はソロ無しのコーラス曲です。曲はよくあるアニメのED曲というか、単調でゆるやかにステップするようなテンポで、その割りにバックはメタル系のハードな感じってタイプ。

 「ハートにはきゅん!どきゅん!」はドラマCD『16-sixteen-2nd』のパイとかいうキャラクターのデビュー曲だかなんだかそういう設定の歌らしいですが、よく知りません。
 何とも言えない弾けまくった物凄い曲ですね。ファンコールみたいなバックコーラスが入ってるのはライブステージでも想定してるのかな。やたらアイドル気取りの女の子がぶりっ子(死語)しまくってるて感じです。ま、松来未祐の歌声だから独特の雰囲気が出てるって感じがしますが。
 これ聴いてると吉野屋先生のイメージが浮かんで来るのは気のせいかな。

     ☆ ☆ ☆

 音楽的にどうこうというアルバムじゃなく、声優さんらしいキャラクターソングを集めただけのベストアルバムで、それ以上でも以下でもありません。ただ、それだけに歌い手がどれだけキャラクターを自分のものにしてるかってところが問われてくるジャンルでもありますが、最近は声優さんに演技させるというよりも声優さん自身の個性に合わせたキャスティングというのが多いからか、ここに集められた曲なんかはあまり意外性のある歌とかいう発見はありませんね。逆に言えば、松来未祐という声優さんのイメージ通りに安心して聴けるアルバムって感じですか。
 一発ネタのようなキャラソンも多い中で数を占めてるのが『D.C.~ダ・カーポ~』関連ですが、キャラクターに正面から向き合った真面目な作りの曲で揃っていて、それがこのアルバムの押さえになってる感じです。結果的にバラエティのあるアルバムに仕上がってるといえるでしょうか。

(発売元:ランティス LACA5815 2008.09.26)


MEMORIES~Miyu Matsuki Best Songs~
MEMORIES~Miyu Matsuki Best Songs~

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.22

『あさっての方向。』Original Sound Track "truth"

 相変わらず時期外れのレビューです。昨今のアニメの本数からは遅れが広がることがあっても縮まることはまず無いので、これからもどんどん遅れて行くでしょう。サントラ自体はリアルタイムで入手してますが、作品があってのサントラですから、ある程度は作品本編が頭に入ってないと聴いても身が入らないのですね。
 『あさっての方向。』は京アニ版『Kanon』と同時期にBS-iで放送していた作品ですが、願い石に願って大人になってしまった少女と、それに巻き込まれて子供になってしまった少女の兄の元カノを巡る日常を丹念に描いた作品でした。
 こういう地味な作品というのは音楽にも堅実さが要求されますが、それに応えたのが光宗信吉の音楽です。光宗信吉というと以前に『ゼロの使い魔』を取り上げていますが、この作品は打って変わって、初期の『ナースエンジェル りりかSOS』を髣髴とさせるようなピアノ主体のサウンドでまとめられています。

 収録曲は以下の通り。

 01. 組曲『あさっての方向。』
 02. 光の季節 (TV size)
 03. 真心
 04. Summer Dream
 05. 夏祭り
 06. 願い石
 07. Pure
 08. お出かけ
 09. On the Beach
 10. 小さな冒険
 11. 無邪気
 12. 出会い
 13. Sad Things
 14. 願い
 15. わだかまり
 16. 郷愁
 17. 困惑
 18. 子供時代
 19. Jealousy
 20. ぎこちない雰囲気
 21. 穏やかな日々
 22. 晩夏
 23. 寂しさ
 24. 逃亡者
 25. 力を合わせて
 26. 家族のように
 27. 小さな幸せ
 28. High Tension
 29. 海の家
 30. 突然の別れ
 31. どじっぷり
 32. 尾行
 33. 照れっぷり
 34. 光の季節 piano version
 35. スイートホームソング music box version
 36. Summer Fantasy II
 37. 告白
 38. 和解
 39. ありのままの自分
 40. コマクサの花
 41. スイートホームソング (TV size)
 42. Summer Fantasy I
 43. 眼差し

 それでは適当にピックアップしていきましょう。

 「組曲『あさっての方向。』」は劇伴を素材に鑑賞目的を意識してまとめられた曲です。1枚まるまる劇伴曲をそのまま収録したサントラもあれば、収録曲すべてを観賞用にアレンジしなおしたサントラもありますが、中には一部だけ作り変えたりしたものもあります。昔のコンシューマー機のゲーム音楽のCDなんかでは、オリジナル音源の音楽に混じって生楽器で演奏しなおした曲とか混じってるものも多かったのですが、そんな感じですね。「組曲」と題してサントラの1曲目に乗せてあるのは、個人的には『劇場版スレイヤーズ』のサントラを思い出しますが……
 短いピアノの序奏の後、アバンタイトルのモノローグのバックで流れるスリリングな音楽。そして華麗なピアノによるメインテーマが始まり、木管のフレーズに続きます。ややテンポアップしてストリングスによるスリリングな展開。再び穏やかなピアノのメインテーマが流れ、やがて大団円的な盛り上がりで収束していきます。
 アバンタイトルで聴き慣れたフレーズから始まることで一瞬にして作品の世界に引き込まれますが、光宗信吉らしい華麗なピアノによるメインテーマが楽曲独自の世界に包み込んでくれます。続く展開部は劇伴そのものでは聴けない、アーチストとしての光宗信吉の音楽を堪能させてくれます。

 OP曲のTVサイズを挟んで実際の劇伴曲が並べられていますが、前半は光宗音楽の特徴とでも言えるピアノを主体にした曲が集められてる感じです。

 「Summer Dream」はファンタジックなピアノ曲。淡い短いフレーズの連続ですが、月光の中の願い石の奇跡が描かれてるようなイメージです。
 「夏祭り」はエレピから始まり木管、ストリングスと続く三拍子のメヌエット風の曲。ややノスタルジックな感じで、穏やかで華やかな夏の思い出を感じさせてくれるような曲です。
 「お出かけ」はゆっくりと弾むようなリズミカルなピアノに始まり、穏やかな木管のメロディーに続く曲。嬉しさとか、楽しさとか、夏休みへの期待感みたいなものを感じさせます。
 「On the Beach」は少しアップテンポでエレクトリックな感じの曲。リズムボックスの音が目立つ、少しスピーディーで穏やかな感じのメロディーですが、楽しい夏の光景ってイメージですね。

 「無邪気」はピアノによるメインテーマ。やがて木管に続いていきます。穏やかだけど希望にあふれてる感じが伝わってきます。弾むようなピアノタッチが印象的です。
 「出会い」は軽いピアノのフレーズから始まり、ストリングスを加えて穏やかに展開していきます。そして木管主体の第2のメロディーが奏でられ、だんだんと華やかな広がりを聴かせます。
 少し不思議な出会いの印象から、出会えた喜びとか感謝を思わせる雰囲気に繋がっていくようなイメージで、ホッと安心感を持てるようなまとまりの音楽かな。

 「願い」はスリリングな木管の旋律による、ちょっとスピーディーな感じの曲。ミステリアスな感じで事件の始まりっぽい感じの曲で、作品中でも印象的な使われ方をしてたように思います。どこか『りりかSOS』の最終回の音楽を思い出します。
 「わだかまり」は緩やかなスケッチ風のピアノ。少しリズミカルな感じに事件の進行や、後悔や悲しみなどやりきれない思いを切々と伝えます。
 「郷愁」は緩やかなピアノの旋律に始まる曲。以前の幼い印象を与える雰囲気から、一転して現実を思い出させるシビアなイメージを伝え、再び緩やかな旋律に戻っていきます。もう戻れない過去への郷愁というところでしょうか。
 「困惑」はゆっくりと弾むようなフレーズによる、日常的な雰囲気のコミカルなピアノスケッチ風の曲。曲だけ聴いてる感じでは「困惑」というタイトルがそぐわない感じなのですが、大人になってしまったからだや子供になってしまった椒子の、これまでの生活とは勝手が違った生活での戸惑いによる困惑って意味なんでしょうか。
 「Jealousy」は淡くセンチメンタルなメロディーに始まる曲。ピアノにファンタジックなシンセエフェクトを加えた感じですが、透明感あふれるピアノが印象的です。後半はピアノ主体のシリアスな雰囲気。

 中盤はピアノ以外の楽器を主体にした曲が集められてる感じですが、やはり主要なところをピアノで押さえてる感じがあるから、どちらかというと日常光景で用いるバリエーションって感じで、あまり印象的な曲はありません。

 「穏やかな日々」「晩夏」「寂しさ」の辺りはギターを主体にした曲が続きます。ピアノに比べて柔らかで、より穏やかなイメージや、風が吹けば飛んでいってしまいそうなもろく切ないイメージを奏でています。「寂しさ」の哀愁っぽさはやっぱりギターじゃないと雰囲気ありませんからね。
 「家族のように」はピアノと鉄琴によるゆっくりと穏やかなメインテーマの旋律。安らぎとか自分の居場所を感じられる、そんな曲です。
 「小さな幸せ」は木管というよりリコーダー系による、少し小刻みでリズミカルな感じの曲。椒子との同居生活になれて、日常生活が順調になってきたって感じの辺りの音楽でしょうか。
 「High Tension」はもろにディストーションを効かせたエレキ系のアクション曲。お得意のピアノ曲の繊細さに比べると、こういう方面はけっこうベタな作りの傾向がありますね。

 「突然の別れ」はゆっくりとしたピアノの出だしで始まる曲。寂しげな感じから徐々にリズミカルに転じていきますが、兄と椒子の以前の関係を知って、やるせなさと罪悪感を感じたからだが家出していく心情を巧みに描いている印象です。いかにも光宗信吉らしい心情曲といったところでしょうか。
 「照れっぷり」はミステリアスな感じのシンセ曲。波紋のような音と、淡いコーラス、水の流れるようなSE。淡く幻想的なイメージのする不思議な曲です。

 「光の季節 piano version」はOP曲のピアノソロ。淡く儚げで、少ししんみりとした寂しげな感じの曲です。
 「スイートホームソング music box version」はED曲のオルゴール・バージョン。やはりしんみりとした感じで、夢とか幼い頃の思い出とかいう雰囲気を醸し出しています。

 アルバムの終盤は本編でもクライマックスの重要どころに当てられた感じの曲が並んでいますが、音楽的にはストリングスが加わって弦楽オーケストラ風の盛り上がりを見せるところが聴きどころですね。

 「告白」は少し速めのスリリングなピアノのリズムで始まる曲。シリアスな雰囲気からショッキングな急展開のドラマを繰り広げるように変化していきます。後半はピアノとバイオリンによるゆっくりとしたフレーズから、やがてストリングスを中心にオーケストラ風の盛り上がりを見せます。
 家出したからだを探すテツと出くわしたからだが、大人の姿の自分がからだ本人だと告白するクライマックスの印象です。
 「コマクサの花」は軽やかなピアノによる安らぎ系のフレーズに始まる曲。すべてのわだかまりが解けたって感じで、ストリングス、次いで木管が加わってオーケストラ風の大団円的な終曲を盛り上げます。
 後半、間奏的に印象的なピアノソロが流れたと思ったら、最後は意外とあっさり終わってる感じです。

 「Summer Fantasy I」は最後にボーナストラック的に入ってる曲の1つですが、冒頭の「組曲『あさっての方向。』」で使われてるアバンタイトルのピアノ曲の単体バージョンですね。ファンタジックでミステリアスな雰囲気のピアノ曲です。
 「眼差し」はピアノとギターによるゆったりと穏やかな雰囲気の曲。作品中でも馴染みの深い平和な日常の中の温かなまどろみって感じの音楽ですが、アルバムの最後にここに収束させることで一つの世界が作られているようです。

     ☆ ☆ ☆

 実に光宗信吉の真骨頂って感じのサントラで、十分に堪能できるアルバムです。
 組曲的な楽曲は『りりかSOS』のサントラにも収録されてるのですが、『りりかSOS』では最終回のクライマックスでそれが延々と使われてて実に印象的だったのを覚えています。『あさっての方向。』はそんな波乱万丈な活劇でもないので、長々した楽曲を延々と聴かせ続けるような場面は想像できませんが、音楽的な指向は似たものを感じさせてくれます。

(発売元:ランティス LACA-5598 2007.01.24)

TVアニメ「あさっての方向。」オリジナルサウンドトラック
TVアニメ「あさっての方向。」オリジナルサウンドトラック

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.09.17

1枚1890円のDVD付きシングルはCDVの悪夢を数えるか?

 アナログ時代に2800円だったものが、今は3000円。700円だったものが、今は1890円……
 前者は平均的なアルバムの値段ですが、後者はシングル盤の値段です。いや、あくまでDVD付きの一部の商品の話であって、普通は1260円だとか、それも昔の2曲と違って今はカラオケ付きがほとんどだとか、そうでないのは1000円ぐらいで出てることもあるとか言われそうですが……
 実際問題、カラオケ無しで1000円程度で売ってるものなんて、ごく稀にしか見掛けませんし、多くの人にとってはカラオケはただのオマケであって、200円以上も余計にお金を出してまで……という感覚ではないでしょうか。しかし、いまでは1260円が一般的なシングルの値段になっています。
 昨今増えてきたDVD付きのシングルも、いつかこのカラオケと同じようにデフォルトで付いてくるようになって、1890円がシングルの一般的な価格にしてしまおうという陰謀がどこかで動いているのではないでしょうか? そりゃ、2時間のコンサートとはいわないけど、30分ぐらいのミニライブとかが入っているのなら値段的に納得できないわけではありませんが、その歌手のファンでもなくて単にたまたま曲が気に入ったからとかいう人が、せいぜい5分未満のPVが1本とかで500円以上も余計に出す気にはなれないでしょう。
 基本的に多くの人にとってシングルはあくまで2曲分の商品価値しかありませんから、アルバムなら10曲ぐらい入って3000円で買えるのに、たった2曲のCDに1890円とかじゃもうシングルなんか誰も買わなくなってしまいます。ま、その前に売れなくなったから付加価値を付けて商品単価を上げ、売上げを挽回しようとしてるんでしょうが、藪蛇でしかないでしょうね。

 値段のこともさておき、たかが数分程度の映像のためにディスクが2枚になっているというのも面倒なものです。昔の8cmシングル時代じゃないんだから、シングル盤の収録曲数ならCD1枚で映像も入る余裕があるはずですが、それに対応した一般的なディスク規格が無いのですね。PC用と割り切ればCD-EXTRAにしてデータトラックに映像データを放り込めば良いわけですが、あくまで一般的な規格というと適当なのが無いわけです。
 CDに映像を詰め込む規格というと、昔はCDV(CDビデオ)とか、あるいはビデオCDという規格がありましたが、CDVの映像パートはあくまでLDと同じアナログ映像。ビデオCDは正規の規格はMPEG1で画質が低く、オーディオトラックとの共存もありません。また、すでにどちらも再生可能な一般AV機器がほとんど存在しないので使えません。
 かと言って、DVDにオーディオトラック(有意な映像の無いタイトル)を付けても一般のCDプレーヤーで再生できるわけではありません。さらに付加価値つけてDVDオーディオとのハイブリットにしたところで、DVDオーディオの再生環境が普及していないので意味がありません。ま、DVDのリニアPCM音声はCDと同等のスペックだし、そもそも付属のDVDを目的に買うような人になら、CDプレーヤーでの再生なんて考慮する必要は無いような気はしますが、あくまでDVDが不要な人にも売るための音楽CD商品としては問題でしょうね。片面がCDで片面がDVDとかいうハイブリットディスクも見掛けたことはありませんし。(間違ってDVD面を再生しようとしたら壊れるCDプレーヤーとかありそうだし)

 ところで、シングル+PV1本とかいう構成、よくよく考えたら昔のCDVと同じなんですね。ところが、このCDV、規格が出来てしばらくはソフトが出たけど、すぐに幻の規格になっちゃいました。うちの手元には『きまぐれオレンジ☆ロード』や『機動警察パトレイバー』のCDVが今でも残ってますが。(パイオニアのLDプレーヤーなら今でも再生できるはず)
 何で消えてしまったのでしょう? 言うまでもなく、ソフトが高かったからです。当時はこれで1枚2400円程度。ま、DVD全盛の現在のように映像ソフトの値段が下がってきていないので、PV1本分の値段と言っても比較のしようがないですが、たかが宣伝素材であるPVに1000円以上の価値を見出す人はいなかったのでしょうか。もっとも、現在のDVDに比べて再生機器が普及してなかったという話もありますが。

     ☆ ☆ ☆

 ランティスといえば週変わりのエンディング曲とかでCDを買わせようという商売が近年目に付きますが、それが行き着くとこまで行ったのが『狂乱家族日記』。8種類のED曲すべてがDVD付き(DVD無しの商品は無い)で出てきています。
 DVDが無ければただのキャラソンCDと思えば目新しくもありませんが、DVDのために1枚1800円の値段が付いてるというと容易く手を出せるものではありません。しかもそのDVDに入ってるのは1分30秒のED映像だけ。そりゃ「ハレ晴レユカイ」のダンス映像の完全版が入ってるとか言うのならED映像でも悪くはないですが、ふつうED映像といえば動きがあまりなく、アニメ映像としては退屈なもの。『らき☆すた』の前半みたいにカラオケボックスの扉が延々と映ってるだけとまで極端ではありませんが、『狂乱家族日記』のED映像もアニメーションとして面白いものではありません。それを500円余計に出させて抱合せ販売です。
 ふつう、キャラソンCDとかだとある程度コンプリート購入する客層が見込まれたり、あるいはコンプリートさせようと全巻購入特典とか付いたりしますが、さすがにこれはコンプリートしようと思う客はそんなにいないだろうし、メーカーもそのつもりなのか全巻購入特典なんかは欠片もありません。(もっとも、そもそもランティス商品で全巻購入特典とかは聞いたことがありません。熱心なのはジェネオン辺りですね)

 それでは、この全8種のエンディングCD、売上げ状態はどうなのでしょうか? コンプリート購入が期待できない以上、キャラによって売上げの差が極端に現れてくると思います。
 ま、簡単にCDの販売数のデータを入手したり出来ませんから、ここはAmazonの売上げランキングで比較してみましょう。早いものと遅いもので2ヶ月ぐらい発売時期が違いますが、この手のものは発売直後の売上げが大半を占めると見て、最後のものでもすでに発売から2ヶ月近く経ってるので気にしないものとします。
 売れてる順番に並べれば次の通り。ま、これはあくまでAmazonだけでの売上げなので偏ってる可能性がありますが、これも考えないことにしましょう。


狂乱戦記~日常の神サマ~(DVD付)狂乱戦記~日常の神サマ~(DVD付)
乱崎凶華(藤村歩) 畑亜貴 村井大
売り上げランキング : 3369
by G-Tools

我輩は守護獣である、か?(DVD付)我輩は守護獣である、か?(DVD付)
乱崎帝架(安元洋貴)&マダラ(井上麻里奈) 畑亜貴 金井江右
売り上げランキング : 16468
by G-Tools
THE PITFALL(DVD付)THE PITFALL(DVD付)
乱崎凰火(近藤孝行) 畑亜貴 松井望
売り上げランキング : 27879
by G-Tools
コードネイムはLady-X(DVD付)コードネイムはLady-X(DVD付)
乱崎銀夏(藤田圭宣) 畑亜貴 近藤昭雄
売り上げランキング : 29181
by G-Tools
世界で一番ヤバイ恋(DVD付)世界で一番ヤバイ恋(DVD付)
乱崎千花(戸松遥) 畑亜貴 橋本由香利
売り上げランキング : 48186
by G-Tools
ボクハ更新サレマシタ(DVD付)ボクハ更新サレマシタ(DVD付)
乱崎雹霞(広橋涼) 畑亜貴 ツキダタダシ
売り上げランキング : 52987
by G-Tools
ヘンな神様知ってるよ(DVD付)ヘンな神様知ってるよ(DVD付)
乱崎優歌(花澤香菜) 畑亜貴 Ballet Mechanique
売り上げランキング : 61752
by G-Tools
あっぱれ変化じゃ。(DVD付)あっぱれ変化じゃ。(DVD付)
乱崎月香(佐藤利奈) 畑亜貴 米田行弘
売り上げランキング : 73179
by G-Tools

 ちなみにDVDは付いてないOP曲はというと

超妻賢母宣言超妻賢母宣言
MOSAIC.WAV みーこ 柏森進
売り上げランキング : 2249
by G-Tools


 あくまでランキングのデータなので、同じくらいの売上げの商品がたくさんあると少しの数の違いでもランキングが違ってきますし、逆に並ぶような商品が無ければ売上げの差が大きくても順位の変動が小さくなります。100位の商品が200位の商品の2倍売れているというわけではありません。
 また、時期によって相当に変化するようですね。実際、先週に調べてみたランキングとは全然違ってます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.14

乙女はお姉さまに恋してる オリジナル・サウンドトラック

 今回は2006年秋に放映された深夜アニメ『乙女はお姉さまに恋してる』のサントラ盤です。例によって自分の作品視聴ペースに合わせた記事ですので、時代遅れとかいう批難はご容赦を。
 『乙女はお姉さまに恋してる』は、いわゆるスタチャ枠と呼ばれる時間枠で放映された作品で、最近では『D.C.II S.S.』とか『薬師寺涼子の怪奇事件簿』が放映されてる時間帯ですね。
 原作はキャラメルBOX製作の18禁PCゲーム『処女はお姉さまに恋してる』で、これをアルケミストがコンシューマー版にに移植したのがPS2版の『乙女はお姉さまに恋してる』です。ちなみにタイトルは共に「おとめはボクにこいしてる」と読むので「処女」が「乙女」に代わっても支障は無いのですが、やはり「処女」という言葉はレーティングで引っ掛かるのでしょうか? PC版PS2版ともボイス付きですが、アニメ版はいわゆるスタチャ声優主体にキャスト変更されています。

 作品内容というと、主人公がある理由で女装して女子校に通うことになるって作品で、正体を隠しながらエルダーという全校生徒の憧れの対象となる存在になっていくという作品です。原作ではやはりそのシチュエーションから妄想できる行為に至っていくものと思われますが、当然ながらアニメ版ではそういう要素はありません。主人公はあくまで健全なお姉さまとして振舞っていく作品です。(実のところ第1話ではそれっぽく思わせぶりな描写がいくつかあるのですが、第2話以降は完全に健全路線。主人公が男であると視聴者自身に思い出させるのは最終回あたりの展開になってからです)

 そんなわけで、作品の描写の中心となるのは舞台である聖應女学院での学園生活。音楽もお嬢様学校らしい優雅さを感じさせるような、ストリングスを活かした豊かな音作りの曲が多く使われています。
 音楽は原作『処女はお姉さまに恋してる』の音楽も担当してるらしいZIZZ STUDIOですが、原作の音楽は未聴です。
 サントラの収録曲は次の通りです。


 01. Love Power~TV EDIT VERSION~
 02. Beautiful day~TV EDIT VERSION~
 03. Mizuho's Thema
 04. Shion's Thema
 05. Mariya's Thema
 06. Kana's Thema
 07. Yukari's Thema
 08. Takako's Thema
 09. Ichiko's Thema
 10. Every Day
 11. Fresh Morning
 12. Good Feeling
 13. Amusement
 14. Surprise!
 15. Nostalgie
 16. Deep Relation
 17. Tense Situation
 18. Divine
 19. Anxiety
 20. Determination
 21. Party!!
 22. Charming Smile
 23. Final Parting
 24. Heart Pain
 25. Last Elegy
 26. Waltz
 27. YURI?
 28. Optimistic
 29. Coquettish
 30. Feel Down
 31. Action!
 32. Peaceful
 33. Let's Start
 34. Again Piano Arrange Version


 TVアニメのサントラということで細かな楽曲が多くありますが、いつものように適当に聴いてくことにしましょう。最近の音楽ですからベル系やブラス系は打ち込み音源で、ギターやバイオリン等のストリングスは生楽器の演奏っぽい感じです。(というわけなので、鉄琴とかハープシコードとかチェンバロとかチャイムとか書いてあるのは、その系統の音色っぽいといういうところです)

 「Love Power~TV EDIT VERSION~」は今は無きAice5によるOP曲。アニメでのキャスト変更の意図が色濃く出てる起用ですね。ウェディングベルを思わせるコーラスから華やかに始まり、アクティブにアップテンポで進行していく流れは好きです。声優ユニットの曲としてはパート分けがはっきりしていて聴きやすいですね。
 「Beautiful day~TV EDIT VERSION~」は榊原ゆいによるED曲。それまではエロゲ関係の人ってイメージが強かった榊原ゆいを一躍メジャーに押し上げた曲と言って良いでしょう。もっともシングルのタイトル曲はイメージソング「Again」の方なのですが。
 どちらかというと歌よりもEDアニメのやたらアゴの張ったデフォルメキャラの行進が強く印象に残ってたりしますが。

 「Mizuho's Thema」は主人公である瑞穂のテーマ。活発でカッコよく颯爽としてる感じの曲。ドキドキの女装をさせられて希望と不安の女子校生活ってイメージもあります。
 トランペットとチャイムによるイントロからフルートによる主題が始まります。トランペットのフレーズの後、同じフレーズをフルートが繰り返し、ストリングスが加わって展開していきます。不安げなエレピのフレーズにゆったりしたブラスが続き、やがて全体で主題を盛り上げて行き、最後はチャイムで締め括られます。

 「Shion's Thema」は先代のエルダーである紫苑のテーマ。まりやや貴子より先に名前が出てるってことは、原作では紫苑がプライマリヒロインなのかな? アニメでは瑞穂の理解者であり協力者という線をまったく越えてはいませんが。(というか、アニメ版は必要以上にまりやと貴子の敵対を強調し過ぎてる感じですね)
 ピアノのイントロから始まり、リード・オルガンによる主題が優雅に奏でられます。華やかで温かな感じで、見守ってくれる存在ってイメージです。
 「Mariya's Thema」は瑞穂の幼馴染みのまりやのテーマ。下町の娘っぽい浅野真澄の声もあるんだろうけど、元からお嬢様らしくない性格や陸上部員とかいうこともあり、可憐で活発な感じの曲で、いたずらっぽさも感じられます。
 ハープシコードのイントロに始まり、木管がメロディーを奏でますが、少しスピーディーでアクティブな感じの曲です。

 「Kana's Thema」は瑞穂の世話係の後輩、奏のテーマ。奏は大きなリボンを付けているのですが、これは魔法のリボンで実は「パラレルパラレル」と唱えると変身することができ……ません。せいぜい空を飛ぶだけのものです。
 エレピの小気味良いテンポに始まり、ブラスアンサンブルに展開、間奏部で印象的に鉄琴が使われ、木管に続いていきます。ゆっくり気味であどけないかわいさが感じられる曲です。
 「Yukari's Thema」はまりやの世話係の後輩、由佳里のテーマ。チェンバロ系を主体に、弾むような音色の曲。少し華奢で儚げな感じのする曲ですが、やや自身なさげだけど明るい後輩ってイメージですね。

 「Takako's Thema」は生徒会長の貴子のテーマ。以前からまりやとは敵対していて、まりやの推薦で瑞穂がエルダーに立候補したことで敵役になっちゃったって感じの人ですが、ものすごく生真面目な努力家なんですね。アニメでは一応この人がメインヒロインって感じなのかな。(ヒロインは瑞穂ちゃんだって話もありますが)
 ピアノに始まり、バイオリン主体で奏でられる哀愁漂うマイナー系のバラードって辺りがヒロインというよりライバルキャラ的な雰囲気ですが。鉄琴を交えたサスペンス風の中間部が印象的です。
 「Ichiko's Thema」は寮に居付いてる幽霊、一子のテーマ。ハーモニカ主体でうきうきスキップするような日常的な音楽。幽霊となって何の悩みもない能天気で長閑な感じがあふれています。

 「Every Day」はチェレスタ系でリズミカルな少しアップテンポの日常曲。楽しく明るい学園生活って感じ。
 「Fresh Morning」は弾むようなチェンバロ系。希望に満ちた朝って感じの曲です。未知の女子校生活を前にした期待や驚き、新鮮さとかいうものを表しているようです。
 「Good Feeling」はブラス主体のアクション曲……というか、ドタバタ系の匂いがする音楽です。派手でアップテンポ。作品中でも印象が強く、主にスポーツとか学園祭とかイベント関係のイメージがあります。
 「Amusement」はちょっとイタズラっぽい感じの曲。サンバ系のリズムにファンキーな木管のフレーズが特徴です。真ん中辺りでシンセが入り、少しサスペンス風のアクセントを刻んでいます。
 「Surprise!」はドタバタ系で走り回ってる感じの曲。アップテンポのチェレスタ系の弾むようなフレーズと、木管というかリコーダー系のファンキーな音が追いかけっこしてる感じかな。

 「Nostalgie」は木琴とフルートを主体とするメランコリックな感じの曲で、ややマイナー系。鉄琴のアクセントが印象的かな。回想シーンというよりどちらかというとかつて聖應女学院に通っていたという瑞穂の母親絡みのエピソードを思い出させる、センチメンタルなイメージの曲ですね。
 「Deep Relation」はスローテンポのサスペンス曲。低音のベースとピアノのアクセントがメインの曲です。疑念とか誤解、陰謀、敵対とかいうネガティブなイメージを感じさせます。後半になってストリングスのマイナーな旋律が入ってきます。
 「Tense Situation」はスローピッチで、少しスリリングなサスペンス風の曲。切羽詰った感じで、バイオリンの演奏が緊張感を高めています。途中でエコーが掛かったり、後半になると演奏がエスカレートし、速弾きなどのテクニックがなかなか聴きものです。

 「Divine」はチャペル風のオルガン曲。厳かな雰囲気とか、大事な決心って感じのする曲ですが、単にミッション系の学校って雰囲気作りかも知れません。
 「Anxiety」は鉄琴によるゆっくりとしたミステリー感の漂う曲。叙情的な雰囲気ですが、悩みとか心理的葛藤とか、そんなあたりを表してるようです。
 「Determination」はピアノによるセンチメンタルな感じの美しい旋律の曲。葛藤後の決心とか、心理の吐露とか、大きな問題にあたって重大な決心によって血路が開けたとかいうシチュエーションが印象的ですね。

 「Party!!」は「チュルルル~」とかいうコーラスが印象的な華やかな曲で、エピソードの最後に万事解決って感じでよく使われていた気がします。タイトル的には難関突破の後の打ち上げの宴会ってところですが。しばしば瑞穂の魅力をアピールするような印象を受けました。
 ライナーによるとコーラスはいとうかなこ。『破天荒遊戯』のOPやPS2版『ひぐらしのなく頃に祭』とかで最近名前を聞く人ですね。
 「Charming Smile」はゆったりとしたテンポの穏やかな曲。オルゴール系の少しメランコリックな旋律に始まり、柔らかなフルートの音色に続いていきます。優しさとか微笑みとか、そんなイメージの曲です。

 「Final Parting」はハープシコードのイントロから始まり、ハーモニカやフルートを主体に奏でられるゆったりとして哀愁漂うバラード系の曲。やがてストリングスが少し爽やかに感動的に盛り上げて行きます。
 最後の別れを前にした寂しさとか後ろめたさを振り払い、すっきりした結末を迎えていく感じです。
 「Heart Pain」はギターによるバラード系のエレジー。メランコリックな曲調で、後ろめたさとか後悔とか、そういう心理的状況を表してる感じです。
 「Last Elegy」はゆったりとしたギターソロによる「Party!!」のバラード・バージョン。とても心に沁みてくる曲ですが、罪とか罰とか、すべてを受け入れてしまった後の無力感の漂う悲しみとか寂しさとかいうイメージです。

 「Waltz」は最終回の生徒会主催の舞踏会の優雅なワルツ。現実音楽(作品世界の中で現実に流れている音楽)として用意されてるはずの曲なのですが、コンチェルト風に重ねられるピアノのフレーズが、揺れる心情を表しているような感じです。
 「YURI?」はヴィオラ(?)によるショッキングなサスペンス風の曲。タイトルが微妙ですが、少し妖しげなイメージですね。とくに中盤から後半にかけて派手な演奏が、大袈裟に強調付けてる感じです。
 「Optimistic」はピアノ、フルート、サックスの順で派手目のドラムとともに悪ふざけのようなコミカルなフレーズが奏でられていきます。イメージをそのまま外見に結び付ければトラブルメーカーとかトリックスターとかを思い浮かべますが、内面的に受け取れば空元気なんて感じもしてきます。
 「Coquettish」は繊細な鉄琴と凛々しく規律的なドラムスに、退廃的な雰囲気のストリングスが絡んできてる感じの曲。独特の緊迫感が醸し出されています。

 「Feel Down」は小刻みなテンポでメランコリックなストリングスで奏でられる曲。シンセボイスのバックコーラスが効果的に使われています。重大な決断を迫られて、深い悲しみやどうしようもない憂鬱な気分に落ち込んでいくような感じです。
 「Action!」は小刻みなテンポでスリリングなアクション音楽。急げ、瑞穂ちゃん!……って感じですか。
 「Peaceful」は台風一過、事件の後の穏やかな結末って感じの曲。いろいろあったけど、これで良かったんだってイメージかな。ハープシコードのフレーズから木管に引き継がれ、ストリングスの伴奏が加わってきます。淡く悲しげな雰囲気から開き直っていくような感じです。
 「Let's Start」は木管のメインフレーズがトランペットで繰り返されるスピーディーで爽やかな曲。アグレッシブに奏でられる希望にあふれた新たなる再出発ってところでしょうか。
 「Again Piano Arrange Version」はイメージソング「Again」のピアノソロによるバラード・バージョン。叙情的でセンチメンタルな雰囲気ですが、コーラスの後半の力強さが印象的です。

     ☆ ☆ ☆

 作品自体に物語の中心となるような一貫したテーマが存在しないので、そういう作品テーマ的な音楽は存在しません。各キャラクターのテーマの他には個々のシチュエーション音楽がパターン的に用意されてるって感じですので、バラエティ番組とかでも使いやすいような感じですね。
 音楽的には生楽器を使ってそうなのはギターとかストリングス系ぐらいで、後は打ち込みの音源みたいですが、意外と多くのところでストリングスの伴奏が入ってるので、音に厚みが感じられます。お嬢様学校が舞台ってこともあるのでしょうが、心持ちリッチな印象を受けますが、音の厚みに加え、各曲をきちんと楽曲として作り上げてるところにもあるのでしょう。例えサスペンス系の曲であってもエフェクトばかりを協調したME的なものは存在しません。
 主題歌のテレビサイズを最初に2曲並べてるところに少し違和感を感じたりしますが、各劇伴曲はどれも耳通りの良いサウンドなので、アルバムを通して聴いてもイージーリスニング的に楽しむことが出来るでしょう。

(発売元:キング KICA-812 2006.11.22)


乙女はお姉さまに恋してる オリジナル・サウンドトラック
乙女はお姉さまに恋してる オリジナル・サウンドトラック

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«関西フィル/組曲 宇宙戦艦ヤマト(2008 SUMMER)